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プンムルやりましょう!

492 名前:名無し@985:2002/02/20(水) 15:38 ID:9ohE0wMk

彼女の微笑

ある静かな山間の村
僕は写真を撮りに訪れていた
村で唯一の民宿に逗留しながら
毎日のように付近の山を歩いて巡った

街道沿いの昔の旧道
草に覆われ始めた石畳
しんとした空気の中で
時折響く鳥の声

太陽の陽射しと影が
歴史を重ねた街道に落ちる
ふっと見上げる空の向こうに
遠く鳶が周っている

493 名前:名無し@985:2002/02/20(水) 15:39 ID:9ohE0wMk

久方振りの訪問者に
野ウサギ達は驚いたのか
少し離れた草叢が
ガサガサと震えて止まる

うさぎ君、こんにちは。

自然と声が出てしまう
そんな感じの世界でした
そんな自分に苦笑をしつつ
歩き出そうとしたときでした

ねぇねぇ、おじさんどこから来たの?

振り向くと一人の少女が
僕を見上げて笑ってました
深緑のキュロットスカートに
白いブラウス 赤い髪留め
大きく澄んだその瞳に
いつまでも見とれてしまいそうで
不思議な感じのする子でした

東京からね。写真を撮りに来たんだよ。

ふーん、そうなんだ。何の写真を撮っているの?

人が幸せになれるような
あたたかな気持ちになれるような
そんな場所を写真に撮りたくて
いろいろな所を歩いているんだよ

僕がそういうと彼女は
ニコっと笑って言いました

ここは合格したのかなぁ?

うん。合格だね。

494 名前:名無し@985:2002/02/20(水) 15:40 ID:9ohE0wMk

僕がそう言うと彼女は
いっそう明るく輝きました

ねぇ。私の写真を撮ってくれる?

ああ、いいよ。何処で撮ろうか?

こっちにいい場所があるから
ついてきてくれる?

歩いているのか
スキップしているのか
軽やかな足取りで
彼女は元気に歩いていきます

5分ほど歩いていくと
陽だまりの暖かい
少し開けた野原にでました

ねぇ。その場所から動かないでね。

そう言って彼女は
スタスタと野原の真ん中に進みます
振り向くと大声で叫びます

合図をしたら撮ってね〜〜

カメラのファインダー越しに見つめる彼女は
そわそわと身なりを整え
落ち着きがありません
自然と笑みが浮かんでしまう
そんな感じの四角い世界

やがて彼女はこちらを見つめ
大きく手を振り叫びます

3つ数えたら撮ってね〜〜
ひとーーーつ
ふたーーーつ
みっつ!!

その瞬間
シャッターを押すと同時に
爽やかな風が吹き
タンポポの綿毛が一斉に舞い上がり
太陽の陽を受けて
きらきらと輝きました

空に向かって駆け上るように
まっすぐに消えていく綿毛を見上げながら
僕はしばらく自然と一つになったかのような
幸せな気持ちになっていました

そして気がつけばいつの間にか
彼女はいなくなっていました

東京に戻り現像してみると
やはり彼女は写っていませんでした
なぜか写ってないことが自然に感じられる
そんな不思議な彼女でした
僕の白昼夢だったのかもしれません

そこに写っていたのは
僕が今まで撮った中でも
一番幸せになれる一瞬でした

彼女の姿は写ってませんが
確かに彼女は写っていると
僕は思います

プンムル峠で撮ったこの一枚のタイトルは
「彼女の微笑」と名づけました

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