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レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
高句麗語合戦 〜あれは韓国これは日本〜

1 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 16:41 ID:jWJqQfL6

 とざいと〜ざい。これより皆々様にご披露致しまするは、いにしえの高句麗語の
数々で御座りまする。高句麗は今を去ること1300年以上昔に滅びし古代国家で
御座りまするが、かつては満州西部・沿海州から朝鮮半島北部一帯にかけて
広大な領地を持ち、彼の隋・唐帝国の攻撃すら再三にわたって撃退したことも
あるほどの強いつよ〜い国家に御座りますれば、ニダビトの皆様にとりましては
数少ない「誇らしいですね。サ、サ、サ。」と言える存在なわけで御座りまする。

 ところが、あに計らんや、資料に残る高句麗の言葉をよくよく調べてみますると、
ウリマルには似ても似つかず(それは言い過ぎ)、それどころか、何とな〜んと、
彼のにっくきチョパーリどもの言葉とよく似ているというからさあ大変! 果たして
ニダビトの皆さんは誇りある歴史を取り戻すことが出来るでありましょうか。
      __      /
      iii■    < 乞うご期待!
   ─ー(´∀`)-─   \
   |\@|_Y_|@/|
 .<\__(ωω)__/>

2 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 16:46 ID:jWJqQfL6

※高句麗語語彙表の見方

NO.xx:通し番号です。

意味:再構された高句麗語の意味を簡単に記しています。( )内は想定
される品詞名。

原文:『三国史記』地理誌や『三国志』魏志東夷伝高句麗条などに記された
高句麗語の反映部分を漢文のままで記しています。ただ、私は『三国史記』
の原文を持っていないので、すべて参考にした諸論考に引用されたものを
孫引きしています。その中には原文を間違って引用しているのではないか
という疑いのあるものも二、三ありますし、原文すら示されていないものも
いくつかあります。そんなわけで、『三国史記』をお持ちの諸氏にあらせられ
ては、原文の修正及び追加をお願い致します。なお、一般の読者の方が
読みやすいように、漢文には簡単に訓点を付けました。使用した記号は以下
の通り。

   /2(「二」点)  /1(「一」点)  /v(「レ」点)

それから、JISにない漢字は[シ+青](→清)、[天/虫](→蚕)のように記して
います。

3 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 16:46 ID:jWJqQfL6

漢字音:高句麗語は主に漢字による借音表記で記されています。記録者が
どういう漢字音体系に従って音写したのかを判断するのは中々厄介ですが、
とりあえずの参考資料として中古漢字音(「中」と略称)と朝鮮漢字音(「朝」と
略称)を載せておきました。中古漢字音は藤堂明保氏の『学研漢和大字典』、
朝鮮漢字音は河野六郎氏の『資料音韻表』に拠っています。

再構音:漢字で借音表記されたものから再構された高句麗語の語形です。
研究者によってまちまちなので、李基文氏のものには(李)、村山七郎氏の
ものには(村)を付して区別しています。「?」とあるのは再構語形が特に
示されていないものです。

比較(日):古代日本語の中から高句麗語と対応する(可能性のある)ものを
ピックアップしています。こちらも李基文氏のものには(李)、村山七郎氏の
ものには(村)を付して区別しています。私が勝手に補ったものには(娜)を
付けました。

比較(韓):新羅語(漢字による借音表記)や前期中世語(高麗語。漢字による
借音表記)、後期中世語(李朝語。主にハングル表記)から、高句麗語と対応
する(可能性のある)ものを挙げています。こちらも(李)(村)(娜)を付加して
区別してあります。

比較(他):地理的に高句麗語と関係が深いと思われるツングース系言語や
蒙古語、トルコ語と言った所謂アルタイ系諸語から、高句麗語と対応する
(可能性のある)ものを挙げています。

考説:解説+私説。特に私説部分は眉に唾を付けてご覧下さい(w。

4 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 16:54 ID:jWJqQfL6

※アルファベット表記の説明:

 e1=古代日本語エ列甲類母音   e2=古代日本語エ列乙類母音
 i1=古代日本語イ列甲類母音   i2=古代日本語イ列乙類母音
 o1=古代日本語オ列甲類母音   o2=古代日本語オ列乙類母音
 Φ=無声両唇摩擦音(日本語フの子音)
 η=有声軟口蓋鼻音(ngの音)
 x=無声軟口蓋摩擦音(kに近い音)
 γ=有声軟口蓋摩擦音(gに近い音)
 斤=有声声門摩擦音(hの濁音)
 ┤=後期中世語は[∂]、現代朝鮮語は[っ]
 ─=щ   丶=∧   ├|=ε   ┤|=e   己=語頭はr、語末はl

※参考文献:

 李基文『韓国語の形成』(『韓国文化選書』6、1983年4月、成甲書房)
 同上『韓国語の歴史』(村山七郎監修・藤本幸夫訳、1975年6月、大修館書店)
 村山七郎「日本語および高句麗語の数詞─日本語系統問題に寄せて─」
                                (『国語学』48、1962年3月)
 河野六郎『資料音韻表』(『河野六郎著作集・2』別冊、1979年11月、平凡社)
 劉昌惇『李朝語辞典』(1964年11月、延世大学校出版部)
 藤堂明保編『学研漢和大字典』(1978年4月、学習研究社)
 上代語辞典編集委員会編『時代別国語大辞典・上代編』(1967年12月、三省堂)

5 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 16:58 ID:jWJqQfL6

 ではまず第一弾。「天文地象語彙」から参りま〜す。

No.01
意  味 :山(名詞)・高(形容詞)
原  文 :「土山県本高句麗ノ息達」「高木根県本高句麗達ノ乙斬」など十余例
      (『三国史記』)
      参考「阿斯達」(『三国遺事』)
漢 字 音:達(中:dat、朝:tal)
再 構 音:tar(李)
      tat〜tal〜ta<*tak(村)
比較(日):古代日本語「take2(岳)」(村)
      「taka-si(高)」(村)
比較(韓):ナシ
比較(他):トルコ語「taγ(山)」
考  説 :
 日本語との一致は第一音節のみであるが、双方ともに名詞・形容詞の両形を
持つという共通点があるのは大きい。

6 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 16:59 ID:jWJqQfL6

No.02
意  味 :峰(名詞)※とがった山?
原  文 :「峯城県一ニ云フ述爾忽県」「述[人/水]忽県一ニ云フ首泥忽」(『三国史記』)
漢 字 音:述爾(中:dзiuet-nie、朝:syul-zi)
      首泥(中:∫i∂u-nei、朝:syu-ni)
再 構 音:su¨ri〜sul'i〜suni〜sulni(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「su-nщrk(嶺)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 語末音を除けば中期朝鮮語とかなり近い語形。『李朝語辞典』を見ると現代朝鮮
語では「su-nuk」というようだが、翻訳エンジンでは翻訳されないので、今ではもう
死語と化しているようだ。高句麗系渤海語からの借用語彙か。

7 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 17:01 ID:jWJqQfL6

No.03
意  味 :穴(名詞)※本来は「峡谷」の意?
原  文 :「穴口郡一ニ云フ甲比古次」「穴城本甲忽」(『三国史記』)
漢 字 音:甲比(中:kap-pii、朝:kap-pi)
      甲(中:kap、朝:kap)
再 構 音:kapi〜kap(李)
      kappi(村)
比較(日):古代日本語「kaΦi1(峡)」(李・村)
比較(韓):ナシ
比較(他):トルコ語「qapca(峡谷)」「qapi¨γ(門蔽い)」
考  説 :
 日本語「カヒ(峡谷)」は動詞「カフ(交・買)」の派生語で、山と山が交差する
場所ということから峡谷を意味する語となったもの。穴口郡は今の江華島。
統一新羅時代は「海口郡」と名付けられた地である。「海口」も「穴口」もともに
江華島と半島が狭い海峡を形成するところからの命名だろう。「海口」は海の
入り口、「穴口」は海峡を陸地と陸地との間に生じた穴と捉え、その入り口と
いうことから付けられた名か。

8 名前:日語商売:2003/06/14(土) 17:02 ID:T0J013jA

ちょっとあんた!!!なんで地鎮祭やらせないのよ!!!

9 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 17:06 ID:jWJqQfL6

No.04
意  味 :谷(名詞)
原  文 :「水谷県一ニ云フ買旦忽」「於支呑一ニ云フ翼谷」「十谷県一ニ云フ徳頓忽」等
      (『三国史記』)
漢 字 音:旦(中:tan、朝:tan)・呑(中:t‘∂n、朝:t‘∧n)・頓(中:tu∂n、朝:ton)
再 構 音:tan〜tuan(李)
      tan(村)
比較(日):古代日本語「tani(谷)」(李・村)
比較(韓):後期中世語「t∧n〜tu∧n(村)」(李)←「村 呑」(『朝鮮館訳語』15世紀初)
比較(他):ナシ
考  説 :
 後期中世語の「村」は、谷間に集落が出来ることが多かったことによる転義と解
される。ただし、ハングルで記された後期中世語資料では「村」を意味する語は
「m∧z∧rh(→maщr(村」)」となっており、「t∧n」系の語は『朝鮮館訳語』以外に
まったく例を見ない。おそらく「t∧n(村)」は高句麗系渤海語からの一時的な借用
語であり、李朝時代に入るや速やかに新羅語系語彙である「m∧z∧rh」に置き
換えられてしまったのだろう。本語は日本語の「tani(谷)」と第二音節の子音部分
まで一致している点、大いに注目される。

10 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 17:07 ID:jWJqQfL6

No.05
意  味 :土地(名詞)
原  文 :「槐壌郡本高句麗ノ仍斤内郡」「荒壌郡本高句麗ノ骨衣奴郡」
      「休壌郡一ニ云フ金悩」「於斯内県一ニ云フ斧壌」等(『三国史記』)
      参考:高句麗五部族名「貫那」「藻那」「桓那」「朱那」(『三国史記』)
漢 字 音:内(中:nu∂i、朝:n∧i)・奴(中:no、朝:no)
      悩(中:nau、朝:no)・那(中:na、朝:na)
再 構 音:nua(李)
      na(村)
比較(日):古代日本語「na(土地・国)」(李・村)
               ←ナヰ(地震)・オホナモチ(大国持ち)
比較(韓):新羅語「nu¨(世)」(李)←「赫居世王{蓋シ郷言也。或イハ作ル/2弗矩内
      王ニ/1。言フ/2光明理世ヲ/1也}」(『三国遺事』)
      新羅語「nu¨ri(世)」(李)←「儒理尼叱、今一ニ作ル/2世里智王ニ/1」
      (『三国遺事』)
      後期中世語「na-rah(国)」(李)
比較(他):南方ツングース諸語・満州語「na(土地)」
考  説 :
 日韓ともに対応する語を持つが、その中では新羅語「nu¨(世)」は意味的な
相違が大きく、対応例とするにはやや弱い感あり。

11 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 17:11 ID:jWJqQfL6

 とりあえずはここまで。全語彙制覇まであと78語(藁)。
でも実際はまだまだ抜けがあるはずなんですけどね。
これは叩き台ですから、どうぞ好きにネタにして下さい。
ミスの指摘から感想まで何でも歓迎でっす。>おおる


>>8 日語商売さん

 だってここ、継続スレぢゃないもん(w。

12 名前:日語商売:2003/06/14(土) 17:44 ID:T0J013jA

お疲れ様です。一か所だけ補足。

>>6
現代韓国語の辞書を見たところ、su-nuk という語は、
「足袋(チョパーリのと違い足先が割れていない)などの縫い目」という意味だそうです。
縫い目を山の峰が連なるさまに例えたものでしょうか?

13 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 19:23 ID:jWJqQfL6

>>12 日語商売さん

 なるほど。sunukという語は一応今でも残っていると見てよいのでしょうか。
何せ私、朝鮮語は一切しゃべれませんし、手元に『李朝語辞典』はあっても
現代朝鮮語の辞典はコンパクト版でさえ持っていないという体たらくなので。
この前公費で朝鮮語辞典を注文したのですが、いつまで経っても届かないし。
そうだ。日語商売さんお勧めの朝鮮語辞典はありますか。出来れば今でも
普通に買えるもので、多少は語史的なことについても知識を得られるような
ものが欲しいのですが。

 ちなみに、『李朝語辞典』は元同僚から頂いたものです。幸いこの辞典には
漢字が多少ありますので、かろうじて内容を推定出来るのが、朝鮮語を
読めない/話せない人間にとっては非常に有難い辞典です。逆に一般の
の韓国人にとっては使いづらいところがあるかも知れませんが(w。

14 名前:日語商売:2003/06/14(土) 20:32 ID:3WvSVr9.

>>13 娜々志娑无ソンセンニム
日本で最もよい朝鮮語辞典と思われるものは、小学館の「朝鮮語辞典」ですね。
これは小学館と韓国の金星出版社が共同で編集したもので、値段は7,700円と少々お高いものの、
持っていて損はありませんよ。発音、活用表、そして十分ではないものの言葉の使い分けの対照表や
日韓語彙索引などが付いているので、日本人学習者には一番便利です。
語史的な部分については、残念ながらほとんど記述はありませんが、これは他の辞書も確かそうだし、
そういう項目があるのは角川書店の「朝鮮語大辞典」以外にはありませんね。
まぁこれは上下2巻で値も張るし、無駄な例文が多い(小説や新聞の記事からの引用が1段落まるごと
載っていたりするし、ひどいものになると日本の古典の韓国語訳が延々載っていて、いったい
何をしたいのかよくわからなくて笑ってしまう)のですが、語史についてはそれなりに載っているし、
昔の研究書や論文からの引用も載っていて(件の延々引用ですが)、研究者にはちょっと便利かも。
まぁこれは図書館や専門研究室用なので、素人にはお勧めできませんw

ちなみに、日韓辞典は、韓国でも日本でもあまりいいのがありませんw
韓国の辞典の項目を日本語に訳した、あるいはその逆のようなものばかりで、活用表はあるものの
アクセントや発音はちゃんと書いてありません。だからいつまでたっても学生の発音がうまくならないと小一(ry

李朝語辞典、いいですね。私も正直欲しいです。
私は元いた研究室で2、3度手に取っただけですが、あれ以外にまともに使える中期朝鮮語の辞典は
ないと聞いたこともあります。他の古語辞典もこちらでは売っているのですが(当たり前?)、
さしあたって必要ないし、使いこなせないし、前述の言葉の呪縛もあって手に取ったことがありませんw

15 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:08 ID:jWJqQfL6

>>14 日語商売さん

 辞書の紹介、ありがとう御座います。さすがに私もハン板の常連として、
せめて朝鮮語辞典くらいは持っていないと恥ずかしいなぁと思っておりました
ので、近日中に手配致しますです。その角川の「朝鮮語辞典」ですが、まだ
手に入るものなのですかねぇ。私が注文していまだにやって来ないのが、
確かそれだったと思うのですが。その辞典はうちの職場の図書館で使った
ことがあります。日韓の語源説とかみょ〜なことはやたらと載っているくせに、
『日本国語大辞典・第2版』にあるような堅実な語誌の記述はほとんど載って
いなかったので、不満を覚えつつも、見た限りではこれよりましそうな辞典が
見当たらなかったんですよね。やはりそういう評価だったのですか。

 ちなみに、私の所有の『李朝語辞典』、お値段は1000ウォンでした(w。
いまだったら100円ですな。ブックオフの特売品並みではないですか。
これって、韓国では今いくらくらいなんでしょ? 私にこの本を下さった方も、
李朝語関係でこれにまさるものは存在しないらしいよとおっしゃっておいで
でした。やっぱり定評のある辞書なんですね。有難や有難や。>元同僚様

16 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:25 ID:jWJqQfL6

No.06
意  味 :岩山(名詞)
原  文 :「孔巌県本高句麗ノ済次巴衣県」「松[山見]県本高句麗ノ夫斯波衣県」
      「三[山見]県一ニ云フ密波兮」等(『三国史記』)
漢 字 音:巴衣(中:pa-i∂i、朝:p‘a-щi)
      波衣(中:pua-i∂i、朝:p‘a-щi)
      波兮(中:pua-斤ei、朝:p‘a-hye)
再 構 音:pai〜paxe(李)
      paui〜pahyoi<*pafoi(村)
比較(日):古代日本語「iΦa-Φo(巌)」(村)
比較(韓):後期中世語「pa-hoi(巌)」(李・村)
比較(他):キリヤーク語「pax(石・崖)」
考  説 :
 日本語「イハホ(巌)」の成り立ちは「イハ(岩)」と秀でた部分を意味する
「ホ(秀・穂)」とが複合したものと解されるから、本例を対応例とするのは、
正直かなり厳しいものがあるが、村山は祖形を「ipafo」と見、高句麗語に
おいては〔ipafo→pafoi〕のような音韻転倒(あらたしい→あたらしい、
しだらない→だらしない等)が生じたと考えているようだ。ちなみに、「[山見]」
は山頂が平らな山のこと。ごつごつした岩山を意味する「巌」とはかなり
相違があるようだが…。

17 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:29 ID:jWJqQfL6

No.07
意  味 :土(名詞)
原  文 :「土山県本高句麗ノ息達」(『三国史記』)
漢 字 音:息(中:si∂k、朝:sik)
再 構 音:sik<*sirk(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「su(砂・洲)」(娜)
比較(韓):後期中世語「h∧rk(土)」(李)
比較(他):ゴルディ語「siru(砂)」
      エベンキ語「sirugi〜sirgi(砂)」
      蒙古語「siruγai(塵・土)」
考  説 :
 日本語で強いて候補を挙げるとすれば「ス(砂・洲)」ぐらいだろうが、ツングース
系の言語では「砂」系の語が対応語彙として挙げられていることを考えれば、そう
変な説でもないのではないか。朝鮮語にしても、発音的には決して近いものとは
言えないから、対応語彙とするには問題が多い。

18 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:30 ID:jWJqQfL6

No.08
意  味 :堤(名詞)
原  文 :「長堤郡本高句麗ノ主夫吐郡」「奈土県一ニ云フ大堤」他(『三国史記』)
      参考「漆[β是]郡本漆吐郡」(『三国史記』)
漢 字 音:吐(中:t‘o、朝:t‘o)、土(中:t‘o、朝:t‘o)
再 構 音:t‘u(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 高句麗独特の地名構成要素である。参考として挙げてある「漆[β是]郡本
漆吐郡」は旧弁韓の地名である。夫餘系言語を話す人が弁韓にかつて住んで
いたことを強く示唆する例である。

19 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:32 ID:jWJqQfL6

No.09
意  味 :城(名詞)
原  文 :「峯城県一ニ云フ述爾忽県」他多数(『三国史記』)
      「溝[シ婁]ナル者ハ句麗ノ名。城也」(『三国志』魏志東夷伝高句麗条)
漢 字 音:忽(中:hu∂t、朝:hol)
      溝[シ婁](中:k∂u-l∂u)
再 構 音:ku¨r〜xol(李)
      kul〜kol(村)
比較(日):古代日本語「ki2(城)」(村)
比較(韓):百済語「ki¨(城)」
        ←「悦城県本百済悦己県」「儒城県本百済奴斯只県」等(『三国史記』)
      後期中世語「kol(谷・洞)」(李)
比較(他):満州語「holo(谷)」「golo(省)」
      トルコ語「qol-γan(城)」
      蒙古語「qol-γan(城)」
考  説 :
 日本語「キ(城)」は「城砦」の意であるのに対し、高句麗語や百済語のそれは
「城市」の意であってその内容に違いがある。日本語の「キ(城)」は百済語から
借用した後に、意義変化を起こした可能性が高いように思う。なお、高句麗語の
再構に関してt入声の漢字の末子音をtでなくr(l)で再構することが多いのは、
本例の「忽」と「溝[シ婁]」が対応すること等に基づく。No.13「泉」も参照のこと。

20 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:33 ID:jWJqQfL6

No.10
意  味 :水・川(名詞)
原  文 :「水城郡本高句麗ノ買忽郡」「南川県一ニ云フ南買」等多数(『三国史記』)
漢 字 音:買(中:mai、朝:m∧i)
再 構 音:mie〜mo¨i<*mo¨r(李)
      me〜mi(村)
比較(日):古代日本語「mi1(水)」(李・村)
比較(韓):後期中世語「mщl(水)」(李)
比較(他):中世蒙古語「mo¨ren(江・海)」
      ツングース諸語「mu(水)」
      満州語「mu-ke(水)」
考  説 :
 漢字音が「mai」なのに再構音が「mi」のようなものになっているのは、『三国史記
』の高句麗地名に「買」が「米(中:mei、朝:mi)」「彌(中:mie、朝:mi)」と通用する
例があることによる。なお、古代日本語では「水」を意味する単独語形は「ミヅ(水)」
であるが、複合語「ミト(水門)」「ミナモト(源)」「ウミ(海)」等から一音節名詞「ミ(水)」
は容易に帰納出来る。日韓高句麗語ともに非常によく似ている例である。

21 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/14(土) 21:43 ID:jWJqQfL6

 てなわけで、今日はこれまで。残りはまた明日ということで。

      __      /
      iii■    < ではでは♪
   ─ー(´∀`)-─   \
   |\@|_Y_|@/|
 .<\__(ωω)__/>

↑福助人形のつもりで作りますた。我ながらそこそこうまく出来たなぁと
気に入っています。

22 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 14:51 ID:zl8b8dc.

No.11
意  味 :池・大池(名詞)
原  文 :「内米忽一ニ云フ池城一ニ云フ長池」「瀑池郡本高句麗ノ内米忽」(『三国史記』)
漢 字 音:内米(中:nu∂i-mei、朝:n∧i-mi)
再 構 音:nuami(李)
      nami(村)
比較(日):古代日本語「nami1(波)」(李・村)
      「nada(灘)」(村)
比較(韓):ナシ
比較(他):ツングース諸語「namu〜lamu(海)」
考  説 :
 李、村山ともに日本語の「ナミ(波)」に対応するとしているが、正直、「ナミ(波)」は
対応例とするにはちょっと弱いように思う。むしろ高句麗語の「nami」を「na-mi」と
分析し、「奈土県一ニ云フ大堤」により「na」は「大」を意味する形容詞、「mi」は「水・川」
を意味する名詞(No.10「水・川」参照)と解するべきではなかろうか。「内米忽」が
「一ニ云フ長池」とあるのもその可能性を強く示唆する。No.57「大きい」参照。

23 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 14:53 ID:zl8b8dc.

No.12
意  味 :海(名詞)
原  文 :「海曲県本高句麗ノ波且県」「海利県本高句麗ノ波利県」(『三国史記』)
漢 字 音:波(中:pua、朝:p‘a)
再 構 音:pa(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):新羅語「patっr(海)」(李)
          ←「波珍[冫食]或イハ云フ/2海干ト/1」(『三国史記』)
      後期中世語「patah〜par∧(海)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 第一音節のみだが、朝鮮語とよく似ている。新羅語「patっr(海)」を「pa」と「tっr」
から成る複合語であると解すればなお一層近くなるが、問題は後部成素をどう処理
するかだろう。日本語には適当な語が見当たらないが、強いて挙げれば「wata(海)」
がそれに該当するかも知れない。その場合は〔p→Φ→w〕という変化を想定する
必要があるが、果たしてそれが可能かどうか、なお検討を要する。

24 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 14:59 ID:zl8b8dc.

No.13
意  味 :泉(名詞)
原  文 :「泉井郡一ニ云フ於乙買」「泉井口県一ニ云フ於乙買串」
      「蓋蘇文或イハ云フ/2蓋金ト/1。姓ハ泉氏」(『三国史記』)
      「大臣伊梨柯須彌弑ス/2大王ヲ/1」(『日本書紀』)
      ※伊梨柯須彌=泉蓋蘇文
漢 字 音:於乙(中:io-iet、朝:∂-щl)
      伊梨(中:ii-lii)
再 構 音:er〜∂l(李)
      uil<*bul(村)
比較(日):古代日本語「wi(井)」(村)
比較(韓):新羅語「っ¨r(井)」(李)
       ←新羅始祖降誕地を「蘿井」「奈乙」と記す(『三国史記』『三国遺事』)
      後期中世語「u-mщl(井戸水)」(娜)
比較(他):トルコ語「bul-a-q(泉)」「bul-a-γ」(泉)
      キリヤーク語「eri〜erri(川)」
      オロチ語「uri(水・川)」
考  説 :
 「井戸」は言わば人工の泉であるから、意味的にも問題はあるまい。日韓とも
よく一致するが、とりわけ新羅語は高句麗語と語形が近い。なお、『日本書紀』の
「伊梨柯須彌」は、高句麗語の再構に関して「乙」のような舌内入声の漢字の
末子音tをr(l)で再構すべきことの根拠の一つとされている。

25 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 15:00 ID:zl8b8dc.

No.14
意  味 :穴(名詞)
原  文 :「孔巌県本高句麗ノ済次巴衣県」(『三国史記』)
漢 字 音:済次(中:tsei-ts‘ii、朝:cye-c‘∧)
再 構 音:cec(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :特になし。

26 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 15:01 ID:zl8b8dc.

No.15
意  味 :辺(名詞)
原  文 :「[之+守]城郡一ニ云フ加阿忽」(『三国史記』)
漢 字 音:加阿(中:ka-a、朝:ka-a)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「k∧s(辺)」(李)
比較(他):ゴルディ語「kera(辺)」
考  説 :
 朝鮮語とよく対応する例。「[之+守]」は「邊」の半島系異体字か。

27 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 15:12 ID:zl8b8dc.

 ありゃ。見直してみると、自分で>>2のような基準を定めていながら、ところどころ
そのルールを守っていない箇所がありますね(汗)。以下の通り修正致します。

>>16 [山見]→[山+見]

>>18 [β是]→[β+是]

>>19 [シ婁]→[シ+婁]

>>23 [冫食]→[冫+食]

28 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/15(日) 15:17 ID:JSbqOJT.

いつの間にかこんなスレが建ってたのね<・∀・>イイヨイイヨー!!
陰ながら応援しています
ガンガレ

29 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 15:21 ID:zl8b8dc.

 >>22の「内米忽」の解釈は我ながら中々うまくいったと思っております。
つーか、今まで本当に誰もこういう指摘をしていないのか、そちらの方が
むしろ気になるくらいです。村山七郎はともかく、李基文は考え直して
同様の結論に達してそうですけどね。

30 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 16:12 ID:zl8b8dc.

>>28

 応援ありがとう御座います。どうあがいても人気スレにはなれそうにもない
ですが、資料スレとしてぼちぼちやって行こうと思っております。ちなみに、
スレタイは近松の名作浄瑠璃「国性爺合戦」から取りました。この作品、
角書(つのがき。名題の先頭に付けられた小字二行の部分)に「父は唐土
母は日本」とありますので、それをもじって「〜あれは韓国これは日本〜」と
したわけです。最初は「宇宙大作戦」をもじって「高句麗語大作戦」として、

  高句麗ーそれは総督府に残された最後の開拓地である。そこには
  住民の想像を絶する新しい発見、新しいデムパが待ち受けているに
  違いない。これは、総督府最初の試みとして半万年の調査飛行に
  飛び立った宇宙船U.S.O.ケンチャナヨ号の驚異に満ちた物語である。

な〜んてやるつもりだったのですが、タイトルが今イチ気に入らない上、
口上のために作ったAAが思いっきり和風だったのでこりゃ合わんわと
思い、放棄したのでした。実際「高句麗語大作戦」では「スパイ大作戦」を
思い浮かべる人の方が多そうですしねぇ(^^;。

31 名前:日語商売:2003/06/15(日) 17:08 ID:UsgVsbwQ

ソンセンニム、本日も乙です。

>>19
こちらで(=娜々志娑无さんスレ)で何回か紹介しようとしてしそびれていた本ですが、
宋敏『韓国語と日本語のあいだ』(菅野裕臣他訳、草風館、1999)所載論文
「高句麗語の語末母音消失について」では、kolは中期朝鮮語のk∧β∧l(村、郡;
現代韓国語koщl(郡);日本語「こほり」とも関係が深いか)や、日本語のkura(蔵)と
関係があるとしています。

>>22の例は確かに「波」と対応を考えるのは無理がありそうですね。
むしろ私は「内米忽」という語形の中に「忽(kol)」が含まれているのが気になりました。
こちらは「城」の訓としてしばしば現れますが、前述の宋氏は上掲論文の中で、
この「城」を「山上に建てられた城塞」さらに「山谷」に該当すると述べています。
中世〜現代の韓国語でもkolは「谷」の意味です。
すると、「内米忽」の「米忽」は、「水+谷」の合成語で「池沼」をあらわす語ではないでしょうか?
「池城」は「内米忽」を「内米+忽」と異分析したための表記かもしれません。

32 名前:日語商売:2003/06/15(日) 17:46 ID:UsgVsbwQ

>>31
ちょっと補足。「米忽」<「水+谷」は宋氏の考えではなく(彼は「波」説)、私の妄想です。
本来ならば「米」「忽」を含む合成語(とみられる地名)をもっとよく調べるべきですし、
満州語やツングース語に現れる「namu〜lamu(海)」との関係が弱くなるのを
克服しなければいけませんね。。。
なお朝鮮語kolと日本語kuraの関係については既に金沢庄三郎や大野晋によって
指摘されています。宋氏はそれを更に高句麗語までさかのぼって関係づけようとしているわけです。

33 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 18:28 ID:zl8b8dc.

>>31 日語商売さん

 その本は私も持っています。付録に高句麗語語彙一覧でも付いているかと
期待して購入したのですが、何とも使いづらい日韓比較語彙一覧が付いている
だけだったのでかなりガカーリした覚えがあります(w。本の方はざっとしか見て
いなかったので、その記述は見落としていました。ご指摘ありがとう御座います。

 高句麗語「kol」が城ではなく谷の意かも知れないというのは面白いですね。
確かに古代日本語には山や谷関係の語に「クラ」という語が複合した例があり
ます。「クラタニ」「クラオカミ」「クラヤマツミ」「クラミツハ」といった語です。本居
宣長以来、この「クラ」を「谷」の意であるとする説が広く行なわれていますが、
『時代別国語大辞典・上代編』は、「クラ」を「谷」の意とする根拠は明瞭ではない
とし、「座」の意の「クラ」と取るべきではないかと述べています。「クラ(座)」の
本義は一段高く設けられた場所であり、神の宿る座を「イハクラ(磐座)」という
ことからもわかるように、かつて岩を神の宿る場所と見なしていたということは
いかにもありそうなことだと思います。それに、方言に残る「クラ」の意味はみな
「崖」とか「岩」であって「谷」ではありませんしね。

 また、アクセントから見ても、『日本書紀』巻一・弘安本訓に「クラオカミ」を
「上上平上平」と加点した例がありますので、この「クラ」が高起式(単独では
高高型なのか高低型なのかは不明)であったことがわかりますが、「クラ(座)」
と同源であることが明らかな「クラ(鞍)」が院政期に高低型のアクセントである
ことから、金田一法則に照らして、両者が同源である可能性は高いと言えます。
ちなみに、「クラ(蔵)」も「クラ(座)」と同源とされることが多いようですが、こちら
は院政期に低低型ですから、アクセント的には同源と見なし難いということに
なります。

 そんだこんだで、私としては『時代別』の指摘通り、日本語の「クラ」は「座」の
意の「クラ」が意義分化を起こして「崖」とか「岩」という意味に転じたものであって
「谷」という意味は存在しないと考えます。ただ、世の中には岩に囲まれた谷も
当然あるわけですから、岩場の多い土地では「クラ」に「谷」という意味が派生する
余地もないとは言えません。たまたま日本語ではそういう派生は生じなかったが、
高句麗語や朝鮮語では生じたというなら、日本語の「クラ」を朝鮮語の「kol」と
結び付けることにあえて反対はしませんが、どうなんでしょうね。

34 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 18:35 ID:zl8b8dc.

 ところで日語商売さんは

http://www.nijl.ac.jp/" target=new>http://www.nijl.ac.jp/
国文学研究資料館

のデータベースにある「日本古典文学」をご存じですか。利用するためには
登録が必要ですが、無料で岩波の日本古典文学大系を電子テキストとして
利用することが出来ます。私もよく使うものは全文選択→コピペ→エディタ
に貼り付けて保存という風にしてテキストデータを落として使っていますが、
中々便利ですよ。

35 名前:日語商売:2003/06/15(日) 19:37 ID:UsgVsbwQ

>>33
あ、お持ちでしたか。
これの語彙比較索引、諸学者の説がまとめられていて、発想のネタにはまぁ使えるのですが、
初期の思いつきであげたような、非常に危ない例が混じっていて玉石混淆なので、根拠にはしにくいですね。
ちょっと不用意でした。
ちなみに今年の春の学会で宋氏とお目にかかる機会があったのですが、あいにくその日は学科の合宿で、
お話を聞くことが出来ませんでした。ちょっと残念でした。

クラのアクセントからの検証、これは見落としてました。
クラオカミのクラですが、私はこれを「暗い」のクラだと思っていたのですが。
「暗し」の院政期アクセントは高高降なので、クラオカミのクラの部分とアクセントも一致しますし、
タカオカミと対になって現れるあたり、「クラ」を「座」と取ってしまっては、あまり対になる印象が
弱いような気がするのですが。。。

ま、ちょっと話が横道にそれましたが、おっしゃる通りどうも上代日本語に「谷」の意味の
「クラ」という言葉があった証拠は、弱いようですね。
でももう少しふんばって反論してみます。
クラオカミという語の場合、これは神名という点で固有名詞です。
古事記の神名につけられたアクセントを見ると、たとえば「豊雲野神」の「雲」には高調をあらわす
「上」という注記がつけられています。これは「雲」という言葉が一般名詞では「低低」調であるのに対し、
ここでは「高高」調で発音されたことを示しています。同様に古事記で「上」が付けられた神名の部分を
調べると、一般語としては低調なものが、固有名詞(神名)の構成要素として使われる場合のみ、
高調に発音されたようなのです。
これは現代語でも「岡」「島」「谷」のような2音節の姓が、一般名詞としてのアクセント(低高)ではなく
高低形に発音されるという法則(例外も多いのですが)として存在します。
とすれば、クラオカミの「クラ」のアクセントも、固有名詞化により「高高」に転じた可能性が
あるのではないでしょうか。(以上、小松英雄『日本語の世界7 日本語の音韻』1981中央公論社より)

ほかにも、古事記に現れる「天之闇戸神(あめのくらとがみ)」、「国之闇戸神(くにのくらとがみ)」の
「クラ」は、「谷間」をあらわしているようですし、地名にも「鎌倉」のように、
谷間をあらわしていそうな「クラ」が現れるので(この辺『日本国語大辞典』第2版から)、
「座」とは別個に、谷をあらわす「クラ」という言葉があった可能性も指摘できるのでは・・・。
ただそれが「蔵」や「暗し」とどう結びつくかはまた別の問題ですが。

36 名前:日語商売:2003/06/15(日) 19:47 ID:UsgVsbwQ

>>34
これは存じませんでした。ご教示ありがとうございます。
早速登録申請してみました。
これまでは資料のそろっている同僚の部屋に行って借りてきては参照するを繰り返していましたが、
こういう便利なものがあったとは。。。!

37 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 21:31 ID:zl8b8dc.

>>35 日語商売さん
>クラオカミのクラですが、私はこれを「暗い」のクラだと思っていたのですが。

 確かに記紀ともに「クラオカミ」「クラヤマツミ」「クラミツハ」の「クラ」に対しては
「闇」という漢字を宛てていますので、当時の人がこれらの「クラ」を「暗い」と
認識していた可能性はあるだろうと思います。おっしゃる通りアクセントも一致し
ますしね。ただ、後世そう誤解されることはあっても、命名時に「暗いオカミ」だの
「暗いヤマツミ」だのという名を付けたりはしないのではないでしょうか。日本の
神名の場合、大抵「トヨ(豊)」「オホ(大)」「ハヤ(速)」「タケ(武)」のような美称
が選ばれますが、「クラ(暗)」が美称になるとはとても思えません(w。まぁこれ
は現代人の感覚ですから、古代人はまた別なのかも知れませんがね。

 それから、固有名詞化に伴うアクセントの個別変化の可能性ですが、それは
十分あり得ることだと思います。金田一法則は極めて信頼性の高い法則です
が、それでも時折それに反する例があります。多くは個別的な変化と見なされ
るのですが、その中で比較的多いのが意義分化に伴う変化です。意義分化に
より新しい語が生まれても、元の語と同音同アクセントのままでは混乱が生じる
恐れがあるので、その混乱を避けるためにアクセントだけが変化したというわけ
です。日語商売さんが示された『古事記』の神名の例に代表される固有名詞化
に伴うアクセント変化もこれに準ずるものと捉えられるでしょう。あとはこの「クラ」
を低起式の「クラ」(たとえば「蔵」)ときっちり関係付けることが出来ればOKと
いうことになりますが、そこからが中々大変でしょうね。それに、これはあくまでも
例外的な処置ですので、出来ることならあまり取りたくない手段でもあるという
ことはご承知置き下さい。

>古事記に現れる「天之闇戸神(あめのくらとがみ)」、「国之闇戸神(くにのくらとがみ)」の
>「クラ」は、「谷間」をあらわしているようですし

 う〜ん、どうでしょう。『古事記』ではこの神々は山野にちなんで生まれた神として
挙げられていますが、私の見る限り、この「クラト」をわざわざ谷間の意として捉え
なくてはならないような理由は特にないように思えます。「ト(戸)」は入り口を意味
する語ですから、「クラ」が谷と解せるなら谷間とも取れますが、「ト(戸)」と同じト
甲類音の名詞には他に場所を意味する「ト(処)」という語もありますから、その場合
「クラト」は岩場という意味になりますので、こちらでもごく自然に解することが可能
です。鎌倉も谷の多い土地柄であることは承知していますが、その鎌倉では谷を
意味する語は「ヤツ」であって「クラ」ではないですし、地名も「オウギガヤツ(扇谷)」
のように「ヤツ」が使われています。そういう中であえて鎌倉の「クラ」を谷の意で
解することにどれだけの妥当性があるのか、正直疑問ですね。

38 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/15(日) 21:48 ID:zl8b8dc.

>>36 日語商売さん

 前に登録をした時は確か1週間程度で登録完了のメールが来たように
記憶しています。IDだけでなくパスワードも要求されるのがちょい面倒
ですが、一度行って必要なものだけ落としてしまえば後はそう用がない
と思いますので、この程度のことは我慢してあげて下さいね(w。

39 名前:日語商売:2003/06/15(日) 23:43 ID:R2pRHGSI

>>35でちょっと訂正。
「とすれば、」以下は私の思いつきであり、小松氏の説ではありません。
誤解を招くような書き方ですので、一応ここで注記しておきます。

>>37 娜々志娑无先生
>「クラ(暗)」が美称になるとはとても思えません

これについては同意見ですが、美称でなく実質的特徴を示す部分、暗いところに潜む蛇身の神の
意味だととらえれば、まぁ神名の構成要素としてはあってもおかしくないかと思います。
ま、これは「クラ=谷」説とは関係ないので、これ以上は深追いしません。

>それから、固有名詞化に伴うアクセントの個別変化の可能性ですが、それは
>十分あり得ることだと思います。
>(中略)
>あとはこの「クラ」
>を低起式の「クラ」(たとえば「蔵」)ときっちり関係付けることが出来ればOKと
>いうことになりますが、そこからが中々大変でしょうね。それに、これはあくまでも
>例外的な処置ですので、出来ることならあまり取りたくない手段でもあるという
>ことはご承知置き下さい。

ええ、なにしろ「豊雲野神」のような文献的証拠がある例と違って、「クラオカミ=谷+オカミ」説は
あくまでもそれらからの類推なので、他に証拠が見つけにくいです。
それに『古事記』では「クラオカミ」は、それ単独で名前が出てくるわけで、
先に挙げた対の名と考えられる「タカオカミ」は、日本書紀の一書に出てくる神ですから、
簡単に対であるとはいえないんですよね。むしろ「クラオカミ」が元にあって、
それを「暗+オカミ」あるいは「谷+オカミ」と解釈した結果、
対する神の名として考えられた後出の神名である可能性が高いでしょう。
その場合、「クラ=谷」の方が、「岳」をイメージさせる「高」との対として考えやすい、
ってぐらいしか、「クラ=谷」説の利点がないんですよねぇ。。。

>う〜ん、どうでしょう。『古事記』ではこの神々は山野にちなんで生まれた神として
>挙げられていますが、私の見る限り、この「クラト」をわざわざ谷間の意として捉え
>なくてはならないような理由は特にないように思えます。(以下略)

確かに簡単に「クラト=谷の入り口」とはとらえられませんね。岩場とも解せるし、
もっと直感的に「暗いところ」の意味かもしれませんし。
ではこの「闇戸神」はどういう神なのか、と調べるためにググってみましたが、
ほとんどは『古事記』の当該箇所で、祝詞に出てくる例や祭神として祀られている例が
見当たりませんでした。地名の「クラ」に言及したものもあったので読んでみたら、
いやはや、「座」も「暗」も「蔵」も同語源で、はては「股ぐら」「胸ぐら」「あぐら」「枕」まで、
すべて「V字の形をしたもの」という意味から派生したというすごい説を目にして、
早々に立ち去ってきました。

うむむぅ。。。相当「クラ=谷」の優位を語るのは難しいですな。
古代の神名に出てくるものは「座」「暗」で解釈できますしね。
地名も「クラ」がつくところの多くは崖の近くだそうです。
まぁそういう崖が多く見られる地点には当然谷も含まれるでしょうから、
「クラ=谷」説はこの辺に活路を見出すしか生き延びる余地がないかもしれません・・・。

ちなみに「やつ」「やと」「や」はどうも東日本特有の地形語であるらしく、
西日本にはほとんど分布しないそうで。同じことは「さわ」にも言えるようで、
地名を調べていくと、谷間のような地形を指す地名の分布は、いわゆるフォッサマグナの辺りで、
きれいに「○○谷」と「○○沢」に別れるそうです。脱線なのでこれはこの辺で。

40 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/16(月) 22:20 ID:QxNXDrEQ

No.16
意  味 :霜(名詞)
原  文 :「霜陰県本高句麗ノ薩寒県」(『三国史記』)
漢 字 音:薩寒(中:sat-斤an、朝:sal-han)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「simo(霜)」(娜)
比較(韓):後期中世語「s∂ri(霜)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 従来は朝鮮語しか対応例が挙がっていなかったが、日本語「simo(霜)」も
第一音節の頭子音は一致しているのだから、一応候補としての資格はある
だろう。それに、高句麗地名「薩寒」が対応しているのは「霜陰」なのであるから、
「薩」は「霜」、「寒」は「陰」に対応していると見るべきではないか。そうであれば、
第二音節は日本語「kage2(影)」と関連付けることも可能になってくるが、次項
との関係もあり微妙。

 ところで、「霜陰」の漢字音が「中:si¨aη-i∂m、朝:saη-щm」であって、
「薩寒(sat-斤an)」と似ているのは少々気になる。或いは再音訳という可能性
もあるのではなかろうか。

41 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/16(月) 22:23 ID:QxNXDrEQ

No.17
意  味 :影(名詞)
原  文 :「陰竹県本高句麗ノ奴音竹県」「冬音奈県一ニ云フ休陰」(『三国史記』)
漢 字 音:奴音(中:no-i∂m、朝:no-щm)・奈(中:na、朝:nε)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):新羅語「∧i〜щi(属格)」(娜)
                ←「矣(朝:щi)」「衣(朝:щi)」
      後期中世語「∧i〜щi(属格)」(娜)
比較(他):ナシ
考  説 :
 「陰竹=奴音竹」から「陰=奴音」を導き出すのはたやすいが、もう一方の例
「休陰=冬音奈」は難しい。一応「休=冬音」「陰=奈」と取れることは取れるが、
どちらも間に「音」が挟まれているのは非常に気になるところである。高句麗語
では資料によって冠を意味する語が「骨蘇」とも「蘇骨」とも書かれている(No.49)
ので、或いはこれもその類かも知れないが、「音」を連体格の助詞と取る手もある
のではないかと思う。もしそうなら、新羅語・後期中世語の属格「∧i〜щi」と対比
させることも可能になってこよう。No.80「休」参照。

42 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/16(月) 22:28 ID:QxNXDrEQ

 続いて動植物語彙に参りま〜す。

No.18
意  味 :木(名詞)
原  文 :「高木根県一ニ云フ達乙斬」「赤木県一ニ云フ沙非斤乙」等(『三国史記』)
漢 字 音:乙(中:iet、朝:щl)
再 構 音:?(李)
      i¨l〜i¨(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):トルコ語「i¨(森)」「i¨γac(木)」
考  説 :
 日韓ともに対応例なし。次項との関係は不明。或いはトルコ語同様、森と木の
関係か。

43 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/16(月) 22:30 ID:QxNXDrEQ

No.19
意  味 :木(名詞)
原  文 :「?」(『三国史記』)
漢 字 音:盻(中:斤ei、朝:hye)
再 構 音:?(李)
      kyei(村)
比較(日):古代日本語「ki2(木)」(村)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 原文が不明。誰か補ってちょ。前項との関係は不明であるが、日本語と
よく対応する例である。なお、「槐壌郡本高句麗ノ仍斤内郡」の「仍斤」は
「槐(えんじゅ)」に相当するものと見られるが、実際に「槐」を意味する部分
は「仍」の部分であって「斤」は「木」を意味する部分であると推定すること
も可能である。「斤」の漢字音は「中:ki∂n、朝:kщn」であるが、直後に
「内(中:nu∂i、朝:n∧i)」が続くから、当然語末の「n」は同化されるので、
再構語形から除いてもよかろう。即ち、「木」の再構語形として「ki∂」が
得られるということになり、これはまさに本例と一致する。No.78「槐」参照。

44 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/16(月) 22:34 ID:QxNXDrEQ

No.20
意  味 :穀物(名詞)
原  文 :「穀壌郡本高句麗ノ仍伐奴県」(『三国史記』)
漢 字 音:仍伐(中:ni∂η-biu∧t、朝:iη-p∂l)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「ina-Φo(稲穂)」「mi2(実)」(娜)
比較(韓):後期中世語「py∂(稲)」(娜)
      現代朝鮮語「nui(白米中に混じた稗)」(娜)
比較(他):ナシ
考  説 :
 本例の対応語彙は知られていないが、日本語「ina-Φo(稲穂)」あたりは
候補としてどうだろうか。日本語「iΦa-Φo(巌)」と高句麗語「pahyoi(巌)」
について対応する可能性が指摘されていることから、高句麗語では語頭の
i母音が脱落する傾向があると言えないこともない。「ina-Φo」は「*inapo」
に遡り得るから、〔*inapo→*napo〕という変化を辿ったと考えれば、一応
その可能性もありそうだが…。後半部分(「伐」)だけなら、日本語「ミ(実)」も、
唇音交替(m/b交替)を想定すれば「ビ」に変わり得るから、一応は候補たり
得るだろう。朝鮮語については、「nui(稗)」と「py∂(稲)」の複合語のような
ものを想定すれば、何とか対応させられそうだが、さすがにこれは厳しいか。

45 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/17(火) 21:02 ID:wtTRqTJw

>>43

 補説です。古代日本語の語形は「ki2(木)」としてありますが、実は「ke2」という
語形も存します。ただしそれは九州及び東国の方言の、それも複合語の用例しか
ありません。以下用例を示しておきます。

・是(これ)御木(みけ){木、此をば開(け)と云ふ。}の川上に居(はべ)り。
                               (景行紀12年。場所は豊前)
・秋七月の辛卯の朔甲午に、筑紫後国の御木(みけ)に到りて、高田行宮(たかた
のかりみや)に居(ま)します。             (景行紀18年。場所は筑後)
・真木柱(まけはしら)ほめて造れる殿のごといませ母刀自面変はりせず
                         (万・巻20・4342。駿河※の防人の歌)
・松の木(け)の並みたる見れば家人の我れを見送ると立たりしもころ
                          (万・巻20・4375。下野の防人の歌)

※『時代別国語大辞典・上代編』には「上総」とあるが「駿河」の誤り。

 「古語は方言に残る」「古語は複合語に残る」の両経験則を適用すれば、日本語
「キ(木)」の古形は「ケ(木)」ということになりそうです。そうなればますます高句麗
語の語形と似てきますね。

 そう言えば、日本語の「ホトケ(仏)」の語源は、従来仏陀の音訳である「浮屠」
「浮図」と日本語「ケ(木)」の複合語であると説かれることが多いようですが、仏教
が日本に伝来した経緯を考慮すれば、むしろ「ホトケ」の「ケ」は夫餘系百済語の
「斤ei(またはki∂)」であると見るべきではないかという気がします。

46 名前:日語商売:2003/06/17(火) 23:38 ID:TtLCZHE.

>>43,45
万葉仮名や朝鮮漢字音の通例では、「盻」を含む中古漢字音 -ei 韻(斉韻)は、
e1(エ甲類)や -iei で出てくるので、ki2〜ke2 を示す「木」とはちょっとずれているように見えます。
ところが、万葉仮名に現れる -ei 韻のうちでも、比較的古い時代から用いられている
「閉」「米」は、それぞれ fe2, me2 をあらわすのに用いられています。
これについて私は卒論で考察したことがあるのですが、中古漢字音の方で、
-ei > -iei という変化が(6〜7世紀頃?)起こったことを反映しているようです。
「盻」という表記がいつの時代までさかのぼれるかわかりませんが、もしこれが
高句麗時代の、それも相当古い頃から使われていた表記ならば、その反映していた音は、
中期〜現代の斤y∂i(hye)や村山氏再構形kyeiよりも、keiに近い音だったと考えられ、
日本語「木」の上代語形とよりよく一致します。

ということで、高句麗語の「木」をあらわす語としては、
keiであったと考えた方がいいのでは、と思います。

47 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/17(火) 23:48 ID:wtTRqTJw

>>46 日語商売さん

 おお、何と心強いフォロー。誠にかたじけなし。ただ、最大の問題は原文が
不明ということなんですよね。村山七郎の論文にまさか嘘はないでしょうが、
♪この字何の字、気になる気になる♪

48 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 02:20 ID:RPBwhcx.

No.21
意  味 :根(名詞)
原  文 :「楊根県一ニ云フ去斯斬」「高木根県一ニ云フ達乙斬」(『三国史記』)
漢 字 音:斬(中:ts∧m、朝:c‘am)
再 構 音:c‘am(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):キリヤーク語「t∫amγ(根株)」
考  説 :特になし

49 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 02:21 ID:RPBwhcx.

No.22
意  味 :松(名詞)
原  文 :「松[山+見]県本高句麗ノ夫斯波衣県」「松岳郡本高句麗ノ扶蘇岬」等
      (『三国史記』)
漢 字 音:夫斯(中:piu-sie、朝:pu-s∧)
      扶蘇(中:piu-so、朝:pu-so)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「pos(樺)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 本例を朝鮮語側の対応例として挙げるのは納得が行かない。松は常緑針葉樹、
樺は落葉広葉樹。いくら何でも樹種が違い過ぎると思う。

50 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 02:21 ID:RPBwhcx.

No.23
意  味 :柳(名詞)
原  文 :「楊根県一ニ云フ去斯斬」(『三国史記』)
漢 字 音:去斯(中:k‘io-sie、朝:k∂-s∧)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 次項との関係は不明。

51 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 02:22 ID:RPBwhcx.

No.24
意  味 :柳(名詞)
原  文 :「楊口郡一ニ云フ要隠忽次」(『三国史記』)
漢 字 音:要隠(中:iεu-i∂n、朝:yo-щn)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「yanagi2(柳)」(李)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 前項との関係は不明。日本語「ヤナギ(柳)」は「ヤナ」と「キ(木)」に分析出来る
から、先部成素の「ヤナ」と対応するものと思われる。

52 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 02:24 ID:RPBwhcx.

No.25
意  味 :蒜(名詞)
原  文 :「蒜山県本高句麗ノ買尸達郡」(『三国史記』)
漢 字 音:買尸(中:mai-t∫ii、朝:m∧i-si)
再 構 音:mair(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「mi1ra(韮)」(李)
比較(韓):後期中世語「man∧l(蒜)」(李)
比較(他):中世蒙古語「maηgirsun(野蒜)」
考  説 :
 「尸」は新羅語資料では常に「r」音を表記するのに用いられている(音読字
らしいが、なぜそう読むべきか、その理由はまだわかっていない)ので、再構
語形も「-r」語尾付きのものとなっている。それはいいのだが、「買」の字が
使われているにも関わらず、李が再構語形を「mair」としたのは不審。No.10
「水」にもあるように、「買」字は「mi-」系の音で再構すべきである。よって、
再構語形としては「mier」乃至「mir」が適当であると思う。李が「mair」と再構
したのは後期中世語やモンゴル語の語形に引かれたためだろうが、こういう
ところはきちんと統一すべきだろう。

53 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 13:49 ID:FEM6qxrU

>>46 日語商売さん

 >>43で、「槐壌郡本高句麗ノ仍斤内郡」から木の意の高句麗語として「ki∂」を
再構したことについてはどう思われますか? 日本語の場合、「ヤナギ(柳)」
「スギ(杉)」「サカキ(榊)」「カキ(柿)」「ハギ(萩)」「マキ(槙)」「ヒヒラキ(柊)」
「クヌギ(櫟)」「ウツギ(空木)」などのように、「キ(木)」を後部成素に持つ樹木名
が少なくありません。尤も、日本語の「キ(木)」はどうも樹木のみにとどまらず、
植物一般を指す語だったようですが。「ヲギ(荻)」「ナギ(水葱)」「ネギ(葱)」
「フフキ(蕗)」(「ムギ(麦)」はキ甲類だから別語源みたい)、また「クキ(茎)」
などを見ると、そうとしか考えられないように思います。アクセントが異なるので
あまり強くは主張出来ないのですが、「ケ(毛)」とも同語源だとすると、自然に
生えてくるもの一般を指す語だったのかも知れません。もしそうであれば、
『日本書紀』に見える、素戔嗚尊の抜いた毛が各種の木になったという神話は、
単に発音が同じことに基づく連想というだけではなく、古代人の実際の語源意識
を反映したものということになりますが、さてさて。

54 名前:日語商売:2003/06/18(水) 19:00 ID:LjXUYk6E

>>53
中古中国語の口蓋性半母音には2種類があって、それぞれ口蓋性の強いiと、
口蓋性が弱くてщに近い発音だったと考えられるIだったと考えられています。
「斤」の前に現れるiは、この後者のIで、これは日本呉音や朝鮮漢字音では反映されない
ことが多いです(例:「近」中古音kI∂n、呉音コン、朝鮮音kщn)。
それから類推して、「槐壌郡本高句麗ノ仍斤内郡」の「斤」から再構できる形は、
k∂(あるいはki¨)とする方がより適当だと思います。
これだと、>>43で示したkeiともっと似た形になるという利点があります。
また語尾にiを付けて名詞化するのは中期〜現代の朝鮮語にもみられる構成法なので、
k∂とkeiがちょうど上代日本語の「コ2」と「キ2」のように、合成語内に現れる形と
単独で見られる形という対応をするようにも思えます。
というのは、「仍斤内」という例は「槐+地」を合成した語であると考えられ、
これは木立、木の葉という語に残る「コ2」が現れる環境と少し似ているからです(合成語の前部要素)。
ただ「槐+地」という結合のあまり強くない語形で、そのような形が現れるものかどうか非常に疑問です。
またこの語の場合、後ろの「内(で表される語)」の影響で、語末がi>nの変化を
起こした可能性もあり、可能性としてはそちらの方が大きいかもしれません。

合成語の一部としての「斤」ですが、これは大いにあり得ると思います。
現代韓国語では樹木を指す場合、その植物を表す語のあとに「木」の意味の「namu」を付けるのが普通で、
たとえば「松」は「sol(松)+namu→sonamu」、「柳」は「pっtщl(柳)+namu→pっtщmamu」です
(前部要素末尾の l が n の前で脱落していることに注意)。
もちろん厳密には「仍」の部分だけで「槐」の意味を表す例とか、他の樹木名と見られる部分に
k∂やkeiに当たるものが現れるか検証する必要がありますが。

55 名前:日語商売:2003/06/18(水) 19:51 ID:LjXUYk6E

>>53 つづき
植物を指す語の後部要素に現れる「キ2」については、こちらとしては確言できませんけど、
どうなんでしょうかねぇ? ありそうでもあるし、なさそうでもあるし。
「日本国語大辞典」では、古くに植物一般を指した「キ2」の例として、古事記歌謡の例をあげていますが、
その例は「あたね(蓼藍?)搗き 染めキ2が汁に」「いくり(海石)に振れ立つなづ(浸)のキ2の」ですが
どちらも植物一般の例と考えるには弱い気がします。。。
「ねぎ」は古語では「き」なので、これが「木」と同語源ならばある意味都合いいのですが、
あいにく「木」は高調、「葱」は低調なので、語源が同じかどうか非常に怪しいですね。
ただ「毛」については、ハゲ地をあらわす「毛無」とか、作物の出来具合いをあらわす「毛」という
言葉があることから、あるいは非常に古くに「木」「草」「毛」などをあらわした「コ2〜カ」という語が
あった可能性もあると思います。まぁメタファーが働きあう概念同士で、しかも語形が似ていると、
そこに(当たっているかどうかはともかく)語源意識が自然に芽生えても不思議ではないのですが。

なお「麦」については、これの上古漢字音 mu∂k(私見ではmr(w)∂k)から来ているとの説もあるそうです。

56 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 21:49 ID:RPBwhcx.

>>55-56 日語商売さん

 レスありがとう御座います。樹木の命名に関して朝鮮語も似たような語構成を
取るということは、やはり「斤」が木を表わしている可能性は高そうですね。

>あいにく「木」は高調、「葱」は低調なので、語源が同じかどうか非常に怪しいですね。

 あれ、逆ではありませんか。私の手持ちの旧版『日国大』には、「木」は低平調、
「葱」は高平調か、とあります。まぁ「葱」については上代の仮名書き例がなく、
甲乙すら不明ですから、私もあまり自信を持っては言えないのですが、仮名書き
例があり、キ乙類であることが明らかな「ヲギ(荻)」と「ナギ(水葱)」あたりは発音
上は問題ありませんし、そもそも「クサ(草)」という語自体、「キ(木)」と関係があり
そうです。「キ(木)」には被覆形として「コ(木)」があることはご存じの通りですが、
その「コ」よりも更に古い語形として「ク」という語形があったようなのです。「クダモノ
(果実)」は「ク(木)+ダ(古い連体助詞「ナ」の音変化形)+モノ(物)」と分析出来
ます(「ケダモノ」参照)し、記紀には木の神として「ククノチ(木々の霊)」という神も
登場します。そんなわけで、「クサ(草)」もまたこの「ク」を造語成分として持つ語
である可能性はあるというわけです。それに、「クサ」のアクセントは低平調です
ので、アクセント的にも矛盾はしませんしね。まぁ現実問題として古代人が樹木と
草を厳密に区別していたかとなると、かなり怪しいわけですが。その辺は私だって
怪しいもんですしね(藁)。

 「ケ(毛)」については、ケ乙類であるのはいいのですが、アクセントが高平調と
いうのがネックですね。ただ、「ケ(毛)」を先部成素として含む複合語の中では、
なぜか「ケモノ(獣)」という語だけが低平調でありアクセントが「ケ(毛)」と一致し
ないというのは興味深い事実だと思います。何となればこのことは、もしかすると
「ケ(毛)」が本来は低起式の語であったことを示しているのかも知れないからです。
そういう意味では、「ケ(毛)」と関係の深い語である「カミ(髪)」が低平調というのも
実に示唆的ですよね。

 そうそう。樹木名に「キ(木)」を含む名詞ですが、「ツバキ(椿)」なんていかにも
それっぽいのに、そのキが甲類音というのは不思議ですね。「ムギ(麦)」が違う
ということは既に触れましたが、「ススキ(薄)」のキも甲類だったりします。もし
これらの上代特殊仮名遣が不明だったら、みんな一緒くたにしてしまって何の
疑いも持たなかったことでしょう。いやぁ、意味だけから語源を考えるのって本当に
危険なものですね。桑原桑原。

57 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 21:50 ID:RPBwhcx.

>>56

 上のリンク間違い。>>54-55でした。スマソ。

58 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/18(水) 22:55 ID:RPBwhcx.

>>53 日語商売さん

 上の漢字音表記では面倒くさかったのとIとlとが紛らわしいのとで、
介音のiとIは区別しませんでしたが、やっぱり区別した方がよかった
かしら。Iの代わりにιを使っていた時期もあったんですがね。

59 名前:日語商売:2003/06/19(木) 01:04 ID:2WPAUioc

>>58
一番簡単なのはiをjiで、Iをiで表記するのだと思います。
この区別、呉音や万葉仮名、朝鮮漢字音への反映を考える時非常に重要なので、表記しておくべきだと。

60 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 01:35 ID:oPvG8Uec

>>59 日語商売さん
>一番簡単なのはiをjiで、Iをiで表記するのだと思います。

 なるほど。きちんと区別した方がいいわけですか。さすがにこの辺になると、
門外漢にはチト厳しいものが…。ともあれ、手を抜いたのは失敗だったという
わけですな(´・ω・`)ショボ〜ン。ところで、「比」は『学研漢和大字典』では中古音
[pii]と記されていますが、これなどはどういう扱いになるのでしょうか。「ji」と
記すのは最初の「i」だけで、主母音は「i」のままで行けばいいのでしょうかね。

61 名前:日語商売:2003/06/19(木) 03:27 ID:2WPAUioc

>>60
藤堂氏の音価で -ii となっているのは、あれは介音(半母音)と主母音を区別して表記しているだけです。
実際には -i だけであまり差し支えありません。ただ介音の位置にuがあるときは -iui と表記します。
「比」の中古音は pjii と書いた方がよいかとも思いますが、pji でもいいと思います。
あと、表記がしにくいのもいくつかあったと思いますが、そういうのが出てきたときは、ご相談下さい。

62 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 11:49 ID:oPvG8Uec

No.26
意  味 :蕪(名詞)
原  文 :「菁山県本高句麗ノ加支達県」(『三国史記』)
漢 字 音:加支(中:ka-t∫ie、朝:ka-ci)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「kabu(蕪・頭)」(娜)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 日韓ともに対応語彙は指摘されていないようだが、「支」を「夫」の誤記乃至誤伝
であると考えると、漢字音としては「中:ka-piu、朝:ka-pu」となり、日本語「kabu
(蕪・頭)」と対応させることが可能になる。

63 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 11:53 ID:oPvG8Uec

No.27
意  味 :牛(名詞)
原  文 :「牛岑郡一ニ云フ牛嶺一ニ云フ首知衣」(『三国史記』)
漢 字 音:首(中:∫i∂u、朝:syu)
再 構 音:su¨(李)
      ∫u〜su(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「syo(牛)」(李・村)
比較(他):ナシ
考  説 :
 朝鮮語とよく一致する例。「知衣」は「波衣(No.06「巌」)参照」の誤記らしい。
日本語は強いて挙げれば「ウシ(牛)」だろうが、第一音節の母音の処理が
厄介である。

64 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 12:05 ID:oPvG8Uec

No.28
意  味 :兎(名詞)
原  文 :「兎山郡本高句麗ノ烏斯含達県」(『三国史記』)
漢 字 音:烏斯含(中:o-syie-斤∂m、朝:o-s∧-ham)
再 構 音:osaxam〜usaxam(李)
      wusigam(村)
比較(日):古代日本語「usagi1(兎)」(李・村)
比較(韓):ナシ
比較(他):キリヤーク語「osk(兎)」
      トルコ語「tawi¨sγan(兎)」
考  説 :
 日本語とよく一致する例とされるもの。古代日本語には「ヲサギ(兎)」という
語形もあるが、これは東国方言らしい。古語は方言に残ることが多いから、
「ヲサギ」が古形である可能性は十分あるが、そうだとすると、高句麗語の「o-」
と日本語の「wo-」との間で変化があったとしなければならない。No.53「10」で
日本語がwを残しながら高句麗語ではwを落としていること等を参考にすれば、
祖形は「wo-」とみてよいのではなかろうか。

65 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 12:10 ID:oPvG8Uec

No.29
意  味 :熊(名詞)
原  文 :「功木達一ニ云フ熊閃山」(『三国史記』)
漢 字 音:功木(中:kuη-muk、朝:koη-mok)
再 構 音:koη<*kum?(李)
      koηmok(村)
比較(日):古代日本語「kuma(熊)」(李・村)
比較(韓):後期中世語「kom(熊)」(李・村)
比較(他):ラムト語・エベンキ語「kuma(海豹)」
      エベンキ語「kumaka(牡鹿)」
考  説 :
 再構語形から見る限り、李は「功」だけが「熊」に対応すると見ているようだが、
別の箇所では「功木」が「熊」に対応するとしていて、混乱が見られる。仮に「功」
が「熊」に対応するとすると、「木」に対応するのは「閃」ということになる。『学研
漢和大字典』によれば、「閃」の原義は「さっと門に入る」であり、そこから「ちらちら
見え隠れする」、更に「一瞬きらりと光る」という意味に発展したようだ。思うに、
「熊閃山」とは熊が時々現れる山という意味なのだろう。当然「木」は「時々現れる」
という意味の動詞ということになるわけだ。問題は対応する動詞だが、朝鮮語の
ことはわからないからしばらく措くとして、日本語の動詞の中では「ミユ(見)」が
その候補として挙げられるかも知れない。もしそうであるとすると、「功木達」とは
「熊の見える山」という意味ということになり、「熊閃山」とほぼ意味が一致するよう
に思うが、いかがであろうか。なお、「熊」に相当する名詞は周辺の言語の語形
からしても語末が唇内鼻音「-m」であることが期待されるのに、本例では喉内鼻音
「-η」になっているのは気になるが、これはたまたま直後にmを頭子音に持つ語が
来るという環境にあったため、そのmに同化してしまったものだろう。高句麗語の
「熊」の再構語形としては「kum」乃至「kom」でよいと思われる。

66 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 12:22 ID:oPvG8Uec

No.30
意  味 :白鳥(名詞)
原  文 :「鵠浦県一云古衣浦」(『三国史記』)
漢 字 音:古衣(中:ko-i∂i、朝:ko-щi)
再 構 音:koi(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「kukuΦi1〜kuΦi1(鵠)」(李)
比較(韓):後期中世語「kohε(鵠)」(李)
比較(他):中世トルコ語「qoγu(鵠)」
考  説 :
 日韓高句麗語、よく一致する例である。李は古代日本語の「鵠」の語形を「kufu」
「kotu」としているが、明らかな誤りなので訂正しておいた。古代日本語の「鵠」には
「ククヒ」と「クヒ」の二つの語形が存するが、通常の語形は「ククヒ」の方である。
中古になると「コヒ」「コフ」という語形も見えるが、以上の四形の中で最古形と判断
されるのは「クヒ」だろう。「ククヒ」は「クヒ」の畳語「クヒクヒ」が重音脱落を起こして
生まれたものと思われる。高句麗語の「koi」は遡れば「*koΦi」乃至「*koβi」の
ような語形だったと想像されるので、日本語の古形とよく一致する。中期朝鮮語の
「kohε」は「*kokai」からの変化と考えられるが、更に遡れば「*kokaΦi」のような
語形だったのかも知れない。これも元を正せば「*kopi」の畳語「ko-kopi」から変化
したものだろう。ただ、これらの語形はそもそもが白鳥の鳴き声からの命名であると
解されるので、自然音の言語音描写は自ずから似てくるものであるから、ただの
偶然により三者の語形が一致した可能性があるということもまた確かである。

67 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 12:46 ID:oPvG8Uec

No.31
意  味 :猪(名詞)
原  文 :「?」(『三国史記』)
漢 字 音:烏斯(中:o-syie、朝:o-s∧)
再 構 音:?(李)
      wusi(村)
比較(日):古代日本語「usi(牛)」(村)
      古代日本語「wi(猪)」(娜)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 原文が不明。誰か補ってちょ。村山によれば日本語対応例ということになる
のだが、「猪」を「牛」と対比させるのは少々無理があるので、個人的には抵抗
あり。多少語形が遠くても「ヰ(猪)」を挙げるべきではないだろうか。No.28「兎」
やNo.53「10」のように、日本語では保存されているwが高句麗語では存在し
ないことが多いようだから、例えば祖形を「woXi」(Xは何らかの子音)のような
語形として、高句麗語では〔X→∫〕及びw脱落という変化が起きて「o∫i」となり、
日本語ではXが脱落し、更に母音融合乃至母音脱落により「wi」という語形に
なったと推定することも可能であるように思う。

68 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/19(木) 12:49 ID:oPvG8Uec

 以上で動植物語彙は終わり。次回は身体語彙の予定です。
まだまだ半分以上残っております。ふう。

69 名前:日語商売:2003/06/19(木) 17:11 ID:.3lA/1vg

>>49
漢語で「扶蘇」と言えば、樹木の枝葉が茂って広がっているさまを表す語ですが、
これを高句麗語の「松」の表記に使ってる辺り、ちょっと気になりますね。
意味も含めた表記をしてるようにも見えます。
ちなみに類似の語形で「扶桑」ってのもありますが、これは中国の東方海上の島にあるという
伝説の神木(そこから日本の美称になった)の名ですけど、
私見ではこれは「扶蘇」の語尾が鼻音に変化して出来た語だと思います。
もうここら辺からは妄想に近いのですが、高句麗で松は神木であったとすれば、その美称として
中国語由来の「扶蘇」が取り入れられ、定着したんじゃないかと思ったり。

70 名前:日語商売:2003/06/19(木) 17:40 ID:.3lA/1vg

>>65
中国語には -om, -um, -uam のような、主母音もしくは介音が円唇の母音とmは共起しないので、
高句麗語の側にそういう音節があっても、うまく表記することが出来ませんでした。
そのため「木」で語末のmを表記した可能性もあると思います。
ただ郷歌などで語尾のmを表記するのに用いられる字は通例「音」であり、mだけ表記するのに
わざわざ余計なものが付いている「木」を使いそうにもないです。
やはり何らかの後部要素、もしくは「閃」に当たる語があったのでしょう。
韓国語で「閃」に当たりそうな語を探したけどよくわかりませんでした。。。

それから事務連絡。
今度の日曜日に日本に一時帰国するため、しばらくの間は、
「大漢和」や「日国」とかを検索することが出来ません。
あまり大部でない資料類は日本に送ったので、全然話に参加できないという状態にならないと思いますが、
こちらから「なんかいい証拠とかない?」ってことになるかもしれません。。。

71 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/20(金) 00:30 ID:.l0NMW9I

>日語商売さん
>>69

 「扶蘇」が高句麗で用いられた漢語かも知れないというのは面白い発想ですね。
日本にも独自の漢語が大量に存するわけですし、高句麗にもそういう独自の漢語
があったとしてもおかしくはないですな。ただ、それを立証するのは中々難しそう
ですが(^^;。

>>65
>中国語には -om, -um, -uam のような、主母音もしくは介音が円唇の母音とmは共起しないので、
>高句麗語の側にそういう音節があっても、うまく表記することが出来ませんでした。

 ふ〜む。そういう事情があったとは…。となると、>>41のNo.17「影」も、「音」は
単に「-m」だけを表現している可能性が高いわけですから、「音」の母音部分に
注目した私の「朝鮮語の連体助詞反映説」はあえなく轟沈ということになりますね。
まぁ高句麗語の連体助詞である可能性はまだあるわけですが、何にせよ、日本語
と関連付けることはちょっと難しそうです。

>今度の日曜日に日本に一時帰国するため、しばらくの間は、
>「大漢和」や「日国」とかを検索することが出来ません。

 資料については、日本語関係は私の手元にそこそこ揃っています(『日国大』は
旧版ですが)から、要請があればこちらの方で調べてうpしますのでご心配なく。
さすがに『大漢和』は職場に逝かないと調べられませんが。

72 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/20(金) 16:10 ID:.JVZgiNA

No.32
意  味 :心(名詞)
原  文 :「心岳城本居尸城」(『三国史記』)
漢 字 音:居尸(中:kio-∫ii、朝:-si)
再 構 音:?(李)
      ko¨r(村)
比較(日):古代日本語「ko2ko2ro2(心)」(村)
      古代日本語「koro(自分自身)」(娜)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 「尸」は新羅語資料では「r」で読む字(→No.25「蒜」参照)。古代日本語「コロ
(自分自身)」は一字一音の仮名書き例がないため上代特殊仮名遣の甲乙は
不明だが、『万葉集』や『日本書紀』古訓、平安初期の訓点資料などに見える
から、上代にも存した可能性は高い。問題は、高句麗語と比較した際、語形的
には「コロ(自分自身)」が最も近いが、意味的には「ココロ(心)」の方が近いと
いうことである。「コロ(自分自身)」と「ココロ(心)」の関係は不明だが、高句麗
語「ko¨r(心)」を無視して考えれば、「ココロ(心)」は「コロ(自分自身)」の畳語
「コロコロ」が更に重音脱落を起こして生まれたものらしく思えるし、逆に「コロ
(自分自身)」を外して考えると、日本語の「ココロ(心)」はいかにも高句麗語語形
「ko¨r」の畳語「ko¨rko¨r」から変化したもののように見えるのである。どちらが
真実に近いのか現状では何とも判断がつかないが、とりあえず三者を互いに
関係あるものとするなら、共通祖語の段階で「ko¨r」には「心」「自分自身」という
意味があり、日本語では意義分化により「自分自身」の意味は「コロ」が、「心」と
いう意味はその畳語「ココロ」が担ったとでも解するしか方法はなさそうである。

73 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/20(金) 16:11 ID:.JVZgiNA

No.33
意  味 :口(名詞)
原  文 :「[犬+章]項口県一ニ云フ古斯也忽次」「穴口県一ニ云フ甲比古次」
      (『三国史記』) ※[犬+章]の「犬」はけものへん
漢 字 音:忽次(中:hu∂t-ts‘yii、朝:hol-c‘∧)
      古次(中:ko-ts‘yii、朝:ko-c‘∧)
再 構 音:kolc〜koc(李)
      kuuts<*kutu(村)
比較(日):古代日本語「kutu〜kuti(口)」(李・村)
比較(韓):済州島方言「kulrε(口)」(李)
      全羅南道方言「kul(口)」(村)
比較(他):ナシ
考  説 :
 村山は朝鮮語の「kulrε(口)」を全羅南道方言とするが、済州島はかつて
全羅南道に属していたそうだから、実際は済州島方言のことを言っている可能
性が高い。本例は日本語とよく一致する例として有名。李によれば、「kolc」と
「koc」は高句麗語内部の方言的な差異と考えられるという。

74 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/20(金) 16:38 ID:.JVZgiNA

No.34
意  味 :足(名詞)
原  文 :「?」(『三国史記』)
漢 字 音:廻(中:斤u∂i、朝:hoi)
再 構 音:?(李)
      kwai(村)
比較(日):古代日本語「kuw-(蹴)」(村)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 これも原文が不明。誰か補ってちょ。古代日本語の「蹴る」の意の動詞は「クヱ」
という連用形の例しかなく、ワ行下二段活用なのかワ行下一段活用なのか不明。
院政期には合拗音化して「kue〜kueru」というクヮ行下一段動詞となった後、更に
「ke〜keru」)と直音化してカ行下一段活用となり、江戸中期以降「keri〜keru」と
ラ行五段活用となって現代に至っている。村山は「足」を意味する名詞を動詞化した
ものが古代日本語「ケル(蹴)」であると考えているようである。名詞「テ(手)」と動詞
「トル(取)」の関係のようなものということらしい。古代日本語「コユ(越)」も、「越える」
という意味のほかに「蹴る」という意味も存したことが知られているから、対応例という
ならこれも一緒に加えてもよいかも知れない。ただしアクセントは「クヱ」が低起式、
「コユ」が高起式である。

75 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/20(金) 16:42 ID:.JVZgiNA

No.35
意  味 :角(名詞)
原  文 :「牛頭〜次若」(『三国史記』)
漢 字 音:次若(中:ts‘yii-nyiak、朝:c‘∧-zyak)
再 構 音:?(李)
      tsunyak<*tunya(村)
比較(日):古代日本語「tuno1(角)」(村)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 これも原文不明。誰か補ってちょ。本例の場合、最大の問題は「牛頭」を「角」と
解釈することが許されるかどうかだろう。

76 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/20(金) 16:43 ID:.JVZgiNA

No.36
意  味 :翼(名詞)
原  文 :「於支谷一ニ云フ翼谷」(『三国史記』)
漢 字 音:於支(中:io-t∫ie、朝:∂-ci)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 日韓ともに対応語は指摘されていない。「支」は万葉仮名ではキ甲類音として
使用される漢字であり、上古音は「k-」系であったと推定されている。思うに、
これは「翼」の高句麗漢字音を反映したものではないだろうか。「翼」の漢字音は
「中:yyi∂k、朝:ik」であるから、「支」が「k-」であれば、そこから再構される語形
は「翼」の漢字音にかなり近づく。

77 名前:日語商売:2003/06/20(金) 18:44 ID:SWZjE0gM

>>74
辞書では「蹴る」の古形として「くう(kuw-u)」という見出し語を掲げているものも多いですが、
幽霊語の可能性もありますね。そもそもがこの動詞だけ下一段活用というのも変ですし、
中世以前には連用形「くゑ」でしか出てこない辺り、もともとは動詞ではなく、接頭語だった可能性も
考えられます。
『日本書紀』で一例、「毬打」を「マリクウル」と訓んでいる箇所があって、この「クウル」が
「くう」の連体形だという人もいますが、同じ箇所に「クユル」という訓もあって、
これもはっきりしません。
「蹴る」の起源については、「蹶」という字の音kiu∧t(クヱツ)から来たという説もあります。
(小松英雄『日本語はなぜ変化するか』1999、笠間書院、pp.189-191)
『日本書紀』で「蹶」を「くゑ」と訓んでいることから出てきた説ですが、『大漢和辞典』によると、
「蹶」の意味は「たおれる、つまづく」などが中心で、「ける」の意味はありませんから、
この説も甚だ疑問です。むしろ「蹶」と「くゑ」の音の類似から来た一種の和習でしょうか。
一方、「こゆ」あるいはその別形「くゆ」も、「くゑる」と「こゆ(る)」の混乱からできた
語形という説もあるものの、古い例で「ける」の意味で使われている語形であり、
はっきりした動詞としてはこちらの方が使われていたのではと思います。

高句麗語の「廻」との比較だと、どちらにより近いか判断しにくいのですが、語末にiがあるあたり、
「越ゆ」の方がいいような気もします。ただ語末のiは接尾辞であると考えれば、
*kwa〜*koのような形が語根としてあり、
  *kwa-i(*ko-i)>高句麗語「廻」、日本語「くゑ」
  *kwa-yu(*ko-yu)>日本語「こゆ」
  *kwa-u(*ko-u)>*ku-(w)u>日本語「*くう」
のような共通語形からの変化を考えることも可能かと思います。

78 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 01:08 ID:vW/sY.m.

>>77 日語商売さん

 日本語の「クウ(蹴)」「コユ(越)」問題は中々厄介でして、はっきり言って
高句麗語にかまっているどころじゃなかったりします(w。とりあえず参考
までに『時代別国語大辞典・上代編』から、「クウ(蹴)」の項の解説を引用
しておきます。

  梁塵秘抄には「馬の子や牛の子にくゑさせてん、ふみわらせてん」の
  ように古形を残しているが、名義抄では「滴※ クヱル」のほかに、
  「蹴 化ル、クユ、コユ」という形も見える。「天皇祈曰、朕将/v滅/2此
  賊/1、当/G蹶(くゑ/)ムニ/2茲石/1、譬如/2柏葉/1而騰/J、即蹶(くゑ/)
  タマフニ之、騰/v如/2柏葉/1、因曰/2蹶石野(クヱイシノ/)/1」(豊後風土記
  直入郡)の「蹶」はクヱとも訓まれるが、フムとも訓めることは次の地名
  説話との関係においてもいえる。「朕得/v滅/2土蜘蛛/1者、将/v蹶(フ/)
  マムニ/2茲石/1、如/2柏葉/1而挙焉、因蹶(フ/)ミタマフニ之、則如/v柏上/2
  於大虚/1、故号/2其石/1曰/2蹈石(ホムシ/)/1也」(景行紀一二年)。
  第三例の「打毬」の岩崎本の朱点傍訓はクウル(マリ)とあり、釈日本紀
  秘訓にはクユルと見える。名義抄や世尊寺本字鏡にあるように、蹴るの
  意味で、クユという語もあったらしいが、上代における存在は疑わしい。
  これと関係づけて考えるべきは、新撰字鏡の「[足+可] [足+巴][足+可]
  行皃、用力也、立走、又古江奈良不(コエナラフ)・滴※ 万理古由(マリ
  コユ)、又乎止留」、和名抄の「蹴鞠 末利古由(マリコユ)」、その他「脚
  ノ指ヲモチテ地ヲ蹴(コ)エテ足ヲ壊リツ」(小川本願経四分律甲本古点)
  「右ノ足ヲ以テ之ニ蹴(コ)ユルニ足復粘着ス」(石山寺本大智度論古点)
  や前掲の名義抄などに見えるコユという語である。これが果たして、いわ
  ゆるケルという意味を有する語であったか、あるいは、強く踏む・おどり
  上がるの意で、むしろ越ユと関係づけられる語であったかなどの点は
  問題であるが、アゴエという語が、これと足(ア)との複合語であったと
  すれば、この語の上代における存在を想定することもできよう。クユは、
  あるいは、クウが、このコユの類推によって変化して、生じた形かもしれ
  ないが、また一説には、クウという終止形はなく、古く蹴(ケ)ルは、クェ・
  クェ・クェル・クェル・クェレ・クェヨのように下一段活用したとの考えもある。

※「滴」の実際の字はさんずいをあしへんに変えたもの。

79 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 02:20 ID:vW/sY.m.

>>77 日語商売さん

 岩崎本日本書紀の朱点「クウル」と『釈日本紀』の秘訓「クユル」とどちらを
信用するかと言われれば、私としては当然、鎌倉後期の『釈日本紀』よりも、
日本書紀としては最古の訓点(平安中期)を存する岩崎本の方に軍配を
上げるでしょう。「蹶」については、「つまづく」という意味があるわけですから、
「けつまづく」から更に「ける」という意味へと拡大解釈された可能性はあるの
ではないでしょうか。「クウ(蹴)」と「コユ(越)」の関係について、以下私見を
述べれば、「クウ(蹴)」の連用形「クヱ」の第一音節の母音uと第二音節の
半母音wが同化した結果、[ku'e]という上代日本人の甚だ忌み嫌う母音連続
状態になってしまったため、それを忌避しようと間に半母音jを入れて[ku'je]
としたのがきっかけで、本来別語ではあるが意味的に関連する部分が大きい
「コユ(越)」の連用形[ko1'je]との間に更に発音上の接点まで生まれ、その
結果意味上のコンタミネーションが生じたのではないかと推測しています。
第一音節がクとコ甲で発音が違っていることについては、四段動詞の連体形
活用語尾はもとはオ列甲類音だったのが後にウ列音化して終止形と語形が
同じになったと推定されており、その背景としてウ列音とオ列甲類音が一時期
発音的に接近していたという事情があったとも言われていますので、そういう
ことも相俟って混乱が進んだのではないでしょうか。

80 名前:日語商売:2003/06/21(土) 03:53 ID:zPalenMk

>>78-79
ご教示ありがとうございます。
「クウ(蹴)」と「コユ(越)」の関係、おおむね同意します。
「クウ」については、それがあったという仮定の元での話ですが、類似の語形「ウウ(植・飢)」
「スウ(据)」の活用とか、「ウ→ヰル(居)」の活用形式の変化なども、
視野に入れて考えるべきかもしれませんね。
ことに「ウ(上二段)→ヰル(上一段)」の変化と「*クウ(下二段)→クヱル(下一段)」の変化
(とされるもの)は、形態上平行した変化のような気がするのです。
ここに挙げた「*クウ」「ウウ」「スウ」は、どれも二重母音?をパラダイムに含む、変な言い方ですが
「気持ち悪い」動詞であり、母音連続が原則現れない上代日本語で、それを解消しようとする
力が働くのは、ある意味当然のことでしょう。
なのに、それと考えられる変化は「*クウ」にしか起こっておらず、「ウエル」「スエル」の形が
現れるのは近世以降です。この非均整はどうすれば解釈できるのか?
1つには「*クウ」を幽霊語として抹消し、「クヱ」を副詞(連用形のみの欠格動詞?)あるいは接辞として
処理する方法が考えられますが、そうすると「クウル」の解釈が難しい。
私の意見としては、「ウ(居)」が(「ウ(得)」との衝突回避のため?)「ヰル」に変化したのを
一種のテンプレートとして、「ヰ、ウ→ヰル」:「クヱ、クウ→クヱル」の活用移行が起こったと
考えたいのですが、「ウウ」「スウ」になぜその変化が起こらなかったのか説明ができないのです。
類例のない下一段という活用がよほど嫌われたのか、あるいは「ウヱル」の形が「ヱル(彫)」と
似ているので変化が押しとどめられたのか、その程度のことしか考えられません。
またパラダイム内にやはり母音連続形が存在する「オユ(老)」「クユ(悔)」「ムクユ(報)」には
それを解消する変化が起こった形跡もないのも気掛かりです。まぁこちらは、上代以前に
「i:yi」の対立が存在して、これらの連体形が oyi, kuyi, mukuyi だったと仮定したり、
「カイ(櫂、これももともとは「カキ1」か?)」のような語の存在のせいでイについては母音連続も
許されぬことはなかったと考えればなんとか解釈できますが・・・。

81 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 13:26 ID:vW/sY.m.

>>80 日語商売さん

 動詞の活用形の中では連用形が最も多用されるものですので、連用形が
どういう状態にあったかというのが一番重要でしょう。「クウ(蹴)」の場合は、
たまたま連用形「クヱ」と非常に音形・意味の近い「コ江(越)」という存在が
あったため、発音や意味の混淆が進んだのだと解されますし、「ウ(居)」の
場合は、連用形が一音節の上二段動詞「フ(乾)」「フ(簸・嚔)」「ム(廻)」が
一斉に上一段化した一連の流れに乗って上一段化しただけのことのように
思われます。「ウウ(飢)」「ウウ(植)」「スウ(据)」は終止・連体・已然形を
見ると上代日本人の忌避する母音連続が生じていて確かにキモチワルイ
ですが、連用形はそれぞれ「ウヱ(飢)」「ウヱ(植)」「スヱ(据)」であって、
母音間には半母音とは言え一応子音wが入る格好ですから、何とか許容
出来たのでしょう。まぁそれでも、「ウヱ(飢)」などはしばしば語頭の母音
を落とした「ヱ(飢)」の形で現われたりしますから、やはり何気に気持ち
悪かったようですが(w。

 結局、これらの語と「クヱ(蹴)」との最大の違いは、似た語形の類義語
があるかどうかでしょう。「クヱ(蹴)」の場合は、たまたま発音が乱れた
時に、「コ江(越)」の存在がそれを保証してしまう格好になってしまった
ため、問題が固定化してしまったわけですが、「ウヱ(飢)」「ウヱ(植)」
「スヱ(据)」の場合はそういう存在が存在しません。その結果、一時的
に発音が乱れるというようなことはあっても、それが恒久化することは
なかったのだと解されます。

 ただ、そのように考えると、上二段動詞「オユ(老)」「クユ(悔)」「ムクユ
(報)」では連用形において「オイ」のようにあからさまに母音連続が発生
するにも関わらず、なぜそれが上代人には問題視されなかった(ように
見える)のかが大変気になります。お説のように、「i/ji」の対立が存在
したとか「カイ(櫂)」の存在から「イ」は例外的に許容されたとか言えば
まあ何とかなることはなりますが、正直苦しいですよね。この中では比較
的前者がましですからそれに与したいところですが、それを証明するのは
厄介ですしね。ともあれ、これについてはなお考えたいと思います。

82 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 13:43 ID:vW/sY.m.

>日語商売さん

 ところで、>>76はいかが思われます? 結構いい線いってると思うのですが(w。
ちなみに、『三国史記』には、新羅の地名ですが「単密県ハ本武冬弥知」というのが
ありまして、「弥知」を「密」で置き換えた例があります。この「弥知」が「密」の新羅
漢字音であれば類例ということになるので好都合なのですが、「密」の新羅漢字音
は通常「mil」とされているのでちょっと厳しいかも。ただ、新村出は「密」には「弥知」
の音もあったのかも知れないと考えていたようです。t入声に母音が付加されている
ところなんか、いかにも日本漢字音臭い処理なんですけどね。

83 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/21(土) 18:51 ID:74iRGDSE

古代高句麗語と古代日本語、ヘタすると日本語のほうが
古形を残しているように見えるものがいくつかあり…

だからどうだというのではないけど…いやあるか。
つまり、ますます「高句麗語が日本語の起源」という電波説が
成立しづらくなっているような気がする。
古代の高句麗語と日本語の段階で、すでに現代の英語とドイツ語
と同じぐらいの差違が存在していたことが確実っぽいというか。
ヨーロッパを引き合いに出すのは勘違いと妄想の元だと分かって
はいつつ。

84 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 18:54 ID:nnT49MHU

 それでは、社会生活語彙に参りま〜す。

No.37
意  味 :母(名詞)
原  文 :「母城郡一ニ云フ也次忽」(『三国史記』)
漢 字 音:也次(中:yyia-ts‘yii、朝:ya-c‘∧)
            ←巴派(中:pa-p‘ai、朝:p‘a-p‘ε)
再 構 音:?(李)
      papa(村)
比較(日):古代日本語「ΦaΦa(母)」(村)
比較(韓):後期中世語「∂mi(母・親)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 本文の文字を誤字と見るかどうかで日韓の対応が分かれる例。尤も、
仮に本文が「也次」のままで正しいとしても、朝鮮語の語形とは程遠く、
本例を朝鮮語の対応例とするのは納得し難い。もし誤字説が成り立つ
とすれば、日本語にとっては非常に有力な対応例になることは間違い
ないが、果たしてこれを認めてよいものかどうか、悩むところである。
「巴」は『三国史記』の地名表記として使用例を確認出来たが、「派」に
ついてはまだ確認が済んでいない。もし使用例がないとすると、誤字説
にはちょっとつらいことになりそうである。

85 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 19:02 ID:nnT49MHU

No.38
意  味 :子(名詞)
原  文 :「童子忽県一ニ云フ仇斯波衣」(『三国史記』)
漢 字 音:仇斯(中:gi∂u-syie、朝:ku-s∧)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「ko1(子)」(李)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 「忽」は「城」の意であるから「波衣(巌)」との対応は不審。宋敏の指摘の
ように、「忽」が山上に建てられた城塞の意であるならば、山という点で共通
するからということになるのだろうが、いかがなものか。


86 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 19:04 ID:nnT49MHU

No.39
意  味 :親戚(名詞)
原  文 :「有隣郡本高句麗ノ于尸郡」(『三国史記』)
漢 字 音:于尸(中:斤iu-∫ii、朝:u-si)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「ukara(族)」(娜)
比較(韓):後期中世語「ul(戚)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 再構音は示されていないが、おそらく「hul〜ul」だろうから、朝鮮語とよく
一致する例ということになる。ただ、古代日本語にも「ウカラ(族)」という語が
あり、「ヤカラ(族)」「ハラカラ(同胞)」「カラダ(体)」等の例から「ウカラ」は
「ウ」と「カラ(肉体)」とに分析出来るので、十分に本例と対比させることが
可能ではないかと考える。

87 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 19:13 ID:nnT49MHU

No.40
意  味 :隣人(名詞)
原  文 :「鄰豊県本高句麗ノ伊伐支県」(『三国史記』)
漢 字 音:伊伐支(中:ii-biu∧t-t∫ie、朝:i-p∂l-ci)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「ius(隣)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 李によれば、中期朝鮮語「ius(隣)」に対応し、「ius」は更に「ifщs」に遡る
のだという。まぁ確かによく似ていることは間違いないが、原文は「鄰豊県本
高句麗ノ伊伐支県」であり、「鄰」が「伊伐支」に対応するとすると、「豊」の字
が余ってしまうというのはちょっとまずいのではないか。

88 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 19:18 ID:nnT49MHU

No.41
意  味 :王(名詞)
原  文 :「遇王県本高句麗ノ皆伯県」「王逢県一ニ云フ皆伯」「王岐県一ニ云フ皆次丁」
      (『三国史記』)
漢 字 音:皆(中:k∧i、朝:k∧i)
再 構 音:kai(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「ki1mi1(君)」(娜)
比較(韓):新羅語「kan(干)」「han(翰)」(李)←ともに新羅の官名
比較(他):夫餘語「ka(加)」←夫餘の官名
      任那語「kanki(干岐)」←任那の王位
      蒙古語「kaγan(可汗)」←皇帝・君主
考  説 :
 中国文献で高句麗と夫餘が同族とされることからしても、高句麗語「kai(王)」と
夫餘語「ka」は間違いなく同源の語だろう。新羅語の官位「kan〜han」と任那の
「王」を意味する「干岐」もこれらと同源の語であると思われる。「kaγan(可汗)」
の称号は5世紀の初頭にモンゴル高原に建国した柔然が最初に用いたとされる
が、ほぼ同時期に鮮卑も使用していた証拠がある(嗄仙洞の銘文)。思うに、朝鮮
半島へは鮮卑の一部族・慕容氏あたりから伝えられたものではないだろうか。
それにしても、これだけアジア地域で人気のあった語でありながら、古代日本語に
それと明確に対応するものが見当たらないというのは面白いことである。さすがに
「ki1mi1(君)」では弱いし、古代日本語「kami2〜kamu(神)」を対応例として引っ
張ってくるというのもあんまりだろう。まぁ中央アジアのテングリ(天神)神話から
すれば、王は神の子であるから、王を意味する語が神という意味を持っていても
不思議ではないが。

89 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 19:29 ID:nnT49MHU

>>83

 いや、まだそう結論を出すのは早いかと。長い目で見てやって下さい。
      __
      iii■
   ─-(´∀`)-─
   |\@|_Y_|@/|
 .<\__(ωω)__/>

90 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/21(土) 19:36 ID:nnT49MHU

>>83

 とは申せ、現段階でも高句麗語と日本語・朝鮮語の違いは英語とドイツ語の違い
以上のものであったことぐらいはわかります罠。そこから先はまだ保留ということで。

91 名前:日語商売:2003/06/21(土) 21:49 ID:zPalenMk

>>81
やっぱり「コ1江」の存在が大きかったんですかね。うむむ。。。
あるいは上代既に「クウ」は「コ1ユ」と混淆が進んでいて、連用形以外の部分を「コ1ユ」に
任せてしまっていた、一種の混淆活用形を持っていたかもしれませんしね。
そういう状態になかった、むしろできなかった「ウウ」「スウ」はそのまま残ったと。
ヤ行上二段の場合は、これはもう、上で挙げた理由の他には、iが最も子音的だから許容度が上がったとか、
一般音声学的な知識を書いてお茶を濁すしか、今の段階ではないと思います。
もちろん、ヤ行上二段・ワ行下二段の活用形を持つ動詞が非常に少ないことは、ぎりぎり許容されるけど
できれば避けたい形であったことの裏返しですが・・・。

>>82
私は、>>76で示された可能性については、けっこうあるとは思いますが、
「於」は中古音で語頭子音と介音が影母3等(声門閉鎖音+i)、「翼」は喩母(半母音 y+i)であるのが
ちょっとだけ引っかかります。ただ中国語の微妙な音声の差異を高句麗語でどれだけ区別できたか、
どのように区別したかはわからないので、中国原音が違うと否定もできないです。
数年前に出土した飛鳥時代の字音を示した木簡のようなものが発見されれば、字音の状態を
少しは垣間見ることができるのですが、何しろ旧高句麗の領土は今やとんでもない土地になっていて、
調査どころか自由に観光することもできない状態ですからねぇw
それから漢字音を分析的に表記したとみられる例は、『日本書紀』の朝鮮固有名詞表記にも、
例があるそうです(今日行ってきた学会の予稿集に載っていた)。
例えば「発鬼」という地名を「弗知鬼」と表記した例とか。
朝鮮の固有名詞表記には独特の用字がみられたり、所謂「書紀区分論」があてはまらなかったりするので、
原資料の反映と見ることができそうなのですが、さてこれが朝鮮側の誰かが書いたものなのか、
それとも日本人(含む日本化した渡来人)が書いたのかとなると、よくわかりませんので、
「弥知」=「密」字音の傍証としては弱いです。
もうちょっといいかもと思われる例は、漢字音の体系的輸入以前に朝鮮系の語に入ったと思われる
借用語です。たとえば「筆」を中期朝鮮語でput(現代ではpus)と言いますが、
これは「筆」の借用語だと思われます。
半島の漢字音がt入声を一律lにする前には、tで写していた時代もあったかもと考えさせる語形です。

92 名前:日語商売:2003/06/22(日) 02:02 ID:94ZoRTPw

>>83
まぁ、そういうもんですw
比較言語学の考え方では、同系統と考えられる言語は、どちらが元ということはなく、
互いに兄弟のような関係というように考えますから。
特に高句麗語と上代日本語は、そういう関係にあったのではないかと思います。
もちろん別れてからの異質な要素(他言語との)の吸収によって、

まぁ、本当はもっと沢山高句麗語の側の語彙とかが沢山残っていたり、まとまった文章
(もちろん、何らかの方法で「高句麗語」で書かれている)があれば、文法的な部分まで
比較対象にできるのですが、残念ながら古代半島では在地語の文章と思しきものを残しているのは
新羅だけなのでありまして、比較の対象は十分とはいえません。
高句麗語のものとして掘り出している語彙も、地名の新旧が言ってみれば漢字の音と訓のような
関係みたいだからってだけであり、はたしてそれがどれほど正確なものかどうか
保証はあまりないのですよ。

本当はそこから音韻対応(双方の言語の間での音韻の1:1対応)を取り出せれば
大成果になるのですが、そこまでできるほど語彙がないってのが痛恨ですね。。。

93 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/22(日) 23:35 ID:L6gZvRHA

 ようやく半ばに達しました。引き続き、鉱物語彙に参りま〜す。

No.42
意  味 :玉(名詞)
原  文 :「玉馬県本高句麗ノ古斯馬県」(『三国史記』)
漢 字 音:古斯(中:ko-syie、朝:ko-s∧)
再 構 音:?(李)
      kusi(村)
比較(日):古代日本語「kusiro2(釧)」(村)
比較(韓):後期中世語「kusщl(玉)」(李・村)
比較(他):ナシ
考  説 :
 日韓ともによく一致する例である。古代日本語「クシロ(釧)」は手に巻く輪状の
装身具であり、厳密には「玉」と同じではないが、玉は装身具の材料として最も
ポピュラーな存在であるし、また「クシロ(釧)」の主な材料の一つでもあることから、
転義として認めてよいのではないか。それより、本例は高句麗語よりも日本語と
朝鮮語の語形の方がよく似ている点、注目されよう。高句麗語には語末のlなりr
なりの存在を窺わせるものはないが、日本語と朝鮮語にはr(l)が存在するから
である。場合によっては、高句麗語からまず新羅語に入り、その後日本語が借用
したという可能性も考慮する必要があるかも知れない。

94 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/22(日) 23:38 ID:L6gZvRHA

No.43
意  味 :金(名詞)
原  文 :「蓋蘇文或イハ云フ/2蓋金ト/1。姓ハ泉氏」(『三国史記』)
      「大臣伊梨柯須彌弑ス/2大王ヲ/1」(『日本書紀』)←伊梨柯須彌=泉蓋蘇文
漢 字 音:蘇文(中:so-miu∂n、朝:so-mun)
      須彌(中:syiu-myie)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「soi(金)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 漢字音からは再構語形は「somin〜somi」が妥当か。ただ、中期朝鮮語「soi」
が対応するということになると、再構語形としては「sobi」の方がよいかも知れない。
〔sobi→soβi→soi〕という変化を想定出来るからである。

95 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/22(日) 23:39 ID:L6gZvRHA

No.44
意  味 :銀(名詞)
原  文 :「銀尸城本折忽」「本銀城本召尸忽」(『三国史記』)
漢 字 音:折(中:t∫iεt、朝:sy∂l)
      召尸(中:t∫iεu-∫ii、朝:cyo-si)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 再構音としては「t∫iεr」が妥当か。日本語で強いて対応例を求めるなら、
「シロガネ(銀)」ということになるだろうが、さすがにこれはかなり厳しそうだ。

96 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/22(日) 23:40 ID:L6gZvRHA

No.45
意  味 :鉛(名詞)
原  文 :「鉛城本乃勿忽」(『三国史記』)
漢 字 音:乃勿(中:n∂i-miu∂t、朝:nε-mul)
再 構 音:nam∂r〜nami¨r(李)
      namul(村)
比較(日):古代日本語「namari(鉛)」(李・村)
比較(韓):前期中世語「namっr(鉛)」(李)
         ←「鉛俗ニ云フ/2那勿ト/1」(『郷薬救急方』)
      後期中世語:nap(鉛)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 日本語とよく一致する例として有名。朝鮮語も、13世紀の高麗文献には
対応する語彙が見えるが、後期中世語では別の語彙に取って代わられて
いる。結局は高句麗系渤海語から一時的に受け入れた外来語だったのだ
ろう。ただ後期中世語の「nap(鉛)」も第一音節は一致するから、先祖を
辿れば高句麗語と同系の語彙だった可能性はあると思う。

97 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/22(日) 23:42 ID:L6gZvRHA

No.46
意  味 :鉄(名詞)
原  文 :「鉄円県一ニ云フ毛乙冬非」(『三国史記』)
漢 字 音:毛乙(中:mau-iet、朝:mo-щl)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「maro2(丸)」(娜)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 本例は李説に従ってここに置いたが、村山は「鉄円郡」と「毛乙冬非」の
関係を「鉄=毛乙」「円=冬非」ではなく、「円」=毛乙」「鉄=冬非」と解して
いる。「円」が「丸い」という意味の形容詞であれば、名詞の前に来るのが
自然だし、本例が「鉄」の意の名詞であるとしたところで諸言語に対応例は
一つも見当たらないわけであるから、その可能性はかなり高そうである。
No.72「円」参照。

98 名前:日語商売:2003/06/23(月) 14:31 ID:pJDA67oA

帰国前日の深夜からネットが落ちて、当日朝まで復活せず、実家に戻ってネット環境復活したのが
今日昼だったので、レスが遅くなっております。ご容赦を。

>>84
これは非常に問題あると思いますね。
だいたい世界の著名な言語では、どういうわけか、母親を表す言葉はmを含むことが多く、
英語のmotherから中国語の [女馬][女馬] や「母」、韓国語の eomeoni(オモニ)、
上代日本語の「おも(母)」までそうなっています。
そのなかで、他の言語ではどちらかといえば「父」を表す語形として現れそうな
papaが、日本語では上代から現在まで最も中心的な「母」を示す言葉になっています。
これと類似の語形が高句麗語で発見されれば、比較の素材として非常に興味深いのですがねぇ。

しかし、誤字説の方は、日本語の形にあまりに引き付け過ぎてやいないかと思われます。
むしろそのままの形を日本語の「おや」と比べたくなるような・・・思いつきですが。

>>85
この原文のもっと長いバージョンが、>>91で参考にしたのとは別な発表のレジュメの中にありました。
(内容はちょっとデムパで、質問者も苦笑してたのだけど、まぁ紹介するほどのものでもないですw)

「童子忽県(一云仇斯波衣)童城県、本高句麗童子忽(一云幢山県)県」

これを見ると「童子忽=仇斯波衣=童城=幢山」の関係(?)が成り立ちそうですね。
「仇斯」が「童子」「童」に当たるとみることができると思います。
最後の「幢山県」の例が気になりますが、「童」は中古音duη、「幢」はd^っη
(私見ではdrawη、drは巻舌音のd)で、母音がかなり違うものの、字画は類似しているし、
中古音以前はもっと似たような音だったらしいので、まぁ変異の範囲と言えそうです。

99 名前:日語商売:2003/06/23(月) 14:45 ID:pJDA67oA

>>94
今の韓国語では「soi(発音はswe)」は、鉄あるいは金属一般を表す語ですね。
この語も、日本語の「かね」のように、総称としての意味を持っていたんでしょうか?
sobiだとすれば、日本語では「さひ1(鋤)」も候補に入れたい気がします。
ただ第一母音や第二子音が対応例として有効なのかどうか疑問ですが。



100 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/23(月) 16:43 ID:iIgac0mM

>日語商売さん
>>98

 「也次忽」ですが、村山七郎氏が『三国史記』の資料として使用した京城の
古典刊行会影印では、「次」の字はにすいの「派」になっていたようです。

 「オヤ(親)」というのは思いつきませんでした。『時代別』によれば、上代
日本語では「オヤ」は特に母親を指すことが多いとありますから、そうだと
すれば悪くないかもですね。尤も、そのためには日本語の第一音節の「オ」
と高句麗語の「次」をどうにかして処理する必要がありますが。

>>99

 アイゴー! 李基文の論文では「金」「銀」と並んでいたから、ウリはすっかり
「gold」という意味かと思い込んでいたニダ! あわてて『李朝語辞典』を
引いたら、「鉄」が最初に登場し、その後で「金」や「金気」という漢字が出て
いるニダ! 紛らわしい書き方をした李基文には謝罪(ry

 それはともかく、古代日本語「サヒ(刀・鋤)」も一応候補には入りそうですね。
Φもbもともに唇音ですし、日本語も古くは朝鮮語のように語頭:無声子音/
語中:有声子音という相補分布をなしていた可能性が高いので、「サヒ」も
音声的には[saβi]に近い発音だったと思われますしね。

101 名前:鄭聲之:2003/06/23(月) 20:44 ID:08aiToHA

100まで来ましたね。
いつもこの擦れ楽しみにしています!

102 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/24(火) 00:26 ID:Hy3hsGEE

>>101 鄭聲之 さん

 おお、鄭聲之さんではないですか。宜しければ鄭聲之さんもご参加下さい。
過去レスを見れば明らかなように、その道の専門家が唱えている説と言っても、
説結構思いつきレベルのものがありますからねぇ。今の段階はそういうレベル
のものでも歓迎ですので、気が付いたことがあったらどしどし指摘して頂けると
助かります。

103 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/24(火) 00:32 ID:Hy3hsGEE

引き続き、器物語彙に参りま〜す。

No.47
意  味 :犂(名詞)
原  文 :「犂山城本加尸達忽」(『三国史記』)
漢 字 音:加尸(中:ka-∫ii、朝:ka-si)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「karε(木[木+欠]・鍬)」(李)
比較(他):満州語「halhan〜halgan(犂[金+華])」
考  説 :
 再構語形は「kar」だろうから、確かに中期朝鮮語とはよく一致する。
日本語で挙げるとしたら「クハ(鍬)」ぐらいだろうが、さすがにこれは
無理だろう。

104 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/24(火) 00:36 ID:Hy3hsGEE

No.48
意  味 :斧(名詞)
原  文 :「於斯内県一ニ云フ斧壌」(『三国史記』)
漢 字 音:於斯(中:io-syie、朝:∂-s∧)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「wono2(斧)」(娜)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 日韓ともに対応例は指摘されていない。日本語で強いて挙げれば「ヲノ(斧)」
ということになるだろうが、第一音節以外は似ておらず、対応例とするにはやや
弱い感あり。

105 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/24(火) 01:09 ID:Hy3hsGEE

No.49
意  味 :冠(名詞)
原  文 :「其ノ冠ヲ曰フ/2骨蘇ト/1」(『周書』)
      「其ノ冠ヲ曰フ/2蘇骨ト/1」(『北史』)
漢 字 音:骨蘇(中:ku∂t-so、朝:kol-so)
      蘇骨(中:so-ku∂t、朝:so-kol)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 李は「互いに倒置された」と説明しているが、どちらか一方が誤っている可能性も
勿論あるだろうと思う。本例の対応語は知られていないが、「コジ(巾子)」などは
どうだろうか。「コジ(巾子)」は冠の部分の名で、冠の頂上後部に高く突き出ている
部分である。神楽歌に用例が見えるから、上代にも使われていた言葉である可能
性が高い。元々漢語であるから、高句麗でも使われていたことは十分考えられる。
「巾子」が高句麗語に取り入れられた後、もはや元の漢字表記を思い浮かべられ
ないほど語形変化を起こしていたので、「骨蘇」と漢字表記されたとは考えられない
だろうか。

106 名前:鄭聲之:2003/06/24(火) 16:31 ID:FMqIcQkc

>>102
つっこみ(つーか思いつきの対案や軽い質問)はたくさんあるのですが
言語学の専門家でないので、トンデモ説・電波説になっていても自己診断できないのです。
で、恥ずかしいからというのがひとつ。
それに娜々志娑无さんは素人の初歩的な誤りにも詳細に解説してくださるので、
スレの流れを邪魔してしまうのではないかと虞れるのがひとつ。
それで静観しておりました。

>その道の専門家が唱えている説と言っても、 結構思いつきレベルのものがありますからねぇ。
>今の段階はそういうレベル のものでも歓迎ですので、気が付いたことがあったらどしどし指摘

そうまでいってくださるんでしたら、こっちの流れを邪魔しないように
「教えてくんスレ」で時々つっこみ入れましょう。

107 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/24(火) 23:13 ID:WQWPsIwc

>>106 鄭聲之さん

 いやいや、やっぱりそういうことは専門スレに集中させた方が、ROMっている方
(ほかにどれだけおられるのか疑問ですが)にとっても、また、今後このスレを資料
スレとして利用するかも知れない人にとっても、何かと都合が宜しいのではないで
しょうか。それに、あちらのスレは言わば初心者スレ。スレの主旨を考えれば板違い
と言われても仕方がないように思います。まぁぶっちゃけて本音を言えば、高句麗語
の貼り付けはあと30と少しで終わってしまいますし、その後はこのスレそのものが
過疎スレと化してしまう恐れが多分にありますので、スレ主としましては、スレを
少しでも多く伸ばしたいという気持ちでいっぱいなわけですが(藁。

108 名前:日語商売(休業中):2003/06/25(水) 18:33 ID:QcPwLOj6

こっちに戻ってきて、本棚の中で大野晋『日本語はいかにして成立したか』(中公文庫、2002)を
引っくり返していたら、>>16の「波兮・波衣([山見])」と対応する語として
方言にみられる「ハケ・ハゲ」を挙げていました。
この語の意味は地方によって違いますが「山の地面の露出したところ」「山の崩れたところ」「崖」
などです。

実はこの語があることは気付いていましたが(当方の故郷では「バッケ」と言い、崖のこと)、
[山見]と意味が対応するのかどうか不安で挙げていませんでした。
で、改めて『広韻』で[山見]の意味を調べると、「峻嶺(険しい山・峰)」とありました。
これならば、「巌」や「ハケ・ハゲ」と意味もよく対応しそうです。
その他に意味が対応しそうな語では、高知の方で海中の大きな岩礁のことを「ハエ」と言いますが、
これなんかは「ハケ・ハゲ」の類語と見ることができそうな気もします。

109 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/25(水) 19:24 ID:UriPM2l2

>>108 日語商売さん

 大野晋がNo.06「岩山」と「ガケ(崖)」とを対応させていたとは知りませんでした。
ただ、文献で見る限り、語頭が濁音になったのは近世以降のようで、中世までは
「kake」と清音だったわけですし、方言形に現われる「hake」「bake」も、ハ行音
が唇音系Φから喉音系hに変化した江戸中期以降に、発音上の類似から〔k→h〕
という音変化を起こしたと見るべきでしょう。あと、「ハゲヤマ(禿山)」からの連想
ということも関係した可能性は高そうです。語源的にも『日国大・第二版』の語誌
にあるように「カケヂ(懸路)」「カケミチ(懸道)」の「カケ」が独立したものというのが
妥当であると思われますから、本例に対応させるのはかなり厳しいかと。

 カケがなぜガケと語頭濁音化したかはまた別の問題ですが、ハケの方もバケ
と濁音化していることから見て、それには相応の必然性があったのでしょう。
濁音は清音に比べて強いとか荒々しいという音感があるとされます。おそらくは
その音感が「崖」というゴツゴツした岩場のイメージとよくマッチしたためではない
でしょうか。

 それから、方言の「ハエ(暗礁)」も確かに興味深いですが、こちらも語源は
おそらく「生え」でしょう。岩礁が突き出ているさまを植物が生えているさまに
例えたものと解されます。長崎方言や大分方言では陸地から海中に突き出た
岩礁という意味で使われているようですし、大島方言では溶岩の根という意味
だそうです。いずれも植物からの連想っぽく感じます。

>『広韻』で[山見]の意味を調べると、「峻嶺(険しい山・峰)」とありました。

 げ。『学研漢和大字典』では[山+見]は「山の頂上が平らなさま」とありました
から、そっちをすっかり信用しておりました。何てこったい。

110 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:15 ID:CcB9a3C6

 いよいよ、数詞の出番でつ。

No.50
意  味 :3(名詞)
原  文 :「三[山+見]県一ニ云フ密波兮」(『三国史記』)
      参考「玄驍県本推良火県一云三良火」(『三国史記』)
漢 字 音:密(中:miet、朝:mil)
再 構 音:mir(李)
      mit〜mir〜mi(村)
比較(日):古代日本語「mi(3)」(李・村)
比較(韓):ナシ
比較(他):古代トルコ語「bis(5)」
考  説 :
 日本語「ミ(3)」とよく対応する。参考として挙げた「玄驍県本推良火県
一云三良火」は旧弁韓の地名(今のプサンとテグの中間地点あたり)。
「推」は新羅語の訓読字では「mir-」と読める字なので、高句麗語や
古代日本語の数詞「3」とよく一致するということになる。弁韓においても
高句麗語と同系の言語が話されていた可能性を強く示唆する例であり、
日本語と高句麗語の地理上の距離をわずかに縮めてくれる。

111 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:18 ID:CcB9a3C6

No.51
意  味 :5(名詞)
原  文 :「五谷県一ニ云フ弓次云忽」(『三国史記』)
漢 字 音:于次(中:斤iu-ts‘yii、朝:u-c‘∧)
再 構 音:u¨c(李)
      utsu<*utu(村)
比較(日):古代日本語「itu(5)」(李・村)
比較(韓):ナシ
比較(他):古代トルコ語:u¨c(3)
考  説 :
 原文は李によったが、村山によると原文は「五谷郡一云弓次云忽」と
なっており、不審。「県」と「郡」、どちらが正しいのやら。本例は他の
箇所にも文字の誤りがあるらしく、李によれば、「弓次」は誤刻であり、
『世宗実録地理誌』には「于次」とあるといい、また村山によれば、「云」
もまた「呑」の誤りであり、『輿地勝覧』や『文献備考註』に「于次呑忽」と
見えているという。「県」「郡」の違いはしばらく措くとしても、「弓次云」が
「于次呑」の誤記乃至誤伝という可能性は大いにありそうである。他の
数詞同様、日本語とよく一致している。

112 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:19 ID:CcB9a3C6

No.52
意  味 :7(名詞)
原  文 :「七重県一ニ云フ難隠別」(『三国史記』)
漢 字 音:難隠(中:nan-i∂n、朝:nan-щn)
再 構 音:nan∂n〜nani¨n(李)
      nanun<*nanan(村)
比較(日):古代日本語「nana(7)」(李・村)
比較(韓):ナシ
比較(他):ツングース諸語「nadan(7)」
考  説 :
 本例は日本語とよく一致するだけでなく、ツングース諸語ともよく一致して
いる。三者の関係を髣髴とさせる例である。

113 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:25 ID:CcB9a3C6

No.53
意  味 :10(名詞)
原  文 :「十谷県一ニ云フ徳頓忽」(『三国史記』)
漢 字 音:徳(中:t∂k、朝:t∂k)
再 構 音:t∂k<*t∂w∂k(李)
      tek〜te(村)
比較(日):古代日本語「to2wo(10)」(李・村)
比較(韓):ナシ
比較(他):古代トルコ語「toquz(9)」
考  説 :
 日本語との一致は第一音節に留まるが、他の数詞における一致状況を
見れば、本例も対応例として十分の資格があると言えよう。そう言えば、
日本の金石文資料における借音表記や万葉仮名において「獲(斤uεk)」
「和(斤ua)」のような喉音系声母を持つ漢字と日本語のワ行音が対応して
いる例があるが、或いはこれは原始日本語のワ行音が「斤u-」に近い音で
あったことを示すものかも知れない。もしそうであれば、「トヲ(10)」も本来
は「to2斤uo2」に近い発音であった可能性も出てくるわけで、高句麗語との
類似も一層増すことになる。

114 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:27 ID:CcB9a3C6

 その他、分類に納まり切らなかった名詞の類です。

No.54
意  味 :善射(名詞)※「弓の名手」くらいの意味?
原  文 :「其ノ俗言ニ朱蒙者善射也トイフ」(『三国志』魏志東夷伝高句麗条)
      「夫餘ノ俗語ニ善射ヲ謂フ/2朱蒙ト/1」(『三国史記』)
漢 字 音:朱蒙(中:t∫iu-muη、朝:cyu-moη)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):蒙古語:maηga(善射)
考  説 :特になし

115 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:31 ID:CcB9a3C6

No.55
意  味 :文(名詞)
原  文 :「文[山+見]県一ニ云フ斤乙波兮」(『三国史記』)
漢 字 音:斤乙(中:ki∂n-iet、朝:kщn-щl)
再 構 音:ki¨nr(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「kщl(文)」(李)
比較(他):満州語:hergen(文)
考  説 :
 朝鮮語とよく一致する例である。日本語から強いて候補を挙げるなら
「コト(言)」だろうが、さすがにちょっと厳しいか。

116 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 00:34 ID:CcB9a3C6

No.56
意  味 :重(名詞)
原  文 :「七重県一ニ云フ難隠別」(『三国史記』)
漢 字 音:別(中:biεt、朝:py∂l)
再 構 音:pj∂l(李)
      pe(村)
比較(日):古代日本語「Φe1(重)」(李・村)
比較(韓):後期中世語「p∧l(重)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 助数詞なのだから名詞ではなくむしろ接尾語とすべきところ。
日韓ともによく一致しているが、語末の「l」を保存している分、
朝鮮語の方にやや分があると言えよう。

117 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/26(木) 01:24 ID:kYX9FWbM

日本語の起源は古代の琉球語だと思います。
南方縄文人の言語が日本語の祖語の可能性が高いのだから、
北方の高句麗語が日本語に似ていたとしても、
高句麗語の起源が日本語(古代琉球語)とは言えても、
日本語の起源が高句麗語だとは絶対に言えません。


118 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 02:13 ID:CcB9a3C6

>>117

 まあまあ。ちょっと落ち着いて下さい。別に我々はこのスレで日本語の起源は
高句麗語であ〜る!なんてのは勿論のこと、高句麗語の起源は日本語である
などということを立証しようとしているわけではありませんよ。そもそも高句麗語
と古代日本語はほぼ同時期に並存していた言語なのですから、そんなことは
絶対あり得ないことです罠。

 我々が可能性ありとしてこのスレで追究しているのは、高句麗語と日本語が
共通の先祖を持っていたかも知れないという可能性のみです。そのためには、
まずは高句麗語という言語が一体どのような言語だったのかということを知る
ことが先決ですから、古代文献から高句麗語の断片的資料を蒐集して、古代
日本語や新羅語、中期朝鮮語などと比較して行きながら、高句麗語の実態を
一つ一つ明らかにしているところです。

 その結果、高句麗語はもしかすると日本語に近い言語という結論に達する
かも知れませんし、いや、朝鮮語の方がむしろ近いということになるかも知れ
ません。また、結局どっちとも言えないということになる可能性だって十分ある
わけです。あなたがどういう立場の方かは存じませんが、こんな状態で一体
何をあせる必要がありましょうか(反語)。

 とにかく、ろくに調べようともせず、ただ先入観だけで安易に決め付けようと
する行為はとても科学的なものとは言えませんね。せめて我々ぐらいは、
半島のニダビトの皆さん達を他山の石として、公正で科学的な態度を取りたい
ものです。

119 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/26(木) 02:19 ID:CcB9a3C6

 と、>>118を書き込んで、>>117がただのマルチポストのコピペだという
ことに気がつきました。_| ̄|o 欝…。

日本語の起源は高句麗語です。
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1052579071/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1052579071/l50

縄文語って
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/gengo/1046185555/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/gengo/1046185555/l50

120 名前:日語商売(休業中):2003/06/26(木) 08:51 ID:gNqqtN4U

>>119
ソンセンニム粋絽!!


121 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/26(木) 10:43 ID:4PgNYH.Y

楽しみに読んでます。
居来露!

高句麗、日本、ツングースに共通の祖語が有ったと仮定するとどういう可能性が
出てくるのでしょう?
原日本人が北方起源だとしても、日本の文化は南方起源の影響が色濃いと聞き
ます。南方から列島を通って半島から満州へ行った人達がいたのか?

122 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/28(土) 04:00 ID:b3cAmJ/A

>>121

 正直、ツングースまで含まれるかどうかは怪しい気がしますが、高句麗語と
日本語との間に共通祖語があったとすれば、両者はどこかで分かれたと
見なくてはなりません。その場所は朝鮮半島南部かも知れませんし、中国
南部かも知れませんし、もしかすると日本列島かも知れませんが、とにかく
両者が分かれる以前にどこか南方にいたことがあるというようなことを想定
する必要が出てくるでしょうね。ま、その辺の話はすべての単語が出揃って
からぼちぼち考えるということで。

123 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/28(土) 12:37 ID:b3cAmJ/A

 高句麗語関係を調べていて最近知ったのですが、『三国史記』巻に
以下のような記述があるそうです。

  三陟郡ハ本悉直国(巻35)

この悉直国というのは今の江原道南部の三陟にあった小国ですが、
景徳王の時に「三陟」という名に改められたわけです。旧名の「悉直」
と新名の「三陟」を比較してみると、「直」は中古音「d^i∂k」、「陟」は
中古音「t^i∂k」であり、両者には声母の有声〜無声という違いしか
ありませんので、陟→直は発音の近い良字に改めたのだという風に
解釈出来ます。このように「陟」と「直」が対応する以上、残った「悉」
と「三」も対応すると考えるのが自然です。ところが、「悉」は中古音
「syiet」であるのに対し、「三」は中古音「sam」であり、発音が対応
しないのです。そこで考えられることとしては、「三」は音読ではなく
訓読字なのではないかという可能性ですが、>>110で示したように、
高句麗語の数詞「3」は「mil」という語形であり、全然異なります。
ところが、ここで朝鮮語の数詞「3」を見てみると、前期中世語(高麗
語)は「sei」、後期中世語「s∂i(h)」、現代朝鮮語「se:s」ですから、
「悉」の漢字音「syiet」とよく似ているんですね。要するに、上記の
「三」と「悉」の対応は朝鮮語系の数詞「3」を持ってくることで説明
することが可能だというわけです。時代的に見て新羅語の反映と
見てよいでしょうから、ここに新羅語の数詞として新たに「3(siet)」
が加わり、同時に高句麗語との相違点も一つ増えることになります。

 なお、以上のことは金沢庄三郎が初めて指摘し、河野六郎や
韓国の朴炳采といった研究者も支持している事実だそうです。
それにも関わらず、どうして李基文がこれを取らず新羅語の数詞
「3」を不明のままとしたのか不思議でしかたがありません。私の
見る限り、上の説明は至極妥当なものであると思うのですが。

124 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/28(土) 13:16 ID:b3cAmJ/A

 よって、例の数詞対応表も以下のようになります。

  古代日本語 高句麗語 新羅語 高麗語 中期朝鮮語 現代朝鮮語

1   Φito2    −−  hっtっn hっtっn   hΛnah    hana
                 (一等)  (河屯)
2   Φuta    −−  tu¨pっ¨l tuβっr   tulh      tu:l
                 (二尸)  (途孛)
3    mi1     mil    siet    sei     s∂ih    se:s
            (密)    (悉)    (洒)
4    'jo2     −−   −−   nei     n∂ih    ne:s
                       (廼)
5    'itu     'utu   −−   ta∫us   tasΛs    tasっs
           (于次)        (打戍)
6    mu    −−   −−  'jul∫us  'jっsΛs    'jっsっs
                       (逸戍)
7   nana    nanun  −−  'ilkup    nilgub    'ilgob
            (難隠)        (一急)
8    'ja     −−   −−  'jultap   'jっdщlp    'jっdっl
                       (逸答)
9   ko2ko2no2 −−   −−  'ahop    'ahob    'ahob
                       (鴉好)
10   to2'wo    t∂k   −−   'jっl     'jっlh     'jっ:l
            (徳)         (噎)

 なお、表を書き改めるにあたり、ついでに一部の再構語形や音声表記
を一部改めました。古代日本語のハ行音はpからΦに変更し、イ列甲類
音はi1、オ列乙類音はo2としました。また朝鮮語関係は終声のrをlに統一
してあります。 また、新羅語「3」の再構語形は河野六郎によりましたが、
金沢庄三郎は「sa¨it」、朴炳采は「sit」と再構しているようです。個人的
には新羅語がtで終わるのは解せないので、「sie」ないし「siel」のような
語形だったと考えたいところなのですが。

125 名前:日語商売(休業中):2003/06/29(日) 00:14 ID:ENOUAh0w

>>124
「悉」が新羅語の3を表しているとすると、その語形が気になりますね。
河野先生(私の師匠の師匠に当たる方なので敬称付き御容赦)は母音をieとしていますが、
高麗語や中期朝鮮語の形を考えると、単純にiを推定し、後にeiに変化したとした方が
いいような気がします。ただi>eiの例が他にあるのかどうかわからないので・・・。
あるいは∂iやщiのような形を考えた方がいいかもしれません。

語末子音ですが、『鶏林類事』の語形では語末子音のない形で写されていますが、
入声字で写されているからには何らかの「要素」があったと思いたくなりますね。
ここはhのような音があって、『鶏林類事』『二中暦』のような外国史料では写されなかったと
みるのがいいのではないかと思います。

126 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 02:18 ID:YmYBR/fI

>>124
 スマソ。古代日本語の「ヒト(1)」の「ヒ」は甲類だったのに修正し忘れてました。

  古代日本語 高句麗語 新羅語 高麗語 中期朝鮮語 現代朝鮮語

1   Φi1to2    −−  hっtっn hっtっn   hΛnah    hana
                 (一等)  (河屯)
2   Φuta    −−  tu¨pっ¨l tuβっr   tulh      tu:l
                 (二尸)  (途孛)
3    mi1     mil    siet    sei     s∂ih     se:s
            (密)    (悉)   (洒)
4    'jo2     −−   −−   nei     n∂ih     ne:s
                       (廼)
5    'itu     'utu   −−   ta∫us   tasΛs    tasっs
           (于次)        (打戍)
6    mu    −−   −−  'jul∫us  'jっsΛs    'jっsっs
                       (逸戍)
7   nana    nanun  −−  'ilkup    nilgub    'ilgob
            (難隠)        (一急)
8    'ja     −−   −−  'jultap   'jっdщlp    'jっdっl
                       (逸答)
9  ko2ko2no2  −−   −−  'ahop    'ahob     'ahob
                       (鴉好)
10   to2'wo    t∂k   −−   'jっl     'jっlh     'jっ:l
            (徳)         (噎)

127 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 02:40 ID:YmYBR/fI

>>125 日語商売さん

 中期朝鮮語資料に見える「-h」の処理は難しいですね。これって、
確か単独語形では出てこず、母音系の助詞を下接した時だけ出て
来るものでしたよね。以前、奈良の語源関係で朝鮮語のナラを分析
した時は、中期朝鮮語で「nara」だけでなく「narah」という形でも出て
くる以上、基本形は「nara」ではなく「narah」とするしかない、しかし
ながら、語末に「-h」が来るような語形が安定して存在したとは思え
ないから、古くは「narak」、更に以前は「naraka」とか「naraki」の
ような語形ではなかったか、という風に推測したわけですが、そもそも
この「-h」、高麗語(前期中世語)や新羅語で確認出来ているものが
ありましたっけ? 「narah」のように語末にhを持つ名詞は他に80語
あまりが知られているようですが。

 なお、このhについては下記のレスもご参照下さい。

http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=korea&key=1010584644&st=131&to=131&nofirst=true" target=new>http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=korea&key=1010584644&st=131&to=131&nofirst=true

128 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 22:29 ID:YmYBR/fI

 本日、日本史板の某スレで客引きをして参りましたが、こちらには来て
頂けないようで残念です。人気スレへの道は果てしなく遠いようですな。
折角ですから、某スレに書き込んだ内容をこちらにもコピペしておきます。


819 名前:娜々志娑无 ◆1ONcNEDmUA 投稿日:03/06/29 16:15
>>815

 どうも。ハン板とハングル総督府で細々と工作員活動(藁)をやっております
娜々志娑无と申します。以後お見知りおきのほどを。

>上の表の音はいつの時代のどの地域の漢字音で読んだものなの?

 高句麗語については、高句麗地名である以上、高句麗時代の高句麗で使用
された漢字音で読むのが原則ですが、残念ながら高句麗漢字音は特定されて
いませんので、同時代の隋・唐中原音(中古音)や朝鮮漢字音(中古音とそれ
以降の新しい漢字音から成る。一部中古音より古い漢字音も混じる)をもとに、
それぞれの研究者なりの解釈を加えて再構しています。漢字音は時代により
地域により差異があるとは言え、元は同じ漢字音なわけですから、細かい部分
はともかく、それほど極端な違いは出ないはずです。高麗語(前期中世語)に
ついては、もっぱら『東国正韻』等の中世朝鮮漢字音資料に基づいて再構して
います。

129 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 22:30 ID:YmYBR/fI

820 名前:娜々志娑无 ◆1ONcNEDmUA 投稿日:03/06/29 16:17
>>816

 李基文は高句麗地名から再構される語彙が高句麗語であることの根拠として
以下のようなものを挙げています。

消極的な根拠:
『三国史記』巻三十五と巻三十七で高句麗地名として挙げられている地域は、
かつて[シ+歳]または夫餘系の南下支流である百済が起こった所で、4〜5世紀
に高句麗の版図に組み入れられた地域である。[シ+歳]や百済の言語が夫餘・
高句麗と近いことは中国の史書に記述があるから、結局この地域では新羅
統一頃まで継続的に夫餘系に属する言語が話されていたと見ることが出来る。
特に統一新羅の領地となるまで二世紀の間この地を支配していた高句麗の
影響は非常に大きかったものと推測される。

821 名前:娜々志娑无 ◆1ONcNEDmUA 投稿日:03/06/29 16:20
積極的な根拠:
(1)『三国史記』の高句麗地名資料に見える「忽(城)」「内・奴(壌)」「達(山)」
 などは、新羅や百済の地名にはほとんど見つからない高句麗地名独特の
 地名構成要素であり、そこから再構される語彙は明らかに新羅語とは異なる
 言語のものであることを示している。
(2)地名の中に方言が反映されているように見えるものがある。「口」に相当
 する語は江華島と坡州では「古次」「串」(koc)であるが、始興や揚口に該当
 する地域では「忽次」(kolc)となっている。言語的に見て「忽次」の方が古形
 に近いと見られる。
(3)新羅領になっていない鴨緑江以北の高句麗地名にも、新羅領となった
 高句麗地名と同じ「忽(城)」「達(山)」といった共通の特徴が存する。「穴」は
 鴨緑江以北では「甲(kap)」だが、江華島では「甲比(kapi)」であり、こちらも
 方言的差異を表わしているように見える。
(4)『三国史記』の高句麗地名から得られた語彙と『三国史記』以外の文献
 資料に現われた高句麗語との間に共通点が認められる。例えば、中国の
 史書に見える高句麗五部族の名称「絶奴部」「順奴部」「藻奴部」「消奴部」
 の「奴」は高句麗地名に見える「内・奴・悩(壌)」と一致するものであるし、
 夫餘・高句麗の官職名「加」は高句麗地名の「皆(王)」に対応する。『三国志』
 魏書東夷伝高句麗条に「溝[シ婁]ナル者ハ句麗ノ名。城也」とあるが、これは
 高句麗地名「忽」と一致する。また、『日本書紀』に見える高句麗の大臣「伊梨
 柯須弥」は『三国史記』では「淵蓋蘇文」として現われるが、彼の姓「淵」に対応
 する「iri」と高句麗地名から再構される「於乙(泉)」も対応している。
(5)高麗語(前期中世語)に、「那勿(鉛)」のように、高句麗地名から再構された
 語彙と共通するものが見られる。これは高麗が高句麗の故地に都を置いた
 ため、高麗語の中に一部の高句麗語系の語彙が一時的に入り込んだことに
 よるものと考えられる。

130 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 22:31 ID:YmYBR/fI

822 名前:娜々志娑无 ◆1ONcNEDmUA 投稿日:03/06/29 16:23
>>816
>「高句麗語」の地名は漢字音を借用して記録されているのに、付け替えた
>新羅語の表記は漢字音の借用ではなく、漢字そのままの意味ととって良いの?

 8世紀に新羅の景徳王が全国の地名を中国式に改めた際、高句麗地名を
改名するにあたってどのような方針を取ったのかは、残念ながら明文化された
ものは存在しませんが、それを推定する手がかりがまったくないわけではあり
ません。高句麗地名が登場するのは『三国史記』地理誌の巻三五と巻三七
ですが、両者は同じ旧高句麗領を扱ってはいるものの、その意味合いが異なり
ます。巻三五はあくまでも新羅の領地の一部として述べているのに対し、巻三七
は新羅と異なる国家としての高句麗の地理を述べる形になっています。しかも、
巻三七の巻末には「右高句麗ノ州郡県、共ニ一百六十四。其ノ新羅ノ改名及ビ
今名ハ、見ヨ/2新羅志ヲ/1」とありますので、巻三七に見える地名については
いずれも高句麗時代のものであると解されます。以下具体的に例を示すと、

  水城郡。本高句麗ノ買忽郡。景徳王改名ス。今ノ水州。(巻三五)
  買忽。一ニ云フ水城。(巻三七)

上はいずれも同じ地名について述べたものですが、巻三七に見える「買忽」
「水城」はともに高句麗時代の地名であり、前者は音読表記、後者は訓読表記
であったと判断出来ます。現代の我々が「横浜」と書き「yoko-hama」と読む
ように、高句麗でも「水城」と書き「買忽」と読んでいたと想像されるわけです。
しかして、高句麗の訓読表記である「水城」が巻三五において新羅が付けた
中国式の地名として採用されているという事実は、旧高句麗領に対する新羅
の改名方針というのは結局、高句麗時代の訓読表記地名をそのまま使用する
というものであったことを強く示唆するものと言えます。

131 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 23:33 ID:YmYBR/fI

 その某スレでは、上記の私の書き込みに対して若干レスもあったのですが、
既に板違いという非難を浴びていますので、今更レスするわけにもいかず(^^;。
というわけで、こちらでレスすることにします。まずは当該レスをコピペして
おきます。


823 名前:日本@名無史さん 投稿日:03/06/29 16:28
>[シ+歳]や百済の言語が夫餘・ 高句麗と近いことは中国の史書に記述がある
倭と高句麗・百済と近いという記述はあるのですか?

>高句麗語については、高句麗地名である以上、高句麗時代の高句麗で使用
>された漢字音で読むのが原則ですが、
地名を音で書いてあると限定できるのですか?


825 名前:日本@名無史さん 投稿日:03/06/29 16:38
地名というのは土地の機能によって名づけられる場合や
そうでない場合もあるので、一概にルール化でくるもの
ではないと思います。
日本の北海道の場合も、アイヌ語の地名に意味にふさわしい
漢字をあてたので、その例からしても大理論を構築するには
土台として弱いですよ。

132 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 23:37 ID:YmYBR/fI

>>826
>倭と高句麗・百済と近いという記述はあるのですか?

 中国の史書には倭の言語と高句麗・百済の言語が近いという記述
はないようですね。ですが、今は高句麗語の話をしているのですから、
とりあえず倭のことは脇に置いて、高句麗語のことだけを考えて頂き
たいですね。そう結論を急ぐ必要はないでしょう?

>地名を音で書いてあると限定できるのですか?

 例えば、中国式地名の「壌」に対応する高句麗地名として「奴」「那」
「内」「悩」という漢字が使われています。これらの漢字は意味の上で
はまったく共通する要素はありませんが、漢字音で見れば、いずれも
「n」という頭子音を持つものばかりです。この事実から導き出される
結論としては、「奴」「那」「内」「悩」は「壌」の意味を漢字音で記した
ものとしか考えられません。言い換えれば、「奴」「那」「内」「悩」は
高句麗語の「壌」に相当する意味の固有語を借音表記したものという
ことになるわけです。

 また、『三国志』魏書東夷伝高句麗条に「溝[シ+婁]ナル者ハ句麗ノ名。
城也」とあり、高句麗語で「城」を意味する語は漢字で「溝[シ+婁]」と
書かれるものであったことがわかりますが、『三国志』は中国の文献
ですから、「溝[シ+婁]」も当然音読したものと解されます。「溝[シ+婁]」
の三国時代の漢字音は不明ですが、中古音では「k∂u-l∂u」です
から、少なくとも第一音節の頭子音はk、第二音節の頭子音はlで
あった可能性が極めて高いと考えられます。一方、高句麗地名では
中国式地名の「城」に対応する高句麗地名は「忽」ですが、「忽」は
中古音「hu∂t」、朝鮮漢字音「hol」であり、kとhの違いこそあれ、
両者はいずれも喉音系の子音ですから、『三国志』の「溝[シ+婁]」と
『三国史記』の「忽」は同一のものを指していると判断されます。
高句麗地名には明らかに訓読のものもありますから、何でもかん
でも音読すればよいというわけではありませんが、音読のものも
存したことの証拠としてはこんなところで十分だと思いますが。

133 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/29(日) 23:42 ID:YmYBR/fI

>>825
 高句麗地名からの高句麗語の再構は恣意的にやっているわけでは
ありませんよ。例えば「AB」という中国式地名(訓読地名)と「イロ」という
音読地名が対応するからと言って、いきなりA=イ、B=ロとやっている
わけではないのです。「AB/イロ」「CB/ハロ」「DB/ニロ」のように
複数の用例でB=ロが認められたら、そこで初めてB=ロという結論を
出すという風に地道にやっています。「城=忽」や「山=達」「壌=奴・那・
内・悩」「谷=呑・旦・頓」「川・水=買」というのは複数の用例があります
ので、早い段階で対応関係を導き出せます。問題は1例しか用例がない
場合ですが、「EB=ホロ」のように、一方が既にB=ホのように確定して
いる場合は、E=ホである蓋然性が高い例として取り扱います。この場合、
もし朝鮮語や日本語、ツングース諸語の中でE=eを支持するようなもの
があれば、その蓋然性はより高まります。現在知られている約80語の
高句麗語はこのような慎重な取り扱いを経て再構されたものなのです。

134 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 01:04 ID:nEOfC.6k

 名詞の次は形容詞に参りま〜す。と言っても、李基文の分類によるもので、
日本語の形容詞とは必ずしも重なりませんが、その辺はご容赦。

No.57
意  味 :大きい(形容詞)
原  文 :「奈吐県一ニ云フ大堤」(『三国史記』)
漢 字 音:奈(中:na、朝:nε)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):古代日本語「naga(長)」(李)
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 No.11「大池」の「na-mi」の「na」も用例として含めるべきだろう。古代日本語
「ナガ(長)」は対応例とするには弱い。その代わりと言っては何だが、日本語
には性質や状態を表わす語(形状言ともいう)に付いて「〜のような状態である」
「はなはだ〜である」という意味の形容詞を作る「〜ナシ」という語尾が存する。
「アヂキナシ」「イトケナシ」「カタジケナシ」「キタナシ」「サガナシ」「ツタナシ」など
の「〜ナシ」がそれに相当すると考えられている。この「〜ナシ」は奈良時代で
さえ単独例は存しないが、かつては単独の形容詞「ナシ」として存在していた
可能性がある。当然その意味は「甚大」であると考えられるので、本語と対応
させることも可能になって来るが、さてさて。

135 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 01:05 ID:nEOfC.6k

No.58
意  味 :新しい(形容詞)
原  文 :「首知県一ニ云フ新知」(『三国史記』)
漢 字 音:首(中:∫i∂u、朝:syu)
再 構 音:su(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):後期中世語「sε(新)」(李)
比較(他):ナシ
考  説 :
 朝鮮語とよく対応する例である。

136 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 01:06 ID:nEOfC.6k

No.59
意  味 :長い(形容詞)
原  文 :「長堤郡本高句麗ノ主夫吐郡」(『三国史記』)
漢 字 音:主夫(中:t∫iu-piu、朝:cyu-pu)
再 構 音:?(李)
      ?(村)
比較(日):ナシ
比較(韓):ナシ
比較(他):ナシ
考  説 :
 日韓ともに対応する語は見当たらない。

137 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 01:17 ID:nEOfC.6k

No.60
意  味 :赤い(形容詞)
原  文 :「赤木県一ニ云フ沙非斤乙」「赤城県本高句麗ノ沙伏忽」(『三国史記』)
漢 字 音:沙非斤(中:sa-piu∂i-ki∂n、朝:sa-pi-kщn)
      沙伏(中:sa-biuk、朝:sa-pok)
再 構 音:sapik∂n〜sapuk〜sapok(李)
      sapigin<*sa-pulgin、sapok<*sa-pul(村)
比較(日):古代日本語「so2Φo(赭・朱)」(李)
      「sa(接頭語)」(村)
      「so1Φi1(淡赤色)」(娜)
比較(韓):百済語「supi(赤鳥)」
             ←「赤鳥県本百済所比浦県」(『三国史記』)(李)
      朝鮮語「pulgin(赤)」(村)
比較(他):満州語「fulgiyan(赤)」
      中期モンゴル語「hulaan(赤)」
考  説 :
 村山は高句麗語形を接頭語「sa」と形容詞「pul(gin)」が結合したものと
見ているが、李は一語で古代日本語の名詞「ソホ(赭・朱)」と対応するもの
と考えている。「ソホ」は赤色の土(辰砂か)のことであるから、確かに「赤」
の関連語彙ではある。ただ、古代日本語には「ソヒ」という語もあり、これは
大宝律令で定められた衣服の色で、淡い赤色を指していたようである。
「ソホ」のソは乙類、「ソヒ」のソは甲類で一致しないが、いずれも色の点
からは本例の対応例としてふさわしいものと言えよう。なお、百済地名の
例は数少ない夫餘系百済語の反映した地名と考えられている。

138 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/30(月) 01:37 ID:sR7pvveA

>>129
>「藻奴部」

そりは、潅奴部(灌奴部)の間違いでしょう。

たしか藻那部というのが三国史記にはでてきたような気がしますが
これは松壌王の国=消奴部と同じものと思われ、灌奴部(蓋馬国?)とはまた別と思います。
(藻・松・消はすべて[s]音で、後の西部・白部にあたり、灌[k]音の南部・赤部とは別かと)

ところで日本史板の某スレとはどれですか?ざっとみてわかりませんでしたが。
私も日本史板では時々工作員(爆)やってますんで(w

139 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 01:57 ID:nEOfC.6k

>>138
>そりは、潅奴部(灌奴部)の間違いでしょう。

 あ。なるほど。今確認したら、確かに『後漢書』や『三国志』では「灌奴部」でつな。
李基文の論文だけ見てレスを書いたので、その辺を確認しておりませなんだ(^^;。
李の『韓国語の形成』(成甲書房)はやたらと誤字や脱行などの初歩的なミスが
多くて閉口していたので、大概気を付けているつもりだったのですが、いかんでつな。

>ところで日本史板の某スレとはどれですか?ざっとみてわかりませんでしたが。

任那日本府について
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1030968865/" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1030968865/

でつ。確かにこの話題はスレ違いです罠。 

140 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 02:42 ID:nEOfC.6k

>>133

 修正です。

× 「EB=ホロ」のように、一方が既にB=ホのように確定して
○ 「EB=ホロ」のように、一方が既にB=ロのように確定して

まことにスマソ。

141 名前:日語商売(休業中):2003/06/30(月) 10:57 ID:qgoi6MQw

>>127
あ、なるほどぉ。
中期語では母音が付いたときにだけhが現れるのですね。
現代語ではhが語末にあるときには[t]と発音される(ただし内破音)ので、
そういう発音になれば「悉」の音写とより符合するのではと思った次第です。

韓国語の3、4に当たる数詞ses,nesには、いくつか変化形があって、
名詞に付く場合にはse,neが一般的ですが、その他にs∂、s∂k;n∂、n∂kという
形が現れます。s∂、n∂は主に唇音系(その他の子音の前でも)、s∂k、n∂kは舌尖音系の子音が
後接するときに現れる形です。
中期語の資料が手元にないのでわからないのですが、同じような変異が中期語にもあるとすれば、
ses,nesの祖形を考えたり、「悉」がどのような音を写すために使われたのか考えたりする
手がかりになると思います。『李朝語辞典』には載っていないでしょうか?

142 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 16:52 ID:9iSiR0U6

>>141 日語商売さん

 『李朝語辞典』では「3」は「s∂ih」が見出し語となっています。用例をざっと
見た限りでは、語末のhが出てくるものと出てこないものとがあるということ以外
は、sやkなどが出てくることはないような感じですが、何せ現代朝鮮語でさえ
わからないのに、中期朝鮮語となると私にはさっぱりですので、その辺自信は
ありませぬ。念のため、「s∂i」の次の音節がh以外で始まる例をいくつか挙げて
おきます。

  Kas s∂i pam s∂i hi ra(阿彌9)
  Is kol ro nil ∂ s∂i k‘o mi ra(月二14)
  亭 舎 rΛl s∂i k‘om ci zщ ni(曲153)

 「4」も「n∂ih」が見出しで、大体hが出て来ます。こちらも「4」の後にh以外の
子音が続く例を挙げておきますね。

  S∂i k‘wa n∂i k‘w∂i ra(圓下三之一112)
  Cin cju n∂i k‘om tщ r∂(朴c‘o上45)

143 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 17:36 ID:9iSiR0U6

>>137

 中期朝鮮語で「赤い」は「pulk-ta」。これは現代朝鮮語も同じ語形の
ようです。それにしても、村山のいう「pul(gin)」というのはどこから持って
きた朝鮮語なのでしょうか。『李朝語辞典』を見ると、「pulk-kщn-cil(赤埴)」
とか「pulk-щn o-ti(紅磁器)」という語が出て来ます。もしかすると連体形
の「pulk-щn」を「pulk-in」と間違ったのかも知れませんね。

 ところで、「pulk-(赤い)」の語源はいかにも「pul(火)」のような感じが
するのですが、朝鮮語学的にその辺はどうなんでしょうか。

144 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/30(月) 18:40 ID:b7KBigNg

>>143
>>19

比較(韓):百済語「ki¨(城)」
        ←「悦城県本百済悦己県」「儒城県本百済奴斯只県」等(『三国史記』)

とありますが、後者の「奴斯只」は「さし」と読むのではないですか?
ちなみに日本書記では百済語で城を「さし」といっています。

145 名前:◆OlgO13ek:2003/06/30(月) 19:00 ID:hOM6YaMU

古朝鮮語のことなんて忘れちゃいましたけど、pulkinは母音調和した形では?
w[y]に対応する陰母音として、i が立つんじゃなかったっけ。

146 名前:日語商売(休業中):2003/06/30(月) 19:02 ID:50WKpINo

>>143
私も村山氏の語形を見たとき、同じように思いました。
韓国語の母音щはi¨と表記することもあるので、これをどこかの時点でiと間違えた、
というのが本当のところではないでしょうか?
ちなみに現代韓国語では「赤い」は普通ppalgah-taという語が使われますが、
これはpulk-taの変化形で、母音をaに、語頭子音を濃音に変えた形に用言化接辞ha-daが付いた形が
変化したものです。

先日韓国の『国語大辞典』を見たのですが、そこでは pul と関係あるような記述がありました。
類似の形容詞phurщ-da(青い)も、phur(草)と関係ありそうです。
ただ他の色を表す基本形容詞が何らかの具象名詞と関係あるかはわかりませんでした。

147 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 19:42 ID:9iSiR0U6

>>144

 「只」は上古音「tyieg」中古音「t∫ie」朝鮮漢字音「ci」ですので、確かに「キ」とは
読みづらい字ですが、きへんのついた「枳」(「只」と同音)には別に上古音「kyieg」
中古音「kie」という漢字音もあり、日本ではキ甲類の万葉仮名として使用されてい
ます。実はこの「枳」の省画として半島では「只」が使われていたようでして、新羅
時代の表記法ではもっぱら「ki」を表わす音読字として「己」とともに使用されている
という事実があるのです。李が「儒城県本百済奴斯只県」の「只」を「ki¨」と読んだの
もその辺の事情に基づくものでしょう。まあでも普通に朝鮮漢字音に従って読めば
「斯只」は「sΛci」となり、書紀古訓の「サシ(城)」と非常に近い発音になることもまた
確かですね。ただ、書紀古訓の「サシ(城)」が半島由来の語彙であることは間違い
ないところですが、百済語と特定出来るような要素は特になかったはずです。実際、
『日本書紀』では新羅の城の訓としても用いられた例がありますし、李基文も「サシ(城)」
は新羅語「cas(城)」からの借用と見ています。

148 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/30(月) 19:56 ID:b7KBigNg

>>147

ついでですので>>19

比較(韓):百済語「ki¨(城)」
        ←「悦城県本百済悦己県」「儒城県本百済奴斯只県」等(『三国史記』)

『等』とあるので他の例示を今あげることができれば教えてください。

149 名前:◆OlgO13ek:2003/06/30(月) 20:03 ID:uZEymMks

現代語ではse:s, ne:sと長母音になることもお忘れなく。
もちろんソウル方言の長母音は嶺南方言のアクセント核に対応するですが、
これらも音節末の-hの消失に関係あるかもしれません。
なお、漢字音で平声に由来するものは短母音で、上声と去声に由来する
ものは長母音になるという法則もあります。

150 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/30(月) 20:17 ID:b7KBigNg

>>147
あと
「悦城県」が現在のどこに比定されているのかも知りたいな。


151 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 20:19 ID:9iSiR0U6

>>145 ◆OlgO13ek さん
>>146 日語商売 さん

 失礼。改めて村山七郎氏の論文を確認してみたら、「pulgin」の「i」の下に
補助記号「_」(正確には⌒の上下逆)が付いておりました。氏はこれを「щ」
の意味で使用しておられるようです。改めて他のも確認してみると、「e」にも
同じ補助記号の付いたものがありました。こちらは「∂」に相当するものの
ようです。村山氏の再構音は何箇所か修正する必要がありますね。

152 名前:◆OlgO13ek:2003/06/30(月) 20:29 ID:uZEymMks

よく考えれば、seih, neihっていう形は、
一日 haru
二日 'ithyr
三日 sahyr
四日 mahyr

から当然に導けるんだった。

153 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/06/30(月) 20:48 ID:9iSiR0U6

>>148

 「潔城県本百済ノ結己郡」(『三国史記』)というのがあるようです。


>>148
>「悦城県」が現在のどこに比定されているのかも知りたいな。

 う〜ん。残念ながら私の手持ちの資料ではわかりません。どなたかご存知の方は
おられませぬか。

154 名前:名無しさんはポシンタン:2003/06/30(月) 22:15 ID:b7KBigNg

>>153
おっと失礼。ここでいろいろ検索できますが、重いし、ヒットしないしないしで
面倒。
とはいえ、参考までに。
http://honyaku.naver.co.jp/ktj.cgi?css_url=http://www.koreandb.net/Sam/" target=new>http://honyaku.naver.co.jp/ktj.cgi?css_url=http://www.koreandb.net/Sam/

えと、半島は日本書紀によれば、倭の影響も無視できず、
それを一方的な流れでみるのもどうかと思った次第。
地理的な要素も加味したほうがいいのではないかと思った次第です。

155 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/01(火) 01:22 ID:tS2Noid.

>>153,>>148
悦城県は、もと百済の悦己県。忠清南道青陽郡定山面に比定されています。

東洋文庫の「三国史記」の井上秀雄の説でよければ、三国史記地理志の注釈を
転載しますので、どんどんきいてください。

156 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/01(火) 11:21 ID:fNx9Kh.2

>>155

 そう言えば、東洋文庫のに地図がありましたねぇ。早速職場の図書館から借りて
来ました。一緒に『完訳・三国史記』(六興出版)も借りて来ました。この本、訳だけ
じゃなく原文も載っているので便利なのですが、誰かが先に借りていたもんで、
今回は使うことが出来なかったんですよね。これで不明だった原文も参照出来ます。

157 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/01(火) 21:00 ID:j5ptePzQ

 改めて原文を見てみまして、何と言いますか、オタクごころ、もとい、
研究者魂を随分とくすぐられました(藁。やっぱりこういうのは実物を
見なくては駄目ですなぁ。訂正したり追加したり再考しなくてはならん
ことがあるわあるわ(^^;。高句麗語語彙集もせっかくNo.60まで来て
いるのですが、さすがにこんな不備なデータのままでは、いかに匿名
掲示板と言えども続けて提示してゆくわけには参りません罠。申し訳
ありませんが、個人的にデータを咀嚼するだけの時間をしばらく賜り
たいと思います。実は私、この機会に高句麗地名を全部テキストに
打ち込んでCSVデータにしてみようと思っているんですよ。

整理番号,巻三七原文,巻三五原文,比定地,漢字音,日本語,朝鮮語,その他言語,備考

てな感じに整理すれば、わかりやすいし、何より検索や加工もし易い
と思いますので。それに、今まで作ったデータも無駄にはなりません
からね。もし何か付け加えるべきこととか、こうしたらいいとかいうこと
がありましたら遠慮なくどうぞ。せっかく作るなら、皆さんが使いやすい
ものにしたいですもんねぇ。

158 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/01(火) 23:53 ID:b/B2UMZ.

地名に限る必要ないと思うが?
いっそ「高句麗語全資料集成」みたいのにしてほしい。

159 名前:日語商売(休業中):2003/07/02(水) 00:14 ID:tw/0iBHc

>>157
日韓比較言語学自体、一般が思っているほどは進んでいない分野ですから、
このまま冒険的に突っ走ることもまだ可能ではありますが、
やはり再考すべきところが現れたのであれば再考した方がよいかと思います。
整理が終わったら、公開していただければ幸いです。
ただ、研究にはオリジナリティが重要性をもつので、パクリ防止の対策を何かした方がいいかもしれません。

私としては、藤堂氏推定の中古漢字音の不備を補うために、データができた暁には
ちょっと監修させていただきたく存じます。
あの辞書ができたあとに、いろいろ新しい説が出ていまして、推定音もより精密な音特徴を
反映したものになっていますので。

160 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/02(水) 00:52 ID:w5Iqdjic

>>158

 最終的にはそういう形に仕上げたいと思っておりますが、そのためには
最大の高句麗語資料である高句麗地名をきちんとやっつけておかないと
まづいでやんしょ? あわてないあわてない、一休み一休み…。

161 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/02(水) 01:04 ID:w5Iqdjic

>>159 日語商売さん

 いやいや、別に私はこの分野で生きていこうなんて大それた野望は
持っておりませんから、いくらパクられても気にしません。そもそも
その気があったら黙ってこっそりやってますって(藁)。ただ、これまで
の検討というのは結局、資料そのものを見ずに、人のやった成果だけ
をもとにして論じていたに過ぎませんでしたからねぇ。今回原文を手に
入れ、全体を通して見たら、自分がまさに「木を見て森を見ず」という
のを地で行っていた(少なくともそういう部分があった)ことに改めて
気付かされたという次第です。一部の中でなら成立することでも、
全体を通して見れば全然通用しないということは結構ありますからねぇ。
ま、1〜2週間かけてぼちぼちやりますわ。今日ちょっとやってみた
ところ、思ったよりも時間がかかることがわかりましたから(^^;。
高句麗地名は164+α。現在、13。所要時間は3時間(爆死)。
ま、だんだん慣れてくると速くなるとは思いますが…(^^;。

162 名前:鄭聲之:2003/07/02(水) 01:37 ID:x0nGckew

ある程度、形になったら本にして出版しませんか?


163 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/02(水) 03:41 ID:w5Iqdjic

>>162 鄭聲之さん

 滅相もない! そんなことしたら、恩師に破門されてしまい万仮名。
日本語系統論にだけは手を出すなと固く固く戒められて万年(^^;。

 とりあえず今日は20まででやめときますた。明日は一日暇ですので、
ちょっと馬力かけてやりまっせ。週末野暮用で実家に帰省しなくては
なりませんので、土日を使えない分今のうちにやっとかないとネ。

164 名前:tenpura ◆UMAIu01k:2003/07/03(木) 03:54 ID:9SbEgXo.

実はROMだけしていたりして。意味わかってなさそうな気がするが>自分
しかし、ウリのスレでは「あよえ〜〜〜」「もね〜〜〜〜」「ぬる○〜〜〜〜」ばかり
というのはスレ主の差を表すものと考察される(w。


165 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 00:40 ID:6nM3981c

ユネスコは、北朝鮮が求めていた高句麗古墳の世界遺産への登録を
中国の強い反対で見送った。ナイス!厨国(w
http://www.excite.co.jp/News/vnews/story_v?vid=777314&genre=world" target=new>http://www.excite.co.jp/News/vnews/story_v?vid=777314&genre=world

北朝鮮・高句麗古墳が世界遺産に
http://tmp.2ch.net/test/read.cgi/asia/1057210624/l50" target=new>http://tmp.2ch.net/test/read.cgi/asia/1057210624/l50


166 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/04(金) 01:07 ID:EK3Fqj9Y

 悩んだって無駄よケセラセラ〜♪(セラセラ)

 てなわけで、今作っているcsvデータのサンプルでっす。区切り文字は
「∠」を使っていますが、これは私の趣味でして、気に入らない人は「,」に
置換すればそれでOK。つーか、区切り文字に「∠」を使っているだけで、
わかる人には個人の特定まで出来てしまうという諸刃の剣。素人には
お勧め出来ない(藁)。

001∠漢山州。∠漢州ハ、本高句麗ノ漢山郡ナリ。新羅取ル/v之ヲ。景徳王改メテ為ス/2漢州ト/1。今ノ広州ナリ。∠京畿広州郡広州面∠×∠×∠×∠×∠※漢語のみ
002∠国原城。{一ニ云フ未乙省。一ニ云フ託長城。}∠中原京ハ、本高句麗ノ国原城ナリ。新羅平グ/v之ヲ。真興王置/2小京ヲ/1。文武王ノ時築城ス。(中略)景徳王改メテ為ス/2中原京ト/1。今ノ忠州ナリ。∠忠北忠州∠国原=託長=未乙?(中:mιu∂i-・ιet);城(中:зιεη)=省(中:s^i¨Λη)∠ナシ∠ナシ∠ナシ∠※高句麗漢字音:城≒省?
003∠南川県{一ニ云フ南買}∠黄武県ハ、本高句麗ノ南川県ナリ。新羅并ス/v之ヲ。真興王為シ/v州ト、置ク/2軍主ヲ/1。今ノ利川県ナリ。∠京畿利川郡利川邑∠川=買(中:mai)≒武(中:mιu)∠古代日本語「mi1(水)」∠後期中世語「mщl(水)」∠中世蒙古語「mo¨ren(江・海)」;ツングース諸語「mu(水)」;満州語「mu-ke(水)」∠
004∠駒城{一ニ云フ滅烏}∠巨黍県ハ、本高句麗ノ駒城県ナリ。景徳王改名ス。今ノ龍駒県ナリ。∠竜仁郡駒城面∠駒=滅烏?(中:miεt-・o)∠ナシ∠ナシ∠ナシ∠※「滅烏」は「馬(中:ma)」の高句麗漢字音?→参考:呉音「メ」。※「黍」ー[禾/火](東)
005∠仍斤内郡∠槐壌郡ハ、本高句麗ノ仍斤内郡ナリ。景徳王改名ス。今ノ槐州ナリ。∠忠北槐山郡槐山面∠槐=仍(中:ni∂η);木=斤(中:kι∂n);壌=内(中:nu∂i)∠古代日本語「ki2〜ko2」;古代日本語「na(国・大地)」∠新羅語「nu¨(世)」;新羅語「nu¨ri(世)」;後期中世語「na-rah(国)」∠南方ツングース諸語・満州語「na(土地)」∠

 作業の方は現在60まで逝っておりますが、何か補うべき点とか、
問題点とかありましたら、ぜひ今のうちにアドバイス下さい。今なら
間に合いますので。なお、開拗音の2種の区別については、「i」と「ι」
で区別することにしました。以前は「yi」と「i」にしていたんですけどね。
変えた理由は単純に見た目なんですが、問題があるようでしたら、
どうぞアドバイス下さい。>日語商売さん

 現在、実家に戻っております関係上、作業は事実上中断しており
ます。期待しておられた方、誠に相済みません。戻り次第、作業に
再び取り掛かるつもりでおります故、しばしのご容赦を賜りたく。

167 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 10:52 ID:lrqIRCEc

日本語との対訳を先に完成させてしまえばいいのに。
どうせ朝鮮語の知識なんかないんだし、漢字音だっていいかげんなんだし。

168 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 13:28 ID:LkSEjV/Q

>>167
一般向けに出版してもらう時にはそれ考慮してもらいましょう。
つーか編集部の介入でそうなると思うけど(爆

169 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 13:43 ID:lrqIRCEc

一般もなにも、1が一般人なんだからそうなるだろ。

170 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 13:59 ID:lrqIRCEc

1. 山、高 | 達
2. 峰 | 述爾、首泥
3. 穴 | 甲比、甲
4. 谷 | 旦、呑、頓
5. 土地 | 内、奴、悩、那
6. 岩山 | 巴衣、波衣、波兮
7. 土 | 息
8. 堤 | 吐、土
9. 城 | 忽、溝
10. 水、川 | 買
11. 池、大池 | 内米
12. 海 | 波
13. 泉 | 於乙、伊梨
14. 穴 | 済次
15. 辺 | 加阿
16. 霜 | 薩寒
17. 影 | 奴音、奈
18. 木 | 乙
19. 木 | 盻
20. 穀物 | 仍伐
21. 根 | 斬
22. 松 | 夫斯、扶蘇
23. 柳 | 去斯
24. 柳 | 要隠
25. 蒜 | 買尸


171 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 19:29 ID:oQRxB9kI

26. 蕪 | 加支
27. 牛 | 首
28. 兎 | 烏斯含
29. 熊 | 功木
30. 白鳥 | 古衣
31. 猪 | 烏斯
32. 心 | 居尸
33. 口 | 忽次、古次
34. 足 | 廻
35. 角 | 次若
36. 翼 | 於支
37. 母 | 也次
38. 子 | 仇斯
39. 親戚 | 于尸
40. 隣人 | 伊伐支
41. 王 | 皆
42. 玉 | 古斯
43. 金 | 蘇文、須彌
44. 銀 | 折、召尸
45. 鉛 | 乃勿
46. 鉄 | 毛乙

172 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/04(金) 20:00 ID:oQRxB9kI

47. 犂 | 加尸
48. 斧 | 於斯
49. 冠 | 骨蘇、蘇骨
50. 三 | 密
51. 五 | 于次
52. 七 | 難隠
53. 十 | 徳
54. 善射 | 朱蒙
55. 文 | 斤乙
56. 重 | 別
57. 大 | 奈
58. 新 | 首
59. 長 | 主夫
60. 赤 | 沙非斤、沙伏

173 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/05(土) 02:00 ID:XHUkZODc

>169
>1が一般人だったら>34への登録はちょっと厳しいと思うけど?


174 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/05(土) 02:00 ID:XHUkZODc

>169
>1が一般人だったら>34への登録はちょっと厳しいと思うけど?


175 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/05(土) 02:00 ID:XHUkZODc

>169
>1が一般人だったら>34への登録はちょっと厳しいと思うけど?


176 名前:173-175:2003/07/05(土) 02:02 ID:XHUkZODc

重複書き込みすみません。専用ブラウザの不調みたいです。

177 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/05(土) 02:47 ID:u9yAWHpo

>>167が一般向けの定義とすると>>166=1はむしろ一般人でないことになる。
なのに>>169のつっこみは意味不明。
>>166-168の流れからすると文脈にあわない。


178 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/07(月) 09:35 ID:RKSdH1KM

朝鮮語の知識はないだろ。どうみても。
それに漢字音だって、少なくとも現代の諸方言の研究が反映されて
いない。

179 名前:娜々志娑无@帰省中 ◆NcNEDmUA:2003/07/07(月) 13:32 ID:K3yXpebs

>>178

 ども。そのように推測に頼らずとも、既に>>13でも白状しております
通り、私は朝鮮語はチョパーリ、シッパル、ウリナラマンセーといった
ハン板用語程度しか存じません。中国語の方にしても、大学時代に
第2外国語として中国語を学んだことがある程度でして、北京官話
すらほとんど話せないと来てますから、方言の知識などとてもとても。
そもそも私がこのスレを立てたのは、多くの人の協力を仰ぎたかった
からです。高句麗語研究は多方面の知識がどうしても必要になって
きますが、残念ながら私にあるのは微々たる日本語学の専門知識
のみ。一人ではどうにも手に負えませんので、こういうスレを立てたと
いう次第。幸い、中国語学の専門知識をお持ちで、朝鮮語も話せる
日語商売さんが協力して下さっていますから大いに助かっています
が、協力者は一人でも多い方がいいですからねぇ。もしあなたが
朝鮮語や中国語の方言について専門知識がおありでしたら、この
機会にコテハンを名乗られて、ぜひこのスレにご協力下さいましな。
仮に専門知識と言えるほどの知識がなかったとても、出来る範囲で
スレに協力しようというお気持ちさえおありでしたら、私どもは心から
歓迎致しますよ。

180 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/07(月) 15:36 ID:RKSdH1KM

要するに、自分の得意な分野に相手をひきこんで、
徹底的にやっつけたいということですね。
ま、学問系の板なら誰でもやっていることですからとやかくいいません。

181 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/07(月) 20:09 ID:RKSdH1KM

仮に専門知識と言えるほどの知識がなかったとても、出来る範囲で
スレに協力しようというお気持ちさえおありでしたら、

/

要するにこれがいいたかっただけなんだな。最悪の性格だ。
朝鮮語もわからないくせに朝鮮語学を騙るなって。
まあでも面白いからこのスレはロムらしてもらうよ。
人間は嫌いでも、スレを好きになるということはあるからな。

182 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/07(月) 20:15 ID:7F2A9ZDI

またぞろ嫌味な奴が来たな。

183 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/07(月) 20:38 ID:kn.Gh2ts

>>182
スレが荒れるから放置でえーんでないの?

ま一人くらいカキコしないと先生も大変か(w

184 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/07(月) 23:15 ID:2UCCpbrk

>>181

 あちゃ〜。そのように受け取られてしまいましたか。何らかの専門知識が
ないとこのスレに書き込む資格はありまへんで、という風に受け取られても
困るなぁと思ってあのような補足を致しましたが、かえってあだになったよう
ですね。この機会に協力者を増やしたかったのですが、残念。まぁROMは
されるとのことですので、2ちゃん流に言えば生暖かい目でスレの成り行き
を見守っておくんなさいましな。

 それにしても、最悪かどうかはともかく、私の性格が悪いというのはご明察。
正直、研究者なんて少々性格が悪くなければやってけませんって(藁)。
でも、私程度があなたの生涯で出会った最悪の性格だとしたら、あなたは
これまで随分お幸せな人生をお送りのようですな。実に羨ましい。

>朝鮮語もわからないくせに朝鮮語学を騙るなって。

 旦那、高句麗語研究が朝鮮語学の領域に属するもんかどうかはまだまだ
わかりやせんぜ( ̄ー ̄)。

185 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 01:36 ID:SRuKq5MA

>>181
>朝鮮語もわからないくせに朝鮮語学を騙るなって。

お里が知れます(w

186 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 09:34 ID:OBpRqkRY

>>185
どうお里が知れるんだか。ナジェ〜
モンゴル語も女真語もわからないやつが、鮮卑語の研究を
やってたらバカだと思わないか?
1がやってるのはそれと同じこと。

187 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 10:29 ID:HQu5ETOM

>>186
 あなたのようなのがたまる場所が象牙の塔ですね。
 勉強になります。


188 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 10:53 ID:OBpRqkRY

いや、1がいるのが象牙の塔では?

189 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 11:01 ID:6iTbfPw.

ROM 電子会議室、電子掲示板等の、不特定多数に公開されている場所に書き込まれた発言を見る(読む)だけで、それに対して意見やコメントを述べるなど、自分からは発言を行おうとしない(情報を発信しようとしない)人たちのこと。

190 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 12:09 ID:OBpRqkRY

私は荒らしていたのとは違う人ですが。
学者の卵程度でも、ネット上では自分のことを学者だっていうんですね。

191 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 12:54 ID:XfMheVS6

バカなことをしてはいけないのか?
恥ずかしいことはしてはいけないと思うが。


192 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 13:13 ID:eLqTY.WI

なんだか、必死な人がいますね。
最近、こういう人を良く見るんですよね。
ハン板のストローとか。

>181 名前:名無しさんはポシンタン [2003/07/07(月) 20:09 ID:RKSdH1KM]

に対して>>185のレスがつき、

>186 名前:名無しさんはポシンタン [2003/07/08(火) 09:34 ID:OBpRqkRY]
>>>185
>どうお里が知れるんだか。ナジェ〜

というレスを返しておきながら

>190 名前:名無しさんはポシンタン [2003/07/08(火) 12:09 ID:OBpRqkRY]
>私は荒らしていたのとは違う人ですが。

ですか・・・。ひょっとして、中の人が(ry
それと、娜々志娑无 ◆NcNEDmUA 氏は「研究者」とは書いておられますが
「学者」とは書いてませんよ。日本語が不自由な方ですか?ああ、そうですか。



193 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 13:38 ID:OBpRqkRY

あのねぇ。学者と研究者にどれほどの違いがあるのさ。
おまえこそ必死だな。放置して高句麗語のことでもかきゃいいのにさ。ばかぁ?

194 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 13:59 ID:HQu5ETOM

まあいいや、OBpRqkRYは放置の方向で、突っかかってきたら

 「必死だな」

の一言でお願いします。


195 名前:名無しさん:2003/07/08(火) 14:00 ID:g75pJNWs

>>193 だまってROMに徹してろ。

196 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 14:14 ID:CUMSmH46

あんた警察?なんであんたが他人に命令できるわけよ?
スレ守るために必死だな。195が実は嵐さんだろ。

197 名前:185:2003/07/08(火) 17:15 ID:5.muSm2k

>>196
スレ荒らすために必死だな(爆
なんで荒らしたいのかよくわかるよ、うん、うん。

198 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 18:16 ID:UWl.ef3.

お前もスレ守るために必死だな。
なんでかわからないけど、連帯感すら感じるよ。うんうん。

199 名前:197:2003/07/08(火) 18:39 ID:00/b3Uzc

いや、ぜんぜん守りたくないな。
スレを守りたいならオマエごときヘタクソな煽りはスルーするだけのこと(w

荒らしが来るからハン板だの日本史板だのあちこちで宣伝するなと奈々誌場為しにはいったんだが、
人を集めたいとかアホなこといって耳を貸さなかったんだから自業自得だろ。
こうなるのはわかっていたし、あとはお前と遊ぶだけだ(w


200 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/08(火) 18:50 ID:UWl.ef3.

よし、遊ぼうぜ。高句麗語でしりとりでもやるか。

201 名前:娜々志娑无@帰省中 ◆NcNEDmUA:2003/07/09(水) 00:15 ID:AUbZfjP2

>>125 日語商売さん

 実家に帰省している間は辞書類を利用出来ませんので、この週末は
仕方なく原文を入力する作業の方を先にしていたのですが、その過程で
李基文が「三陟郡ハ本悉直国」の例を新羅語の数詞として扱いたがら
なかった理由がようやくわかりました。とりあえず原文を示しますね。

 (1)三陟郡ハ本悉直国ナリ。婆娑王ノ世ニ来降ス。智證王六年、梁ノ天監
   四年ニ為ス/v州ト。以テ/2異斯夫ヲ/1為ス/2軍主ト/1。景徳王改名ス。
   今因ル/v之ニ。(巻三五)
 (2)悉直郡{一ニ云フ司直}(巻三七)

 この悉直国、東洋文庫の井上秀雄の注によれば、今の江原道三陟郡
三陟邑に比定されているのですが、そこは実は旧高句麗の領域内なの
です。旧高句麗領の地名は高句麗語を反映しているというのが李の見解
ですから、それに従えば「3(siet)」は高句麗語ということになり、非常に
(゚A゚)マズーなわけですね。まぁ巻三五の書き方は、高句麗領の郡県に
対しては「〜郡ハ本高句麗ノ〜郡ナリ。」と記すのが原則ですので、(1)の
ような「本悉直国ナリ。」という記述は明らかに異例であることも確かです。
従って、(1)は悉直国であり高句麗ではないから「三陟」も高句麗語の
訓読表記地名ではないのだ、と言い逃れをすることも出来なくもないです
が、巻三七の高句麗州郡県百六十四の中に「悉直郡」として登場すること
もまた確かなわけで、非常に苦しい言い訳であると言わざるを得ませんね。

202 名前:娜々志娑无@帰省中 ◆NcNEDmUA:2003/07/09(水) 00:20 ID:AUbZfjP2

(続き)
 このことと関連してもう一つ指摘しておかなくてはならないことがあります。
実は巻三五と巻三七、内容的には大体対応するのですが、よくよく見比べて
みますと、同一地名であっても漢語表記の異なるものが結構あるのです。
とりあえずアルファベットの大文字を訓読(漢語)地名、小文字を音読地名と
して表わすと、

 ・A県ハ本高句麗ノa県ナリ。(巻三五)
 ・a県{一ニ云フA}(巻三七)

のような書き方であれば、漢語地名Aも音読地名aもともに間違いなく高句麗
時代の地名であると判断出来ますが、

 ・A県ハ本高句麗ノa県ナリ。(巻三五)
 ・a県(巻三七)

だと、a県はともかくA県はもしかすると高句麗時代の地名ではない可能性が
出てきますし、

 ・A県ハ本高句麗ノa県ナリ。(巻三五)
 ・a県{一ニ云フB}(巻三七)

のような例だと、aとBが高句麗地名であることは確かめられても、Aが高句麗
時代の地名であるかどうかはかなり怪しくなってきます。李が『韓国語の形成』
において巻三五よりも巻三七の方を高句麗語の基本資料とすべきであると論じ
ていたのもそういう理由からであったことが、実際に原文を見比べてみたことで
ようやく合点が行ったという次第です。

 もう一度まとめておきますと、巻三五に登場する訓読(漢語)地名は、巻三七
の裏付けがあるものについては高句麗時代のものとして認めてまったく問題
ありませんが、巻三七の裏付けがないものについては、高句麗時代に命名され、
それが統一新羅時代にも使われ続けたものなのか、それとも統一新羅時代に
高句麗地名に新羅語語彙をあてはめたり、または高句麗地名とは一切無関係
に付けたりした地名なのか、その辺をきっちりと判別することは難しいということ
です。もし前者であれば高句麗語資料として高句麗語の音読地名と対比して
高句麗語を再構するのに使えますが、後者の場合はむしろ新羅語を再構する
資料ということになってしまうわけですね。(1)の悉直国=三陟郡などは恐らく
後者の例ということになるのでしょうが、ただそのことをしかと明言出来る証拠
がないので、李は(1)を新羅語数詞「3」の反映例として扱うことに躊躇したのだ
と思うのです。

 ともあれ、この辺の資料性の違いを考慮に入れていなかった村山七郎や
我々は、李から「資料の扱いがぞんざいニダ! 反省しる!」と批判されても
やむを得ませんな。日語商売さんもウリと一緒に反省汁を飲むニダ!(`Д´)ノ旦

203 名前:娜々志娑无@帰省中 ◆NcNEDmUA:2003/07/09(水) 03:47 ID:AUbZfjP2

       ∧         ∧
        / ヽ        ./ ヽ
     /   `、     /  `、
    /      ̄666 ̄    ヽ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    /:::::::::             .\  <  性格の悪いウリと一緒に反省汁を
   /:::::::::: ヽ-=・=-′ ヽ-=・=-′ /   |  飲んでくれる人を募集中ニダ〜
   ヽ:::::::::::::::::   \___/    /     |  ウリはじぇったい諦めないニダ゙〜
    ヽ:::::::::::::::::::  \/     /     \_____________

204 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/09(水) 09:28 ID:E1F9SBJM

>>203
うるせえんだよ。おれと199の関係に口をはさむんじゃねえよ!
てめえは黙って高句麗語について書いてりゃいいんだハゲ!

205 名前:日語商売(休業中):2003/07/09(水) 09:58 ID:fFcSaJ8k

>>201-203
こんな深夜に何してはるんですか先生?w

うむむ・・・資料の扱いが難しいところがあったのですな・・・。
とりあえず、巻三五と巻三七の整合性が良いところから攻めていかないとだめかも・・・。

悉直国=三陟郡について、てっきり新羅地名と思ってきましたが、
実際には高句麗地名の可能性もあったのですね・・・。
そもそもこの国の原住民が韓系か夫余系かわかりませんし。

けっこうクリアしなければいけない問題が多いですね。
というわけで反省汁の御相伴・・・ンアァ(; ´ Д `)ノ旦

206 名前:日語商売(休業中):2003/07/09(水) 10:13 ID:fFcSaJ8k

ところで、専門的な話になりますが、
『音声研究』7-1(2003-04)に福井玲氏の「朝鮮語音韻史の諸問題」という論文が載っています。
ここで問題になったようなことも話題になっているので、一度お読みになることをお勧めします。
当該誌にはその他にも印欧比較言語学、中国語音韻史、日本語音韻史、日本語アクセント史についても
トピックがまとめられた論文が載っていますので、お読みになって損はないと思います。
関係なさそうな分野でも、意外と自分の分野でも使える発想のヒントが隠れてたりしますし。

>>204
まぁ、茶でも飲んでマターリしる。
つ===~~旦

207 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/09(水) 10:23 ID:E1F9SBJM

>>206
ありがとよ!犬汁飲んで、朝から元気いっぱいだぜ!

208 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/09(水) 10:40 ID:AUbZfjP2

>>206 日語商売さん

 むぅ〜、調べてみたニダが、その雑誌は残念ながらウリの職場の図書館には
置いていないようニダ。国立情報学研究所のWebCatで調べてみても、その
雑誌を置いてあるところも近場にはないニダ。田舎はつらいニダね。てなわけで、
特に必要な部分だけで結構ニダから内容をうpキボンヌ。

209 名前:tenpura ◆UMAIu01k:2003/07/09(水) 15:58 ID:hhIaWpNc

>>203
反省汁オフ ニダか?
場所にもよりますが、参上しますよ(笑)。

210 名前:ケムール人 ◆9s/SSlUk:2003/07/09(水) 18:45 ID:zWt2ZgcU

>>208

offニカ?

211 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/09(水) 20:03 ID:.2AiOz8M

>>206
英語のほうではサイトー・メサド(笑
とかいうのもありましたね。

なんか人増えてきてる?2ちゃんからかな?

212 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/09(水) 21:46 ID:plsLlasI

悉直国が新羅に滅ぼされたのはかなり遅い時代でしょ。
もともと穢の地の一部だから、独立国としての悉直国は韓人でなく穢人とした方が蓋然性が高い。
穢は、古く3世紀の段階で、言語的には高句麗と類同、政治的にはすでに高句麗に属していたわけだから
「故の悉直国」と表現しても「元は高句麗の県」と表現しても、
少なくとも言語系統的には同じことでしょう。

213 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 01:21 ID:cplRAHhs

>>212

 私も悉直国自体は夫餘系の言語を話す人々が住んでいた国であると
考えておりますので、「悉直」という音読地名は高句麗地名と同様に
扱ってよいと思います。ただ、漢語地名の「三陟」の方は、『三国史記』
の記述を見る限りは、高句麗時代の訓読地名に由来するものではなく、
統一新羅時代になって初めて登場した地名であると解されますので、
高句麗語の再構にはちょっと使えそうにないですね。

214 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 01:45 ID:cplRAHhs

 ついでに経過報告でもしておきませう。現在、巻三七・三五の原文の
打ち込み&対照までは完了。高句麗地名は総数197になりました。
今はこのデータに漢字音や日韓の対応候補などの情報を付加する
作業をやっていますが、これが中々どうして結構時間がかかりましてね。
現在86まで終了。データを一通り完成させるにはもうちょい時間が必要
なもようです。早くて今度の日曜日くらいかなぁ。そんなわけで、もう
ちょっとお待ち下さいね。

追伸 みにふろのアップローダー、今停止中みたいですね。データの
うpには出来ればこちらを利用したかったのですが…。復活の見込み
はあるのでしょうか。

215 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 09:49 ID:0NAtaWFM

悉直を高句麗語地名と解釈するのもいいんですが、
新羅語からの借用と考えたほうが合理的ではないんですか?
あのあたりは江原道に属している今日でも慶尚方言区に
属していますし。

216 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 10:24 ID:cplRAHhs

>>215

 それが、悉直国の近辺に東吐県(江原旌善郡臨渓面)という高句麗地名
独特の地名要素「吐(=堤)」を持つ地名がありますし、もっと南方にも
也尸忽郡(慶北盈徳郡盈徳面)という、これまた高句麗地名独特の地名
要素「忽(=城)」を持つ地名がありますので、一概に新羅語優位の地域
とも言えそうにないんですよね。ただ、この地域は波且県(慶北蔚珍郡
遠南面徳新里)と波利県(江原三陟郡遠徳面湖山里)という、新羅語
patっr(海)と関連付けられる「波(=海)」という地名要素を持つ語が
ここだけに集中して現われるという特徴もありますので、これを新羅語
などの韓系言語に由来するものと捉えることが出来れば、高句麗語の
「内米(=池。本来は大きな水、即ち海の意?)」とバッティングしないで
済みますから、個人的には大変好都合ではありますが(^^;。

217 名前:日語商売(休業中):2003/07/10(木) 12:07 ID:KCOKPw4Q

>>208
あちゃ、置いてませんでしたか。
まぁ日本音声学会というマイナーな学会の機関誌ですからね。
(実はここ7、8年前まではワンマン会長のもと、まるで挿花みたいな(ぉぃ)学会でしたが
その会長がくたば、もとい没後まともな学会になりましたとさw)

目次等はこちらを御参照下さい。
http://www.psj.gr.jp/" target=new>http://www.psj.gr.jp/

で、当該の論文ですが、トピックだけ軽くご説明します。
1.中期語の子音体系
(1)いまの濃音は中期語では二重もしくは三重子音で表記される
これらの子音(複子音)には、sg-, sd-, sb-; bd-, bs-, bj-, bt-;bsg-, bsd- があります。
(g, d, j, b は平音すなわち無気音、k, t, c, p は激音すなわち有気音を表す、以下同じ)
この複子音がどのように発音されたかには、次の2説があります。
 a. s で始まるものは濃音を表し、b で始まるものは b をそのまま発音した
 b. すべてそのまま発音した
福井氏は b. の立場です。
(2)いまの激音の中には、中期語では平音であったものもある
平音→激音の変化を受けたものの中には語末に/h/があったものが多く、その影響であるようです。
(3)有声摩擦音/β,z、γ/があった(γはゼロ子音を表す○で表記され区別されない)
これらは多くは/b, s, g/が有声音間で弱化したものに由来するようです。
(4)音節末ではsも発音された(現代ではtと発音)。
(5)語幹末には/h/もあらわれた。ただし単独形では表記されず、助詞が付いた時のみ現れた。

2.中期語の母音体系
中期朝鮮語の母音体系は推定音価と、母音調和現象がうまく噛み合わないので、
母音推移が起こったとかいろいろ解釈されてきましたが、
最近では舌根部が前に出るか、奥に引っ込むかで解釈する説が有力になっています。
これによると陽母音/∧,a,o/は舌根が奥に、陰母音/щ,∂,u/は舌根が前に寄った母音と規定できます。

3.中期語のアクセント(声調)体系
ここにあまり関係なさそうなので、平声(低調、無点)、去声(高調、左1点)、上声(上昇調、左2点)
があったこと、昇り核アクセント体系だったことをのみ記しておきます。

218 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 12:50 ID:d1WTvisU

>>217 日語商売さん

 ありがとう御座います。中期朝鮮語の子音体系については、私は李基文の
説(彼は(1)についてはaの立場)しか知りませんでしたので、勉強になりました。
あの間のsをそのまま発音していた可能性があるとは…。江戸時代に日本に
来た朝鮮通信使の言語を日本人が記録したものの中に、トック(餅)のことを
シトクと記しているという話を聞いたことがありますが、もし福井氏の説通りなら
これもその証拠ということになるかも知れませんねぇ。私は一種の綴り字発音
で、ハングル通りに読んだものだと思っておりましたが…。

219 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 12:55 ID:d1WTvisU

>>216

 思うに、悉直国やその周辺は旧高句麗領の中でも南方に属していますので、
このあたりは夫餘系の話者と韓系の話者がモザイク状に入り混じっていたの
かも知れませんね。わずか1例ずつですが、「吐(=堤)」や「密(=3)」が弁韓
の領域にも見えることも知られていますから、その逆だってあってもおかしくは
ないです罠。

220 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 13:47 ID:0NAtaWFM

>>219
ありがとうございます。ついでに満朝にまたがる「ぷよ」という
地名については意味は明らかになっているのでしょうか。
思うに部族名であるので、はっきりした意味は不明になって
いるのではないかと思いますが。

221 名前:日語商売(休業中):2003/07/10(木) 14:32 ID:KCOKPw4Q

>>217のつづき
次の部分で、中期語からさかのぼって古代朝鮮語、朝鮮語の祖語の話になります。
1.複子音の起源
これらはCVCV→CCVの変化により生じたようです。脱落した母音はщ、∧が考えられていますが、
iの場合もあったようです。また bs- が語頭にあるものは、「壊す」という意味のb∧s∧-,b∧zγ-が
前接して弱化したもののようです。
2.激音の起源
これは語末のhの影響や、複子音同様にhVCV→hCVの変化により生じたものが相当あるようです。
いつごろから激音が韓国語にあるかについては、中国語の無気音/有気音の区別が朝鮮漢字音の中に
不規則な形で反映されていることから、漢字音導入時にはなかったとする説と、
不完全ながらも反映されているので漢字音導入時には既にあったとする説があります。
3.有声/無声の区別は存在したか
これは内部証拠で有力な説がないのですが、李基文はアルタイ祖語の有声/無声の対立が
早い時期に合流したと考えています。
福井氏は祖語に有声/無声の区別があったのかについては態度をはっきりさせていません。
ただ、日本呉音は半島から伝わったものとされているが、有声/無声の区別が朝鮮語になかったならば
中国語の清濁の対立を取り入れられなかったはず、とのよし述べています。
4.体言語末の/h/
この起源は今のところ不明。一部は k, g のような子音の名残りか?
先日私が >>141で取り上げた数詞3,4の異形態(先日『李朝語辞典』を入手して調べたところ、
やはり中期語にもありました)も、hの元になった子音の名残りかもしれないとのこと。
5.複雑な語末子音
語幹末には単純な子音だけでなく、複子音や激音のような「複雑な」子音も現れますが、
これの起源も不明。
6.アクセントの起源
これも詳しくは割愛しますが、上昇調や語頭の高調が2音節の短縮に由来すること、
古くはアクセントが弁別性を持たなかったことのみ記しておきます。

>>218
ttokをシトクと表記した資料がありますか。ならば文字どおり発音していた傍証になりますね。
これって日本語のシトギ(粢、団子)と関係あるんでしょうかねぇ?

222 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 15:37 ID:0NAtaWFM

アイヌ語:sito

これは借用語なんだろうなぁ・・・

語末子音が複雑なのはモンゴル語で、ツングース語は逆に単純で
あるものが多かったはず(今の朝鮮語程度に)

有気無気の対応は、たとえば[k']があらわれるのが「快」の一字に
ほとんど限られていたり、p-p'などで特に混同が著しいことから、
今ある有気無気の対応のすべてが存在していたわけではなく、
部分的に存在していたと考えうるのでは。

古い朝鮮語に有声無声が対立したか否かは、
ch'up-ta > ch'uweo (寒い−寒くて)
chop-ta > choba (狭い−狭くて)
のように、ピウプ変格活用とティグッ変格活用にその痕跡が
見られるという説があります。

223 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 16:10 ID:wbmkHE/M

第1案)あのへんは沿岸部なのだから、いってみればどこでも海なわけで
穢人ならば地域を特定するのに海を意味する地名はおかしくないかな。
あのへんは新羅系の漁民が住み着いて開いた土地だとすれば
本国から「海の向こう」「海を渡ったところ」という意味で
「海」という地名がついた理由になるし、新羅系の地名が孤立しているわけもわかる。
あるいは6世紀後半の真興王の北方発展と関係あるかも。

第2案)名前は忘れましたが、有名な学者で、
于珍也県(3世紀の優中国)と波旦県の隣接する2県は
秦(ハダ)氏=太秦(ウツマサ)の元の居住地とみて
倭王武の上表にあらわれる「秦韓」をここに比定する説があります。
(別の学者から珍説として退けられたそうですが)
魏志韓伝の秦人流入説が正しいとして「波旦」は高句麗語でも新羅語でもない
第3言語だったのでは?新羅人が改名する時に元の意味が不明だったので
新羅語の似た言葉を引き当てて「海」と解釈した。

224 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 16:27 ID:wbmkHE/M

弁韓の「吐」や「密」は高句麗語経由でなく、日本語では。
あるいは直接に共通祖語からきてるんじゃないの?

    ┌→高句麗語
共通祖語┼→倭語
    └→弁韓残存地名

225 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 17:04 ID:d1WTvisU

>>220

 調べてみましたが、夫餘の語源はわかりませんでした。ネット上では、

http://village.infoweb.ne.jp/~rosetta/wissenshaft/wa.html" target=new>http://village.infoweb.ne.jp/~rosetta/wissenshaft/wa.html

に「聖山もしくは聖獣である「鹿」の意味」とあるのを見つけましたが、それを
裏付けるものが見当たらないんですよね。もしかするとこの説は、夫餘(扶餘)
の別称として「貊」が用いられているので、そこから生まれた説なのではないか
という気がします。ちなみに、『後漢書』の注には「貊」は大きさは驢馬程度で、
形は熊に似、力が強く、鉄を食らう獣と記されているそうです(『大漢和』より)。

226 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 17:06 ID:d1WTvisU

>>221 日語商売さん

 ttokの話は、本家でトック=しとぎ説を唱える方がいて、その方が例として
出されたものでして、私自身はそれをまだ確認したわけではありません。
今過去ログを検索して調べてみたら、以下のようにありました。

「延享宝暦度朝鮮人来聘記」によると、通詞言葉の記録があり、
日本語の「餅」に対応する朝鮮語は、「ステキ」と聞こえたようです。
…「朝鮮通信使の饗応」高正リ子p161

 う〜ん。やっぱり記憶だけに頼るとあきまへんな(^^;。シトクではなくステキ
だったとは。ただ、延享宝暦と言いますと、18世紀中頃ですから、中期語と
いうよりはもう近代語に入っている時期ですしねぇ。そのsがかつて実在した
としても、本例の場合は時期的に見てちょっと遅過ぎるのではないでしょうか。
個人的には、朝鮮通辞が意地悪く綴り字発音を教えたか、乃至はシルトック
(蒸し餅)のことを指していたのではないかという気がするのですが、或いは
方言では遅くまでsが残っていて、たまたまそれが記録されたとか、そういった
特殊な事情があるのかも知れません。

227 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 17:22 ID:d1WTvisU

>>223-224
>魏志韓伝の秦人流入説が正しいとして「波旦」は高句麗語でも新羅語でもない
>第3言語だったのでは?

 『三国志』の「秦人」云々を信じるならば、第三の言語候補としては、
中国語の一方言ということになるんでしょうかねぇ。

>弁韓の「吐」や「密」は高句麗語経由でなく、日本語では。

 古代における弁韓地域と倭との交流を思えば、そう考えたくもなり
ますし、「密=3」などはいかにも都合のよい例なのですが、「吐=堤」
の扱いが難しいのですよ。>>18にもありますように、こちらは日本語
に対応するものが挙げられないので。強いて言えば「ツツミ(堤)」なの
ですが、本語は「包む」から来ていることがわかっているので、ちょっと
挙げづらいんですよね。

228 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 17:39 ID:0NAtaWFM

日本語の地名で「〜戸(と)」というのは良くある。
「入り口」などという意味で従来は解釈されているけど、
堤の意味で解釈できるものもあるのでは。

229 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 17:45 ID:0NAtaWFM

http://www.fortunecity.com/victorian/twain/1279/royalhouse/Korean/Koguryo.htm" target=new>http://www.fortunecity.com/victorian/twain/1279/royalhouse/Korean/Koguryo.htm
高句麗語の語彙集(中国のサイト)
The language of Koguryo (Meguri)

Meguriとは?

230 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 17:46 ID:0NAtaWFM

すまん。229のサイトに、ノートンが反応しまくってる・・・
アクセスしないでください。

231 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 17:49 ID:0NAtaWFM

と思ったけど、やっぱり大丈夫らしい。

232 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/10(木) 18:14 ID:d1WTvisU

>>229

 うおお〜ん。もう既にこんなサイトがあったとは…dる6。

Meguriは高句麗語の呪文を唱えた!
娜々志はやる気が65535下がった!
娜々志は光の中に消え去った!
娜々志は死んでしまった!

〜〜〜〜レ ク イ エ ム〜〜〜〜

コマンド?

やめる△
続ける

233 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 19:08 ID:TVz8oqIo

そういえば、英語その他での、高句麗の一般的名称ってなんだろう。
やっぱKoguryo / Koguryeo なんだろうなぁ。

中国のGaogouliはあまり使われてないようだし。

234 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 19:10 ID:TVz8oqIo

ええっと、上のサイトから「相関連結」でリンクページに飛ぶと、
スクリプトが貼ってあるようなので、そこだけリンク禁止で
おながいします。

235 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 19:17 ID:TVz8oqIo

中国のサイトと思わず書いてしまったけど、台湾なのかな?
実はよくわからない。

236 名前:日語商売(休業中):2003/07/10(木) 20:52 ID:KCOKPw4Q

>>222
あるいは、中国語と朝鮮語で無気音・有気音の質が違っていたのではと考えたこともありました。
例えば、朝鮮語の有気音の方が中国語の有気音より強く発音され、とくに kh で強かったので、
中国語の kh は韓国語では k に聞こえた、こんな風に。
ただ、中期語では固有語でも激音が現れる語彙が少なくて、特にkhで始まるのは数語しかないんですよね。
あまりに分布がいびつなので、もしかすると一種の2重子音だったのかもしれないと思ったりしてます。

p-ph の混同については変な特徴があって、例えば中国原音で pa でも pha でも朝鮮漢字音では pha になる、
というように、頭子音の気音の有無しか違わない漢字音は、朝鮮漢字音では同じになってしまうことが
多いのです(このとき p になるか ph になるかは一定してません)。
なぜこんな現象があるのか、河野六郎氏もわからないと言っています。

p変格活用やt変格活用に痕跡を求める説もあるのですね。
これについてはアクセントや長母音の痕跡で説明していたものを読んだ覚えがあり、
それでいいものと思っていましたが、この説にも膝を打ちました。

237 名前:日語商売(休業中):2003/07/10(木) 21:07 ID:KCOKPw4Q

>>229
おおう!これよく見たら、以前あっしがブクマクしておいた「大金帝国文字網站」の一部ではありませんか!
ここ満州語を中心に、トルコ語、モンゴル語、ツングース語、朝鮮語、日本語、琉球語などの
資料を載せてるたーいへん重宝するページなんですわ。
ただ、サイトマップを例の怪しいスクリプトのあるリンクページと兼用している
(マカーなので気にせず悠々アクセスしてましたが大丈夫ですた)のと、
サイトを作ってる人がよくわからんのが痛恨ですな。

238 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 22:02 ID:37DaTcbs

>>227
「吐」(=堤)は水を止める、水止めの「と」ではないかな。
つつみ(堤)は国内独自に発生した派生語ということで。

239 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/10(木) 23:38 ID:d.Hfkrso

>>229, >>232
そのサイトなら一年近く前に言語系電波スレで紹介した記憶があったりします。
http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=korea&key=1010584644&st=459&to=459&nofirst=true" target=new>http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=korea&key=1010584644&st=459&to=459&nofirst=true
いや、それが言いたいんじゃなくて、
このページみたいにHTMLでデータを公開したら便利だと思うんです。
掲示板の過去ログやCVSでは何かと不便ですから。

240 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/11(金) 00:03 ID:36G9raO.

>>239

 失礼しました。既にあのスレで紹介下さっていたところのですね。あの当時は
これほどまで高句麗語に入れあげることになるとは夢にも思っていなかった
もんですから、すっかり見落としておりました。

>このページみたいにHTMLでデータを公開したら便利だと思うんです。

 >>232ではああ言っておりますが、作業は続けております。幸い、あの程度
ではとてもとても高句麗語の全データを網羅したとは言えないということが、
実際の作業を通して十分に理解出来ましたから。今回作成したCSVデータは
勿論公開するつもりですが、html化した方がいいですかねぇ。まぁとりあえず
データを完成した上で(ここ重要)、改めて皆様にご相談するつもりですが。
現在120。金土の2日間で何とか完成にまで持って行きたいですね。

241 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/11(金) 09:45 ID:DMy0WEns

>>236
朝鮮漢字音で h で始まるものが、日本ではことごとく k になっている
ことからも、かつてのヒウッはモンゴル語のような強い喉音だったんでしょうね。
今じゃ随分まろやかな音になりましたが。語中じゃ脱落するし。

有気無気の混同は、やっぱり層の問題としてとらえるべきなんでしょうね。
古い時代にはすべて無気音として漢字を導入していて、新しい時代には
それらを弁別できるようになった。

そのわりには古い時代に受け入れたはずの文字「八」に p' が
あらわれているんですが・・・もしかして上古音のbrad*までさかのぼる
形・・・?w
打 [t'a] 双 [ssang] 氏 [ssi]
なんてのも気になる。氏は -s-si > ssi という変化もありえるけど、
意味が音に変化を及ぼした例ではないだろうか。

242 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/11(金) 10:53 ID:DMy0WEns

「つつみ」の意味である「土、吐」が、日本の地名に取り入れられている
可能性はないものか。土、吐、戸は全部乙類のト。

ト[戸、門]そのものの使い方としては 角川古語大辞典では
1 家の外郭にある出入り口。
2 山と山とが迫って門のようになっている地形の所
3 岸と岸とが迫って門のようになっている地形の所。瀬戸。
4 出入り口・門・窓などに建てるもの。戸。

このうち2、3が高句麗語が化石語的に残ったものである可能性があるとすれば、
「江戸」も高句麗語の地名だ!w

ちなみに「トビラ」の意味の新羅語は「ト」だったような。

243 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/11(金) 12:37 ID:xVi2q..U

>>242

 それは加羅語じゃありませんでしたっけ。原文ではまだ確認出来て
いませんが、『三国史記』に、

   栴檀梁 城門名 加羅語謂門為梁

てぇのがあるそうですよ。「梁」は朝鮮語の訓読字で「dol」と読むので、
加羅語では「門」のことを「dol」と言っていたことがわかります。李は
本語を日本語の「ト(戸・門)」や満州語「duka(門)」などと対比させ、
かつて弁韓に夫餘系の言語を話す集団がいたことの証拠の一つと
しています。

244 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/11(金) 20:23 ID:PywS.JR6

同じ話題ばっかり引きずって申し訳ないのですが・・・

「登戸」なんて地名は、くさいと思ってしまうのです。
近くにある駅は「稲田堤」だし。

245 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/11(金) 23:53 ID:36G9raO.

 根を詰めて作業した結果、予定よりも早く、本日のうちに完成しますた。
さすがに疲れますた。仮データとは言え、簡単に見直しをしておきたいの
ですが、今日はもうだめ。目がしょぼしょぼしているし、根気も続きません。
そっちの方は明日にして、今日はもう上がります。

 ところで、みにふろアップローダーは相変わらず使えないようなんです
が、どっか適当なアップローダーはありませんかねぇ。

246 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/12(土) 10:17 ID:W9EG4h4w

>>245
ここは?
http://up.isp.2ch.net/upload/c=03okari/index.cgi" target=new>http://up.isp.2ch.net/upload/c=03okari/index.cgi

247 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/12(土) 13:40 ID:RdLLqDWg

>>246

 ありがとうございます。早速投稿しますた。

http://up.isp.2ch.net/up/3ae493f18633.lzh" target=new>http://up.isp.2ch.net/up/3ae493f18633.lzh

まだまだ荒削りなデータでつが、皆さんとのやり取りの中で磨いて
行ければと思っておりまつ。データはcsv形式ですから、お手持ちの
データベースソフト(エクセルとか)に読み込んで頂ければ見やすく
なると思いまつ。もしその手のソフトをお持ちでない場合は、

ttp://hp.vector.co.jp/authors/VA015850/software/camellia.html

上のフリーソフトが中々便利なようでつ。では、ご意見ご要望など
お待ちしておりまつ。

248 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/13(日) 12:29 ID:3CRrBhXE

とりあえずおつかれさまです。あとで見てみますね。

249 名前: :2003/07/14(月) 04:33 ID:Hxw/bdZE

落とせませ〜ん。(汗)

250 名前:223:2003/07/14(月) 05:57 ID:6eBJAAoA

>>223
>名前は忘れましたが有名な学者で

↑思い出しますた。山尾幸久だた。

>>225
夫餘は、匈奴(フンヌ)、狛、貊、発、(すべて北方の異民族)と同語源では。
ハヤトとも関係あるかな。

>>227
中国語の一方言というとあまりに多様すぎて特定したことにならないように思うのですが。
それで韓に流入した秦人の言語ですが、前漢時代の長安方言(秦語)とする説が一応、
穏当ではありますが、中国には、何か得体の知れない少数異民族と混淆した少数方言が
やたら存在したのではないかと思いますので、それを考慮するとお手あげです。
私が「第3言語」といったのは「とにかく高句麗語ではないので詮索を断ち切りましょう」
というニュアンスもあります。



251 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/14(月) 09:27 ID:myJTlJJE

>>250
東夷語という可能性はありますな。
チベット・ビルマ系といわれますが。
朝鮮語の基礎語彙になんとなくチベビ系の香りがするのはそのせいかも。

252 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/14(月) 13:50 ID:PbtsJoJA

>>249

 あれれ。確かにもう落とせなくなってますねぇ(汗)。落ちるのが早いなぁ。
ほかにどこか適当なアップローダーをご紹介頂ければ再うpしますが。
ただ、今後頻繁に改訂することを考えたら、Geocitiesの垢でも取って
そこにうpするようにした方がいい鴨知れませんね。

253 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/14(月) 14:24 ID:PbtsJoJA

 Geocitiesの垢を取りますた。

ttp://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/5420/

 高句麗語ファイルのurlは以下の通りでつ。

ttp://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/5420/koukurigo.lzh

254 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/17(木) 01:50 ID:CbQcaBek

 何かこちらは急激に閑古鳥が鳴いておりますなぁ(泣)。
もしかして、気付かないうちにとんでもない地雷でも踏んで
しまったのか知らん。

 ともあれ、現在の活動報告でもしてお茶を濁しておきますか。
現在、私は百済地名に対しても高句麗地名と同様のデータを
作成中です。景徳王時代の新羅の地名命名方針は、旧高句麗
領も旧百済領も基本的に同じはずですから、百済地名も少しは
参考になるのではないかと考えて始めたわけですが、ちょっと
調べてみただけでも、なかなかおもしろい結果が出てきますた。
まぁ具体的なことはデータが出来上がってから指摘したいと
思っていますが、現段階で言えることは、新羅の地理誌(巻34
〜36)にのみ登場し、高句麗及び百済の地理誌に相当する
巻37には登場しない漢語地名、言い換えれば、高句麗や百済
の時代に既に存在していたかどうか判別出来ない地名は、原則
として新羅語が反映したものとして扱った方がよいのではないか
ということです。>>201-202でも指摘しましたが、やはり高句麗語
や百済語を再構する上では、巻37を中心資料とし、巻35や
巻36はあくまでも補助的資料としてとどめておくのがよいよう
に思われます。残念ながら、過去に先学によって再構された
高句麗語語彙の中にも、この種の新羅語語彙がいくつか含まれ
ている可能性が高いと推測されますので、日韓両語と高句麗語
との関係を正確に把握するためには、まずはこの種の不純物
(高句麗語の皮をかぶった新羅語)を徹底的に除く必要がある
でしょうね。尤も、実際問題としてはそう簡単には行かない場合
も少なくないでしょうがね。

255 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/17(木) 09:49 ID:hUlWmSLM

その場合の「漢語地名」というのは、
原則的に新羅語の訓で読まれていたという意味ですね。
朝鮮の中に楽浪などの漢人が定着して、漢語地名が定着したという
例などはないでしょうか。秦人というのも、単に韓からみた「中国」の
というだけの意味であって、実際は漢王朝の時期に定着した人々
という考えはできないでしょうか。

256 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/17(木) 10:03 ID:e5cSs2Gk

>>254
早速頂きました。多謝!多謝!
それにしても、「性格が悪い」と言われた事がこたえたようですな(笑。

257 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/18(金) 00:21 ID:VPkw/3Yo

>>255
三国志の韓伝にあらわれる秦人に限っていえば、実は楽浪以下四郡設置にともなって
やってきた植民中国人(長安(=秦)の言語を標準語とした前漢代の中国人)とする解釈が
もっとも妥当な感じがする。
しかしそれなら弁韓・辰韓に一般的な人々として存在してもよさそうに思う。
実際にはそれらの漢人(楽浪系ではなくて真番郡時代の中国人)は
先住民に早くから同化されてしまったわけで、
それとは別個に「秦人」というマイノリティーが存在したようでもあり、
よくわかりませんね。もう残存史料の限界かと。

258 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/18(金) 07:36 ID:Mz.7XMlM

「もと高句麗の〜〜県」という表現だけど、
これは統一新羅の全9州が「三国統一によってできた」というイデオロギーのもとに
北部の3州を旧高句麗領、西部の3州を旧百済領と三分の一づつ機械的に割り振っただけで、
あんまり厳密に考えてもしょうがないんじゃないか?
実際には新羅語・百済語・高句麗語がもっと入り乱れているのでは。

それからずっと気になってたんだが、三国史記の「尸」は「シ」じゃなくて
「廬」に似た字の略字で音は「ル」でしょ。
「心岳城=居尸押」の「居尸」はコシじゃなくてコル(=こころ)
阿尸伽耶もアシカヤじゃなくてアルカヤ(安羅加羅)。

それから娜々志娑无先生のHPのトップにあるリンクに
「教えてくんスレ」も加えておいてほしいのですが。



259 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/18(金) 12:48 ID:FEM6qxrU

>>255
>その場合の「漢語地名」というのは、
>原則的に新羅語の訓で読まれていたという意味ですね。

 その通りです。ただ、そうやって一旦成立した地名はその後は原則として
音読されただろうと思いますが。

>秦人というのも、単に韓からみた「中国」の
>というだけの意味であって、実際は漢王朝の時期に定着した人々
>という考えはできないでしょうか。

 そういう可能性も十分にあると思いますね。三韓時代に朝鮮半島で使用
され、その後日本にも伝わった漢字音(古韓音)は秦代ではなく2〜3世紀頃
の漢代の漢字音であるという研究者もいるようですし。

260 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/18(金) 13:47 ID:FEM6qxrU

>>258
>これは統一新羅の全9州が「三国統一によってできた」というイデオロギーのもとに
>北部の3州を旧高句麗領、西部の3州を旧百済領と三分の一づつ機械的に割り振っただけで、
>あんまり厳密に考えてもしょうがないんじゃないか?

 実際に調べていくうちに、実は私もそんな気がしてきました(笑)。少なくとも
高句麗の南部の地名に関しては、高句麗語ではなく韓系の言語が反映して
いる可能性もカナーリありそうです。

>三国史記の「尸」は「シ」じゃなくて
>「廬」に似た字の略字で音は「ル」でしょ。

 李基文は『韓国語の歴史』で以下のように述べています。

   「尸」(中古中国音 si、東音 si)は、郷歌の「日尸」(nar 日)、「道尸」
   (kir 道)、その他の例でも見られるようにrを表わした。「叱」(東音c†r)
   は主として音節末のs表記に用いられ、「只」(中国中古音tsie、東音ci)
   は、新羅語表記ではkiを表わしたものと信じられる。(吏読の伝統でki
   と読まれていることが参考になる。)(中略)「尸、叱、只」等の音読の
   根拠はまだ明らかにされていない。「[方+(ム/ト)]」(引用者注:「彌」の
   略字)が実証するように、新羅語表記には略字が存在するので、これら
   も略字ではないかという仮説が従来あったが、このような仮説の証明は
   なされていない。

 私も「尸」は「屡(中:lιu)」、「只」は「枳(中:kie)」の略字ではないかと
疑っていますが、地名表記の「尸」や「只」の中にはもしかすると略字でない
ものも混じっている可能性もあるかも知れないと思いましたので、とりあえず
機械的に本字として扱いました。変えるのはすべて略字として扱えるという
ことが確定してからでも遅くないですしね。

>それから娜々志娑无先生のHPのトップにあるリンクに
>「教えてくんスレ」も加えておいてほしいのですが。

 そのように致しました。その他にもご意見・ご要望などありましたらどんどん
どうぞ。せっかくホームページを作ったのですから、出来るだけ充実させたい
ですもんね。

261 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/19(土) 03:47 ID:0aYLyC.k

基本的にもともとが誤字だらけだった可能性もないでもないのだから
「魯魚草章の誤り」が生じそうなのはすべて考慮しつつ
比定されるべき類似言語を探しあててほしい。
最初から全項目そうした上で表にすると、かなり充実した感じになるのでは。

262 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/19(土) 10:05 ID:mBvgLAII

任那日本府について
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1030968865/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1030968865/l50

古代新羅帝国を語ろう
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1034352513/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1034352513/l50

百済はアジアのローマ帝国なり
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1004335573/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1004335573/l50
【歴史】奈良百済って一体何???【捏造】
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1050959182/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1050959182/l50

高句麗の言葉が
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/987824592/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/987824592/l50
★◆コマ国は高句麗ではない◆★
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1054447079/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1054447079/l50

◆◆渤海国について語ろう◆◆
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1043509346/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1043509346/l50

高句麗・百済・新羅・任那って、同一民族なの?
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1000047879/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/history/1000047879/l50
古代新羅語、百済語、高句麗語を語ろう
http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1026558237/l50" target=new>http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/whis/1026558237/l50

263 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/22(火) 19:35 ID:dApaJjr6

 最近、スレが過疎気味なので、その対策を兼ねて皆さんに一つ提案したい
のですが。巻37の高句麗地理誌にまとまって登場する高句麗地名は全部で
197(実際には高句麗の歴史と地理の概略を述べた前文部分にいくつかこれ
以外の高句麗地名が登場しますが)です。そこで、このスレでこれらの高句麗
地名を5つずつ取り上げて、新たに付け加えるなり修正するなりしなくてはなら
ない事柄がないかどうか、逐一チェックして行くというのはいかがでしょうか。
5つずつなら40レスで済みますし、1回につき5レス程度付いたとしても、ざっと
240レス程度で終わります。その後でまとめに入れば、より信頼の置ける結果
を得ることが出来るでしょう。そりゃあ私だって早く結果を出してしまいたいのは
山々ですが、大体この手の仕事は小さなことからこつこつと((C)西川きよし)
地道にやって行くことが肝心ですからね。以上、宜しくご検討下さい。

264 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/22(火) 20:40 ID:eSOUL30o

それもいいけど、新羅語篇や百済語、カヤ語篇もじゃんじゃん進めてほしい
今日この頃。自転車は、走っていれば倒れないと申します。

265 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/22(火) 21:08 ID:vfmvBnWg

>>264

 いや、そうおおせられましても、私とて宮仕えの身。趣味の領域にそうそう
時間を割くわけにはいかないのでつよ(^^;。スレ主としての責任があります
から、高句麗編はそれこそ本業を二の次にして馬力をかけてやりましたが、
8月からは本業の方の調査・分析を優先しないといけません(さすがに私も
このご時世に馘首にはなりたくないんでつよ)ので、しばらくはこちらの方に
専念出来ないのでつ。そんなわけで、当分の間はあまり負担のかからない
高句麗編のデータ整理(これも十分意味のある作業であることは>>262
述べました通り)などをやりつつ、仕事の方が一段落ついたら百済・新羅・
加羅編に取り掛かるという感じでやらせて頂きたいのでつ。何せこちらの方
は日本書紀の古訓なども参考に出来る分高句麗編より恵まれているわけ
でつが、それだけ作業も面倒臭くなること必定なので、すぐにというわけには
行きません罠。ほんと、こういう時は体が二つ欲しくなりますな。せめてあの
パーマンのコピーロボットがあればねぇ…。

266 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/23(水) 19:33 ID:gBmKiuvk

そうですね。じゃあちょっとずつ検証作業ということで。
現代朝鮮語、満州語、オロチョン語、アイヌ語あたりと比較しつつ
のんべんだらりとやってみたいですな。

かかるのちに「高句麗語はギリヤーク語だった!」なんて結論が
出るかもしれないw

267 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/23(水) 23:20 ID:zVwTagVs

 それでは早速始めませうか。整理番号001より005まで。

001,漢山州,漢州ハ、本高句麗ノ漢山郡ナリ。新羅取ル/v之ヲ。景徳王改メテ為ス/2漢州ト/1。
今ノ広州ナリ。,京畿広州郡広州面,×,×,×,×,※漢字の省略のみ

002,国原城{一ニ云フ未乙省。一ニ云フ託長城},中原京ハ、本高句麗ノ国原城ナリ。新羅
平グ/v之ヲ。真興王置ク/2小京ヲ/1。文武王ノ時築城ス。周二千五百九十二歩。景徳王
改メテ為ス/2中原京ト/1。今ノ忠州ナリ。,忠北忠州,国原=託長=未乙?(中:mιu∂i-
・ιet);城(中:зιεη)=省(中:s^i¨Λη),ナシ,ナシ,ナシ,※高句麗漢字音:城≒省?

003,南川県{一ニ云フ南買},黄武県ハ、本高句麗ノ南川県ナリ。新羅并ス/v之ヲ。真興王
為シ/v州ト、置ク/2軍主ヲ/1。今ノ利川県ナリ。,京畿利川郡利川邑,南=黄?;川=買
(中:mai)≒武(中:mιu),古代日本語「mi1(水)」,後期中世語「mщl(水)」,中世
蒙古語「mo¨ren(江・海)」;ツングース諸語「mu(水)」;満州語「mu-ke(水)」,

004,駒城{一ニ云フ滅烏},巨黍県ハ、本高句麗ノ駒城県ナリ。景徳王改名ス。今ノ龍駒県ナリ。
,竜仁郡駒城面,駒=滅烏?(中:miεt-・o);駒(中:kιu)≒巨(中:gιo);城(中:
зιεη)≒黍(中:∫ιo),ナシ,ナシ,ナシ,※「滅烏」は「馬(中:ma)」の高句麗漢字
音?→参考:呉音「メ」。※「黍」ー[禾/火](東)※新羅漢字音:駒≒巨;城≒黍

005,仍斤内郡,槐壌郡ハ、本高句麗ノ仍斤内郡ナリ。景徳王改名ス。今ノ槐州ナリ。,忠北
槐山郡槐山面,槐=仍(中:ni∂η);木=斤(中:kι∂n);壌=内(中:nu∂i),古代
日本語「ki2〜ko2」;古代日本語「na(国・大地)」,新羅語「nu¨(世)」;新羅語「nu¨ri
(世)」;後期中世語「na-rah(国)」,南方ツングース諸語・満州語「na(土地)」,※非三七

268 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/24(木) 00:56 ID:pxVW97ZY

 001は漢山州から漢州への改名ですから、短縮しただけの改変ということで、これ
からは特に何の情報も得られません。

 002は高句麗地名の「未乙省」の「省」と「国原城」「託長城」の「城」の対応が興味
深いですね。見たところ、この「省」は「城」の漢字音を表記しているようですが、
片や無声音、片や有声音ですから、もしそうなら、高句麗漢字音では有声/無声
の区別が存在しなかったということになるわけです。もちろんたった1例だけでは
とても信頼が置けませんが、「城」と「省」が対応する可能性のある例は実はもう
1例あります。034で「買省」と「馬忽」が対応するのですが、「忽」は高句麗地名では
「城」に対応する音読表記ですから、「馬忽」は「馬城」とも表現可能です。そこで
「買省」の「省」も実は「城」の漢字音を表わしている可能性が出てくるわけです。

 003は「川」と「買」との対応が注目されます。「買」は中古音では「mai」ですが、
024で「買召忽」と「弥鄒忽」が、041で「内乙買」と「内尓米」が、それぞれ対応する
例があり、「弥」は中古音「mie」、「米」は中古音「mei」ですから、高句麗語の「川」
の再構語形としては「miei」のようなものを想定したくなりますね。ちなみに、新羅
地名「黄武」の「武」は高句麗地名の音読表記に基づいて類音の「武」を宛てたか、
それとも訓読地名「南川」の「川」を新羅語で訓読(中期朝鮮語は「mщl」)し、それ
に「武」を宛てたかしたものでしょうね。

269 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/24(木) 00:56 ID:pxVW97ZY

 004は「駒城」と「滅烏」が対応していますが、対応関係は不明です。音読地名は
「滅烏」の方でしょうから、一応「駒」と「滅烏」が対応すると考えられます。備考では
「滅烏」を「馬」の高句麗漢字音か、としましたが、もしかするとこれは漢字音ではなく、
高句麗語の「馬」を意味する単語なのかも知れません。今手元に『李朝語辞典』が
ないので確認出来ないのですが、確か中期朝鮮語では「馬」は「mal」ではなかった
かしら。「滅烏」の中古音は「miεt-・o」ですが、t入声は朝鮮漢字音ではlになります
から、高句麗漢字音でも同様だったとすると、「滅烏」は「miεlo」のような語形に
なり、朝鮮語語形とかなり近づきます。新羅地名の「巨黍」は高句麗の訓読地名
「駒城」の漢字音をもとに命名したもののようですが、清濁の違いが見事に無視され
ているのはいかにもという感じがしますね。

 005は高句麗地名が音読のものしかないため、新羅地名と対応させるしかない例
ですが、漢語「壌」と「内」の対応は高句麗地名ではごく普通に見られるものなので、
一応この新羅地名も高句麗地名に準じて取り扱ってもよさそうな感じです。さてそう
なると、残った「槐」と「仍斤」も対応させてよさそうですが、こちらは残念ながら確証
がありません。ただ、021の「栗木」と「冬斯[月+兮]」の対応や、161の「伊火兮」と「椽
(たるき)」の対応等から高句麗語の「木」を意味する語として「[月+兮]・兮」を取り出す
ことが出来ますので、「仍斤」の「斤」も同様に取り扱えそうです。てなわけで、少なく
とも本例については、新羅地名を高句麗地名に準じて取り扱ってよいのではないで
しょうか。

270 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/24(木) 01:26 ID:pxVW97ZY

>>269

 自己レスですが、「馬」を意味する中期朝鮮語の語形は「mΛl」ですた。
そして、それよりも興味深いのが、「馬」がモンゴル語では「mori(muri)」、
満州語では「morin」と、いずれも二音節の語になっているということです。
004では「駒」と「滅烏」が対応するものと仮定した上で、「滅」のt入声をlと
して「miεlo」という語形を再構し、これが「馬」を意味する高句麗語である
かも知れないとしましたが、どうもこの推定は当たっている可能性が高そう
です(w。ただ、再構語形としてはlをrに変えて「miεro」とした方がいいで
しょうね。

271 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/24(木) 10:41 ID:sAvPXhFc

そういえば、万葉仮名では有声音を区別してるんだよね。
だから日本のカナ文字の資料に濁音を表記しなかったものもあっても、
濁音が存在しなかったということにはならない。

というふうに、表記としては区別がなくても音声としては区別があった
というふうに考えられないだろうか。高句麗語でも。
今の朝鮮語でも音韻的には有声音はないけど音声的にはある。

272 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/24(木) 13:07 ID:XUiYhPGI

>>271

 万葉仮名では濁音専用仮名があるのに対し、かなにはそういうものが存在しない
ことについては、日本語はもともと清濁の音韻的対立が不明確な言語であったのに、
清濁について明確な音韻的対立を持っている中国系帰化人が文字表記を担当した
ため、万葉仮名ではことさらに清濁の違いが強調・区別されたが、日本人自身が
文字に習熟し、自らの言語を文字表記するようになると、日本人にとっては特にどう
でもよかった清濁の区別を別の文字でいちいち書き分けるのが面倒になり、とうとう
かなでは濁音専用かなのようなものは生まれなかったという風に考えられています。
ただ、清濁の音韻的対立はそれほど明確ではなかったとは言え、清濁の違いは一応
存在したので、平安後期以降は、濁音であることを強調したい時にだけ濁点を付けて
区別していたわけです。清濁の違いに対する意識は時代とともに次第に強くなって
いったようですが、明治になるまで、清濁を完全に書き分けるということはありません
でした。結局明治以前の日本人にとっては、清濁の違いというのはkaとtaの違いより
は小さく、ηaとgaの違いよりは大きいという程度のものだったということなのでしょう。

 一方、高句麗語の方は、清濁の区別が可能な漢字という文字を使って表記されて
いるわけですから、もともと濁音専用文字の存しない、言い換えれば、文字では清濁
を書き分けることの出来ないかな文字とは事情が大きく異なります。漢字を使用して
いる以上、清濁の違いは区別しようと思えばいつでも出来たはずで、それでも区別
していないということになると、やはり高句麗漢字音では、更に言えば高句麗語では、
少なくとも音韻としては清濁の区別は存在しなかったと見るべきではないでしょうか。
もちろん音声としては存在した可能性は否定出来ませんけどね。

273 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/24(木) 14:23 ID:sAvPXhFc

なるほど。ちなみにこれらの地名を記録したのは新羅人であるという
ことになりますよね。(新羅に帰化した高句麗人、漢人かもしれませんが)
そうすると高句麗語で区別されていた清濁を、新羅人が区別しえなかった
ということもありうるのではないでしょうか。

馬の中期朝鮮語はm@r(現在でも方言形はmor)ですが、モンゴル語の
それは「馬の総称」ではなく、「去勢馬」を意味する言葉だったような。
また、高句麗語で二音節の言葉が日本語の「うま」の元になったと考えると、
興味深いです。シ●語でも一音節の言葉として吸収したのですが。

274 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/25(金) 15:00 ID:UriPM2l2

>>273
>これらの地名を記録したのは新羅人であるという
>ことになりますよね。(新羅に帰化した高句麗人、漢人かもしれませんが)

 それはどうでしょうね。『国史大辞典』には以下のようにあります。

さんごくしき 三国史記 朝鮮の現存最古の歴史書。高麗仁宗二十三年(一一四五)に
  金富軾らが編纂した官撰史書で、中国正史に準じ、新羅本紀十二巻・高句麗本紀
  十巻・百済本紀六巻・年表三巻・雑志九巻・列伝十巻、合計五十巻である。本書は
  新羅建国の始祖赫居世居西干元年(前五七)に始まり、その滅亡の第五十六代
  敬順王九年(九三五)に至る新羅王朝史を中心にしている。高句麗史は始祖東明王
  元年(前三七)より第二十八代宝臧王二十七年(六八八)までで、説話史料と中国
  史料とが他の二国史より多い。百済史は、始祖温祚王元年(前一八)から第三十一
  代義慈王二十年(六六〇)に至る歴史で、三国中記事がもっとも簡潔である。本書の
  記事は三国の国内記事をはじめ、三国相互間および中国・倭・日本などとの国際
  関係記事が数多くみられる。国内記事では、権力争奪や中国思想による吉兆記事
  があり、そのほか天災地変・農業関係記事の多いのに注目される。一〇一〇年以前
  に編纂された旧『三国史』が高句麗史中心であったのを、本書は新羅中心にかえた
  が、これは高麗王朝内の勢力分野の変化による。本書は引用の原典がきわめて
  多く、特に中国史料の引用は国内史料に匹敵する。国内史料のもっとも古いものは
  高句麗で四世紀後半、新羅で五四五年、百済で五世紀末尾と推測される。板本では
  正徳壬申(一五一二)の慶州重刊本が、活字本では朝鮮史学会第三版(昭和十六年
  (一九四一))が最良である。

 これを信ずる限り、高句麗にも史料が存し、『三国史記』(その前の『三国史』も)は
それらを利用して高句麗史を書き上げたと見るしかありません。もちろんそれだけでは
不足だったでしょうから、高句麗滅亡後に作られた史料も使われてはいるのでしょうが、
少なくとも巻三七の高句麗地理誌に見える高句麗地名については、現段階では一応
高句麗時代のものと仮定しておいてよいのではないでしょうか。

275 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/25(金) 15:08 ID:UriPM2l2

006,述川郡{一ニ云フ省知買},泝{一ニ云フ沂}川郡ハ、本高句麗ノ述川郡ナリ。景徳王改名ス。
今ノ川寧郡ナリ。,京畿驪州郡興川面,述(中:dзιuet)=省知?(中:s^i¨Λη-t^ιe)≒
泝〈沂〉?(中:so〈ηι∂i〉);川・水=買(中:mai),古代日本語「mi1(水)」,後期中世語
「mщl(水)」,中世蒙古語「mo¨ren(江・海)」;ツングース諸語「mu(水)」;満州語「mu-ke
(水)」,※高句麗漢字音:述=省知?※新羅漢字音:述≒泝?

007,骨乃斤県,黄驍県ハ、本高句麗ノ骨乃斤県ナリ。景徳王改名ス。今ノ黄驪県ナリ。,京畿
驪州郡驪州邑,黄=骨(中:ku∂t);驍=乃斤?(中:n∂i-kι∂n),古代日本語「ki2〜
ku(黄)」,ナシ,ナシ,※非三七

008,楊根県{一ニ云フ去斯斬},浜陽県ハ、本高句麗ノ楊根県ナリ。景徳王改名ス。今復ス/v
故ニ。,京畿楊平郡楊平面,楊=去斯(中:k‘ιo-sie);根=斬(中:ts∧m),ナシ,ナシ,
ギリヤーク語「t∫amγ(根株)」,

009,今勿内郡{一ニ云フ万弩},黒壌郡{一ニ云フ黄壌郡}ハ、本高句麗ノ今勿奴郡ナリ。景徳
王改名ス。今ノ鎮州ナリ。,忠北鎮川郡鎮川面,黒(黄)=今勿(中:kι∂m-mιu∂t);
勿(mιu∂t)=万?(中:mιuΛn);壌=内〈奴〜弩〉(中:nu∂i〈no〉),古代日本語
「ki2〜ku(黄)」;古代日本語「na(国・大地)」,後期中世語「k∂m(黒)」;新羅語「nu¨
(世)」;新羅語「nu¨ri(世)」;後期中世語「na-rah(国)」,南方ツングース諸語・満州語
「na(土地)」,※「黒」なら朝鮮語、「黄」なら日本語が有利。※具体的にどういう意味の
語なのかは不明だが、「勿」と「万」はともに同じ高句麗語の単語を表わしているらしい。
※非三七

010,道西県{一ニ云フ都盆},都西県ハ、本高句麗ノ道西県ナリ。景徳王改名ス。今ノ道安
県ナリ。,忠北槐山郡道安面,道(中:dau)=都(中:to);西=盆?(中:bu∂n),ナシ,ナシ,
ナシ,※盆ー西の誤字か(完)※盆ー[八/十/皿](東)※高句麗漢字音:道=都;※新羅
漢字音:道=都

276 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/25(金) 17:05 ID:UriPM2l2

 006では003同様、「川」と「買」が対応していますが、それとともに興味深いのは、
「述」と「省知」が対応している点です。「省知」は「述」の漢字音を表わしているよう
なのですが、中古音は「述」が「dзιuet」、「省知」が「s^i¨Λη-t^ιe」ですから、
やはり本例でも清濁の違いは無視されています。それ以上に気になるのは、t入声
がlやrではなくt系の音で表現されていることで、高句麗漢字音におけるt入声漢字
の取り扱いを考える上で大いに注目されます。なお、新羅地名「泝川」は高句麗
地名「述川」の音を参考にして付けられたものでしょう。漢字音から見て「沂」は泝」
の誤記と見てよさそうです。

 007は巻三七に漢語地名がありませんので、新羅の漢語地名と対比させるしか
ありません。「黄驍」と「骨乃斤」ではどう対応させてよいものやら悩みますが、009
を参考にすると、「黄」と「骨」「今」が対応するようです。「黄」は中古音が「斤uaη」
と声母斤を持つ漢字であり、「骨(ku∂t)」「今(kι∂m)」のような声母kを持つ漢字
とは比較的発音が近いので、一応これらの漢字の類音字と言えなくもありませんが、
韻尾の方はばらばらなので、新羅地名は類音字へ置き換えたものと見てよいもの
かどうか悩ましいところです。仮に「骨」「今」が「黄」の訓を示しているとすれば、日本
語の「ki2〜ku(黄)」と対比することが可能になってくるのですが、「驍」と「乃斤」の
関係が不明なのが痛いですね。

277 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/25(金) 17:25 ID:UriPM2l2

 008は「楊」と「去斯」、「根」と「斬」がそれぞれ対応しています。後者は064に同様
の例がありますのでまずもって確実と思われますが、前者は本例しか確例がない
上、102に「楊」に対応する語として「要隠」というものが存するため、本当に「去斯」
が高句麗語で柳を意味する語なのかやや疑いが残ります。ただ、107に「大楊管」
という地名があり、「馬斤押」と対応するのですが、もし「大楊」が「馬斤(中古音「ma-
kι∂n」)」に対応するとすると、本例(「去斯」は中古音「k‘ιo-sie」)との間で音の
共通性が出て来ますので、これにより本例に対する疑念も多少は払拭出来るので
はないでしょうか。

 新羅地名「浜陽」は高句麗の漢語地名「楊根」を転倒させた上で、「楊」には同音
字「陽を宛てたところまではわかるのですが、「根」と「浜」の関係が難しいですね。
両者の漢字音は「k∂n」と「pien」、韻母はまあ似ていますが、声母が全然違い
ますからねぇ。ただ、「根」を意味する中期朝鮮語は「purhui」ですので、もし新羅語
でも似たような語形であったとすれば、「根」を新羅語で訓読してそれをもとに「浜」
という漢字を宛てた可能性もあるのではないでしょうか。そう言えば、昨年でしたか、
奈良時代に新羅より持ち帰った経典に、角筆で記された片仮名のような文字が発見
されて「片仮名の起源は韓国ニダ!」と話題になったことがありましたが、その内容は
と言うと、「根」の右傍に記された「βリ(部利)」という文字でした。発見者は現代朝鮮
語の「puri(根)」と対比させ、日本人僧が新羅語をメモしたものと取りましたが、韓国
の朝鮮語学者は中期朝鮮語では「根」は「pulhui」という語形なのでそれを「βリ」と
表記することはあり得ないとコメントしていました。その指摘そのものは正しいのです
が、新羅語の「根」を意味する語がどのような語形なのかはわかっていませんので、
中期朝鮮語の語形だけでは完全に否定し去ることは出来ません。例えば、「hui」は
接尾語の類であり、「pul」こそが「根」を意味する単語であった可能性も考えられる
のです。実際、この「βリ」や本例の「根」→「浜」を考え合わせると、新羅語の「根」を
意味する語が「pul」であった可能性はかなり高いように思われますね。

278 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/07/25(金) 17:30 ID:UriPM2l2

 009は巻三七に地名が二種類出て来ますが、どちらも漢語地名ではなさそうです。
一見「万弩」がそれっぽいのですが、「万弩」の中古音は「mιuΛn-no」、「今勿内
(奴)」の「勿内」のそれは「mιu∂t-nu∂i〈no〉」と、両者の漢字音はよく似ています。
おそらく「今勿内(奴)」の省略形が「万弩」なのでしょう。新羅地名は「黒壌」と「黄壌」
の2つがあってややこしいのですが、「壌」と「内(奴)」の対応は高句麗地名では頻繁
に見られるものですから、残る「今勿」と「黒(黄)」も対応するものと見てよさそうです。
問題は漢語地名が二種類あることで、どちらを本来の地名と取るかによって日韓両語
との関係が分かれます。「黒」であれば新羅語と一致しますし、「黄」であれば日本語
と一致するわけです。そんなわけで、どちらを是とするべきか、判断が難しいところ
ですが、「黄」説は一応007という類例を挙げ得るのに対し、「黒」説は他に傍証がない
という点を重視し、私としては「黄」説の方を取りたいですね。思うに「黒壌」は高句麗
地名の「今」の漢字音「kι∂m」から新羅語の「k∂m(黒)」を連想して「黒」を宛てた
ものではないでしょうか。一方、「黄壌」は高句麗語地名の意味に基づく命名と見てよい
ように思われます。あとは「勿(万)」の意味さえ確定出来れば完璧なのですが…。

 010は「道西」と「都盆」の対応です。「道」と「都」は両者の漢字音(「dau(道)」と「to
(都)」)を見る限り、類音字による書き換えと見てよいと思われますが、清濁が違って
いるのみならず母音の違いもかなり大きいのが気になります。「西」と「盆」については、
新羅地名「都西」から判断するに、「盆」は「西」の誤記乃至誤伝のようですが、「盆」が
「西」を意味する高句麗語という可能性もほんのちょっぴりはあるかも知れませんね。

279 名前:名無しさんはポシンタン:2003/07/28(月) 14:00 ID:qChJL8zU

中古音といっても、それは藤堂先生などが「広韻」などに基づいて
作った隋唐時代の再構音にすぎない。
もちろん三国時代とは時期的に近いけど、それと新羅や高句麗で
当時通用していた漢字音とは当然違うものと考えてよいはず。
新羅語や高句麗語の音韻に支配された漢字音が通用していたと
考えられるから。

280 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/02(土) 22:48 ID:VV6Dn/p2

 皆さんもうすっかり飽いてしまったようニダが、ウリはじぇったい諦めないニダ〜。
とりあえず百済地名データ作成完了。見直しはしていません(正直、その暇が
ないのでつ)ので、間違いがきっとあるでしょうが、ケ、ケンチャ…ナ……ヨ…(ぐふっ)









王 大人:死亡確認!

281 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/03(日) 00:21 ID:2fMDcwg2

まぁ期待してんでがんばってヨ。新羅語、任那語もよろしく。

282 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 00:37 ID:r3vybt4A

 正直、応援よりも手伝ってほすぃ…。今回の手抜き百済地名データを
作るだけでも、トータル30時間以上はかかってまつ。嗚呼、老い先短い
我が青春をどうしてくれるニダ…。謝罪と補償を(ry

283 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/03(日) 02:45 ID:ChtUNVrA

こっちは基礎知識もない素人なので、手伝えといわれても
おいそれとは役に立てないと思いまつが?

284 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 03:09 ID:r3vybt4A

>>283

 ん〜。ウリとしては、引用原文や漢字音データの入力ミスといったケアレスミスの
類を指摘して下さるだけでも随分助かるのでつがねぇ。まあでも原文の場合は原文
を参照出来る人でなければ無理でつし、漢字音データも『学研漢和大字典』が手元
にある人でなければどうしようもないことは確かです罠。正直、劣化コピーでもいい
からコピペロボットが欲しい…。

285 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/03(日) 03:25 ID:ChtUNVrA

三国史記は訳文しかもってないな。東洋文庫のやつだから。

学研漢和大字典は、いつも図書館ですましていたけど、
少し前、新版でた時、立ち読みでチェックしたら上古音とか中古音の発音記号表記が
ごっそり廃止されてしまっていたので、あわてて旧版を置いてある本屋を
神保町中探し回って買ってきた。

286 名前:ケムール人 ◆9s/SSlUk:2003/08/03(日) 04:18 ID:D2HucBG.

東京にいらした折には、一件おごりますくらいしか
いえない漏れ・・・

287 名前:縄文 ◆JtqvTec2:2003/08/03(日) 05:09 ID:A7Um8J8k

何もできないので応援してます。

288 名前:鄭聲之:2003/08/03(日) 06:32 ID:.05XooKY

>東京にいらした折には、一件おごりますくらいしか いえない漏れ・・・

それは漏れもいえる。
漏れの場合は出版社の経費だから遠慮しなくていいよ。
「高句麗本の出版企画のための打ち合わせ」って名目で飲み食いしましょう。
他の人と一緒にオフ会でもいいや。
つーかナナシ先生はどこの人なの?

289 名前:ブエナ・ビスタ・鍋屋・キムチクラブ ◆a.3.SVLo:2003/08/03(日) 07:27 ID:lFRVliDo

先生が東京に来たら、わしも神楽坂の座敷(飯と酒だけ)でも、御苦労さんです、
でナニしますよ。

それよか先生、無責任な与太言ってすいませんが、いっそのこと、高句麗語研究に
多少の朝鮮語も必要でしょうから、韓国の学校の短期の口でも当ったらどうでしょ
うか。

290 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 13:57 ID:r3vybt4A

>おおる

 昨晩はつい愚痴ってしまい、申し訳なかったニダ…。最近、酒を飲むと
やたらと愚痴っぽくなってしまうなぁ。やっぱり年なのでせうか(汗)。


>>285
>少し前、新版でた時、立ち読みでチェックしたら上古音とか中古音の発音記号表記が
>ごっそり廃止されてしまっていたので

 何とそうでしたか。『学研漢和大字典』以外で、その種のデータを気軽に
検索出来る辞書は他にないですかねぇ。日語商売さんならその辺の事情
はご存じそうですが、最近ここにはいらっしゃらないからなぁ。

>>285 スモさん

 ありがとうございます。私も一度スモさんと鍋さんの生どつき万才を見て
みたいっス(w。

>>287 縄文さん

 応援ありがとうございます。先日はさん君に対してとうとう切れておられ
ましたね(w。今さん君に高句麗語関連の話題を振られると、私としても
ちと困る(実際に自分がやってみて、先行研究にはいろいろ問題がある
ことがわかりましたからね)ので、しばらくこの話題は振らないでやって
下さいまし。

291 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 14:04 ID:r3vybt4A

>>288 鄭聲之さん
>「高句麗本の出版企画のための打ち合わせ」って名目で飲み食いしましょう。

 おお、鄭聲之さんはやはり出版関係の方だったのですね。>>162
レスを見て、そうなのかもとは思ってましたが。

>ナナシ先生はどこの人なの?

 遥か遠国方の者でつ。東京には基本的に飛行機でないと逝けない
(鉄路でも逝けないことはないのでつが、時間がかかり過ぎ)ので、
おいそれとは逝けませぬ。でも、久しぶりに東京にも行きたいなぁ。


>>289 鍋さん

 確かに朝鮮語が一番のネックであることは間違いありません罠。
ハングルを読むのもだいぶ慣れましたし、『李朝語辞典』を引くのに
要する時間も随分と短くなりました(最初は1語引くのに10分近く
かかってました。ハングルの配列が頭に入ってませんでしたからね)
が、オールハングルで書かれていたら、内容はサパーリ理解出来
ないことは変わりありませんものね。しかし、ウリが当面必要として
いるのは中期朝鮮語及びそれ以前の朝鮮語の知識。現代語から
入っていくのが常道だとわかってはいるものの、中々そこまでは
踏ん切りがねぇ(汗)。ですから、どなたか朝鮮語の出来る方に
ご協力頂きたいのですが…。そうだ、いっそのこと、さん君にでも
ご光臨願おうかしら(w。

292 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/03(日) 14:49 ID:0x6LsP1k

>>291
縄文さんとさん君が議論してたスレってどこでつか?

293 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 14:55 ID:r3vybt4A

>>292

 現役スレッドはこちら。
.
【証言には】歴史認識スレッド12【価値はない】
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1058428059/" target=new>http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1058428059/

 縄文さんが切れてたのは前スレの方ですた(現在、dat落ち)。

【証拠に】日韓歴史認識比較スレッド11【ならない】
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1056414714/l50" target=new>http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1056414714/l50

294 名前:縄文 ◆JtqvTec2:2003/08/03(日) 20:08 ID:A7Um8J8k

>娜々志先生、高句麗語の件、了解しました。

>>292
あれは議論ではないのですよ。与太話の類なのです。
結局ワシは、好き嫌いしかいってないんです。
そんな歴史の見方は嫌いだ情けないって感情を吐露してるに過ぎません。
だから、切れるわけでして(w

295 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 20:12 ID:r3vybt4A

011,仍忽,陰城県ハ、本高句麗ノ仍忽県ナリ。景徳王改名ス。今モ因ル/v之ニ。,忠北
陰城郡陰城邑,陰=仍(中:ni∂η);城=忽(中:hu∂t),古代日本語「ki2(城)」,
百済語「ki(城)」;後期中世語「kol(谷・洞)」,満州語「holo(谷)」「golo(省)」;
トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」,非三七

012,皆次山郡,介山郡ハ、本高句麗ノ皆次山郡ナリ。景徳王改名ス。今ノ竹州ナリ。,
京畿安城郡二竹面竹山里,介(中:kΛi)=皆次(中:k∧i-ts‘ii),ナシ,ナシ,ナシ,
※「介」は「皆」のみの音訳か。或いは王の取次ぎ役の意も含ませているのか。

013,奴音竹県,陰竹県ハ、本高句麗ノ奴音竹県。景徳王改名ス。今モ因ル/v之ニ。
,京畿利川郡長湖院邑,陰=奴音(中:no-・ι∂m),ナシ,ナシ,ナシ,

014,奈兮忽,白城郡ハ、本高句麗ノ奈兮忽ナリ。景徳王改名ス。今ノ安城郡ナリ。,
京畿安城郡安城邑,白=奈兮(中:na-斤ei))」;城=忽(中:hu∂t),古代日本語
「ki2(城)」,百済語「ki(城)」;後期中世語「kol(谷・洞)」,満州語「holo(谷)」「golo
(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」,

015,沙伏忽,赤城県ハ、本高句麗ノ沙伏忽ナリ。景徳王改名ス。今ノ陽城県ナリ。,京畿
安城郡陽城面,赤=沙伏(中:s^a-bιuk);城=忽(中:hu∂t),古代日本語
「so2Φo(赭・朱)」;古代日本語「sa(接頭語)」;古代日本語「ki2(城)」,百済語
「supi(赤鳥)」;後期中世語「pulgщn(赤)」;百済語「ki(城)」;後期中世語「kol
(谷・洞)」,満州語「fulgiyan(赤)」;中期モンゴル語「hulaan(赤)」;満州語「holo
(谷)」「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」,※沙ー
[方+少](東)

296 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 20:21 ID:r3vybt4A

 011は巻三七に漢語地名がありませんので、高句麗語資料としての信頼性は
落ちますが、「忽」と「城」が対応していること、また013で「奴音竹」と「陰竹」が、
063で「冬音奈」と「休陰」が、それぞれ対応する例があり、殊に063は「休陰」が
高句麗の漢語地名であることが明らかですので、高句麗語を反映している地名
として扱ってよいと考えます。さて、「陰」に対応する漢字はそれぞれ「仍(中:ni∂η)」
「奴音(中:no-・ι∂m)」「奈(中:na)」ですから、高句麗語の「陰」に相当する語
は「nia」のような語形であったと推定されます。日韓ともこれに対応する語は指摘
されていないようですが、強いて挙げれば「ヌバタマ(烏玉・黒玉)」の「ヌバ(黒)」
あたりはいかがでしょうか。「ヌバタマ」はヒオウギの実のことかとも言われてい
ますが未詳。枕詞として「黒」「髪」「夜」などに掛かります。

 012は高句麗地名「皆次山」と新羅地名「介山」の対応。「皆」と「介」は同音です
から、新羅地名は単に高句麗地名「次」を省略して二字地名にしただけのようです。
ただ、「介」には取次ぎという意味があり、高句麗地名「皆」は「王」の音訳としても
使用される字ですから、或いは「皆次」を王の取次ぎと解して「介」とした可能性も
あるかも知れません。

 013も高句麗地名は音読地名のみで漢語地名はありませんが、011で検討した
ように、新羅地名「陰竹」を高句麗語を反映した地名として扱うことが可能なもよう
です。ただ、本例に関して気になるのは「陰竹」に相当するのが「奴音竹」であり、
063では「休陰」が「冬音奈」と、ともに間に「音」という字が含まれていることです。
或いは「音」は日本語の「の」に相当する連体助詞の類なのかも知れませんね。

297 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/03(日) 20:25 ID:r3vybt4A

 014も高句麗地名に漢語地名はありませんが、高句麗地名「忽」と新羅地名「城」
の対応が認められますので、一応新羅地名を高句麗の漢語地名に準ずるものと
して扱える可能性があります。さてそうなると「白」と「奈兮(中:na-斤ei)」が対応
するということになりますが、日韓ともに対応する語は指摘されていないようです。
ただ、高句麗語「na-hei」(斤はhの有声音ですからhに置き換えてもよいでしょう)
を複合語と見ると、「na」は097「奈吐郡{一ニ云フ大堤}」から「大」という意味を持つ
ことがわかりますから、ここでは「大変」「甚だ」という強調の意味で使われていると
解釈可能です。即ち、残った「hei」こそが「白」という意味を表わす語であるという
ことになりますから、中期朝鮮語の「hΛi(白)」と見事に対応させることが出来る
ではあ〜りませんか。残念なのは本例が非三七であることでして、そうでなければ
高句麗語と朝鮮語とが一致する例として大々的に認めることが出来るのですが。

 なお、高句麗語の「白」を意味する語としては070「刀臘県」の「刀」を「尸」の誤記
と見て「sira(白)」を再構し、日本語と対応させようとする説(村山七郎)があります
が、仮に誤記であったとしても新羅地名は「[句+隹]沢県」であり、「白」が地名に
出てくるのは高麗時代の話ですから無理です。あと、133で高句麗地名「于烏県」
が新羅地名「白烏県」と対応することから高句麗語の「白」を「hiu」と見て中期朝鮮
語「hΛi(白)」と対応すると見るのはまだ可能性がありますが、「于烏県」の所在
(高句麗でも新羅領の近く)から見て韓系の言語が反映しているのではないかと
いう危惧を捨て切れないのが残念です。

 015は高句麗地名「沙伏忽」と新羅地名「赤城」が対応する例です。非三七です
ので「沙伏」と「赤」が対応する確証はないわけですが、118「赤木県{一ニ云フ沙非
斤乙}」の例から、高句麗語でも「沙伏」「沙非斤」と「赤」が対応すると見てよさそう
です。李基文は全体を「赤」を意味する語であると見て日本語の「ソホ(赭)」と対比
させていますが、満州語やモンゴル語、中期朝鮮語の「赤」を意味する語形から
察するに、「沙」はもともと何らかの接頭語であり、「赤」を意味する実質部分は「伏」
「非斤」と見た方がよさげな感じです。「沙」については村山七郎の説く如く、日本語
の接頭語「さ」と対比させることが可能でしょう。

298 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/04(月) 12:12 ID:KnuB6iSk

>>275 娜々志娑无先生
中宗7年慶州重刊本の景印本を見ていますが、009{一ニ云フ万弩}の「弩」は弓でなく目の「ど」になってます。えーと諸橋の23265の字。
こんなのでも暑中見舞いになりますか?(笑)

299 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/04(月) 14:16 ID:E31e2iOo

>>298

 ご指摘ありがとう御座います。そのことは東洋文庫の『三国史記』にも
以下のように記されていますた。

 弩 原文には「[奴/目]」となっているが、『高麗史』巻五六清州牧鎮州
  条によって「弩」とした。

 問題は漢字音ですが、[奴/目]は大漢和には「農魯切」とありましたから、
発音は[no(ndo)]で声調は上声ということになります。発音も声調も「弩」
とまったく同一ですから、本文の漢字が「[奴/目]」であろうが「弩」であろうが
結果は同じということになりますが、何にせよご指摘感謝致しますm(_"_)m。

300 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/04(月) 16:02 ID:ilBjoqXY

>>299娜々志娑无先生
わざわざレスありがとうございます。
以前作成されたExcelの一覧表で、I欄には校異まで記入なさってますよね。でも9の「ど」の字については、ない…。他と比べて、校異の記入漏れ?と思ったのですが。(なんかしつこいですね。すいません。)

301 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/04(月) 16:35 ID:E31e2iOo

>>300

 私の地名データは六興出版の『完訳三国史記』(略称「完」)の原文を底本として、
東洋文庫の『三国史記』(略称「東」)と校合したものです。備考欄に時折記してある
校異は、「東」の本文が「完」とは異なる漢字になっている場合に記すということを
原則としておりますので、「東」自身が行なった校合の結果までは載せておりません。
本当はそこまで載せた方がいいのでしょうが、井上秀雄は井上秀雄なりに(って、
随分と失礼な言い方ですが)いろいろ考えた上で確定させた本文が「東」の本文なの
でしょうから、このような形で手抜きをさせて頂いておりまする。

302 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/04(月) 17:01 ID:2SL2oDdk

>>300
よくわかりました。ありがとうございます。
嘴入れついでに(先生は忍耐強い方だと信じて…(汗))、
104の玉岐県ですけど、慶州重刊本の巻35は「玉」を「王」
にしています。巻37は「玉」っぽいですが。
備考欄に「誤伝か。」とあったので、誤伝かも、ってこと
で一言。
がんばって〜、と手を振りつつROMに戻ります。

303 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/04(月) 18:08 ID:SeOynSPg

ROMに戻るといいつつも忘れ物をしてました。
もったいないのでしつこくカキコ。(粘着…?)
途中までですが「巻三五原文」欄と慶州重刊本を突き合
わせた結果です。
違いに気付いたところを「 」で括っています。
誰か東洋文庫本と比べてみませんか?

003 真興王為州置軍主「景徳王改名」今利川県
031 真興王為州「置軍主」景徳王改名
068 景徳王改名今谷州「 」(県の字なし)
069 一「作」音
092 唐貞観十一年為「中」首州
092 文武王十三年唐咸「亨」四年
097 本高句麗奈吐「郡」

こんどこそほんとにおとなしくROMします〜。

304 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/04(月) 18:56 ID:69c2WQx.

>>302

 巻三五については「完」も「東」も「玉」とし、何の注記もついていませんでした。
巻三七については「完」は注記なし。「東」は以下のような注がありました。

  玉 原文には「王」となっているが、雑志四朔州楊麓郡馳道県条、『高麗史』
   巻五八春州瑞禾県条によって「玉」とした。

そんなわけで、『三国史記』の本文としては一応「玉岐県」を正しいとするしか
ありませんでした。しかしながら、巻三七の高句麗地名「皆次丁」から、高句麗
語「皆」に対応するのは「玉」ではなく「王」でなくてはなりませんので、本来の
高句麗地名は「玉岐」ではなく「王岐」だったが、ある時点で「王岐」が「玉岐」と
誤って伝えられた(誤写?)のだろうと推測し、「誤伝か」としたわけです。

>>303

 キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!

 こういうフォローを待っておりますた!! 092以外はすべて私の入力ミスです。
巻三五は定型文が多いので、「郡県ハ、本高句麗ノ州郡県ナリ。景徳王改名ス。
今ノ州県郡ナリ。今モ因ル/v之ニ。」という定型文をあらかじめ作っておいて、それ
を適宜書き換えるという方式を取っていたものですから、郡と県を間違えて
削ったり削り忘れたりしてしまったようです。なお、092については、東洋文庫
の注に以下のようにありますので、それに依りました。

  牛首州は原文では「中首州」となっているが、本書I新羅本紀五太宗武烈
  王二年(六五五)冬十月条、本巻雑志六高句麗条などからこれを「牛首州」
  とした。

 てなわけで、ミスについてはすべて修正しておきました。ROMに戻るなどと
おっしゃらず、今後ともご指摘ご要望をどしどしお寄せ下さいませ。

305 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/04(月) 23:58 ID:Ao5doWZU

お。もういっこあった。記入漏れか校訂の結果かわかりませんが。

138 景徳王因之「今連谷県」

306 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/05(火) 00:20 ID:rWaTEhk.

>>305

 これも私の入力ミスでつ。修正しておきますたが、見事に次々と
やっつけ仕事ゆえのぼろが出て来まつね(汗)。

 ところで、HPのデザインや内容などにご意見ご要望はありませんか。

307 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/05(火) 04:16 ID:b6kHKPNI

>>306
言語以外の記事も、2chからのコピペでもいいから増やしてはどう?
高句麗ってなに?って人もいるだろうし、言語以外にもいろんな思い込みや誤解の多い国のようだし・・・・

308 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/05(火) 13:21 ID:rWaTEhk.

>>307

 ん〜。このHPはもともとこのスレを見ておられる方々の便宜を図るという目的の
ためだけに設けたものであり、それ以外の人が見ることは一切想定しておりません。
検索エンジンにも登録しておりませんしね。正直、このスレを見る人にとっては、
2ちゃんのコピペ情報など、正直どうでもいいレベルのものでしょう。実際問題として
私個人の能力も時間も限られている関係上、言語以外のことに手を出すつもりは
ありません。百済語や任那語、新羅語に手を伸ばすことはあるかも知れませんが。

 てなわけで、このHPがそういう性格のHPであることを前提の上でご意見・ご要望
をお寄せ下さると助かります。

309 名前:日語商売(休業中):2003/08/05(火) 16:04 ID:wXUKjEvM

どうも、こちらは御無沙汰してしまい申し訳ありません。
先日『李朝語辞典』と『韓国語の形成』を入手したので、それを読んだりしてるのですが、
ちょっと遠出してたり、いろいろしたりしてて、こちらはロムは毎日してはいたのですが、
カキコするのを疎かにしておりました。正直スマンカッタ。

漢字音のことですが、高句麗がいつごろ漢字音を導入したのか、それは中国原音の色彩を
色濃く残していたものか、それとも高句麗語の音韻に適合するように変化したものなのか、
その辺は全くわかりません。
>>279さんの批判は全くその通りなのですが、いかんせん中古漢語音の体系が、その辺の
時代ではもっともはっきりその姿がわかっているものなので、字の読みとしては、中古音
と朝鮮漢字音(これこそ高句麗語とは全く関係ない可能性が高いものですが)を併記して
おくのが、現段階では最も穏当だと思います。

>>290
『学研漢和大字典』の上古・中古音表記が廃止されてますか!
残念と言うか、まぁいつまでも墨守するもんじゃなかったからよかったと言うかw。
同じようなことができる辞書の類ですか・・・
阪大の岡島先生のサイトに、『広韻』をデータベース化したもののリンクがありました。
使い勝手はよく分かりませんが、参考までに。
ttp://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/ingaku/jion.htm

私自身も、中古中国語の漢字音の音価についての腹案、およびJIS文字での転写法はすこし
考えておりますので、どこかで発表したいと思っています。

>>288
席が設けられた暁には私も末席に連なりたいものです!

>>308
電波系ほにゃららの過去スレは倉庫があるんでしたっけ?
なかったら置き場に使ってもよろしいかと。

310 名前:かんがく:2003/08/05(火) 21:02 ID:QIvBLiYU

>>291 中期語

 このスレの専門家の皆様はとっくに御存知でしょうが、専門家でない方のために紹介。

趙義成(東京外語大 専任講師)の朝鮮語研究室
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/" target=new>http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/
専攻分野は、「朝鮮語学 (現代朝鮮語文法)」とありますが、中期語についての論文もいくつか書いておられるようです。

なお、上記のなかに「中期朝鮮語の話」
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/korean/middle/Jmiddle.html" target=new>http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/korean/middle/Jmiddle.html
というのがありました。

「研究室」の全体的な内容は、無識な かんがく にはとうてい歯が立ちませんが、
それでも、

「朝鮮語ビビンパ」
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/bibimbab/index.html" target=new>http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/bibimbab/index.html

「ごった煮」
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/etc/index.html" target=new>http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/etc/index.html

などは、興味深く読めました。

 また、「朝鮮語学習歴」での、菅野裕臣先生との師弟関係のエピソードも印象的でした。

(ちょっと、はずした書き込みですみません。)


311 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/06(水) 00:38 ID:buU7hXm6

>>306
先生のHPですが、おでむかえのAAがこわいです。

百済編もあったんですね。高句麗編と同様のことをしてみました。
今回は明らかに誤りを正した校訂の結果と推測される違いはカット
してます、これでも…。
東洋文庫の注記を転記させてばかりの経緯を反省して。(たははっ)

「巻三七原文」欄
154 本比「勿」
169 本「孤」山
180 本只馬馬「知」

「巻三六原文」欄
001 置熊津都督府「羅」文武王取其地有之
001 今「分」州
029 改州郡名及今並「 」因之
045 真興王十六年「 」為州
049 神文王五年初置小京「景徳王十六年置南原小京」今南原府
056 今保安県「 」
071 万「項」県
075 今淳昌「県」
134 今海南「県」
143 「[厭+土]」海郡

312 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/06(水) 02:39 ID:q1URs1xk

>>311
>先生のHPですが、おでむかえのAAがこわいです。

 え〜、あのAAは>>203をそのまま使ったもので、特に他意はありません
(ほんとかよ)。154は「全」の原文の方は「忽」になっていましたが、訳文の
方では「勿」になっていました。169も同じく、原文は「狐」、訳文は「孤」、180
も同様で、原文は「只馬馬只」、訳文は「只馬馬知」ですた。そんなん、反則
やんか(泣)。

 001「分」州については、「東」に以下のようにあります。

  公州 原文には「分州」とあるが、『高麗史』巻五六清州牧公州条によって、
   「公州」と改めた。

 てなわけで、これは今のままでかまわないと思います。071の「万頃県」は、
「完」も「東」も「頃」であって「項」ではありませんでした。これについてはどれ
が正しいのやら、今の私には判断がつきません。あと、143の「壓」」は「圧」の
旧字体ですから、今のままで問題ないはずです。それ以外はすべて私の入力
ミスですので、修正致しました。ご指摘、有難うございました。

313 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/06(水) 11:15 ID:lMiJjLho

とゆーことは、娜々志娑无先生…
>>306
>見事に次々とやっつけ仕事ゆえのぼろが出て来まつね
とおっしゃってましたが、よーするにどーでもいーところで
どーでもいー入力ミスはしていても、原文引用部に限れば、
必要なところはいまのところノーミスっつーことっすね。おみごとぉ!!

314 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/08(金) 20:20 ID:EDkQCoXw

幇p 滂ph 並b 明m 非f 敷fh 奉v 微w
見k 渓kh 群g 疑ng 影' 暁h 匣hh 喩y 于yw
端t 透th 定d 泥n 来l 知ty 徹thy 澄dy 娘ny
精c 清ch 従dz 心s 邪z
照cy 穿chy 神dzy 日nzy 審sy 禅zy
荘C 初Ch 崇dZ 疎S

果/仮a 遇o
蟹ai 止ei 効au 流eu 
山an/at 臻en/et 咸am/ap 深em/ep 
宕/梗ang/ak 曾eng/ek 通/江ong/ok

ローマ字転写するときにはこんな風にやってるなぁ。
それほど根拠はないけど。

315 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/11(月) 23:59 ID:otCfgAvo

>おおる

 スレ主にもかかわらず、長々とご無沙汰してしまい、申し訳ありません。
ただ今盆休みで実家に戻っております。実家はダイヤルアップしかネットに
つなぐ手段がありませんので、盆が明けるまではたまにしかアクセス出来
ないと思いますが、悪しからずご了承下さい。

>>309 日語商売さん

 お久しぶりです。あんまりカキコされないので、もう見限られてしまったの
かと思いましたよ(^^;。とりわけ漢字音関係に関しては、日語商売さんの
フォローなくしてはこのスレは立ち行きませんゆえ、何卒お見捨てなきよう。

>電波系ほにゃららの過去スレは倉庫があるんでしたっけ?
>なかったら置き場に使ってもよろしいかと。

 帰省から戻りましたら、そのように致します。

316 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/12(火) 00:00 ID:7ExtZA0Q

>>310 かんがくさん

 趙義成さんのHPですね。本家でもわりと有名なサイトではなかったかと。
もちろん私も氏のHPは存じ上げております。ご本人の方とはまったく面識は
ありませんが。


>>314

 なるほど。漢字音の表記法もいろんな流儀があるものですなぁ。勉強に
なります。

317 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/13(水) 10:05 ID:tMi2qq9g

藤堂先生の再構による中古音(a^, e^=a、eの上にv)

果 開一a 開三ιa 合一ua 合三ιua
仮 開二a^ 開三ιa^ 合二ua^ 合三ιua^
遇 合一o 合三ιo/ιu
蟹 開一∂i/ai 開二Λi/a^i/ρi 開三ιεi 開四ei
  合一u∂i/uai 合二uΛi/ua^i 合三ιuεi 合四uei
止 開三ιe^/ιi/ιei/ι∂i 合三ιue^/ιui/ιu∂i
効 開一au 開二a^u 開三ιεu 開四eu
流 開一∂u 開三ι∂u/ιeu
咸 開一∂m/am 開二Λm/a^m 開三ιεm/ιΛm 合三ιuΛm
深 合三ι∂m
山 開一an 開二Λn/a^n 開三ιεn/ιΛn 開四en
  合一uan 合二uΛn/ua^n 合三ιuεn/ιuΛn 合四uen
臻 開一∂n 開三ιe^n/εn/ι∂n 合一u∂n 合三ιue^n/ιu∂n
宕 開一aη 開三ιaη 合一uaη 合三ιuaη 
江 開二っη
曾 開一∂η 開三ι∂η 合一u∂η 合三ιu∂η
梗 開二Λη/εη 開三ιΛη/ιεη 開四eη
  合二uΛη/uεη 合三ιuΛη/ιuεη 合四ueη
通 合一uη/oη 合三ιuη/ιoη

318 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/13(水) 10:19 ID:tMi2qq9g

韻と等の相関関係は以下の通り

韻 一二三四 一二三四(合口)

果 ○×○× ○×○×
仮 ×○○× ×○○×
遇 ×××× ○×○×
蟹 ○○○○ ○○○○
止 ××○× ××○×
効 ○○○○ ××××
流 ○×○× ××××
咸 ○○○× ××○×
深 ××○× ××××
山 ○○○○ ○○○○
臻 ○×○× ○×○×
宕 ○×○× ○×○×
江 ×○×× ××××
曾 ○×○× ○×○×
梗 ×○○○ ×○○○
通 ×××× ○×○×


319 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/13(水) 10:21 ID:tMi2qq9g

なんか予想もしないばけかただったなぁ・・・

韻と等の相関関係は以下の通り

韻 一二三四 一二三四(合口)

果 ○▲○▲ ○▲○▲
仮 ▲○○▲ ▲○○▲
遇 ▲▲▲▲ ○▲○▲
蟹 ○○○○ ○○○○
止 ▲▲○▲ ▲▲○▲
効 ○○○○ ▲▲▲▲
流 ○▲○▲ ▲▲▲▲
咸 ○○○▲ ▲▲○▲
深 ▲▲○▲ ▲▲▲▲
山 ○○○○ ○○○○
臻 ○▲○▲ ○▲○▲
宕 ○▲○▲ ○▲○▲
江 ▲○▲▲ ▲▲▲▲
曾 ○▲○▲ ○▲○▲
梗 ▲○○○ ▲○○○
通 ▲▲▲▲ ○▲○▲


320 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/13(水) 19:52 ID:tMi2qq9g

317の再構音を任意に並べなおすとこんな風になります

a/ιa/ua/ιua
a^/ιa^/ua^/ιua^
o/ιo/ιu/
∂i/ι∂i/u∂i/ιu∂i
ai/ιεi/uai/ιuεi
Λi/ιi/uΛi/ιui
a^i/ιe^/ua^i/ιue^
ρi/ιei/uei/iuei
au/ιεu/ieu
a^u/ιeu/∂u/ι∂u
am/ιεm/∂m/ι∂m
a^m/ιΛm/Λm/ιuΛm
an/ιεn/uan/ιuεn
Λn/ιΛn/uΛn/ιuΛn
a^n/ien/ua^n/iuen
∂n/ι∂n/u∂n/ιu∂n
εn/ιe^n/ιue^n
aη/ιaη/uaη/ιuaη
っη/ieη/iueη
oη/ιoη/uη/ιuη
εη/ιεη/uεη/ιuεη
∂η/ι∂η/u∂η/ιu∂η
Λη/ιΛη/uΛη/ιuΛη


321 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/13(水) 23:34 ID:PD.6F2i2

>>317-320

 この書き込み内容からして、これを書き込まれたのは>>314さんですよね。
>>279を書き込まれたのも同じ方かな。ここは一つ、このスレ限定でもかまい
ませんから、コテハン{又作ル/2通名ニ/1}を名乗られてはいかがでせうか。
同じことは>>298=>>300=>>302-303=>>305=>>311氏にもぜひお願いしたい
ところであります。もしある見解に対して意見の相違があって論争になった時、
コテハンでやりあった方が当事者もやりやすいでしょうし、ROMしている人も
流れを把握しやすいと思うんですよね。それに、>>159で日語商売さんも少し
おっしゃっておいでですが、一応このスレの高句麗語研究も研究の端くれ(藁)
ですから、せめてあるアイデアが誰の着想(オリジナリティー)なのかぐらいは
わかるようにしておきたいので。

322 名前:298:2003/08/15(金) 18:00 ID:8m27OsP2

>>321
298以下です。すぐ消えるつもりでしたので名無しのままで失礼しました。
お気に障ったようでしたら、平身低頭陳謝いたします。すみません。

323 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/15(金) 23:55 ID:b50MDJDY

>>322
>お気に障ったようでしたら、平身低頭陳謝いたします。すみません。

 あわわわわ。それは誤解で御座る。「論争」云々は物のたとえに過ぎませぬ。
ぜひとも本スレに定着して頂きたいと思えばこそのコテハン要請で御座りまする。
今後とも書き込みのほど、宜しくお願い致しまするm(_"_)m。

324 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/15(金) 23:58 ID:b50MDJDY

 拙者、いまだに寄生虫、もとい、帰省中の身で御座れば、研究も何も手につかぬ
状態で御座る。高句麗地名研究の続きもしなくてはならないのですが、今しばらくの
ご猶予を賜りたく。

325 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/22(金) 18:05 ID:K2TmWkYU

明日実家にでもよって、漢語古音手冊でもとってこようかなぁ。
中国の学会での公式の見解と藤堂説を付け合せたい
上古音なんかはこの20年でも随分研究が進んだはずだから、
藤堂説とはだいぶ違った説をとる人が多くなっていると思う。

一番の謎はやっぱり別紐と等の問題でしょうねぇ・・・
別紐は言語の層の問題かもしれないし、等は三等については
介音の問題だとしても、二等と四等は声母の側の問題かも知れない。
三開>-i-、一合>-u-、三合>-yu-という介音に変化したのは
ほぼ間違いないはずなんだけど。

326 名前:日語商売(休業中):2003/08/22(金) 20:32 ID:kXAohvVA

>>325
漢語古音手冊、私のは荷物のどこかに紛れて探し出すのがものすげー手間。。。
日本に就職決まるまで参照できません(氏)。

上古音はチベット語などとの比較とか、複声母をどう解釈するか、
重紐や等の解釈をどうするかなどの研究が進んだので、藤堂説とはだいぶ違ってきてますね。
それでも一向に収斂してる気がしない。。。

高句麗語と関係ない話でスマソw

327 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/22(金) 20:51 ID:orloRqTU

複声母の研究などは、タイ諸語との比較によって進歩した面も
かなりありますよね。言語電波学スレスレだけど。

aの変音があんなにたくさんあるのにuの変音などは乏しく、
自然言語としてあのような体系がありうるのか、
というところがミソだと思います。第一美しくない。
母音の三角形がきれいに描ける体系でないと。

高句麗語の音韻体系の再構・・・夢のまた夢ですかねぇ。

328 名前:名無しさんはポシンタン:2003/08/26(火) 11:54 ID:VgU442Vw

現在一般的な学説でも、藤堂説からそれほどの違いは生じてないですよ。

あの再構形の一番の問題点は、現存するどの言語にも似ていないことw
あれだけ韻母が細かく分かれるということは、母音に長短の対立が
あったのかもしれない。別紐はそれを表すのではないか。

329 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/28(木) 16:13 ID:iiBAw8Gs

 随分長いことさぼってましたが、そろそろ再開しまつ。

016,[虫+也]山県,[虫+也]山県ハ、本高句麗ノ県ナリ。景徳王因ル/v之ニ。今ノ稷山県ナリ。,
忠南天原郡稷山面,×,×,×,×,
017,買忽{一ニ云フ水城},水城郡ハ、本高句麗ノ買忽郡ナリ。景徳王改名ス。今ノ水州ナリ。,
京畿水原市,川・水=買(中:mai);城=忽(中:hu∂t),古代日本語「mi1(水)」;古代
日本語「ki2(城)」,後期中世語「mщl(水)」;百済語「ki(城)」;後期中世語「kol(谷・洞)」,
中世蒙古語「mo¨ren(江・海)」;ツングース諸語「mu(水)」;満州語「mu-ke(水)」;
満州語「holo(谷)」「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」,
018,唐城郡,唐恩郡ハ、本高句麗ノ唐城郡ナリ。景徳王改名ス。今復ス/v故ニ。,京畿華城
郡南陽面,×,×,×,×,※漢字の変更のみ。「城」→「恩」の変更理由は不明だが、言語
学的な意味はなさそう。
019,上忽{一ニ云フ車忽},車城県ハ、本高句麗ノ上{一ニ作ル/v車ニ}忽県ナリ。景徳王改名ス。
今ノ龍城県ナリ。,京畿平沢郡青北面龍城里,車(中:t∫‘ιa)=上(中:зιaη);城=忽
(中:hu∂t),古代日本語「ki2(城)」,百済語「ki(城)」;後期中世語「kol(谷・洞)」,満州語
「holo(谷)」「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」,※高句麗
漢字音:車=上?
020,釜山県{一ニ云フ松村活達},振威県ハ、本高句麗ノ釜山県ナリ。景徳王改名ス。今モ
因ル/v之ニ。,京畿平沢郡振威面,釜=松村活?(中:sioη-ts‘u∂n-斤uat);山=達
(中:dat),古代日本語「take2(岳)」;古代日本語「taka-si(高)」,ナシ,トルコ語「taγ(山)」,

330 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/28(木) 16:13 ID:iiBAw8Gs

 016は高句麗地名と新羅地名が同じで、しかもどちらも漢語地名と来てますから何の
役にも立ちません。チォブ。

 017は高句麗地名に訓読地名と音読地名が揃っている例ですが、「買=水」「忽=城」
ともに高句麗語としてはお馴染みの例ばかりですね。

 018は高句麗地名と新羅地名に違いはあるものの、ともに漢語地名のみですので、
高句麗語の資料としては使えそうにありません。高句麗地名の「唐城」がなぜ新羅地名
では「唐恩」に変えられたのかわかりませんが、「唐恩」という字面からすると、新羅が
宗主国である「唐」に媚びようとしてこのような地名に変更したのかも知れませんね。

 019は高句麗地名において既に「上忽」「車忽」両様の名称があったことがわかるわけ
ですが、「上(中:зιaη)」と「車(中:t∫‘ιa)」では比較的漢字音が似ていますので、
単に宛てた漢字が違っていただけのことである可能性が高いように思います。新羅地名
の「車城県」を見ると、高句麗地名の「車忽」の「車」は訓読地名であり、高句麗語の「車」
に相当する語が「上(中:зιaη)」に近い発音だったという可能性もありますが、「車」
を使った高句麗地名が他にないので、何とも言えません。

 020は高句麗地名で「釜山」と「松村活達」が対応している例です。このうち、「山」と「達」
は045「功木達{一ニ云フ熊閃山}」や064「高木根県{一ニ云フ達乙斬}」などの例から明確
に結び付けることが出来ますが、残る「釜」と「松村活」が難しいですね。「釜」は中期朝鮮
語では「kama」(日本語と語形が同じなのは共通語彙かそれとも借用関係か不明)です
ので、「松村活」と関連性を求めるのはちょっと難しそう(せいぜい「活(中:斤uat)」くらい?)
です。ただ、気になるのは中期朝鮮語に見える「sot‘(鼎)」でして、朝鮮語では釜と同義
で使用されているようなので、もしかすると「松(中:sioη)」と結び付けることが可能かも
知れません。なお、新羅地名の「振威(中:t∫ιen-・ιu∂i)」は高句麗地名「松村活達」
の「村活(中:ts‘u∂n-斤uat)」の部分を利用して付けられたものではないでしょうか。

331 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/28(木) 16:21 ID:iiBAw8Gs

>>330

 そうそう。指摘し忘れてましたが、056や091によれば、高句麗語では「松」のことを
「扶蘇(中:pιu-so)」「夫斯(中:pιu-sie)」と言っていたようですので、高句麗
地名の「釜山」の「釜」は訓読字ではなく音読字(中:bιu)で、高句麗語の「松」の
第一拍「pιu」を表記したものと見るべきかも知れません。

332 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/30(土) 18:51 ID:lxt7O49k

021,栗木郡{一ニ云フ冬斯[月+兮]},栗津郡ハ、本高句麗ノ栗木郡ナリ。景徳王改名ス。
今ノ菓州ナリ。,京畿始興郡果川面,栗=冬斯(中:toη-sie);木=[月+兮](中:hι∂t)
〜盻(中:斤ei),古代日本語「toti(橡)」;古代日本語「ki2〜ku(木)」,ナシ,ナシ,
022,仍伐奴県,穀壌県ハ、本高句麗ノ仍伐奴県ナリ。景徳王改名ス。今ノ黔州ナリ。,ソウル
市永登浦区東面始興里,穀=仍伐(中:ni∂η-biu∧t);壌=奴(中:no),古代日本語
「ina-Φo(稲穂)」;古代日本語「mi2(実)」;古代日本語「na(国・大地)」,後期中世語
「py∂(稲)」;現代朝鮮語「nui(白米中に混じた稗)」;新羅語「nu¨〜nu¨ri(世)」;後期
中世語「na-rah(国)」,南方ツングース諸語・満州語「na(土地)」,※非三七
023,斉次巴衣県,孔巌県ハ、本高句麗ノ済次巴衣県ナリ。景徳王改名ス。今モ因ル/v之ニ。,
ソウル市永登浦区西面陽川,孔=斉〈済〉次(中:dzei〈tsei〉-ts‘ii);巌=巴衣(中:
pa-・ι∂i),古代日本語「iΦa-Φo(巌)」,後期中世語「pa-hoi(巌)」,ギリヤーク語
「pax(石・崖)」,※高句麗漢字音:斉=済※非三七
024,買召忽県{一ニ云フ弥鄒忽},邵城県ハ、本高句麗ノ買召忽県ナリ。景徳王改名ス。
今ノ仁州ナリ{一ニ云フ慶原。買召、一ニ作ル/2弥鄒ニ/1}。,京畿仁川市,買召(中:mai-
t∫ιεu)=弥鄒(中:mie-ts^i¨∂u);召〈鄒〉(中:t∫ιεu〈ts^i¨∂u〉)=邵(中:
зιεu);城=忽(中:hu∂t),古代日本語「ki2(城)」,百済語「ki(城)」;後期中世語
「kol(谷・洞)」,満州語「holo(谷)」「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語
「qol-γan(城)」,※高句麗漢字音:買=弥;召=鄒※非三七
025,[犬+章]項口県{一ニ云フ古斯也忽次},[犬+章]口郡ハ、本高句麗ノ[犬+章]項口県
ナリ。景徳王改名ス。今ノ安山県ナリ。,京畿始興郡秀岩面安山,[犬+章]=古(中:ko);
項=斯也(中:sie-yia);口=忽次(中:hu∂t-ts‘ii),古代日本語「kutu〜kuti(口)」,
済州島方言「kulrε(口)」;全羅南道方言「kul(口)」,ナシ,

333 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/30(土) 18:51 ID:lxt7O49k

 021は高句麗地名に訓読・音読が揃っている例ですが、日韓両語ともに対応語は
指摘されていないようです。しかしながら、>>269で指摘したように、「栗木=冬斯
[月+兮]」という対応で、「木」と「[月+兮]」が対応し、日本語「ki2(木)」と対応する
ことがわかりましたから、残る「栗」と「冬斯」も対応する可能性が高いと思われます。
「冬斯」の漢字音(toη-sie)を見る限り、残念ながら日本語の「kuri(栗)」を対応語
として挙げることは出来せんが、その代わり、栗によく似た実を付け、かつては重要
な食糧でもあった「トチ(橡)」を提示することが出来そうです。sは歯茎摩擦音、tは
歯茎破裂音、摩擦音と破裂音の違いこそあれ、調音点は同じですからねぇ。

 なお、新羅地名「栗津郡」は「津」への改名の説明が難しいですが、旧百済領の
新羅地名で百済の「豆[月+兮]県」が「会津県」に改名されたという例があります
ので、新羅語としてではありますが、「津(=港)」と「[月+兮](中:hι∂t)」の間に
対応関係を認めることが出来そうな感じです。尤も、中期朝鮮語や現代朝鮮語に
同様の対応例があるかどうかまではわかりません。もしこれはとお気づきの方が
おられましたら、ぜひご教示下さい。

334 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/30(土) 18:52 ID:lxt7O49k

 022は高句麗地名が音読地名のみで、対応する訓読地名がありませんが、新羅
地名「穀壌県」の「壌」は、>>278にもある通り、高句麗の音読地名では「奴」と対応
していますので、高句麗の訓読地名に準じた取り扱いが出来る可能性があります。
その場合、「穀」と「仍伐」が対応することになりますが、日韓両語ともに過去に本語
と対応する例は示されていません。>>44では「ina-Φo(稲穂)」「mi2(実)」を提示し
ましたが、これは苦し紛れに出したようなもので、自信があるわけではありません(w。
朝鮮語の「nui(稗)」「py∂(稲)」の方も同様です。どなたか、いいアイデアはあり
ませんかねぇ。

335 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/30(土) 18:53 ID:lxt7O49k

 023も高句麗地名は音読地名のみで訓読地名はありませんが、新羅地名の「孔巌
県」の「巌」は074などにもあるように、高句麗地名では「波衣(中:pua-・ι∂i)」と
対応しますので、発音的に見て「巴衣(中:pa-・ι∂i)」も「波衣」とほとんど同じと
見てよいでしょうから、新羅地名を高句麗の訓読地名に準じて取り扱える可能性が
あります。となると、「孔」と「斉〈済〉次(中:dzei〈tsei〉-ts‘ii)」が対応することになる
わけですが、今のところ日韓近隣諸言語いずれも本語と対応する語を指摘すること
は出来ないようです。私も似たようなものですが、あえて指摘すれば、「スク(透)」
「スキ(隙)」「ス(鬆)」の「su」あたりはどうでしょうか。揃いも揃って上代に確例を見
出せないものばかりですので、あまり声高に主張出来ないのがつらいところですが。

 「巌」は過去に古代日本語の「iΦa-Φo(巌)」、中期朝鮮語の「pa-hoi(巌)」など
が対応語として指摘されていますが、本例に関しては朝鮮語が最も近いと言って
よいでしょうね。ただ、中期朝鮮語の「pa-hoi(巌)」は今では使われていない語の
ようですし、高麗時代に高句麗語(渤海語)から朝鮮語に入った借用語の可能性も
あることは念頭に置いておかなくてはならないでしょう。

 それともう一つ、高句麗地名が巻三七では「斉次巴衣県」、巻三五では「済次巴衣
県」となっているのも興味深いですね。「斉(中:dzei)」は有声音、「済(中:tsei)」は
無声音ですから、高句麗漢字音ではやっぱり有声・無声の区別はなかったことを
示唆するものと解されます。尤も、「斉」と「済」は字形的にさんずいの有無という違い
しかありませんから、単なる誤記の可能性もありますが。

336 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/30(土) 18:53 ID:lxt7O49k

 024は高句麗地名に音読地名が2種類存する例ですが、「買召忽」「弥鄒忽」それ
ぞれの漢字音から見るに、単に同じ地名を別々の漢字で表記したものに過ぎない
ようです。中でも「買(中:mai)」と「弥(中:mie)」の対応は、高句麗語の「水(川)」
の語形を再構する上で参考になります。新羅地名「邵城県」は高句麗地名の「召
(鄒)」を「邵(中:зιεu)」に、「忽」を「城」に置き換えたものでしょう。

 025は高句麗地名に音読・訓読ともに揃っており、訓読地名「[犬+章]項口」と音読
地名「古斯也忽次」が対応しています。このうち、「口」と「忽次」が対応することは、
102の例からも明らかであり、更に日本語の「kuti(口)」とも対応することも先学に
より既に指摘されているところです。朝鮮語では済州島方言に似た語形が見える
ようですが、地理的に見て夫餘系言語の影響と見るよりも日本語との関係を疑った
方がよいのではないでしょうか。

 残った「[犬+章]項」と「古斯也」のうち、「[犬+章]」は075に「[犬+章]塞県{一ニ云フ
古所於}」とありますので、「[犬+章]」と「古」、「項」と「斯也」がそれぞれ対応すると
見てよさそうです。「[犬+章]」はのろじかのことですが、のろじかは日本にはいない
動物であり、朝鮮語の「noru」をそのまま借用しているくらいですので、対応例を
見出すことは困難でしょう。また、朝鮮語もその語形からして対応例とするわけに
は行きません。どうやら「ko([犬+章])」は高句麗語独自の語ということになりそう
です。最後まで残った「項=斯也」ですが、「項」は漢語としてはうなじ、または首の
ことですので、日本語と結び付けるなら「うなじ」の「し」あたりがよさそうな感じです。
「うなじ」は「うな」だけでも「項」の意味があり、「し」は「しり(尻)」の略語と説明される
ことが多いのですが、別に語源がそれで確定しているわけでもありませんので、
「し」にも「項」の意味があったと考えれば、まぁ何とか納得出来なくもありません罠。
カナーリ苦しいですけどね(w。なお、新羅地名は高句麗の訓読地名を2文字に
省略しただけのものですので、何の役にも立ちません。シッパル!

337 名前:日語商売(休業中):2003/08/30(土) 20:00 ID:E0TMoIqo

>>330
そういえば韓国語で松のことをsol(普通は「木」の意味のnamuを付けてsonamuという)
と言いますが、「鼎、釜」の意味のsot‘(この語は今でも使います)と音が似てます。
案外これと関係があるかもしれませんね。

>>333
現代韓国語の語彙に、kε(海と川の水が出会う河口付近のこと)という言葉があります。
現在『李朝語辞典』をそのほかの本とともに箱詰めして韓国に送っているところなので、
中期語の例については参照できませんが、別スレで話題になっていた「熊津」のことを、
中世〜近世の日本では「こむがい」とか「こもがい」と呼んでいる例があります。
漢字では「熊川」と書いていますが、こちらは古代の「くまなり」を漢訳したものですね。
で、それに現れる「かい」とは「津」のことだと思われます。
港や渡し場は河口付近に作られることが多いので、ある時期にはkai(>kε)で
そのような意味を表していたのかもしれません。
ただ熊津(現在の公州)は錦江沿いではあるものの内陸に位置しているので、
はたしてそれでいいのか疑問なので、『李朝語辞典』が到着するまでしばしお待ちを。

338 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/08/31(日) 01:10 ID:qp0ykk5I

>>337 日語商売さん
>韓国語で松のことをsol(普通は「木」の意味のnamuを付けてsonamuという)
>と言いますが、

 ああ、そう言えば>>54で「松」について書いておられましたね。朝鮮語で「松」が
「sol」なら、確かに「sot‘(釜)」と関係があるかも知れませんねぇ。ただ、そうなる
と、「松村活達」は音訓混用ということになってしまいますな。それより何より、
朝鮮語の「sol(松)」は「松」の漢字音と関係があるような気がしますが、その辺
どうなのでしょうか。

>現代韓国語の語彙に、kε(海と川の水が出会う河口付近のこと)という言葉があります。

 おお、それは(・∀・)イイ!ですねぇ。『李朝語辞典』は私も持っているのですが、
職場に置いてあるので、月曜までは確かめられないんですよ。まぁ職場までは
歩いても10分かからないので、行けばいいんですけどね(w。

>別スレで話題になっていた「熊津」のことを、
>中世〜近世の日本では「こむがい」とか「こもがい」と呼んでいる例があります。

 それは何という資料でしょうか。『日本書紀』の古写本では「熊津(熊川)」に相当
する地名を「久麻那利」と書いて「コムナリ」と訓じている(「図書寮本」)ようですが。

339 名前:日語商売(休業中):2003/08/31(日) 02:58 ID:UCamNyzU

>>338
うお、私とんでもない間違いをしておりました!
「こもがい」は熊津(公州)のことではなく、慶尚南道熊川郡の熊川港のことでした!!
釜山港が栄える前の代表的な貿易港で、そこから積み出されて日本に輸出された茶碗のことを
茶道の世界では今でも「こもがい」と呼んでいるのです。
そのほかにも、確か日本人の漂流者が清や朝鮮の見聞を書いた本でも、
そこを熊川と呼んでいた覚えがあります。

で、熊川港=こもがい、であれば、「かい」はまさに港(津)であるわけで、
>>337で述べたことのもっと確かな証拠になるわけです。
また、上記の本(『朝鮮物語』や『寛永漂流記』、うちの大学で院生が演習で読んでいる本ですが、
日本ではあまり有名な本ではないようです)では、「釜山浦」に「ふさんかい」という読みが
付けられていました。
「浦=かい」とはなんぞや?「海」か?とか思っていたのですが、よく考えてみると
この「かい」も韓国語のkai(kε)と考えるべきもののようです。

なお余談ですが、中期朝鮮語で「熊津」に「koma-nΛrΛ」という訓を付けていることですけど、
もしかすると「津」の「nΛrΛ」は、川を意味する「na〜nari(h)」とは関係なくて、
現代韓国語で「渡し場」を意味するnaruや「運ぶ」を意味するnarщdaと
関係がある言葉かもしれません。
で、「コムナリ」はそれとは別で、本当に「熊+川」を意味する朝鮮語(百済語?新羅語?)で
あったと考えることもできるのではないでしょうか?

340 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/01(月) 15:50 ID:fNx9Kh.2

>>339 日語商売さん

 例の「kai」ですが、『李朝語辞典』を引くと、それっぽいのが二つありました。
「浦」の意の「kai」と、「[シ+叉]」(川の分かれるところ)の意の「kai」です。後者は
「[シ+叉]:水岐流也 港[シ+叉] kai〈四解下30〉」とありますので、一応こちらの
方が近そうな感じですが、おそらく両者とも同源ではないでしょうか。

>『朝鮮物語』や『寛永漂流記』

 確かに『朝鮮物語』のような朝鮮軍記物は日本では人気が今イチみたいですね。
私も読んだことがありません。まぁ日本には他にも面白い資料がたくさんあります
から、この種のものはどうしても後回しになってしまうのでしょう。ところで、『寛永
漂流記』とは『寛永漂民記』のことでしょうか。『国書総目録』では『寛永漂民記』は
あっても『寛永漂流記』という書名の本はありませんでしたので。

>もしかすると「津」の「nΛrΛ」は、川を意味する「na〜nari(h)」とは関係なくて、
>現代韓国語で「渡し場」を意味するnaruや「運ぶ」を意味するnarщdaと
>関係がある言葉かもしれません。

 「津」は『李朝語辞典』には「narщ」とありました。意味的に見て、動詞「narщ-da
(運ぶ)」とは同源の関係っぽいですね。「koma-nΛrΛ」とは母音は異なりますが、
それは「na〜nari(h)(川)」も同じですから、可能性としてはどっちもどっちという
感じですね。

 なお、『日本書紀』の「久麻那利」と古訓「コムナリ」については、「久麻」が百済語
っぽいのに対し、「コム」が新羅語(朝鮮語)と一致することからすると、漢字表記が
依拠した百済系の漢文資料、古訓が新羅系帰化人と、それぞれ由来するものが
違っていたことによるものなのかも知れません。

341 名前:日語商売(休業中):2003/09/02(火) 17:03 ID:VPwHxvo.

>>340
なるほど、kaiには「浦」と「川の分かれ目」の2義があったのですね。
「港[シ+叉] kai」の部分ですが、「港」には『広韻』や『説文新附』では「水派」(川の支流)、
『古今韻会挙要』では「水分流也」との注があるので、
この場合の「港[シ+叉]」も「川の分かれ目」という意味のようです。
また「浦」も、「水辺」という意味のほかに「川の分流」という意味があります。
中期語でのkaiの中心的な意味は「川の分かれるところ、川の支流」という意味で、
「浦(この場合は水辺?日本語「うら」は国訓)」は派生的意味と見受けられます。

なお、前とは別の韓日辞典でkεの意味を調べると「潟、干潟」となっておりました。
まぁ確かに干潟は河口付近にできるし、仁川あたりの河口には川がいくつも枝分かれして
干潟になってるところを多く見かけますが。。。

>ところで、『寛永
>漂流記』とは『寛永漂民記』のことでしょうか。『国書総目録』では『寛永漂民記』は
>あっても『寛永漂流記』という書名の本はありませんでしたので。

はい、たぶんそれだと思います。
ところで、それらの本の朝鮮地名のところを見ると、明らかに漢字音ではない、
いわば「訓読み」のところが出てきて、たとえば「川」という字にはほとんど「かい」という
振り仮名があるし、「慶尚道」「全羅道」などの「道」は「たい」と読ませています。
固有語地名と思われるところの解読の一助になれば。

342 名前:日語商売:2003/09/02(火) 17:04 ID:VPwHxvo.

しっぱい。昨日から営業中だw

343 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/02(火) 17:26 ID:yGyB5ZQs

>>336
 修正です。

 × 朝鮮語の「noru」をそのまま借用
 ○ 朝鮮語の「noro」をそのまま借用

 のろじかは現代朝鮮語では「noru」ですが、中期朝鮮語では「noro」でした。
逝ってきまつ。

    ||§||            ||§||
    ||ウ||            ||§||
    ||  ||            ||§||
    ||  ||            ||§|| コロコロ
._| ̄(||〇||        .__/(||ウ||......(((〇

344 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/02(火) 17:58 ID:yGyB5ZQs

>>341
>それらの本の朝鮮地名のところを見ると、明らかに漢字音ではない、
>いわば「訓読み」のところが出てきて、たとえば「川」という字にはほとんど「かい」という
>振り仮名があるし、「慶尚道」「全羅道」などの「道」は「たい」と読ませています。

 ふむう。でも、「道」の固有語は「kil」ではありませんか。少なくとも中期朝鮮語では
そうなっているみたいですよ。「川」の「かい」の方はともかく、「道」の「たい」というのは
漢字音ではないのでしょうか。まあ「道」の朝鮮漢字音は「to」ですので、ちょっと「たい」
にはなり難いことは確かですが、中古音は「dau」ですし、方言では「tau」となっている
地域があったとは考えられませんか。或いは、日本漢字音の影響とか。著者は当然
日本人ですから、中世末期の日本漢字音なら「道」は「だう」と書いて「dっ:」と発音して
いたわけで、そこから生まれた一種の観念的朝鮮漢字音ということも考えられるのでは。

345 名前:日語商売:2003/09/02(火) 19:58 ID:DFNBHmvo

>>344
実は私もそれ考えたのですが、他のところに出てくる「道」、たとえば
固有の地名に出てくる「道」は「どう」と仮名が振ってあるんですよ。
いい加減スレ違いになってきているので、これについては、
またあとで時間があるときにでも大道芸スレで考えることにして、
こちらは本道に戻りましょう。

あ、いろいろ調べてみたら、kεは入り江や湾についても言うようです。
ただ、学生にkεの意味について聞いても「わからない」「犬でしょ」という答えが返ってくるので、
現在ではほとんど使わない言葉のようです。

346 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/02(火) 21:18 ID:Q4aLQ0No

>>345 日語商売さん
>こちらは本道に戻りましょう。

サムスン亭ヲン楽:山田クン、座布団1枚、日語商売さんに上げて。

>「犬でしょ」

 ベタでつけど、ワラタ。ほんと彼らは犬が好きなんでつね(w。

347 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/06(土) 17:10 ID:up9m2u5A

026,主夫吐郡,長堤郡ハ、本高句麗ノ主夫吐郡。景徳王改名ス。今ノ樹州。,
京畿仁川市富平洞,長=主夫(中:t∫ιu-pιu);堤=吐(中:t‘o),ナシ,
ナシ,ナシ,
027,首尓忽,戍城県ハ、本高句麗ノ首尓忽ナリ。景徳王改名ス。今ノ守安県ナリ。
,京畿金浦郡大串面,戍(中:siuet)=首尓(中:∫ι∂u-nie〈rιe〉);
城=忽(中:hu∂t),古代日本語「ki2(城)」,百済語「ki(城)」;後期中世語
「kol(谷・洞)」,満州語「holo(谷)」「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;
蒙古語「qol-γan(城)」,※高句麗漢字音:戍=首尓?
028,黔浦県,金浦県ハ、本高句麗ノ黔浦県ナリ。景徳王改名ス。今モ因ル/v之ニ。,
京畿金浦郡金浦面,黔(中:gιem)=金(中:kι∂m),×,×,×,※高句麗
漢字音:黔=金
029,童子忽県{一ニ云フ仇斯波衣},童城県ハ、本高句麗ノ童子忽{一ニ云フ
[山+童]山県}県ナリ。景徳王改名ス。今モ因ル/v之ニ。,京畿金浦郡霞城面,
童子=仇斯(中:gι∂u-sie);童(中:duη)=[山+童](中:duη);城=
忽(中:hu∂t);山=波衣(中:pua-・ι∂i),古代日本語「ko1(子)」;古代
日本語「ki2(城)」;古代日本語「iΦa-Φo(巌)」,百済語「ki(城)」;後期
中世語「kol(谷・洞)」;後期中世語「pa-hoi(巌)」,満州語「holo(谷)」
「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」;
ギリヤーク語「pax(石・崖)」,※[山+童]は『大漢和』によれば「徒東切」で
「童」と同音字。
030,平淮押県{一ニ云フ別史波衣。淮、一ニ作ル/v唯ニ},分津県ハ、本高句麗ノ
乎唯押県ナリ。景徳王改名ス。今ノ通津県ナリ。,京畿金浦郡月串面通津,平淮
〈唯〉(中:bιΛη-斤uΛi〈yiui〉)=別史?(中:bιεt-s^i¨ei)=分津?
(中:pιu∂n-tsien);押=波衣(中:pua-・ι∂i),古代日本語「iΦa-Φo
(巌)」,後期中世語「pa-hoi(巌)」,ギリヤーク語「pax(石・崖)」,※巻三五の
「乎」は「平」の誤記であろう。※高句麗漢字音:平≒別;淮(唯)≒史?
※新羅漢字音:別≒分?;史≒津?※「淮」は「准(中:t∫ιen)」の誤字
では?※「押」は「岫」(峰の意)の誤記か

348 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/06(土) 17:10 ID:up9m2u5A

 026は非三七ですが、高句麗地名「主夫吐」と新羅地名「長堤」に見える
「堤=吐」の対応は097「奈吐郡{一ニ云フ大堤}(巻三七)」と同一のものです
ので、新羅地名を高句麗の訓読地名に準じて利用出来る可能性があります。
「吐(堤)」は周辺言語にも類似するものが従来指摘されていませんので、
高句麗語独特の語彙(弁韓の地にも1例ありますが)である可能性が高そう
ですが、強いて日本語と結び付けるなら、「つつみ(堤)」「と(戸)」などを指摘
することが出来るでしょう。>>216,>>219,>>224,>>227-228,>>238,>>243-244
参照されたし。

 残る「主夫」と「長」については、残念ながら本例以外に用例がありません
し、周辺言語にも類似したものが見当たりませんので、本当に関係がある
のかどうか不明です。しかも、「長」の漢字音が「中:d^ιaη〈t^ιaη〉」と、
「主夫(中:t∫ιu-pιu)」のそれに似ているのが気になりますね。案外、
新羅地名は漢字音に基づいて付けられたものかも知れません。

349 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/06(土) 17:11 ID:up9m2u5A

 027も非三七ですが、こちらも「城=忽」という高句麗地名に多い対応関係
が新羅地名との間にも存しますので、新羅地名を高句麗地名に準じて利用
出来る可能性があります。「城(忽)」以外の部分では、「戍(中:siuet)」と
「首尓(中:∫ι∂u-nie〈rιe〉)」ですが、それぞれの漢字音からして、新羅
地名は漢字音(おそらく新羅漢字音)に基づいて付けられたものと見てよい
でしょう。

 028は高句麗地名・新羅地名ともに漢語(訓読)地名ですので、高句麗語
の再構には使えそうにありません。新羅地名「金(中:kι∂m)」が高句麗
地名の「黔」の漢字音(中:gιem)に基づいて付けられたものであることは
確実でしょう。例によって清濁は完全に無視されていますね。

350 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/06(土) 17:11 ID:up9m2u5A

 029は巻三七、巻三五にそれぞれ高句麗地名が2種類ずつ出てきますが、
お互いに一致するのは一つだけで、残りは他方に見えないというややこしい
ことになっています。両巻に共通するのは訓読と音読の混合地名である
「童子忽」ですが、巻三七にしか見えない「仇斯波衣」の方は音読オンリー、
巻三五にしか見えない「[山+童]山」は訓読オンリーというのが面白いですね。
問題は三者の関係ですが、音読地名の「波衣」は訓読地名の「巌」と対応
(074など)するのが普通ですので、「山」や、通常「城」の音読表記として使用
される「忽」と対応するのは不審ですが、074に「[休+鳥][留+鳥]城{一ニ云フ
租波衣。一ニ云フ[休+鳥]巌郡}」という例があり、「城」「巌」と「波衣」が対応して
いるほか、「岑」と対応する例(052)や「[山+見]」と対応する例(091)の例など
がありますので、「城」や「山」とも一応対応し得るようです。まぁこの場合の
「城」は「城市」の意味で使用しているだけで、「城」イコール「波衣(巌)」という
わけではないのかも知れませんが。

 とりあえず「忽(城)」「山」と「波衣」が対応するとすると、残る「童子([山+童])」
と「仇斯」が対応するということになります。李基文は日本語「コ(子)」と対応
するのではないかと推測しています。頭子音くらいしか共通する部分がない
のがネックですが、現状では他に手はなさそうです。

351 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/06(土) 17:14 ID:up9m2u5A

 030も高句麗地名が二つ出てきますが、「別史波衣」は音読地名、「平淮押」
は音読と訓読の混合地名のようです。本例は漢字の異伝が多く、「淮」は「唯」、
「平」は巻三五では「乎」となっています。このうち、後者は漢字音からして「別」
と対応させづらいので、誤記乃至誤伝である可能性が高そうです。問題は前者
ですが、「淮」の漢字音が「斤uΛi」、「唯」が「yiui」、これに対応するはずの「史」
が「s^i¨ei」で、どちらも発音特に声母の部分の相違が大きいため、どちらが
正しい漢字表記なのか判断しかねるところです。思うに、どちらも間違いで、
本来の漢字表記は「准(中:t∫ιen)」だったのではないでしょうか。これなら
「史」の声母と発音的にだいぶ近くなります。ただ、このように考えると、今度は
余計な韻尾nが付いてくるのが痛いと言えば痛いのですが、新羅地名「分津」
では「津(tsien)」と韻尾nの付いた漢字が使われていることを考慮すれば、
「准」説もそれなりに可能性があるように思います。

 残る「押」と「波衣」の対応ですが、「波衣」は高句麗地名では「巌」に対応
するのが普通なので、「おす」という意味しかない「押」という漢字に対応する
のは不審です。ところが、実際には049、090で「嶽」、183、186で「岳」に対応
している例があり、高句麗地名では「押」を「山」の意味で使用していることが
多いという事実があります。「押」が音読表記なら漢字音は「ap〈kap〉」です
ので、「高い山」「岩山」を意味する高句麗語として「ap」乃至「kap」を再構
する必要があるということになりますが、既に山系の語彙として「波衣(巌)」
「述尓(峰)」「達(山)」が存するのに、新たに別の山系の語彙を付け加える
のはいささか躊躇されます。「押」を「岫(峰の意)」の誤記乃至代用漢字と
して使用しているという可能性も考えたのですが、さすがに苦しいですね。

 残る可能性として今考えているのは、「峡谷」の意の高句麗語「kapi(kap)」
と対応するというものです。144に「猪[之+守]穴県{一ニ云フ烏斯押}」という例
があり、「押」と「穴」が対応しているのですが、「穴」は高句麗地名では「甲比
(062)」「甲(195)」と音読表記されており、特に後者は「押」と同音字なのです
ね。「巌」と「峡谷」では意味的に正反対のようですが、岩山に峡谷はつきもの
ですし、029でも「忽(城)」と「波衣」が対応し、「忽」は本来「谷」の意であると
いう説もある(>>31)ようです。>>32-33,>>35,>>37,>>39も参照されたし。

352 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/06(土) 17:48 ID:up9m2u5A

 そうそう。>>351では新羅地名「分津」の命名の由来を高句麗地名「准」の
漢字音から来たのではないかと指摘しましたが、もう一つ、高句麗地名「押」
の漢字音「kap」から、>>333,>>337で話題になった「kai(浦・水俣)」を連想
して「津」と名付けたという可能性があることも指摘するのを忘れていました
ので、追加しておきます。

353 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/07(日) 23:09 ID:nW.blu.g

押と甲が同音字というか、押の字音がapとkapの二つあるということですね。
kaiは古い形ではkapiだったかも知れません。
母音にはさまれたp,sが落ちる現象は古くからあったと考えられるので。

忽はsangol(山村)のコルと同じですよね。多分。
郡(こおり)と関係があるかどうかはわかりませんが。

354 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/08(月) 00:27 ID:VzaJAOo.

娜々志娑无先生のレジメでいつも違和感あるのは
高句麗語のコル(城)に対する参考として日本語のキ(城)を出すよね?
コルは城郭都市の意味だからどちらかというと日本語ではクルワ(郭)が参考になるのでは?

355 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/08(月) 01:59 ID:DudWbyRI

>>353
>押と甲が同音字というか、押の字音がapとkapの二つあるということですね。

 そういうことです。わかりにくい書きかたをしてすみません。日本では「押」の
漢字音と言えば「オウ」なので、「ap」がまず最初に思い浮かぶと思うのですが、
この場合は「甲」の方と同じ発音だったと考えた方がいいだろうということです。

>忽はsangol(山村)のコルと同じですよね。

 「sangol(山村)」という語が現代朝鮮語にあるのですか。もしそうなら、san
は「山」の漢字音に間違いありませんから、「gol」は「村」と解するしかありま
せんので、高句麗語の「忽」と結び付けることが可能になりますが。そもそも
それは共通語でしょうか。もしかして北方の方言とかいう落ちがあったりして。


>>354
>コルは城郭都市の意味だからどちらかというと日本語ではクルワ(郭)が参考になるのでは?

 それがですねぇ。「クルワ(廓)」という語の最古例は江戸時代(17世紀)の話
でして、古代にそういう語が存在したかどうかは極めて怪しいのですよ。勿論、
文献にたまたま登場しなかったという可能性もありますが、確例がない以上は
まだ「キ(城)」の方がまだ有力だと言わざるを得ないかと。

356 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/08(月) 16:59 ID:6iTbfPw.

>>355
>くるわ(廓)

 『日国大・第二版』を引いたら、16世紀中頃の用例があるようですね。失礼しました。
で、「くるわ(廓)」の語源ですが、アクセントや語義から推定するに、擬態語の「くるり」
「くるくる」などの「くる」と「わ(輪)」の複合語らしく思われます。「わ(輪)」は本来は丸い
形という意味ですが、濃尾平野で発達した「輪中」のように、方言では集落を囲む境界
の意味でも使用されます。「くるわ」も最初から遊里という意味ではなく、古例を見ると
城や砦の周囲に築いた囲いの意で使用されていますので、本来は一定の地域の周囲
を円形に囲んだ境界自体を指す語だったのでしょうが、その境界によって隔てられた
地域そのものも指すようになり、秀吉以降、遊女屋は囲いで隔てた地域に集めて営業
させるようになったこともあって、遊里のことも「くるわ」と称するようになり、遂にはそれが
固定化したということのようです。高句麗語の「忽」などと結び付けるのは難しそうですね。

357 名前:阿木林:2003/09/08(月) 17:04 ID:yNJmN92c

コルgorは谷という意味の固有語ですよん。
サンゴルsangorなら山谷ですが、山里という意味で多くつかいます。
コルモクgormogというと路地とかいう意味ですが、これはモンゴル語などの
可能性がありますね。

358 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/08(月) 17:57 ID:6iTbfPw.

>>357 阿木林さん
>コルgorは谷という意味の固有語ですよん。

 ああなるほど、>>19で挙げた後期中世語の「kol(谷・洞)」ですね。当方、朝鮮語は
さっぱりなので、またいろいろ教えて下さい。それにしても、やっぱり朝鮮語にも日本
語の「こうば(工場)」みたいな漢語と固有語の複合語があるんですなぁ。まぁ朝鮮語
の「san(山)」の場合は、固有語の「moi(me)」自体が死語になって久しいという事情
もあるのでしょうけど。

359 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/08(月) 18:31 ID:DhJOZjXA

>>356
>「くるわ(廓)」の語源ですが、アクセントや語義から推定するに、擬態語の「くるり」「くるくる」などの「くる」と「わ(輪)」の複合語らしく思われます。

先生。素人にはとてもデムパっぽいかんじがしちゃいます。(スンマセン
いえ、「くる」って「めぐる」・「めぐらす」からきたのかなーと最初に思っちゃったもんですから、「くるくる」に拍子抜けしただけなんですが…。

360 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/08(月) 20:38 ID:DudWbyRI

>>359

 359さんはものの周囲を意味する「ぐるり」という語をご存じありませんか。
擬態語の「ぐるり(「くるり」の濁音版)」から生まれた語です。私は今でも
使いますが、意外に歴史のある語でして、17世紀には既に使用されている
ことがわかっています。周囲をぐるりと回るという表現から生まれたこの
「ぐるり(周囲)」と「くるわ(廓)」、発想の点でよく似ていると思いませんか。
まぁ前者は擬態語そのものが名詞化したのに対し、後者は擬態語と名詞
の結合なので、まったく同じというわけではありませんが、現代でも「スカ屁」
「ビチ糞」(尾籠な表現ばかりで済みません)のように、擬態語や擬声語の
一部と名詞が結合して新たな名詞を作る例は珍しくありません。

 唯一の問題点は擬態語「くる」の実在が証明されていないことですが、
擬態語「くるり」「くるくる」「くるる」などの語からこの擬態語の本体ともいう
べきものとして「くる」を分析することは難しくありません。年代的に見ても、
「くるり」「くるくる」は院政期、「くるる」に至っては奈良時代の頃から使われ
ていましたから、「くるわ(廓)」より確実に先行しており、これらの「くる」
から「くるわ(廓)」が生まれたとしても何の矛盾も生じません。

 なお、動詞について言えば、擬態語「くる」と語源的に関係がありそうな
動詞は「めぐる(巡)」ではなくて「くる(繰)」の方でしょう。「めぐる(巡)」
だと「め」の始末に困ってしまいますからね。

361 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/08(月) 20:41 ID:DudWbyRI

>>360
>め」の始末に困ってしまいますからね。

 送信を押してから気付いたのですが、ここは

  「め」のやり場に困ってしまいますからね。

としとけばよかったなぁ。チォブ。

362 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/08(月) 22:04 ID:on5doEMI

漏れは359ではないが、まさに360のような説明をきいて「なるほど」と思いたかったわけですよ。
たしかに359が引用してる1行だけみたら、素人は「デンパかよ、ワラ」と脊髄反応するのは
無理もないこと。漏れも一瞬そう思ったし。

面倒くさいけど、娜々志先生、ファン多いと思うのでがんがって!応援してるんで。

363 名前:阿木林:2003/09/09(火) 10:02 ID:i7vKouAM

チョソン語でもクル、というのは転がるという意味の語根ですが、
これも擬声語の最たるものでしょうねぇ。
擬声語が語幹になる例は日本語より多いといわれてます。
クールリダ ku:l-li-ta 転がる
クールロガダ ku:l-leo-ka-ta 転がっていく
母音がちょっと違いますが、トングルダtong-keul-taならば「丸い」。
トングラミtong-keu-ra-miは「丸」。転がる擬音はtong-keul。

シナー語でもku-luという擬声語があるくらいで。

364 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/09(火) 13:00 ID:3ji.chpM

そういえば「耽羅国・耽羅島」(今の済州島)も「丸い島」の意味とか聞いたけど本当なの?

365 名前:阿木林:2003/09/09(火) 17:46 ID:i7vKouAM

丸い島、という説は初めて目にするような。
たしかseom-moe(島・山)というかたちが、seom-naに変化した、
という説が一般的であったような気がします。
talk-moe(岳・山)の変音であったかもしれません。

366 名前:阿木林:2003/09/09(火) 17:49 ID:i7vKouAM

前にスレに貼った、この再構音なんだけど、
自然言語としてはかなり違和感のあるものです。

a/ιa/ua/ιua
a^/ιa^/ua^/ιua^
o/ιo/ιu/
∂i/ι∂i/u∂i/ιu∂i
ai/ιεi/uai/ιuεi
Λi/ιi/uΛi/ιui
a^i/ιe^/ua^i/ιue^
ρi/ιei/uei/iuei
au/ιεu/ieu
a^u/ιeu/∂u/ι∂u
am/ιεm/∂m/ι∂m
a^m/ιΛm/Λm/ιuΛm
an/ιεn/uan/ιuεn
Λn/ιΛn/uΛn/ιuΛn
a^n/ien/ua^n/iuen
∂n/ι∂n/u∂n/ιu∂n
εn/ιe^n/ιue^n
aη/ιaη/uaη/ιuaη
っη/ieη/iueη
oη/ιoη/uη/ιuη
εη/ιεη/uεη/ιuεη
∂η/ι∂η/u∂η/ιu∂η
Λη/ιΛη/uΛη/ιuΛη

367 名前:阿木林:2003/09/09(火) 17:53 ID:i7vKouAM

恐らく、中古音の体系は、
i/e/ε/a/っ/o/u/∂という8母音を中心としていたのではないかと
思います。現存する東アジアの言語にかなり普遍的に見られる
体系だからです。

現代朝鮮語にそっくりの基本母音ですが、朝鮮語の場合では
李朝語との間に母音推移が起きています。あたかも英語の
大母音推移のごとく。
a
e>っ
ai>ε
ei>e
o
u
w
i
∂>a/w

368 名前:阿木林:2003/09/09(火) 18:04 ID:i7vKouAM

また、aには長短があったのではないかと思います。
たとえばaは短音、a^は長音であるというように。
[Λ]という音は[っ]とほぼ同じ音と考えられますので、
[っ]で書き換えても問題は無かろうと思います。
e^もeで書き換えてほぼ問題はないようです。
江韻は長母音のa:ngだったのかもしれません。
等の問題はどう解決すべきか。
オツ eul 乙(3等)
イチ il 一(4等)
などの例から、*I@t, *i@tという違いが想定されているわけですが。

以上、あんまり関係ない独り言。

369 名前:阿木林:2003/09/09(火) 18:18 ID:i7vKouAM

恐らく*I は捲舌的な要素を含むiだったのではないか。
そう考えるのが今のところ合理的なような。
現存する言語に、介音のi に二種類ある言語があればよいのですが。
上古音では*-I-は*-r-だったのではないかという研究もあります。
これはビルマ語などで-r-, -l-などという二重子音が、全て-y-に変化
していることを受けています。

370 名前:日語商売:2003/09/09(火) 18:53 ID:7pahZ7ek

>>367
中古音の再構のネックは、何といっても自然言語にありそうにない体系を考える人が多いことなんですよね。
たとえばΛと@(aをひっくり返した発音記号と思ってください)の区別があったと考える人がいますが、
現実の言語でそんな区別をしているものなんてありません。
またΛと∂が別個の母音とする人もいますが、これもちょっと考えにくい(異音としてならいいけど)。

私も阿木林さんのおっしゃるとおり、だいたい8母音ぐらいの体系だったと思います。
どちらかと言えば英語に近い i/e/ε/a(ae)/α(っ)/o/u/∂(Λ)。
εとaの区別(中国音韻論の術語で言えば二等重韻)も、昔の区別が韻書に残っただけで、
実際の言語では区別がなかったかも知れません(少なくとも9世紀以降は合流)。
iとιも、今では/ji/と/i/と解釈する説が有力ですね。

李朝語の母音ですが、前に挙げた17世紀の漂流民のことを書いた本では、
母音┤をエ段の仮名で写しています(例:漢城に「はんせん」とルビ)
そう考えると、┤は・(いわゆるアレア)の消失やai、eiの短母音化などの影響で
どんどん奥母音へと変化していったのでしょうね。
ただ満州語のように、eをもたず∂を持つ言語も東アジアにはあるので、
[e]とは違う、もう少し中舌に近い母音だったのかも。

371 名前:日語商売:2003/09/09(火) 19:21 ID:7pahZ7ek

あ、レスが進んでいる。

>>368
あるいは長短があったのかもしれませんね。
粤語ではa:対aの区別がありますが、歴史的には原則としてa:はaやα(a^)、aは∂から来ています。
すると一等の重韻、αとΛ(っ)の区別は、ある時期にはa:とaに近いものだったかもしれません。
二等重韻(私の表記ではaとε)もε:とεだったとか。
これは阿木林さんの考えとは異なりますが。

江韻については、中古音に円唇軟口蓋鼻音韻尾を考えて、/aung/と解釈する説も有力です。

>>369
今の中国語方言にはi介音に2種類あるのってないんですよね。
三等と四等の区別は13世紀頃まで残っていたらしいのに。
さっき自分が挙げた三等/i/四等/ji/と、三等/I/四等/i/では、どちらがいいのか、
正直自分でも迷っています。
上古音の段階で、三等のおそらく大部分に*-r-要素があったというのは、
間違いないと思うのですが。。。

372 名前:阿木林:2003/09/09(火) 20:19 ID:i7vKouAM

aungとかaingとか、介音と主母音が逆転したような形式って
福州話などでは普通にみられるんですよね。
それに四等音が対応するかというと、そうでもないんですが。
四等に/ji/という発音を当てた場合(中国ではこの説が多いはず)
弱い摩擦をともなうイであったということになるでしょうか。

aの長短を区別する言語は基層のタイ系言語の影響であると考える
のが普通ですが、長安音にも長短の対立があったと考えることが
可能かどうか。長短の対立があったとすれば、基本母音数を少なく
することができ、すっきりするのですが。

タイ系の言語では/ian/と/i:an/のように介音に長短の区別がある
ものがあったような気がするのですが、確かな記憶ではありません。
章zhang/将jiangのような対立に、突破口を求めたいと
思っています。この場合章には中舌的な介音-I-が含まれて
いると考えうるからです。捲舌音は北方語に特有な特徴とされて
いますが、必ずしもそうではなく、蘇州話や海陸客話などの老派では
残されています。

373 名前:364:2003/09/09(火) 23:19 ID:5HYB7Cjg

>>365
「耽羅」が「丸い」の意味だというのは岩波の日本書紀の注釈にあったよ。

374 名前:阿木林:2003/09/10(水) 10:30 ID:579HTEDk

実は、昨日結構大事なことに気づいたのですが、切韻をもとにした
中古音体系は、長安音とは似て非なるものなんです。
これは全て南北朝時代の江南音をもとにしているといわれており、
いわゆる「呉音」のもととなった体系です。
切韻が編纂された当時でも、長安音と合致しないことは問題となって
おり、多くの注釈が生まれるのですが、契丹語などの音韻の影響を
強く受けた北方中原語の韻書が編纂されるのは宋代になってから
であったと思います。当時の長安音は、チベット文字の資料などから
かなり明らかになっており、いわゆる「漢音」の元となっているものです。
で、その重要な特徴の一つは、「清濁を区別しない」ことなのです。
「漢音」に濁音がほとんど現れない(馬 バ ma>mbaなど、鼻母音から
変化したものは除く)ことからも明確です。

朝鮮三国関係の資料がこの北方中原音に依拠していることは恐らく
間違いないでしょう。そうであれば多くの資料で「清濁の対立が
見られない」ことは当然であるともいえるのです。
もちろん、これが「高句麗語に清濁の対立がない」ことを否定する
材料とはなりません。

三国関係の資料の漢字音は、切韻の体系よりもむしろ朝鮮漢字音に
近いということが、ここから言えると思います。
そこで、朝鮮漢字音も資料に加えるというのはどうでしょうか。
もちろん、戦後に表記が簡略化される前の綴りが望ましいでしょう。
(例:田 tien > cen ここではeは/っ/ないし/∂/を表す)

375 名前:阿木林:2003/09/10(水) 11:49 ID:579HTEDk

とは言ったものの改定前の漢字音はあまり詳しくないんですよ。

026
主夫吐 cu-pu-tho
長堤 tiang-tiei
樹州 su-ciu

027,
首尓忽 su-'i-hol
戍城県 sul-sieng
守安県 su-'an

028
,黔浦県 kem-pho
金浦県 kwm-pho

029
童子忽県 thong-c@-hol
仇斯波衣 ku-s@-pha-'wi
童城県 thong-sieng
[山+童]山県 thong-san

030
平淮押県 phieng-hoi('iu/ciun)-'ap
別史波衣 piel-s@-pha-'wi
分津県 pun-cin
乎唯押県 ho-'iu-'ap
通津県 thong-cin

波衣=唯押('iu-ap「いわ」と関係ありや?」)=津
であるとして、別と分が通じるのが興味あります。
であるならば乎は通に通じるのでしょう。
「史」と28の「斯」は同音であり、かりに助詞の/s/(〜の)を表すと
するならば、仇斯波衣はおそらく「子ども?の岩」
別史波衣は「分かれた?岩」ということになり、新羅語と通じる波衣
には「唯押(イワ?)」という語彙が対応しているということになります。

376 名前:阿木林:2003/09/10(水) 11:55 ID:579HTEDk

なお、個人的に朝鮮語の表記に次の方法で書いてみました。

k/n/t/r(l)/m/p/s/'/c/ch/kh/th/ph/h
a/ia/ai/iai/e/ie/ei/iei/o/io/u/iu/w/i/@(アレア)

志部方式とイェール式のちゃんぽんですが、この場ではよいかと。
韓国のチャンポンってなんであんなに辛いんだろう・・・

377 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/10(水) 17:12 ID:d1WTvisU

>>373 364さん
>「耽羅」が「丸い」の意味だというのは岩波の日本書紀の注釈にあったよ。

 えっと。それは日本古典文学大系のことですよね。何頁でしょ?
ちょっと見つけられなかったので。

378 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/10(水) 17:19 ID:d1WTvisU

>阿木林さん

>>374
>そうであれば多くの資料で「清濁の対立が
>見られない」ことは当然であるともいえるのです。

 なるほど。この辺はある意味阿木林さんの予想通りの結果が出たというわけ
ですね。「高句麗漢字音に清濁の対応が存在しない」から「高句麗語に清濁の
対応が存在しない」と考えたのはさすがに短絡過ぎたようです。スマソ。

>そこで、朝鮮漢字音も資料に加えるというのはどうでしょうか。

 おー、アナタ、私に死ね言いますか!

 冗談はさておき、私の手元に河野六郎著作集の『資料音韻表』があるので、
それを参照すれば、「田(朝:tj∂n)」のように朝鮮漢字音を記載することは
一応可能は可能です。ただ、その作業にはかなりの時間と労力を要すること
が予想されますので、さすがにすぐにというわけには…(^^;。

>>375
>波衣=唯押('iu-ap「いわ」と関係ありや?」)=津

 日本語の「岩」は平安中期までは「iΦa」で、「i'wa」になるのはハ行転呼が
生じた平安後期以降の話ですよ。高句麗語ではいち早く〔Φ→β→w〕の変化
が起きたとでも考えない限りは難しいのではないでしょうか。それに、「波衣」
も「唯押」も音読表記だとすると、両者の再構語形には相当な隔たりがあります
ので、同じ語の異型とはちょっと解されません。結局、別に「津」の意味を持つ
語を新たに想定しなくてはならないというのも問題かと。

379 名前:阿木林:2003/09/10(水) 18:11 ID:579HTEDk

おお。あれは「いは」でしたね。勇み足を踏んでしまった。
古語ができないというのはやっぱり弱点ですね。
切韻の体系でも、長安音とかけ離れているわけではないので、
清濁にさえこだわらなければやはり有用ということになると思います。

380 名前:阿木林:2003/09/10(水) 18:26 ID:579HTEDk

波衣は韓系の語彙、唯押は高句麗系の語彙、ということを考えて
みたのですが・・・やっぱり立証は難しいですよねぇ。
ちなみに現代音で/pha/となる「波」も、おそらく当時は/pa/と発音
されていたのでしょう。

381 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/10(水) 19:35 ID:d1WTvisU

 >>202でもある程度指摘済みですが、結局、『三国史記』の高句麗地名データの
記述パターンによる価値の高低について言えば、地名データ(注:大文字は訓読
字(漢語)、小文字は音読字)が、

 (1)AB{一ニ云フab}(巻三七)  CD県ハ、本高句麗ノAB(ab)県ナリ。(巻三五)
      
または、

 (2)ab{一ニ云フAB}(巻三七)  CD県ハ、本高句麗ノAB(ab)県ナリ。(巻三五)

という形で記述されているのが最高なんですよね。何せ巻三七から高句麗語を
再構出来る可能性(あくまでも「可能性」です。両者が無関係である可能性もある
ので)があるだけでなく、ついでに巻三五から新羅語までも再構出来る可能性
まで出てくるわけですから、こいつはもうたまりません。ご存知の通り、新羅語も
相当資料が乏しいので、こんなデータでも十分貴重なデータになります。しかし、

 (3)ab(巻三七)  CD県ハ、本高句麗ノab県ナリ。(巻三五)

というパターン(私のデータで言うところの「非三七」)だと、CDとabの関係から
導き出せるのは高句麗語なのか新羅語なのか、はたまたまったく無関係なのか
が判別出来ないので、他の地名データを参照したり周辺言語と比較したり等、
色々と面倒な手続きが必要になってきます。更に、

 (4)AB(巻三七)  CD県ハ、本高句麗ノAB県ナリ。(巻三五)

になると、高句麗語の再構も新羅語の再構も、どちらもほぼ絶望的になります。
まぁ高句麗漢字音と新羅漢字音の比較対照くらいは出来る可能性がありますが、
後はせいぜい、高句麗地名を音読し、その音から新羅語の単語を連想してそれ
に基づいて新羅地名が命名されたという可能性を追究することで、場合によっては
新羅語を再構出来るかも知れないという程度でしょうか。

 あ。それともう一つ。たとえ高句麗地理誌に載っている地名であっても、新羅領
に近い地域の場合は、もともとその土地では韓系言語(新羅語)が使われていた
という可能性がかなり出てくるので、仮に(1)や(2)といった黄金パターンのデータ
であっても、それをもって無条件に夫餘系言語(高句麗語)と断定するのは危険
であるということも念頭に置いておく必要がありますね。まぁ同様の問題は、百済
領に近い領域についても起こり得るわけですが、百済の支配層が夫餘系であると
いう通説に従えば、可能性としてはまだ低そうです。

382 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/10(水) 21:22 ID:ycsFM8Bg

 日語商売さんに続いて阿木林さんという漢字音にお詳しいお方が
登場されたので、この機会にそろそろ高句麗地名データにおいて
中古漢字音の転写の際に私が使用している音声表記法の問題点
とその改良案などを具体的に指摘して頂けると有難いのですが。

 例えば、私は「^」をそり舌音を示す記号として用いています(>>98
の日語商売さんの真似)が、阿木林さんはa、eの上のvの記号と
して使用しておられますよね。私はこっちの区別の方は最初から
書き分けを放棄しているという体たらくだったりするわけですが、
仮に区別するなら区別するで、どう書き分けるべきかについても
アイデアを出して頂ければと存じます。

 その他、この漢字については藤堂はこう再構しているが、実はこう
再構するのが正しいからこうせよというようなことでも結構です。
宜しくお願いします m(_"_)m。

383 名前:日語商売:2003/09/10(水) 21:25 ID:kOy/b8Po

すっかり亀レスになってしまいました、スマソ。
現在行われている「トーナメント優勝者最萌トーナメント」の選対活動を某所でしておりまして、
昨日は書きかけをほっぽっといてしまいますた。

>>372
福州音の例は有名ですね。
中古音だと、江韻と同じように東韻や冬韻、鍾韻を音韻論的に
/∂uη,i∂uη,αuη,iαuη/と考える説があります。
また別な説では、庚韻、耕韻、清韻、青韻の韻尾を/-iη/として、
aiη,iaiη,εiη,iεiη,eiηのように考える説もあります。
これはたとえば朝鮮漢字音の庚韻や耕韻の音にΛiη、oiηのようなのが出てくるのが
一つの証拠になっています。
ただ、同一時期に-uηと-iηの両方があったと考えると、-ηも同時に存在したわけだから、
韻尾の種類が多くなりすぎてしまうって不都合があるんですよね。
だから音声的にはともかく、音韻としては、どちらか片方があったと考える人が多いようです。

四等の/ji/ですが、これはロシア語の硬音と軟音のように、子音の口蓋化の有無とされます。
たとえば/ki-/だったらkは軟口蓋音だけれども、/kji-/のときはもっと前寄りで硬口蓋音に近かった、
とか解釈をするわけです。
軟口蓋音の場合は調音点の前:後ろで区別されるでしょうが、唇音とか声門音の場合は
そもそも舌があまり調音に関与しないので、軽い硬口蓋摩擦を伴っていたと考えていいと思います。

長安や洛陽の言語に長短の別があったかというと、仮説持ち出したくせに恐縮ですが、
どうもその可能性は低いようです。
というのは、梵漢対訳に使われる字の調査の結果によると、サンスクリット(梵語)の
長音には、去声の字が宛てられる傾向があったそうなんです。
どうも中古音以前には、声調によって母音の長短に差があったようで、そのような環境で、
別個に母音の長短が存在し得たのだろうか、疑問なわけです。

>>374
これ重要ですね。濁音は長安あたりでは全部清音になってしまってた
(ただその代償として声調が陰陽の2つに分裂しました。現代北京語の第一声と第二声は
平声の陰陽の名残です)。

>>378
あ、河野先生の著作集がありますか!
あれ、古本屋とかで買おうとすると高いんですよね。前いた研究室には2部あったので、
ほとんど好き勝手に使っていたのですが、こっち来てからはうちの大学にはないので、
参照できません(泣。
COREA大あたりにあったらtonkasuさんのつてでコピーさせてもらおうかしら。

384 名前:阿木林:2003/09/12(金) 11:45 ID:riz9oyQI

うわあああああああああああw
漢字音に詳しいなんて冗談だと思いますが、ただの電波です。
たとえば次のようなスレにはびこってましたが、今は誰もいませんw
http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=asia&key=1049592884&ls=50" target=new>http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=asia&key=1049592884&ls=50

福州音にaungがあるってのもうそでした。Oungならあるんだけど。
むしろビルマ語にそういう例が沢山ある。
aing/eing/oungなどという韻尾は「漢語」の枠組みの中では福州話と
周辺のビン北語くらいにしか見られないため、中古音との関連ってあまり
真面目に考えてなかったのです。基層のミャオ語の影響かな、と考える
ほうが分かりやすかったので。でも、たとえばベトナム語などで
anh /anj/などという韻は「アィン」としか聞こえないわけで、これが/aing/
から発展したとも考えることができます。朝鮮漢字音の/aing/, /oing/
も盲点でした。/-ung/, /-ing/, /-ng/という韻尾が同時に存在していた
としても、それが全ての母音に対して3種類設定する必要はないのです
から、韻尾の数が増えすぎることはないでしょう。

四等の/ji/について「摩擦が多い」などと間抜けなことを書いてしまい
ましたが、たとえば/ts/に/ing/と/jing/が付いた場合には、尖団音の
区別のようなものがあったということになりますよね。
音色としては「ツィン」と「チン」の違いというか。
それよりはむしろ単純に/Ing//ing/の区別があって、/Ing/が捲舌音を
発生させた、と考えたいところです。音色としては/Ing/のほうが声母と
同化して、「チン」に近かったのだと思います。

385 名前:阿木林:2003/09/12(金) 11:58 ID:riz9oyQI

去声の字に長音があてられる、というのも実は福州話とぴったり
あてはまる特徴だったりします。
福州話の去声は「\/」ないし「/\」という、北京語の上声のような
屈折した声調があらわれるのですが、このために母音が変化します。
漢蔵語言学の用語では「緊音」に対する「鬆音」というのですが、
これは長母音のようなものといえないこともない。
みにふろに福州話のスレを立てているのですが、人がいないので
完全に放置しています。あれを復活させてみようかな、と思いました。

386 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/15(月) 12:35 ID:YU26Ls7.

娜々志娑无先生、本家での美少女認定おめでとうございます。
          ___
        <_娜々>                                      ra
      / i レノノ))) \                             nu¨    ノ
        人il.゚ ヮ゚ノ人                              na ヾ  ☆
        √dl∨==o==<|nu¨ri nu¨〜nu¨ri(世) 新羅語 奈 良      ヽ ☆.∧_∧  アイゴー
         |= く_ :|〉    ``                         馬-  ☆ ∩#`Д´>'')
          し'ノ                                  / ☆ヽ    ノ
                                             ♪ ノ   (,,フ .ノ
                                              鹿     .レ'

387 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/15(月) 15:07 ID:jIyw1iGo

>>386
本家って?本家スレがあったんですか?

388 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/15(月) 15:28 ID:/5nXHNQc

>>387
たんにハン板のことだと思われ

389 名前:日語商売:2003/09/15(月) 16:13 ID:UsgVsbwQ

>>386
おお、おめでとうございまつ!!w





            実は私も某所で志保車タソに萌キャラにされたことが。。。w

390 名前:machina ◆CnqNOeLs:2003/09/15(月) 16:35 ID:4UH9nn6c

>>386
え〜、美少女より美女教師がいいでつ。
むちむちぷりんなタイトスカートに白ブラウスでおいおまえどこからはいってk(PAMPAM!!

391 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/16(火) 07:13 ID:OHoKdMdU

>.389
志保車タソって誰?

392 名前:ケムール人 ◆9s/SSlUk:2003/09/16(火) 14:37 ID:y5AeZGgI

>>390

年の頃なら30凸凹、ひっつめ髪に、くろ縁メガネ。
しかしバサリと髪を解くと・・・

センセ萌え〜!

393 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/17(水) 19:13 ID:0LUwg6Fo

 |  |__
 |  |i■
 |  |ノノ)))
 |  |ワ@人  ・・・
 |_と ノ
 |娜|ノ
 | ̄|

394 名前:shimi:2003/09/17(水) 21:33 ID:At7/a83Q

う、この学術スレで新たなカップリングが誕生するの?(スイマセン すぐ落ちます)

395 名前:ケムール人 ◆9s/SSlUk:2003/09/17(水) 21:37 ID:BUAkVzOc

>>393

すみません。やっぱり自分に嘘はつけない・・・

396 名前:美少女と言ってみた人:2003/09/18(木) 16:26 ID:5565Odfg

>>393
美少女娜々志タンハァハァ・・・


嘘です、私は知的な男性にしかハァハァ出来ません。

先日、某スレで美少女と最初に書き込んだ者ですが(AAは違う人です)、
ご迷惑でったでしょうか?謝罪は致しますが賠償はご勘弁くださいませ。

397 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/18(木) 19:57 ID:XKWAcINk

 思えば、在日認定を受けたのがほんの数ヶ月前のことだったわけでつが、
工作員認定→人格批判→美少女認定と、ここんとこ立て続けにハン板の
通過儀礼をこなしているという感じでつね(w。次は美少年認定か、はたまた
放置プレイか。でも、個人名の暴露だけは勘弁ね(^^;。過去に私が晒した
個人情報をもとに調べれば、簡単に出来ることだと思うんで(汗)。

398 名前:日語商売:2003/09/18(木) 20:21 ID:38fo5MkU

最近いろんな人が来ますねぇ。いやぁ、めでたい(嘘

399 名前:Seosomun:2003/09/18(木) 23:16 ID:VwXsr17g

お勤めの独立行政法人予定地に
助手に採用していただければ黙っておきまつw

ってホントはどなたかわかってないんでつが。

400 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/22(月) 17:10 ID:dApaJjr6

031,北漢山郡{一ニ云フ平壌},漢陽郡ハ、本高句麗ノ北漢山郡{一ニ云フ平壌}ナリ。真興王
為シ/v州ト、置ク/2軍主ヲ/1。景徳王改名ス。本楊州ノ旧墟ナリ。,ソウル市,×,×,×,×,
※漢字の変更のみ
032,骨衣内県,荒壌県ハ、本高句麗ノ骨衣奴県ナリ。景徳王改名ス。今ノ豊壌県ナリ。,京畿
楊州郡榛接面,荒=骨衣(中:ku∂t-・ι∂i);壌=内〈奴〉(中:nu∂i〈no〉),古代日本語
「na(国・大地)」,新羅語「ka¨c‘っ¨l(荒)」;後期中世語「k∂c‘щl(荒)」;新羅語
「nu¨〜nu¨ri(世)」;後期中世語「na-rah(国)」,南方ツングース諸語・満州語「na(土地)」,
033,王逢県{一ニ云フ皆伯。漢氏ノ美女迎フル/2安臧王ヲ/1之地ナリ。故ニ名ヅク/2王迎ト/1},
遇王県ハ、本高句麗ノ皆伯県ナリ。景徳王改名ス。今ノ幸州ナリ。,京畿高陽郡知道面幸州,
王=皆(中:k∧i);逢〈遇〉=伯(中:p∧k),古代日本語「ki1mi1(君)」,新羅語「kan(干)」
;新羅語「han(翰)」,夫餘語「ka(加)」;任那語「kanki(干岐)」;蒙古語「kaγan(可汗)」
;満州語「baha-(得)」;ゴルディ語「ba-(発見)」;エベンキ語「baka-(発見)」;ラムト語
「bak-(発見)」;トルコ語「bak-(見)」,
034,買省郡{一ニ云フ馬忽},来蘇郡ハ、本高句麗ノ買省郡ナリ。景徳王改名ス。今ノ見州ナリ。,
京畿議政府,買(中:mai)=馬(中:ma);省(中:s^i¨Λη)=蘇?(中:so),×,×,×,※
省(巻三七)ー召(東。誤植か)※高句麗漢字音:買=馬※新羅漢字音:省=蘇?※「省」
は「城」の音読表記か
035,七重県{一ニ云フ難隠別},重城県ハ、本高句麗ノ七重県ナリ。景徳王改名ス。今ノ積城
県ナリ。,京畿坡州郡積城面,七=難隠(中:nan-・ι∂n);重=別(中:bιεt),古代日本
語「nana(7)」;古代日本語「Φe1(重)」,後期中世語「p∧l(重)」,ツングース諸語「nadan
(7)」,

401 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/22(月) 17:13 ID:dApaJjr6

 031は漢語地名のみですから、高句麗語再構には使えません。しかし、ソウルがかつて
平壌とも呼ばれていたとは知らなんだ。

 032は>>381でいうところの(3)(非三七)ですので、高句麗地名の「骨衣内県」と新羅地名
の「荒壌県」が本当に対応するかどうか確証はありませんが、047「於斯内県{一ニ云フ斧壌}」
のように、「内」と「壌」は対応することが知られていますから、残る「骨衣」と「荒」もまた対応
する可能性があります。仮に高句麗語「骨衣」の意味が「荒」であるとすると、「骨衣」の漢字
音は「ku∂t-・ι∂i」ですから、t入声の対応や語末子音の相違が気にはなるものの、一応
新羅語「ka¨c‘っ¨l(荒)」や後期中世語「k∂c‘щl(荒)」を対応例として挙げることが出来
ます。一方、日本語には同様の例を挙げることが出来ませんので、本例に関しては朝鮮語
側が有利であることは否めません。ただ、「荒」の漢字音が「huaη」であることを考えると、
新羅地名「荒」は高句麗語「骨衣」の意味ではなく発音に基づいて命名されたものという可能
性もあることは指摘しておく必要があるでしょう。

 033は巻三七に訓読地名と音読地名の両方が載っている例ですので、確実に高句麗語
資料として使えるものです。「王逢県」と「皆伯」の対応ですから、「王」と「皆」、「逢」と「伯」
が対応するということになりますが、このうち、前者は104の「玉岐県{一ニ云フ皆次丁}」の
例や周辺言語の「王」や高官を意味する語などから確実視されますし、後者もツングース
諸語やモンゴル語、トルコ語などに対応する動詞を見出せますので、高句麗語の動詞と
して認めてよいでしょう。訓読地名が「王逢」であって「逢王」でないというのも、いかにも
アルタイ系諸言語や日本語、朝鮮語の語順を思わせるものであり、興味深いですね。新羅
地名「遇王県」はそれを漢語風に変えたものに過ぎません。

402 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/22(月) 17:22 ID:dApaJjr6

 034は巻三七に高句麗地名として「買省郡」と「馬忽」の2つが出て来ますが、どうも両者
の関係は単純な音読地名/訓読地名という関係ではなさそうです。「買省」「馬忽」のうち
「忽」は高句麗地名では普通「城」に対応する音読字ですので、それが「省」に対応するの
は違例ですが、002に「国原城{一ニ云フ未乙省。一ニ云フ託長城}」という例があり、「城」と
「省」が対応しています。おそらくこの「省」は「城」の漢字音を表わしているのでしょう。
とすれば、本例も「省」で「城」の漢字音を表わしている可能性が出て来ます。残る「買」と
「馬」ですが、それぞれの漢字音が「mai」と「ma」ですので、こちらは単純に高句麗地名
を別々の漢字で音読表記しただけと見てよさそうです。残念ながら、こちらは対応する
訓読地名もなく、かつまたそれを推定することも出来ないので、高句麗語の資料としては
全然使えそうにありません。

 なお、新羅地名「来蘇郡」の由来は難しいですが、高句麗地名「買省(中:mai-s^i¨Λη)」
の音と多少似ている(「来蘇」の朝鮮漢字音は「nΛi-so」)ので、とりあえずそこから命名
された可能性を指摘しておきたいと思います。

 035は巻三七に訓読地名と音読地名の両方が載っている例ですので、確実に高句麗語
資料として使えます。そのような箇所で数詞が拾えるというのはまさに僥倖というもので
しょう。しかも、「七=難隠」「重=別」それぞれ古代日本語とも対応させることが出来ると
来ては、応えられません罠。まぁ後者の方は朝鮮語にも対応する語を一応指摘することは
出来ますが、肝心の数詞が対応しないのではねぇ…。なお、新羅地名「重城県」は高句麗
訓読地名「七重県」をもとに命名されたものでしょうが、その際なぜ「七」が取られなかった
のかは不明です。

403 名前:阿木林:2003/09/23(火) 11:40 ID:KH0./U6g

「来蘇」と「買省」が混同された可能性っていうのは面白いですね。
語頭に/r,l/が立てないという法則はかなり古くからあったものでしょうし。
ところで「見州」の意味とは関係はないと考えるべきなのでしょうか。
mi-ruとmΛiで頭子音が一致しているだけですが。気になります。

また、「城」に対応している「省」には、訓読として「役所」
というような意味があったという可能性はないでしょうか。

「伯」に対応する現代朝鮮語は、というとpoip-ta(お目にかかる)や
po-ta(見る)ということになるでしょう。

404 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/24(水) 16:27 ID:XUiYhPGI

>>403 阿木林さん
>「見州」の意味とは関係はないと考えるべきなのでしょうか。

 本スレの最大の目的は高句麗時代の地名から高句麗語を再構して日韓両語と比較
対照することですので、時代的に近い新羅時代の地名は十分参考になるでしょうが、
さすがに高麗時代に付けられた地名は今回の考察の対象からは外すべきだと思います。
まぁ確かに、高麗は一応高句麗の後継国家であることを意識していたわけですし、初期
の段階では旧高句麗領にはまだ高句麗系言語が基層として残っていたようですので、
高麗時代の地名から高句麗語を再構出来る可能性はまったくのゼロではないでしょうが、
そうでなくても地名研究は何かとリスクを抱えているのに、高麗地名まで対象とするのは
現状ではリスクが高過ぎるのではないでしょうか。

>また、「城」に対応している「省」には、訓読として「役所」
>というような意味があったという可能性はないでしょうか。

 う〜ん。私が>>268>>402で示した、「省」が「城(=忽)」と対応しており、かつ両者の
漢字音が近いというのは、「省」が音読字である根拠としては弱過ぎますかねぇ。でも、
私の見る限り、わざわざ訓読字と取らなければならない理由というのも特にないような
気もするのですが。

>「伯」に対応する現代朝鮮語は、というとpoip-ta(お目にかかる)や
>po-ta(見る)ということになるでしょう。

 おお、これは気がつきませんでした。『李朝語辞典』を引くと、中期朝鮮語は「見る」が
「po-ta」、「お目にかかる」が「poi-ta」「poizΛp-ta」でした。意味的にも語形的にも
対応例として挙げるにふさわしいように思います。ご指摘、ありがとう御座いました。
それにしても李基文先生、ツングース諸語やトルコ語の「見る」系の語は対応例として
挙げているのに、どうして朝鮮語は挙げなかったのかしら。不思議だ…。

405 名前:Seosomun:2003/09/26(金) 17:14 ID:43BsrotI

すみません

流人部屋の続きなんですが、
峠を表す言葉に、峙(치)というのもありますよね。
これはまた티とも読むようですが、
この峙という漢字は日本や中国でも使われているのでしょうか?
日本語の「峠」のように치・티を訓読みするために韓国で独自に
作られた漢字といううわさを聞いたものでして。
また、この漢字が使われはじめた頃って、いつぐらいなんでしょうか?

教えてくんで済みません。



406 名前:阿木林:2003/09/26(金) 18:10 ID:vsfvI54E

>>405
「対峙する」という熟語は聞いたことがありませんか?
この字自体は中国から来たものです。
北京語ではzhi4チーと通常読みますが、地名に使うときはshi4シーという
読み方もあります。
韓国で地名に使われることが多い字ですが、固有語に由来するもの
とはちょっと思えません。
中国でも××峙という山名は少なくないからです。
t'iという語型についても、古い漢字音ではないかと思います。

ガイシュツだと思いますが、「堤」にたいして現れる「吐」と日本語の「つ」
(古くはトゥ)は関係あるのではないかと、「つなみ」のニュースを見て
思いました。

407 名前:阿木林:2003/09/26(金) 18:16 ID:vsfvI54E

峠の意味の朝鮮固有字なら、[山見] hyeon のほうが有名ですよね。
これの語源はなんだろうと考えてみたのですがわかりません。
同音の「懸」の俗字だったのではないか、という気もするのですが、
やはり固有語と考えるべきなんでしょうか。

408 名前:Seosomun:2003/09/26(金) 18:38 ID:43BsrotI

対峙! そうだでした!

현は漢字語だと思ってました

ちなみにソウル地下鉄3号線に大峙という駅がありますが、
すぐ近くに国鉄の駅が最近出来て、
そちらは「한티(hanti)」という駅名になりました。
地名が足りなくなって、昔使われていた
固有語を引っ張り出して来たんですね。

おんなじ様な例は、2号線の阿[山見](アヒョン)駅と
5号線のエオゲ(애오개)駅がありますね。


409 名前:阿木林:2003/09/26(金) 20:03 ID:vsfvI54E

気になって調べてみたんですが[山見]は中国でも使われている
漢字でした。固有字だというのは間違いです。すみません。

ティがソウルでも使われている地名だったとは気づきませんでした。
そうすると単純に漢字音とも言えなくなるのですが、
やはり方言型と考えたいところです。
現在は大峙洞の中にハンティ、ウムマルなどの地名があるそうです。
http://kr.encycl.yahoo.com/final.html?id=732228&from=enc" target=new>http://kr.encycl.yahoo.com/final.html?id=732228&from=enc

エオゲは気になる地名だったんですが、エ(子どもの)+コゲ(峠)
という地名だったんですね。アヒョンは児ヒョンとも書くようです。
http://kr.encycl.yahoo.com/final.html?id=108371&from=enc" target=new>http://kr.encycl.yahoo.com/final.html?id=108371&from=enc

410 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/26(金) 20:39 ID:DiZxYLWs

>>405-408
ブラウザに表示されない文字多いですね
外字はなるべく[]式でやってくれませんかね。

後々、第3者がみる時の便宜を考えないとこのスレの存在意義は半減するでしょうね

411 名前:阿木林:2003/09/26(金) 21:04 ID:vsfvI54E

>>410
その部分はチョソングルみたいですよ。インチキIPAにしときますね。
有気音は便宜上アポストロフィーで示しておきます。
ソソムンさん、勝手にこぴってミアナムニダ。

405
峠を表す言葉に、峙(t∫'i)というのもありますよね。
これはまたt'iとも読むようですが、
この峙という漢字は日本や中国でも使われているのでしょうか?
日本語の「峠」のようにt∫'i・t'iを訓読みするために韓国で独自に(略)

408
hj∂nは漢字語だと思ってました

ちなみにソウル地下鉄3号線に大峙という駅がありますが、
すぐ近くに国鉄の駅が最近出来て、
そちらは「han-t'i(hanti)」という駅名になりました。
地名が足りなくなって、昔使われていた
固有語を引っ張り出して来たんですね。

おんなじ様な例は、2号線の阿[山見](アヒョン)駅と
5号線のエオゲ(εogε)駅がありますね。

412 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/27(土) 01:22 ID:cYE2G9wM

発音記号はよう分かりませんので、韓国式のローマ字表記に準拠します。

オゲっていうのはコゲから語頭のGが脱落したもののようですね。
東大門市場の位置は昔べオゲ(BAE O GAE)っていったんですが、
漢字だと梨[山見](イヒョン I HYEON)だから、同じ例ですね。

広州にはセオゲ(SAE O GAE =新[山見])というのもあるから、
中部地方で結構普遍的なのかもしれませんね。

ところで、このセ(SAE)は、峠の名前と集落の名前でよく出てきますね。
これは、セが 新しいという意味なので、新しく出来た峠、あるいは
村という意味なんですけど、SAEを 「SA」 と 「I」 に分割すると、
「SAI」、つまり間って意味になります。

そう考えると、セマウル(という名の集落が、平野地帯では多い)
っていうのは「新しい村」であると同時に「間の村」という
意味にも取れますね。

従来あった村の「間」にできた村という事実からは、
従来あった村々よりは「新しい」ことは自明なので、
「セ」の付く地名は「間の」と「新しい」の両方の意味を
持つことが多いんではないでしょうか。


413 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/27(土) 01:30 ID:cYE2G9wM

実際、聞慶と忠州の間にある峠、「セジェ」は、李朝時代に開かれた
峠ですが、東がわの「ハヌルジェ」、西側の「梨花嶺」などは三国時代から
ありました。だから、「セジェ」は時代的にはこれらの峠より
「新しい」わけですし、また位置的にも「間」にあって、
「セジェ」が「新嶺」なのか「間嶺」なのか、学会では
意見が分かれてます。
ぼくは前のレスのようなことから、両者は同根であると
考えています。
ちなみにこの「セジェ」は漢字では「鳥嶺」ですが、
これは単なる当て字だというのが通説です。


414 名前:日語商売:2003/09/27(土) 01:59 ID:aWJ1EpqI

>>412
なんか日本の「○○新田」のようでもありますね。

話変わりますが、大邱の古名タルグボル(達句火)の日本書紀にでてくる形「卓淳」は、
もしかすると淳がpっ¨lに近い音をもつ字の間違いじゃないかと思いました。
例えば渤海の渤は、中期語で確かp∧l(現代語はpal)で、pっ¨lにちょっと近いです。
で、渤の「力」の部分が欠けると、[シ孛]という形になりますが、この孛の部分は
享と形が似てるので書き間違えられたのではないかな。。。と。
まぁ、誤写というのは基本的に可能性をすべてつぶした上で持ち出すべき最後の手段なので、
まずは「淳」の意味にpっ¨lのような音になるものがあったかどうか探す方が先決でしょうが。

415 名前:阿木林:2003/09/27(土) 15:31 ID:Mb.X8bRg

渤と同音同義の字で、[シ孛]という字は実際にあります。
中古音ではbu∂tです。サンズイの字が火の意味に当てられることに
ちょっと疑問がないわけではないのですが。
淳ときわめて字形が近く、また淳のほうがよく用いられる文字ですから、
誤写の確率は高いといえるのではないでしょうか。
ナナシサンの意見を聞かないとなんともいえないですが。

416 名前:阿木林:2003/09/27(土) 15:44 ID:Mb.X8bRg

>>404
「伯」にpo-taやpoi-taが対応しているという説が唱えられなかった理由は、
やはり伯の末子音の-kが説明できないという理由だと思います。
するとpoi-taがpo-ki-taのような形であったという可能性もあります。

動詞を受動形にする-i-という折中辞にはいくつかの異型がありますが、
これらが-ki-に由来している可能性を検討してみると面白い。

417 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/27(土) 16:32 ID:5Yb9twRE

>>414 日語商売さん

 「淳」が「[シ+孛]」の誤写というのは面白いですね。字体から見ても、
いかにも読み間違えそうな文字ですもん。まぁ韓の地では「pっ¨l」の
音読字としては「伐」を使うのが普通のようですが、「[シ+孛]」には
「湧き起こる」という意味があるようですから、「卓[シ+孛]」であれば
「ひときわぬきんでて湧き起こる」という意味になり、国号としても
中々どうして悪くないものになりますしね。もし「淳」に「pっ¨l」に近い
訓がないようであれば、それで逝きましょう(w。

418 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/27(土) 16:32 ID:5Yb9twRE

>阿木林さん
>>415
>サンズイの字が火の意味に当てられることに
>ちょっと疑問がないわけではないのですが。

 「火」は単に新羅語の「集落」を意味する語「pΛl」を表記するのに
用いただけの訓読字ですから、「火」のfireという意味そのものは関係
ありません。万葉仮名でいう訓仮名(「女メ」「藻モ」の類)と同様に扱う
べきでしょう。

>>416

 確かに高句麗語で使用されている音読字「伯」の漢字音からは、
末子音kの存在が予想されはしますが、李基文が示した例で言えば、
ゴルディー語では「ba-(発見)」のみでkやhは含まれていません。
それと同様に朝鮮語でもkの要素が落ちたと考えればそれで済むよう
に思います。まぁでも朝鮮語の接中辞-i-が-ki-に由来しているかもと
いうのは確かに面白いですね。ただ、kだと容易には落ちないような
気がするので、どうせならhにしてはどうでしょうか。「po-hi-ta」乃至
「poh-i-ta」と考えるわけですね。

419 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/27(土) 17:41 ID:U4OvMoM2

辰韓12国のうちの州鮮国が卓淳国に比定されてんのは何でなんですかね?
もしかして「州」と「淳」が似てるから?

420 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/27(土) 17:57 ID:cYE2G9wM

テグと慶州の間に阿火という地名(李朝時代の阿火駅)もありますが、
それも同じ理由の可能性が高いですね?
山中の盆地ですが。

現在、「ボル」は漢字語では坪と書くことが圧倒的に多いですよね。
「坪」は平地という意味で、古代でも使われていたんでしょうか?
あったとしても、よっぽど目が悪いかうっかりものでなければ
「淳」を「坪」にはしないでしょうw

首都圏の5大新都市のうち、安養市にある「坪村新都市」は、
中心駅の名前が開業当時は漢字なしで「ボルマル(Beolmal)駅」
だったんですが「ダサすぎる」という陳情が殺到して、
坪村駅に改称したそうです。

いや、坪村でも十分にダサいんだけどと小一(ry
と考えるのは日本人だからで、
漢字の響き=洗練、固有語の響き=肥溜めくさいという
固定観念が、この国では暗に支配している気がします。





421 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/27(土) 18:00 ID:cYE2G9wM

ソウルは別格ですね。
完全に定着しちゃったし、なにより「みやこ」のことですし。
農村地帯を都市化したところでは、
田舎地名を洗練された地名に作り変えなければならないから、
上のようなことが起こるんですね。

422 名前:阿木林:2003/09/27(土) 19:43 ID:Mb.X8bRg

>>418
失礼しました。「火」がポルの意味だとは気付きませんでした。
こうしてみると、韓国も固有語の地名が本当に多いんですね。
「カピョン」も加平ではなく加坪だったのかもしれません。
(そのわりには東京にも北京にも「加平」という地名がありますが・・)

日本語で「淳」という字が訓読で用いられた例だと「淳足ぬたり」
というのを思い出しますが、これは「ぬれる」からきたんでしょう。

>>419
多分地名以外の要素を考慮した結果ではないでしょうか。
t∫i∂u-siεnとt.っk-ζιue^nではちょっと結びつかないです。

ソウルが旧来の漢字の地名から改められたのは、漢字の使用を
制限していったのと同じ目的があったように思いますが、
今なお漢字=洗練という観念があるんですよね。
日本でもその観念は抜きにくいものがありますが。

423 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/27(土) 20:54 ID:cYE2G9wM

もちろん表記は全部ハングルなんですが、
それが漢字語か固有語かというのは、
本能的に嗅ぎ分けられます。
自分たちの言葉なんだから当然ではありますがw

逆に日本の場合、固有語でも漢語同様漢字表記を行うので、
上のような「固有語いじめ」はひどくないと思います。
「博多」「新宿」は洗練されてるけど、
「広島」「渋谷」はやぼったいとか思わないですから。

 韓国でも自然地名や集落名なんかはほとんど固有語ですよ。
それを支配する側が記録をつくると漢字に変換されて古地図なり
古文献なりに登録されるわけで、もっといえばほとんどの
地名が固有名と漢語名をダブルで持っています。
地元民たちは「しぶや」「しながわ」とよんで、
為政者は「じゅうこく(渋谷)」「ひんせん(品川)」と呼んでいる
という状態です。

固有名がそのまま漢字で表記される例は、ほとんどないでしょう。
串(ゴッ=GOJ=岬、漢字発音はGWAN)とか。

424 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/27(土) 20:58 ID:5Yb9twRE

>>420 Seosomun さん
>テグと慶州の間に阿火という地名(李朝時代の阿火駅)もありますが、
>それも同じ理由の可能性が高いですね?

 ええ。そう考えてよいと思います。

>現在、「ボル」は漢字語では坪と書くことが圧倒的に多いですよね。
>「坪」は平地という意味で、古代でも使われていたんでしょうか?

 「坪」は高句麗地名には見えないようですが、百済地名では使用された
例があります。でも、「坪」の漢字音は「bιΛη」ですから、ボルの音読字
としてはふさわしくないように思うのですがねぇ。

425 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/27(土) 20:58 ID:5Yb9twRE

>>422 阿木林さん
>日本語で「淳」という字が訓読で用いられた例だと「淳足ぬたり」
>というのを思い出しますが、これは「ぬれる」からきたんでしょう。

 「ぬたり」は「渟足」です。「渟」と「淳」とはよく似ていますが別字です。「渟」
は水がとどまるとかよどむ、またその場所という意味ですが、これを日本語
の訓読で「ぬ」と読むのは、もちろん「ぬま(沼)」の意の「ぬ(沼)」からです。
「ぬれる(濡)」と「ぬま(沼)」ではアクセントが違います(前者は高起式、
後者は低起式)ので、別語源と見るのが自然でしょうね。

426 名前:日語商売:2003/09/27(土) 22:23 ID:aWJ1EpqI

ちょいと朝鮮語関係のサイトを探していたら、非常に役立つページを見つけました。
ttp://mklabo.hp.infoseek.co.jp/index.html
中期朝鮮語を研究している東京外大の院生さん(現在はソウル大学留学中)のサイトですが、
中期朝鮮語の文法事項について非常に詳しく書いてあります。
ただし、New Glimmというフォントが入っていないと読めない部分が多い
(中期朝鮮語に現れるハングルが読めない)です。

このサイトで韓国語の態を変える動詞接辞の説明を見たのですが、
現在 -i-, -ki-, -hi-, -ri- と4種類ある接辞は、中期語では母音の後で -ki-、子音の後で -i- だったそうで
す。
とすると、>>416で阿木林さんがおっしゃったように、poi-ta は po-ki-ta にさかのぼれそうです。

427 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/27(土) 22:48 ID:5Yb9twRE

>>426 日語商売さん

 ウ、ウリの推論の方が間違ってたニカ!? アイゴー!天は我を亡ぼせり!

           /|             /|  ()                
           / |            / |     。     
          /  |           / : ;| 。 ゜        アイゴォォォ〜ッ!!     
          /   |          /  :;:;|  ()     
         /    |______/   ;:;:|     
       /     ____         :;:::;:;\二二
      /   \  |    |    /    :;:;:;:;:;:ヽ_ ̄_ ̄ ̄_ ̄ ̄_ ̄三二- ̄-
    /____     |     |   :;       :;:;:;:;:;\
  / ̄    \  :; ノ     ヽ、  ;:        :;:;;:;:\_ ̄_ ̄ ̄_ ̄ ̄_ ̄三二- ̄
 /          | :;: /       |    ::;   /     ;:;|
 |    ___/   |        ヽ、    /       ::;|_ ̄_ ̄ ̄_ ̄ ̄_ ̄三二- ̄
 |    :;:;|     ノ         ゝ   |::       ;::/
 |    :;:|    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ   |:    :;:;:;/  _ ̄_ ̄ ̄_ ̄ ̄_ ̄三二
 |     ::ヽ、      :;::;::;:;:;:; ;:       :;:;:;:;:/
 |       ヽ、   :;:;;::      :;:;:;:;:;;:;;:;:;:;;;:;;:;;:/     _ ̄_ ̄ ̄_ ̄ ̄_ ̄三
 \                            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
   ヽ、                                  :;|_ ̄_ ̄ ̄_
     \                       :;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/
       )                   :;:;:;:;/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄_ ̄_ ̄ ̄_ ̄ ̄_

428 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/28(日) 01:11 ID:R0LvyxsM

[シ孛]が実際に「伐」「火」「[火本]」に相当する文字として使われてる実例がないかぎり
「淳」を安易に[シ孛]の誤りとは認められないな。

それと州鮮国と卓淳の比定は地名の類似以外に手がかりがないはず。
おそらく卓淳の周辺に、「州鮮」にこじつけ可能な程度に類似した地名が残っているとか、
などの事情があるのではないだろうか?

429 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 01:53 ID:nJpBm1Ek

ヨンrケ、マタウッ瓶エ、ホエネネハアh」ィャF祖ノスハミ」ゥ、ヒアネカィ、オ、、、ス、ヲ、ヌ、ケ、ャ。「
エネネハ」スアセミツチ_ナォヒケサ」ィヤニニ莉」ゥセー蕉ヘハョチトクトエネネハ樣箟ノスソ、I

ス、ッ、ホソ、アh、、゚、、ネ。「ミツ月」スカ。サ。「ミL」スヘニチシサ。「陀ス」スホサ。「
イ月」スアネラヤサ。「ネハヘャ」スヒケヘャサ。「テロ齧」スヘニサ。「アネーイ」スー「サホン。「ユ豎ヲ」スニ皺ヘサ。「
ム裲魅スセモヨェサ。「ナdコ」」スヘヒサ。「モタエィ」スヌミメイサ。「ホオノス」スヌー「サエ

、ハ、、ォサ、タ、鬢ア、ヌ、ケ、ヘ。」、オ、ケ、ャ、ハ、ルオラ壥コ、ホオリモ、ヌ、ケ、ヘ」


430 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 01:57 ID:nJpBm1Ek

なんだこりゃ

431 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 01:58 ID:nJpBm1Ek

ヨンrケ、マタウッ瓶エ、ホエネネハアh」ィャF祖ノスハミ」ゥ、ヒアネカィ、オ、、、ス、ヲ、ヌ、ケ、ャ。「
エネネハ」スアセミツチ_ナォヒケサ」ィヤニニ莉」ゥセー蕉ヘハョチトクトエネネハ樣箟ノスソ、I

ス、ッ、ホソ、アh、、゚、、ネ。「ミツ月」スカ。サ。「ミL」スヘニチシサ。「陀ス」スホサ。「
イ月」スアネラヤサ。「ネハヘャ」スヒケヘャサ。「テロ齧」スヘニサ。「アネーイ」スー「サホン。「ユ豎ヲ」スニ皺ヘサ。「
ム裲魅スセモヨェサ。「ナdコ」」スヘヒサ。「モタエィ」スヌミメイサ。「ホオノス」スヌー「サエ

、ハ、、ォサ、タ、鬢ア、ヌ、ケ、ヘ。」、オ、ケ、ャ、ハ、ルオラ壥コ、ホオリモ、ヌ、ケ、ヘ」



432 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 01:59 ID:nJpBm1Ek

すんません。さくじょいらいだしときます。

433 名前:阿木林:2003/09/28(日) 02:21 ID:zk1MrAp2

アイゴー!ヌタリ柵の字を間違えて覚えていたニカ。
日本書紀の誤写の可能性の話をしていたのに、恥の上塗りでした。
poi-taについては、字面とおりにとらえれば「見える」の意味なんですが、
そこから「お目にかかる」という意味が派生した、と勝手に仮定しての
仮説です。なればこそpoi-ta(現代語ではpwe:da)の中期語での形が
po-ki-taだという仮説もなりたちます。
日語商売さん、ありがとうございます。

州鮮と朝鮮を結びつけるのは突飛すぎるかなぁw
431は固有語との地名対照の例であるみたいですが、
解読できませんでした。

434 名前:阿木林:2003/09/28(日) 02:28 ID:zk1MrAp2

>>424
ポルを「坪」と書くのはいわゆる訓読だと思います。
もともと平地とか野原とかいう意味の字ですから。
こないだ韓国の美術館のサイトを見ていたのですが、
英語のサイトが用意してあって、感心しながら読んでいたら
面積のところが「120pyeong」と書いてあって、爆笑しました。
なぜにスクエアメーターにしないのかと。余談。

435 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 09:49 ID:nJpBm1Ek

そうです、訓読です。
Beolは現代語では、地平線が見えそうな広大な平野
(Beolpanとも)を言いますが、もう少し小さめの、
「おらが村の原っぱ」くらいでは、
「TEUL」>(更に小さめ)>「TTEUL」を
使うこともあります。
でも漢字に直すと上記みな坪(たまに原)を混用していて、
原語の微妙な違いが失われてしまいます。

現地の専門家はこれを当然の如く
「ニテーイの民族文化抹殺政策ニダ」と変換しているのですが、
いや、それはあなたたちの慣行を継承しただけだよと、、、

原っぱを坪とするのは日本でも普遍的だったんでしょうか?
あってもそんなに頻度はないような気がしますが。

436 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 09:57 ID:nJpBm1Ek

もう一度

州鮮国は李朝時代の慈仁県(現慶山市)に比定されるそうですが、
慈仁=本新羅奴斯火(云其火)景徳王十六年改慈仁

近くの郡県をみると、新寧=丁火、玄風=推良火、霊山=西火、
昌寧=比自火、仁同=斯同火、蜜陽=推火、比安=阿火屋、真宝=漆巴火、
彦陽=居知火、興海=退火、永川=切也火、蔚山=屈阿火村

なんか火だらけですね。さすがなべ底気候の地域ですねw


437 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 12:50 ID:nJpBm1Ek

おお、ちゃんと表示された。

>>403

>>436の史料をみてて、「買」のつく地名が慶尚道北部山間に
集中して出てきてますが、何か手がかりになるかもしてませんね。


438 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/28(日) 14:35 ID:f8XeFHYY

州鮮国の比定地が卓淳国(=達句火=大丘)=大邱だという説は井上秀雄の「古代朝鮮」NHKブックスより。

奴斯火=慈仁(=慶山の一部)という説のソースはなんでしょうか?

439 名前:日語商売:2003/09/28(日) 17:17 ID:CAXzTkHk

>>433
申し訳ありません!またやっちゃいました!!
例のサイトをよく見返したら、態を変える接辞 -ki- は、rの後で -i- になるそうです。
(現代語では同じ環境のとき -ri- になります)
まぁ、po-ta の場合は -ki- が付いた形から poi-ta が発達したことには変わりないと思います。
で、『李朝語辞典』をよく調べたら、-hi- やrの後以外での -i- も相当早い時期から
使われているようで、すでに中期語の時期にはいくつかの変種があったようです。
というわけで、どうも -ki- の問題は単純には逝かないようです。
-ki-, -hi-, -i- は音声的に類似しているので、すべて *-ki- から発達したとみてよさそうなのですが。。。

「見える」→「お目にかかる」と類似の意味転化としては、日本語の「まみえる」、
中国語の「見」、英語の see など、いくつも他言語に見いだせますね。
いずれも「みる」「みえる」→「会う」で、人間を見ることすなわち会うということなんでしょう。


440 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 19:31 ID:nJpBm1Ek

>>438 斗山大百科事典ですw
慈仁と大邱の間には慶山が挟まってるんですよね。
同じ盆地内だから同じ国の勢力圏と見るのが妥当でしょうけど。

>>439
家の家内は「会いたい」というときに「見たーい」といいます。

441 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/28(日) 21:22 ID:0/o/WYls

>>440
啄=押梁(慶山)、卓淳(大邱)、非自火(昌寧)は
新羅に併合される前は任那の一部であったように日本書紀には書かれてるが
卓淳(大邱)が辰韓の州鮮国、非自火(昌寧)が辰韓の不斯国に比定されてるので、
この地域は辰韓の一部でありながら新羅ではなく倭国の勢力圏だったことになる。

倭王武が宋から叙任された将軍号の一部に出てくる、任那とも加羅とも新羅とも
別の“秦韓”とはこの地域をさしていると考えられる。

442 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/28(日) 23:57 ID:nJpBm1Ek

辰韓=後漢書曰在馬韓東凡有十二国南接倭、
魏志云其瀆盧国在三国志與倭接十二国亦有王
按自鉄嶺以南沿江原慶尚之洛江以東皆其地也

443 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 00:00 ID:H1FIJUCU

この「倭接」ってのは、どのへんが境界になるんでしょう。
もはやスレの本旨から外れてますが。

444 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/29(月) 00:24 ID:iEdRa8p6

>>442
涜廬国だろ。すぐ外字にたよる癖をなんとかしろよ。ブラウザ複数使ってるけど見えないぞ。

445 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/29(月) 02:46 ID:9qmEmLws

>>444

 444ゲットおめ。さてそれはそれとして、Seosomunさんがハングルや本字
(日本でいう旧字)を書き込んでしまうのは、氏が韓国在住で、韓国版の
ウインドウズをお使いのせいだからだと思いますよ。ハングルについては、
日本語のJIS環境では読めないことが明らかですから、Seosomunさんが
それを使ってしまったのは、ここが日本語環境を前提とした掲示板である
以上、まぁ不用意であると咎められても仕方ありません。しかしながら、
「[シ+賣]」はJISでこそ外字扱いでも、韓国語(KSCだっけ)では標準で
あって外字ではないのですから、氏が日本語環境でも使えるものと誤解
しても無理もありません罠。

 そもそも、JISに「[シ+賣]」という漢字が存在しないこと自体がおかしい
ことなんですよね。JISでこの漢字に相当するのは「涜」ですが、これは
ぶっちゃけて言えばただの嘘字に過ぎません。本来は、略字の字体を
使うことが認められているのは常用漢字に収められているもののみで
あって、それ以外は旧字体を使うべきなのです。そういう意味では、
韓国の規格の「[シ+賣]」の方がまだましと言えましょう。

 てなわけで、この点についてはそうきつく責めないでやって下さいな。
貴殿もウインドウズアップデイトで韓国語対応フォントだか何かを落と
せば、ハングルも「[シ+賣]」もきちんと表示されるようになりますよ。
まぁ個人的には私もJIS環境に応じた文字を使ってくれればとは思い
ますけどね。どの字がJISで表示不能かをいちいちチェックすることを
要求するのはあまりにお気の毒ですもん。

446 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/09/29(月) 02:51 ID:9qmEmLws

>>445

 スマソ。最後に「そこまで求めるのは酷というものでしょう。」という一文を
追加して下され。

447 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 08:57 ID:H1FIJUCU

これは失礼しました。
廬のようにハングル入力して漢字変換したものも、
表示されると素で思ってますた。

[シ+賣]の方は日本語IMEで「ぼうとく」と打ったら
「とく」の字が本自体と日本式略字と両方出てきたので、
前者を選んだんですが、表示されないブラウザもあるんですね。

しかし日中韓で漢字の字体も入力表示コードも違うというのは
不便極まりないですね。



448 名前:阿木林:2003/09/29(月) 10:10 ID:ATBBiECk

うーん。私のPCはハングルも中国語も表示されるようにしてあるので
問題ないんですが、学術系のスレには重要な問題ですよね。
>>436
推火=mir(押す)+ポル=密陽
比自火=pic(光)+ポル=昌寧
というふうに現代語からもある程度類推できますね。
玄風は推良火をミリャンポルと読むとして、
密陽と区別するために玄風になったというところでしょうか。
火(ポル)と風(パラム)を結びつけるのは無理でしょうね。
真宝と漆巴火は漢字音が近いからついただけなのでしょう。

仁には斯が対応していることが分かります。
「仁」という字に対応する新羅語がなんであるかは難しいのですが、
サラム(人)のサかなぁ。すると斯盧なんていう国名も「人」を意味
していたのかもしれません。

そして、肝心の州鮮との関係はさっぱりわかりません。
鮮が上古音で*sranとでも発音されたとして、「人」という意味の古訓が
あったのなら分かるのですが・・すると鮮卑というのも「人」という意味の
韓系語彙ということに。巡り巡って朝鮮という国号にまで使われた、と。

卓淳の卓が達句とも書かれている。達が古い時代にもdatではなく
talと発音されていたとして、talk(u)-peolとは「鶏原」かもしれません。

ああ、電波言語学w

449 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 10:35 ID:H1FIJUCU

疑問なのは、史料によっては「○○peol」のような小地名と
中世以降の郡県が1対1で一致するかのように書かれていますが
(○○県即××火也とか)、
そうではない場合も多いですよね?
>>436 はそういう本に準拠してしまったので、
正確ではないんですが。
というか、中心集落(邑治)の所在地が古代の何処だったかという
ことを書いているようです。
邑治の位置も、高麗以降は風水によって
決められた反面、それ以前は別の場所にあった可能性があるでしょう。

450 名前:444:2003/09/29(月) 11:10 ID:et0QbqBs

あ、そうだったの?
事情しらないものだから口調が厳しくなってしまいました。すいません。
まぁ一応[シ+賣]の字はないってことでよろしく。

451 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 12:47 ID:H1FIJUCU

まあ、事情はどうあれ、学術スレで
>「なんとかしろよ」とか、「見えないぞ」とか、
品のない口調を使うのは褒められたものではないですが。

学術的水準も、IT水準もいろいろな人がいてこそ盛る上がるわけで、
生暖かい目で見てくださいw

452 名前:名無しさんはポシンタン:2003/09/29(月) 17:20 ID:RC2QdINA

>>448
州鮮については現代の「面」なんかに類似地名があるのかも。

鮮卑はモンゴル語だかトルコ語で「霊威」を意味するサビ?[sabi?]という説がありました。
朝鮮は史記の注釈からすると北朝鮮の川の名前からきてるようですね。

朝鮮と鮮卑の間に関係はないと思いますが、もしあったとしても
「鮮卑→朝鮮」という流れは時代からいってあり得ないかと。

453 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 17:50 ID:H1FIJUCU

現代の「面」は1914年にほとんどニテーイが人工的に
付与したもので、一次的には参考になり辛いと思いますよ。
里名も同様です。

むしろ其の元ネタになった自然集落名、さらには
原っぱの名前なんかにヒントが隠されているかもしれません。

今地図をざっと見ても、慈仁など3郡で「カヤ」という
自然部落名がありました。

あ、もちろんニテーイの「改悪」前の面名は、
新羅時代の地名(ほとんどは部曲級ですが)が
使われているのが多いので、価値があると思います。

454 名前:阿木林:2003/09/29(月) 17:57 ID:ATBBiECk

もちろん鮮卑と朝鮮なんて電波ですよん。
今日は2ちゃんにアクセスできないので、電波ゆんゆんなのです。
霊がサビならば、西火が霊山になったのもなんとなく関連づけられる
かもしれませんね。
朝鮮語では霊などの語彙がかなり漢語におきかえられてしまったので、
西との関連付けは困難です。
もちろん、ソソムンさんのおっしゃるように、後継の地名と完全に同定
できるものではないのでしょうけれど。

455 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 18:03 ID:H1FIJUCU

そう思って、18世紀中ごろに作られた「嶺南地図 大丘
(ママ=李朝時代までの表記)地図」を見たら、あるはあるは。
鮮北村面、鮮西村面、鮮東村面、鮮西部面、年貢倉庫の名は
「鮮顔倉」。現在の東区一帯ですね(空港のあるところ)。
ただ、鮮の偏が「魚」ではなく「角」の真ん中の線も下に
出っ張ってるやつなんですが、これもありでしょうか?

456 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 18:12 ID:H1FIJUCU

霊山の項を見ると、
本新羅西火 景徳王十六年改尚薬 為蜜城(現蜜陽)郡領県。
霊山になったのは高麗の時ですね。

尚薬、、ますます分からんス

457 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 18:15 ID:H1FIJUCU

サビと尚(Sang)がちょっとだけ似てますね。
阿木林さんが電波ならぼくは厨

458 名前:阿木林:2003/09/29(月) 18:22 ID:ATBBiECk

おお。通常「觧」は「解」の異体字だと思っていたのですが、
(角の真ん中が出ているのは本来の字体)
この場合はヘではなくソン(古くはションないしシェン)と
読むべきなんでしょうね。

ソンビ(儒者)の語源と関係があるのではないか、などと思ってみたり。
古い形ではsien-byiまたはsien-b@i。

459 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 19:19 ID:H1FIJUCU

へ?ということはHae?


460 名前:阿木林:2003/09/29(月) 19:59 ID:ATBBiECk

電波どころか毒電波出してますよん。
やほーの百科事典で検索してみたところ、解顔面がただしいみたいです。
僕も早とちりしてしまいました。
http://kr.encycl.yahoo.com/final.html?id=44037&from=enc" target=new>http://kr.encycl.yahoo.com/final.html?id=44037&from=enc

尚薬といえば薬を扱う官職ですから、地名と直接の関係はないのかも
知れません。

461 名前:阿木林:2003/09/29(月) 20:05 ID:ATBBiECk

ただ、この手の資料を斜め読みしていても、訓読の地名を漢字読み
することは本当に多いですね。押梁だってアムニャンと書かれていますが、
本来はミルリャンなのだろうと思います。
だから解顔も実際はヘアンとは読まれてないのかもしれません。
どんな訓で読まれていたんだろう・・帰って千字文の訓読でも
やってみるか。

462 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/09/29(月) 22:04 ID:H1FIJUCU

そういえば、テグのファビョった地下鉄にも解顔駅がありましたね。
振り出しにもどるー。

上の漢文は「尚薬に改めて蜜城郡の領県と為す」と読めるから、
恐らく地名で合ってるんじゃないかと思うです。

現在残ってる地名でも、訓と音といったり来たりが
ありまくりです。
春香伝に出てくる「ファラン(HWA-RAN)」は
漢字名は弓院里ですが、
弓(GEUNG)の訓「ファル(HWAL)」と院(WON)」をつなげて
「HWAL−WON」、理恵ゾーンして「HWARON」、
なぜかOがAに入れ替わって「HWARAN」です。
ハングルの表記も HWAL-ANではなく
HWA-RANと切れるので、一見して同一地名とは
思えないくらいです。



463 名前:阿木林:2003/09/30(火) 10:01 ID:NIXwrkog

そういえばヘアン駅ってありましたね・・
テグにはいったことがないのですが、向こうのテレビで地下鉄火災の
ドキュメントをずっと見ていたとき、出てきた駅名でした。
あのドキュメント、キンサンサトゥリが出まくりで、気の毒だけど
その一点では興味深かったなぁ。
〜アンだから勝手に海安とかそんな地名だと思ってた。

尚薬が地名であることは間違いないです。
従来の地名と直接関係があってつけられた地名ではなかろう、
と書こうとしていたのですが、ごらんの通り日本語が足りないので・・。

hwa-ranと聞いて真っ先にオランダを思い出してしまいますた。
hwal-wonがhwa-ranになるのはまさに母音調和ですね。
もしかしたらヘアンもヘ+ウォンが調和した形だったりして。
関係ないけど牡丹をモランと発音するのも、漢字音の規則からは
外れていて面白いです。

464 名前:452:2003/09/30(火) 16:38 ID:tPfsZWOM

正直、ついていけない展開になってまつが(^^;)

池袋のジュンク堂でさっき立ち読みしてきた「末」の字がつく人の本
(名前忘れたけど任那日本府の古典的研究で有名な人ね)によると
州鮮国は大丘の「解顔」で、この古地名が「雉省」、で、州鮮と音が近いとありましたが
なにがどう近いのかよく理解できませんでした。

465 名前:阿木林:2003/09/30(火) 17:09 ID:NIXwrkog

少々スレ違い気味だなと思いつつ・・
>>464
古典的研究であれば末松保和先生でしょうか。
解顔(ヘアン)というのは古い地名なんですね。ソソムンさんの例で
解北村面などの地名があるのは、ヘアンの東西南北に村があった
ということなんでしょう。固有語に対する当て字だったとするなら
解は太陽のhaeでしょうか。

現代音ならば雉省chiseongと州鮮juseonは似てないこともないですが
中古音では厳しいように思えます。-ng/-nを混同する傾向はナナシサン
が出された例でもほとんどないのではないでしょうか。
雉を「トリ」と解釈するならば達句火タルクボル=鳥原であるとして、
雉省(城)は相応しい当て字であるように思えます。
それとヘアンは関係あるのでしょうか・・・なさそう。

解顔の地名の由来が知りたいところです。

466 名前:464:2003/10/01(水) 02:49 ID:KbKA3iPs

>>465
そうそう、末松保和でつ。
古地名の比定は、けっこう昔の人が適当にやったのを無批判に継承してる例が多いかも知れませんね。
このスレの皆さんで全面的に見直してみてほしいでつ。

467 名前:Seosomun:2003/10/01(水) 13:49 ID:EvbFQfz2

>>465

朝鮮時代に見える面名は、旧地名を使って東西南北や数字、遠近、
上下左右などを用いて分割したものが多いです。

問題はその分割がどの時期のものかですが、
そういう論文がどっかにありますた^^;
探して見ます


468 名前:Seosomun:2003/10/01(水) 13:52 ID:EvbFQfz2

面は昔も今もおかみの行政区画なので、
住民たちの生活単位ではない。
特に昔の面は行政機能が希薄だったので、
現在の日本の「郡」位に存在感が薄いです。
お上が決めただけに、旧地名が活用される
事例が多くなるんだと思います。

469 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/03(金) 19:10 ID:XAcY9JRo

036,波害平史県{一ニ云フ額},波平県ハ、本高句麗ノ波害平史県ナリ。景徳王改名ス。
今モ因ル/v之ニ。,京畿坡州郡坡平面,額=波害平史?(中:pua-斤ai-bιΛη-
s^i¨ei),古代日本語「ΦitaΦi(額)」,ナシ,ナシ,※額ー[各+頁](東)※史ー吏(東)
※新羅地名「波平」は高句麗の音読地名の「波害平史」を省略したものか。
037,泉井口県{一ニ云フ於乙買串},交河郡ハ、本高句麗ノ泉井口県ナリ。景徳王改名ス。
今モ因ル/v之ニ。,京畿坡州郡交河面,泉井=於乙買(中:・ιo-・ιet-mai);口=
串(中:kuan),古代日本語「wi(井)」;古代日本語「kuti〜kutu(口)」,新羅語「っ¨l
(井)」;後期中世語「u-mщl(井戸水)」;済州島方言「kulrε(口)」;全羅南道方言
「kul(口)」,トルコ語「bul-a-q(泉)」「bul-a-γ」(泉);ギリヤーク語「eri〜erri(川)」
;オロチ語「uri(水・川)」,※「泉井」の音読表記「於乙買」は本来は泉(井戸)の水の
意であろう。※「串」は訓読字か(後期中世語「koc(串)」)
038,述尓忽県{一ニ云フ首泥忽},峯城県ハ、本高句麗ノ述尓忽県ナリ。景徳王改名ス。
今モ因ル/v之ニ。,京畿坡州郡州内面坡州里,峯=述尓〈首泥〉(中:dзιuet-nie
〈∫ι∂u-nei〉);城=忽(中:hu∂t),古代日本語「ki2(城)」,後期中世語「su-nщlk
(嶺)」;百済語「ki(城)」;後期中世語「kol(谷・洞)」,エベンキ語「maηa(堅)」;
ラムト語「maη(堅)」;満州語「maηga(堅)」;満州語「holo(谷)」「golo(省)」;
トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-γan(城)」,※高句麗漢字音:述=首;
尓=泥
039,達乙省県{漢氏ノ美女於イテ/2高山ノ頭ニ/1点ス/2烽火ヲ/1。迎フル/2安臧王ヲ/1
之処ナリ。故ニ後ニ名ヅク/2高烽ト/1},高烽県ハ、本高句麗ノ達乙省県。景徳王改名ス。
今モ因ル/v之ニ。,京畿高陽郡元堂面,高=達(中:dat);烽=乙省?(中:・ιet-
s^i¨Λη),古代日本語「take2(岳)」;古代日本語「taka-si(高)」,ナシ,トルコ語
「taγ(山)」,
040,臂城郡{一ニ云フ馬忽},堅城郡ハ、本高句麗ノ馬忽郡ナリ。景徳王改名ス。今ノ
抱州ナリ。,京畿抱川郡抱川面,臂(堅)=馬(中:ma);城=忽(中:hu∂t),古代
日本語「ma(真)」;古代日本語「ki2(城)」,百済語「ki(城)」;後期中世語「kol
(谷・洞)」,エベンキ語「maηa(堅)」;ラムト語「maη(堅)」;満州語「maηga
(堅)」;満州語「holo(谷)」「golo(省)」;トルコ語「qol-γan(城)」;蒙古語「qol-
γan(城)」,※「臂」は「堅」の誤記?

470 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/03(金) 19:13 ID:XAcY9JRo

 036は一応「波害平史」が音読地名、「額」が訓読地名と解されます。「波害平史」
の漢字音は「pua-斤ai-bιΛη-s^i¨ei」。古代日本語の「ΦitaΦi(額)」とは
頭子音及び第3音節の子音が似ているという程度の一致しか認められませんが、
中期朝鮮語は「nima(額)」ですので、まだしも日本語の方が似ていると言えるの
ではないでしょうか。とは言え、第2音節の子音の違いは大きいこともまた確かで
はあります。ちなみに、新羅地名「波平」は「波害平史」を省略したもののようです。

 037は「泉井口」が訓読地名、「於乙買串」が音読地名っぽいですが、後者の「串」
については、062「穴口郡」102「楊口郡」等から「口」が「koc〜koti」であったと推定
されることを考慮すると、音読して「kuan」と読むよりは、中期朝鮮語のように「koc」
と訓で読んだ方がより都合がよいということになります。ただし、そのように考える
ためには、同時に高句麗語の「串」に相当する語もまた「koc」に近い発音であった
としなくてはならなくなるわけですが。

 一方、「泉井」と「於乙買」の対応は非常にわかりやすいものです。「買」が「水」の
音読字であることはもはや多言を要しませんから、「於乙(・ιo-・ιet)」は「井戸」
を意味する語と推定出来ます。「泉」と「井戸」はともに水の湧き出るところであり、
両者の違いは天然か人工かという違いに過ぎませんから、「泉=於」「井=乙」の
ように分けて考える必要はないでしょう。さて、本語は古代日本語の「'wi(井)」とも
語形的に近いですが、とりわけ新羅語の「乙('っ¨l=井)」とはよく似ています。中期
朝鮮語の「'u-mщl(井)」の「u」は、新羅語「'っ¨l」が母音変化及び語末子音「l」の
脱落を起こしたものでしょう。

 なお、新羅地名「交河郡」の命名の由来は難しいですが、「河」が「買(水)」に対応
することだけは確実です。「交」は字義通りと見るべきか、それとも「交」の漢字音
「kau」から「串(音:kuan、訓:koc)」との関連を求めるべきか悩むところですね。

471 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/03(金) 19:16 ID:XAcY9JRo

 038は巻三七に地名が二つ出て来ますが、残念ながらどちらも音読地名という
例です。「忽」は共通ですので置いておいて、「述尓(dзιuet-nie)」と「首泥
(∫ι∂u-nei)」が同一語を音写していることは間違いないでしょう。清濁の違い
が無視されていることについては言わずもがなですが、前者にあるt入声が後者
には存在しないというのはちょっと興味を惹かれますね。これは音読表記では
t入声は場合によっては無視してもよいということを意味するのか、それともtが
流音lであることを示唆する例と取るべきなのか…。う〜ん、悩ましや。

 もう一つの問題は新羅地名との関係です。新羅地名「峯城県」を高句麗地名の
訓読表記に準じて考えることが出来るかどうかですが、高句麗音読地名の「忽」
と「城」が対応しているので、一応第一段階はクリアしております。仮に「峯」も
「述尓(首泥)」と対応しているとすると、中期朝鮮語「su-nщlk(嶺)」との関連が
浮かび上がって来ますね。語末の「-lk」部分が対応しないという問題点はある
ものの、それでも意味と言い語形と言い、近いことは確かです。古代日本語には
対応する語は見出せないので、本語に関しては朝鮮語側が有利と言えますね。
ただ、「su-nщrk(嶺)」は現代朝鮮語では死語となっているようでして、中世に
高句麗語系言語から高麗語に入った借用語である可能性もあるということは
指摘しておく必要はあろうかと存じます。

472 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/03(金) 19:18 ID:XAcY9JRo

 039は巻三七には音読地名「達乙省」しか地名として挙げてありませんが、
地名の由来を記した箇所に「高烽」という語が出て来ますので、これを訓読地名
として処理してよさそうです。「達」と「高」は064「高木根県{一ニ云フ達乙斬}」から
確実に対応することがわかっていますので、残る「乙省」と「烽」も対応する可能性
が高そうですが、今のところ周辺言語に本語に対応する語は報告されていない
ようです。「烽」の意の日本語と言えば「のろし」がまず第一に思い浮かびますが、
「乙省」の「乙」が「ol」のような音であれば、「のろし」の第2音節以下と近い語形に
なりますので、一見よさそうに感じます。しかしながら、「のろし」という語は16世紀
の用例が最古でして、それ以前は「とぶひ(飛ぶ火)」と称していたことがわかって
いますので、「のろし」を対応例として挙げるのはさすがに躊躇されますね。

 そうそう。「省」は「城」の漢字音を表記する音読字として用いられた可能性があり
ます(>>268>>402参照)から、もしかすると「烽」に対応するのは「乙」の部分だけ
という可能性もあるかも知れません。と言っても、そう処理することによって対応例
を指摘出来るというわけではありませんが(^^;。

 040は巻三七に訓読地名と音読地名の両方が揃っている例です。「臂城」と「馬忽」
の対応ですので、「城」と「忽」が対応する以上、「臂」と「馬」も対応する可能性が
大いに期待されるのですが、「臂」のままでは周辺言語にどうにも対応例が見出せ
ないのが辛いところです。それはそれで仕方がないと言えばそうなのですが、ここ
で注目されるのが新羅地名です。新羅地名では同じ地名が「堅城」となっているん
ですよね。仮に「臂」を「堅」の誤記乃至誤伝であると見なすことが可能なら、今度は
「堅」と「馬」との間で対応関係を求めればよいことになるわけです。実際にそのよう
に考えると、周辺言語、とりわけツングース系言語に多数対応例を見出せるという
事実もありますので、中々に具合がよいのですが、問題は果たしてそのように考え
てよいものかどうかでしょう。

 なるほど、「臂」と「堅」では崩して書けば上半分は似た字形になりますが、下半分
はダメダメですね。せめて「臂」ではなくて「壁」なら問題はないのですがねぇ。まぁ
でも、新羅語〜朝鮮語で「堅」と「ma」が結び付かない以上、高句麗地名の「馬忽」
から「堅城」を導き出すことは無理な相談なので、もう一つの高句麗地名「臂城」と
関連付けるしか方法はないというのは、誤写説にとっては条件的に有利であること
は間違いないのですが…。

473 名前:日語商売:2003/10/03(金) 20:45 ID:osgLFj7c

>>470
串については日本語に「くし」って言葉があるので、高句麗語にも同じような発音の
言葉があったと考えて差し支えないんではないでしょうか?
あまり関係ないけど現代語ではこういう語彙がありますね。
 goj-gam 串柿、干し柿
 kkocεη-i 串
 kkoci 串料理、特におでんw
 kkoj-da 差し込む、挿す、刺す
韓国のおでんは屋台の定番中の定番で、長い串に練り物の棒状の固まり、もしくは薄く作って
焼いた練り物を何重にも畳んで刺したもので、だしで煮てあります。
味が単調なのでバラエティーに富む日本のおでんには全然勝てませんね。
BoAタソ一人でモーニング娘。のネタに挑むようなものです(例えはユンソナの方がいいか?)w
もちろん屋台でおやじに愚痴聞いてもらいながら一杯引っ掛けるという風情もありませんw
通勤時や小腹が空いた時に食べるような感じですね。
実はさっきコンビニでおにぎりのおまけについてきたので食べたニダw
また同じものを油や辛いタレで炒めたり、料理に入れたりしますが、
これも「おでん」と呼んでいますw

>>472
「臂」が「肩」ならば「堅」と同音なんですけどねぇ。
まあ、「臂」を「腕」ととらえれば、現代語ですがp‘alなので、
「馬」のmalと似てるっちゃあ似てるんですがねぇ。。。

474 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/03(金) 21:36 ID:sM5axc3k

>>473 日語商売さん
>串については日本語に「くし」って言葉があるので、高句麗語にも同じような発音の
>言葉があったと考えて差し支えないんではないでしょうか?

 そう言えばそうですなあ。採用!

>「臂」が「肩」ならば「堅」と同音なんですけどねぇ。

 おお、こいつは気が付きませなんだ。しかし、それを利用するとしたら、
高句麗の本来の訓読地名は「肩城」「臂城」「堅城」のうちのどれであると
すべきなのでしょうかねぇ。

>まあ、「臂」を「腕」ととらえれば、現代語ですがp‘alなので、
>「馬」のmalと似てるっちゃあ似てるんですがねぇ。。。

 なるほど。「p‘al(腕)」ですか。pは両唇破裂音、mは両唇鼻音。ともに
唇を使う子音であるという共通点はありますな。でも、出来れば激音では
なく平音であればもっとよかったのですが。日本語でも、bとmの交替は
ポピュラーな出来事ですからねぇ。今は自宅にいるため『李朝語辞典』
を参照出来ないのですが、これの中期朝鮮語の語形はどうなっているの
か知りたいですね。それから、「臂=馬=p‘al(腕)」だとすると、新羅地名
の「堅」の由来も気になるところです。

475 名前:Seosomun:2003/10/04(土) 02:13 ID:VAIzFPPA

串(ゴッ)は地名では岬の意味でよく使いますが、
この場合は口との対応ということですか。
交河といえば、名前は忘れたけど漢江と臨津江の
合流地点に岬があるんですよね。
今は統一展望台になってますが。

この字は韓国語ではかなり例外的に、
漢字をそのまま訓読みする文字ですが、
このような文字は他にもあるのでしょうか?

476 名前:日語商売:2003/10/04(土) 20:28 ID:A9hbhYBw

すいません、またブービートラップ踏んじまいました。
「串」は本来「つらぬく」「なれる」という意味で、「くし」の意味はありません。
(その意味の字は「串」の縦棒が2本とおってるものですw)
もともと「串」の形は「貫」の上の部分と同じで、物に棒か紐を通してる形ですから、
1本通ろうが2本通ろうが「くし」の意味は潜在してるといえるのですがね。
あるいは高句麗で既に「くし」という訓が定着していたのかもしれません。
たとえ「つらぬく」の意味でも、「さす」の意味の動詞 (s)koc-taが中期朝鮮語にあるので、
その語幹を使ってkocをあらわすのに使ったと考えられるでしょう。

で、p‘alの中期語の形ですが、『李朝語辞典』にはp‘∧lとありました。
意味も「臂」と出ています(「臂」はもともと腕の意味)。
「馬」もm∧lなので、中期語でもよく似た形です。
しかし有気破裂音と鼻音ではずいぶん音色が違いますよね。
どちらかが高句麗語ではb∧lのような形だったならば、多少は近くなるでしょうが。。。

477 名前:阿木林:2003/10/06(月) 10:29 ID:IB9UvI4o

パジュの昔の名前がナミヘーだったのは驚き。
口をコッというのが岬の意味に転用されているのは、
日本で岬をハナとよぶのに似ています。
述尓忽の現行地名である州内の発音もt∫u-nεですね。
主に峠を表す「チェ」もこれと関係ある言葉かもしれません。

p'alの中期語の形は、p'ΛlのほかにpΛl, pΛlhという形もあります。
もっとも、pΛlhは後ろに母音で始まる助詞がついたときに現れる
形であるようですが。
高句麗語で有声音が存在するという証拠がないのですが、
bΛlという形であったとしてもおかしくはないのでしょう。
(ただし、m/p~bが混同されたという証拠もない)

ただし、後の抱州、抱川(p'o-ju, p'o-c'∂n)という地名に連なっていくことをかんがえれば、
同じ頭子音のp'Λlが基層にあるとかんがえたほうがよいのかもしれません。


478 名前:阿木林:2003/10/06(月) 15:23 ID:IB9UvI4o

韓国版ヤホーに地図があるんだけど、自分のOS環境だと文字部分が
うまく表示されない模様。あれで調べれば岬の名前とかもわかるはず。
あと、中期語なら韓国ヤホーの国語辞典であるていど調べられます。

479 名前:tenpura ◆UMAIu01k:2003/10/06(月) 17:05 ID:5CzwA73A

突然疑問に思ったことがあるので、専門家さんがいるスレに聞きに来てみる。

新羅や高句麗の言葉は今の朝鮮語、日本語とも違う言葉であったことは
わかっているのですが、もうひとつの国、「任那」の言葉って何か手がかりでも
残ってないのでしょうか。

変なことを考えたんだけど、またデムパといわれるのが怖い(藁)ので
とりあえず、ここまでで聞いてみる。

480 名前:tenpura ◆UMAIu01k:2003/10/06(月) 17:06 ID:5CzwA73A

>>479
しまった、電波系大道芸のほうがよかったかなと反省。。。

481 名前:名無しさんはポシンタン:2003/10/06(月) 17:10 ID:cl.7k2ME

>>480
「半島古代史教えてくんスレ」も活用おながいしまつ

482 名前:名無しさんはポシンタン:2003/10/06(月) 17:12 ID:cl.7k2ME

>>480

何でも知りたい!歴史基礎知識やさしく教えてくん専用統一スレ
http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=korea&key=1039074422&ls=50" target=new>http://www.soutokuhu.com/bbs/test/read.cgi?bbs=korea&key=1039074422&ls=50

483 名前:阿木林:2003/10/06(月) 18:18 ID:IB9UvI4o

専門家というには程遠いのですが、お答えしてみます。
ナナシサンのホムペにはカヤ(ミマナ)語の地名解説は無かったと
思うのですが、結論からいうと新羅語にきわめて近かったようです。
地理的な分布から見ても、そう考えるのが自然です。

http://www.chosun.ac.kr/~ongmi/teaching/korhistory/kh4-4.htm" target=new>http://www.chosun.ac.kr/~ongmi/teaching/korhistory/kh4-4.htm
にいくつかの単語が紹介されています。ドラビダ語説も紹介されてますが・・

城門を梁(訓読でto)というのは日本語と共通し、三を密というのは日本語と
高句麗語と共通するのですが、野=火/伐、水=物、居[柴-止+シ]=王、
鶴=巨老というのは新羅語と変わりません。

484 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/06(月) 18:45 ID:jBFB2a66

>>476 日語商売さん
>「串」は本来「つらぬく」「なれる」という意味で、「くし」の意味はありません。

 「串」は万葉集でも「くし」の意味で使用されていますので、日本でもかなり早い
時期から「くし」の意味の漢字として認識されていたようです。おそらく半島から
伝わった用字法ではないでしょうか。

>「馬」もm∧lなので、中期語でもよく似た形です。

 そう言えば、高句麗地名で「駒」は「滅烏(miεt-・o)」と音読表記されていること
から、高句麗語の「馬」は「miεro」と再構される(>>269-270)ということを忘れて
いました。仮に高句麗地名の「馬忽」の「馬」が訓読字であったとすると、「臂」も
「miεro」に近い発音の語であることが期待されると思うのですが、その辺はどう
考えるべきですかねぇ。

485 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/06(月) 18:46 ID:jBFB2a66

>>477 阿木林さん
>口をコッというのが岬の意味に転用されているのは、
>日本で岬をハナとよぶのに似ています。

 岬の「ハナ」は「ハナ(鼻)」ではなくて「ハナ(端)」が直接の語源です。「ハナ(端)」
は「ハ(端)」「ハシ(端)」「ハタ(端)」と同一語彙グループに属し、物の先端を指す
語です。転じて時間的に先の方を指して言うようにもなりました。尤も、「ハナ(鼻)」
にしても、語源を遡れば「ハナ(端)」と同系の語彙である可能性が高そうですが。

486 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/06(月) 18:47 ID:jBFB2a66

>>479 tenpuraさん

 一連のレスを書いていたら、阿木林さんに先を越されてしまった…。内容的にも
かなりかぶるようですが、もったいないので書き込みますね(w。

 任那語(加羅語)については、直接の資料としては(1)「栴檀梁。城門名。加羅語
謂門為梁云」(『三国史記』)とあるのが唯一のもので、あとは(2)『三国史記』新羅
地理誌に見える任那地域の地名、(3)『日本書紀』に見える任那地域の地名、と
いった地名資料から推測するしか手立てがなかったと記憶しております。このうち、
(1)は日本語「ト(戸・門)」との関係を考えたくなる例ですが、(2)(3)を見ると、むしろ
韓系言語の方が中心であり一部夫餘系の言語が混じっていた程度ではないかと
いう印象を持っています。尤も、まだ新羅〜任那の地名データを作成していない
ので、それによっては別の可能性も出てくるかも知れませんが。

487 名前:阿木林:2003/10/06(月) 19:23 ID:IB9UvI4o

子馬が滅烏(メロ)で親馬が臂(ポル)だったら全然にていませんよね。
駒(若いウマ)と馬(成長したウマ)では違う言葉が用いられていた、
という可能性はあるのではないでしょうか。
(日本語のコマはコウマが語源でいいんでしたっけ?)

シナ語ならば駒と馬でまったく違う形ですし、モンゴル語でもかなり
違う形が用いられているはずです。
そういえばモリは去勢馬のことで、総称はたしかホリでした。
あとで調べてみます。

488 名前:tenpura ◆UMAIu01k:2003/10/07(火) 00:45 ID:SKErWo9I

>>483 >>486
まとめてでもうしわけないですが、ありがとうございます。

うーむ、資料が少ないなら、なにか捏造の余地はないだろうか。
ってスレちがいですな。
さんちゃんにはとても及ばない自分にガカーリするのであった。。。

489 名前:阿木林:2003/10/07(火) 10:01 ID:xJYOm.FU

ギャース!どこからホリなんてのが出てきたんだろう・・羊/honj/と間違えた?
アルヒ飲んでウリヤンハイまで逝って馬に蹴られて死んできます。。。

/morj/は去勢馬のことも指しますが、馬の総称としても間違いではありません。
去勢馬のことを特に指す言葉は/axt/でした。
ついでに、一歳馬は/ynag/、二歳馬は/daag/、雄の子馬は/urj∂∂/、
牝の子馬は/bεεdas/、雄馬は/εdζrag/、牝馬は/guu/だそうです。
こういう細かい分け方は牛、駱駝、綿羊、山羊の全てに存在します。
関係なさげなのでさげ。
(以上、チャハル方言。ハルハ方言の資料が手元になかった)

490 名前:名無しさんはポシンタン:2003/10/07(火) 14:52 ID:aH6YAXzU

>>487
コマ(駒)はコウマ(小馬)から?

よく昔の日本語だと「小さい」の意味だと「ヲ」といいますよね?
昔の日本語でも「小さい」の意味の「コ」ってあったんですか?

491 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/07(火) 14:53 ID:oePHFtgg

>>487 阿木林さん

 040の地名ですが、034「買省郡{一ニ云フ馬忽}」や107「大楊管郡{一ニ云フ
馬斤押}」の例などを見ると、やはり「馬忽」の「馬」は訓読字ではなく音読字
と見て「ma」と再構した方がよいかと思われます。騎馬民族は馬に関する
語彙が豊富なので、高句麗語でも馬と駒を使い分けた可能性はありそうで
はありますが、高句麗族は確か半農半牧ではなかったかしら。モンゴル語
ほどの細かい使い分けをしていたかどうか、ちと怪しいような気がします。

 さてそうなると、この「ma」と対応するのは高句麗訓読地名の「臂」の方で
あるのか、それとも新羅の漢語地名の「堅」の方なのかが問題となりますが、
現状ではどちらを是とすべきか判断が難しいですね。「堅」ではなく「臂」と
対応するのだとすると、中期朝鮮語「p‘Λl(腕)」との対応が考えられます
(古代日本語「Φi1di(肘)」もこれに加えてもいいかも)ので、「臂」と「ma」
については一応の説明は付けることが出来ますが、その一方で新羅地名
「堅城」はいったい何に基づいて付けられた名前なのかが説明出来ないの
が最大のネックになるでしょう。何せ新羅語方面(朝鮮語を含む)では「ma」
と「堅」との間に対応関係を認め難いですし、まさか高句麗地名の「臂城」が
新羅時代には「堅城」と誤って伝えられたとも思えませんからねぇ。

 まだそれよりは、新羅地名の「堅」の方が正しくて、高句麗地名の「臂城」
の方が間違っているとした方がましかも知れません。『三国史記』執筆の
時点で、新羅時代は直前の時代ですから、まだ記憶も新しく、記録自体も
正確であることが期待されますが、高句麗時代は一時代前ということで、
誤写などによって地名が誤って伝えられる危険性はより高まるはずです。
加えて、そのように考えると、「堅」と「ma」が対応するわけですから、日本
語の「ma(真)」の他、ツングース諸語とも対比可能出来るというのはやはり
大きいと思います。

>日本語のコマはコウマが語源でいいんでしたっけ?

 確かにそのように説明されることが多いですが、それだと、「こま」を子馬
の意味で使用した例は平安時代になってようやく登場するのに、馬の意の
「こま」は奈良時代から既に使われているという事実をうまく説明出来ない
ので、個人的には同意出来ません。

492 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/07(火) 15:04 ID:oePHFtgg

>>490
>よく昔の日本語だと「小さい」の意味だと「ヲ」といいますよね?
>昔の日本語でも「小さい」の意味の「コ」ってあったんですか?

 ありますよ。万葉仮名の一字一音表記で「古」「子」と表記されたものでは、
「こさる(小猿)」「こすず(小鈴)」「こまつ(小松)」「こぶすま(小衾)」「こすげ
(小菅)」などがあります。「を(小)」とは意味・用法ともに共通しますので、
違いはよくわかりませんが、両者の使用頻度を見るに、少なくとも奈良時代
においては「を(小)」の方が「こ(小)」よりも勢力が強かったようですね。

493 名前:Seosomun:2003/10/07(火) 23:20 ID:p2A01W.c

>>477

>パジュの昔の名前がナミヘーだったのは驚き。
正確には現パジュ=パジュ+ナミヘー+積城+交河なんです。


494 名前:日語商売:2003/10/08(水) 02:13 ID:hJSihI6.

>>492
昔国語学の授業で教授(けっこー有名な人、テレビでもたまに見る)が、
「コ」と「ヲ」の使い分けについて、「明確な差異を見いだすことは難しいが、
ヲの方は大きいものに付属するもののニュアンスがある」と言って、
語源を「尾」に求めていたのを思い出しました。
この先生、けっこう思い付きでもの言うところもあるのですが、参考までに。

495 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/08(水) 02:53 ID:23daIlHs

>>494 日語商売さん

 アクセントを見てみますと、「を(尾)」は平安期低平調、「を(小)」は
平安期高平調ですから、金田一法則で見る限りはその説はちょっと
苦しそうでつね(w。でも、私も結構思い付きが好きな人間ですから、
その先生とは気が合いそうでつ(w。

496 名前:日語商売:2003/10/08(水) 04:06 ID:hJSihI6.

>>495
うむむ、ちょい無理ですかぁ。
その人ちなみに今N大にいるS先生なんですけどね(わからんつーのw

「コ」の上代における母音が甲類であることを考えると、
「ヲ」は「コ1」の語頭音kの脱落形かもしれませんね。
ただそのような子音脱落が起こる環境を知りませんが。

そういえば、「コ(小)」は「コ(子)」と同語源と見ていいのでしょうか?
ちょっと気になることがあるので。

497 名前:阿木林:2003/10/08(水) 10:22 ID:iA7fsOvo

>>493
ありがとうございます。統一展望台が懐かしいです。
朝鮮語では「川の合流点」を現す地名語ってありましたっけ?

村山七郎といえばどちらかといえば飛んでも系に分類されることが
多いと思うのですが、彼が日本語の「マガマガシ」をツングース諸語の
「マガ」に語源を求めていたのを読んだことがあります。
コというのは日本語系統論でしばしば「タイ系基層語」の例として
出される語彙なのでその点でも興味深い。
Vietnam: con, Hokkien: koa~/kia~ etc.

No.38
意  味 :子(名詞)
原  文 :「童子忽県一ニ云フ仇斯波衣」(『三国史記』)
というのがありましたが、現代朝鮮語では馬はmal、
駒はmang'aji(mal'agiの変)なので、滅びる烏も
滅(=馬)+烏(子)という構造なのかも知れません。
仇の頭子音が落ちて烏になった。もしくは烏が訓読であったのかも。

498 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/10/08(水) 10:42 ID:HkMC9pcs

合流点は地名によってさまざまな呼称がありますが、
一般的なのはハプスモリ(HAP SU MEO RI)ですね。
ハプスは合水、モリは頭。

アリラソで有名な江原道ジョンソンのアウラジ(AURAJI)も
合流点という意味で、「調和する(EO U REO JI DA)」
から来ているようです。

近くに住んでいながら、まだ行ってないんです
>統一展望台
自由路はよく暴走しますがw


499 名前:香具山の光:2003/10/11(土) 03:13 ID:8Js59znI

娜々志娑无先生へ
2ちゃんねるの「.【謝ることなど】日韓歴史認識スレ15【ない】」
にさんちゃんが来ました。以下引用。
「高句麗語と国語の関係をみたが
やはり、80%程度の一致があるという

どうも良くわからないが、当時の漢語の尾子音から判明した高句麗語の中の20から
80%がなんからの関係性があり、高句麗の方言と推定が4つという

http://www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm" target=new>http://www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm
翻訳
http://j2k.naver.com/j2k.php/japan/www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm" target=new>http://j2k.naver.com/j2k.php/japan/www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm


500 名前:名無しさんはポシンタン:2003/10/11(土) 04:35 ID:nG3U0CHk

>2ちゃんねるの「.【謝ることなど】日韓歴史認識スレ15【ない】」

そんなのハン板にあった?アドレス貼ってくださいよー

501 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/11(土) 05:02 ID:BBN/iC5.

>>500

愚かな 日本人はこのスレをよく読むべきですね

.【謝ることなど】日韓歴史認識スレ15【ない】
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1064336195/" target=new>http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1064336195/

502 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/11(土) 10:39 ID:BBN/iC5.

 どなたか朝鮮語のわかる方、>>499

http://www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm" target=new>http://www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm

を翻訳して頂けないでしょうか。

http://j2k.naver.com/j2k.php/japan/www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm" target=new>http://j2k.naver.com/j2k.php/japan/www.hangeul.or.kr/hnp/hg2000/hg249_03.htm
http://ocn.amikai.com/amiweb/browser.jsp?url=http%3A%2F%2Fwww.hangeul.or.kr%2Fhnp%2Fhg2000%2Fhg249_03.htm&langpair=9%2C2&c_id=ocn&lang=JA&toolbar=yes&display=2" target=new>http://ocn.amikai.com/amiweb/browser.jsp?url=http%3A%2F%2Fwww.hangeul.or.kr%2Fhnp%2Fhg2000%2Fhg249_03.htm&langpair=9%2C2&c_id=ocn&lang=JA&toolbar=yes&display=2

でも何となく意味はわかる(復讐は複数、再区は再構、聖母は聖母、
雲母は韻母でしょう)のですが、「定木」とか「ウンミ」とか「歳国」とか
ところどころ理解出来ない語句がありますので。

503 名前:日語商売:2003/10/11(土) 20:37 ID:6gCMnqJw

>>502
拙い韓国語力で翻訳してみました。一部意訳したところもあります。
おかしなところも多いと思いますがスマソ
----------------------------------------------------
ハングル第249号 2000. 秋
高句麗語表記漢字音の形成基層とその語彙研究

目次
1.はじめに
2.高句麗地名資料
3.資料分析結果
4.結語

 高句麗語を表記した資料である『三国史記』巻37の複数表記地名資料の中で、一度に15個の地名に用いられた高句麗漢字音を形成した基層と、語彙についての検討をするため、多くの学者が再構した上古音や中古音の声母や韻母の体系に基づき分析検討し、また上古韻尾子音の反映であるかどうか検討した。
 その結果、音借字41字中、上古音を基層とする高句麗漢字音と推定される字は37字(90%)で、中古音を基層とする高句麗漢字音と推定される字の数は4字(10%)、上古字音の韻尾が反映された字は1字しか現れておらず、また20個の語彙中、新羅語や百済語、あるいは中世語と関連がある語彙は16個(80%)で、純粋な高句麗の方言と推定される語彙は4つ(20%)だった。
 以降の結果からみて、高句麗語表記資料は上古漢字音を基層として形成されてはいるが、上古子音韻尾の反映がない点からみて、5、6世紀ごろの後期上古音と一部中古音が、高句麗漢字音を形成した基層であり、また高句麗語と新羅語および百済語は若干の言語差異を持つものと見られ、3国の言語が単一語であることが立証された。
〈チェ・ナムヒ 東義大国語学〉

504 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/11(土) 21:53 ID:BBN/iC5.

>>503 日語商売さん

 ありがとう御座います。大変助かりました。ちなみに、>>502の「聖母は
聖母」はもちろん「聖母は声母」のつもりだったのですが、変換ミスをして
しまいますた。スマソ。

 ところで、日語商売さんとしては、このチェ・ナムヒ先生の結論に対して
どのような感想をお持ちになったでしょうか。

505 名前:日語商売:2003/10/11(土) 23:05 ID:6gCMnqJw

「以降の結果」って「以上の結果」の間違いだ。スマソ

>>504
正直、要旨を読んだだけじゃ何とも言えないのですが、
資料が少なすぎること、どのような再構音に基づいているのかや手続きの問題、
他いろいろの問題があるのではと思っています。
この雑誌は母校の研究室で購読してるので、後輩に頼んで、コピーして送ってもらおうかな。

506 名前:阿木林:2003/10/12(日) 07:51 ID:39/.rCjA

上古漢字音・・・ですか。5,6世紀のものを後期上古音と呼んで
よいものかどうか。
上古音といえば通常、論語や詩経の時代から漢代に
かけてのものを言うと思うんですが・・・
ぜひ上古音を基礎とした高句麗漢字音の体系とやらを見てみたい。
清濁の区別を持たない時点で上古音とはいえないと思うけど。

東晋以降に南北の言語の分化が進んだと言われており、
中古音というのは南北朝の南朝後期の発音であるといえます。
北朝の発音は唐宋音に近いものであったと考えられます。
唐宋音で濁音が消滅しているのは、北方異民族の言語の影響を
強く受けたからとみられます。

507 名前:香具山の光:2003/10/13(月) 00:11 ID:Yoh2fHXg

こちらでは学術的な討論が進んでいて>>499に書き込んだ甲斐があったというものです。
googleで「高句麗語の研究」を検索すると唯一ヒットするサイトが
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/5420/" target=new>http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/5420/
「娜々志娑无のぺぇじ」。このスレに直リンクが貼られていて実に便利です。
貴重なスレなので、どうか末永く存続させて下さい。

508 名前:日語商売:2003/10/13(月) 00:45 ID:PVZyHjM.

>>506
5〜6世紀の中国語の音韻は、むしろ中古音だと思いますね。
前にいろいろな学者の説やその時代の詩の押韻などから、ちょっとだけ漢〜南北朝時代の
音韻の変遷を表にまとめたことがあったのですが、一番中古音に近い押韻体系なのは南北朝後期。
唐代になると近世音に近づく変化が一気に進みます。
面白いのは、10世紀頃の音韻資料で、今の南京あたりの読書音が反映されているらしい資料を
今扱ってるのですが、それが北方音から見ると超保守的。
いくつか近世音の特徴もあるのですが、かなり『切韻』の体系に近い特徴を持ってます。
いかに南方と北方で言葉が違ってたかのか示唆していると思います。

>>507
こちらのスレを立てた娜々志娑无先生のサイトですね。
資料や過去ログにも有益な情報がたくさんありますので、是非ブックマークして御愛顧下さい。

509 名前:阿木林:2003/10/15(水) 16:19 ID:lHVnF3zc

10世紀頃だと、中原音で入声が合流しているくらいでしたっけ。
中古音の基礎となっている広韻自体が、北方漢語の話者である
鮮卑人である編者が、文化先進地域である江南地域の音韻を
まとめるために作られたものといえますから、唐代でも南北の差異が
開いていたことが窺い知れます。というか南北朝時代にそれが
固定化されたのでしょう。

現在の中国の言語的な南北の境界はほぼ長江にそっており、
南京含め長江以北はほとんどが「官話」地域ですが、
長らくシナの南北の境目はワイ河とされていたのですから、
言語境界もそのあたりにあったと考えるのが自然です。
明初くらいまでは南京は中原音よりもむしろ呉語に近い言語が
話されていたのだと思います。
現代の南京音は入声が声門閉鎖音として残る以外はすっかり
北方官話化していますが。

時代ごとに残された「韻書」の基準となった地域が、江南、長安、
ベン京、北京、南京などと移り変わっていることも、無視できない
事実ですよね。

朝鮮漢字音も超がつくほど保守的で、
三等と四等が区別されていたりするのには感動すら覚えます。
乙 *I@t eul オツ・イツ
一 *i@t il イチ
ただし以下の例では朝鮮音で混同されていて呉音で区別されています。
金 *kI@m keum/kim コム・キム
襟 *ki@m keum キム (中古音はうろおぼえですが)

中古音における三等というのも、かつては朝鮮語のeuのような
音値だったのかもしれません。ある時代にそれが一斉に-i-と
合流したのではないか。

510 名前:阿木林:2003/10/24(金) 12:14 ID:jmbqRw0I

なんか、私わるいことでも書いちゃったでしょうか・・・

朝鮮漢字音で上古音の痕跡を残しているらしいものといえば、
蹴、丑をchukと発音することなどでしょうか。
日本漢字音では入声を失っているのですが、
丑は忸などの音符になっているように、古くは入声だったのでしょう。
そのくせ、告goや洗seなどは末子音を失っていますが。
朝鮮漢字音の場合も日本語の呉音漢音同様にさまざまな層が
あるため、かなり複雑な様相を呈しています。
墨は漢字音ではmokですが固有語ではmeokであり、これも古い
漢字音であろうと言われています。

511 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/24(金) 12:55 ID:XUiYhPGI

>>510 阿木林さん
>なんか、私わるいことでも書いちゃったでしょうか・・・

 いえいえ、最近本家の某スレの方で日韓中における「檀」の正体をめぐって
いろいろ盛り上がっている上に、リアルの方でもそれなりに忙しいもんで、
ついついこちらの方がおろそかになっているだけでおます。まぁ総督府は
本家と違ってスレ落ちの心配をする必要がありませんので、長〜い目で見て
やって下さいませ。

 古い朝鮮漢字音と言えば、「車」の「k∂」もそうみたいですね。「c‘ja」の方は
間違いなく中古音でしょうが。中古音以前の漢字音は日本でも推古遺文の万葉
仮名や金石文の借音表記などに残っていますが、その多くは古韓音と呼ばれる
古い漢字音の流れを汲むものだそうです。この「k∂」も古韓音の成れの果てと
いうことになるのでしょうかね。

512 名前:阿木林:2003/10/24(金) 13:53 ID:jmbqRw0I

ははぁ。檀とはなんでしょう。。栴檀は双葉より芳し。
車については現代北京音でもche1/t∫∂1/、ju1/t6y1/の二つの音があり、
juはシナ将棋の「車」に用いられていますが、これが古くは/kjy/と
発音されていて、/*ko/にまで遡ることができるようです。
おもしろいのは朝鮮将棋の「車」は/t∫a/と発音されていること。
「飛車」の語源でもあるのでしょう。

「庫」の音符に使われていることから車に/k∂/という音があっても
おかしくはないのでしょうが、シャとコがかけ離れているため、
古代シナの別系統の言語を反映した可能性もあるのでしょう。
日本語の「くるま」は「くるり」という擬声語からなんでしょうけど・・
朝鮮固有語では「くるま」はスレ、またはバクィといいます。

残念ながら私の朝鮮語力は西大門さんほどではないので、
朝鮮語で/k∂/と発音されている例については、自転車をなぜか
チャジョンゴと発音する他に例を思い出せないです。
これが「チャリンコ」の語源だという説もありますが。
それ以外の単語、自動車などではチャドンチャと発音されます。

調べてみたら、車渠/k∂g∂/という単語を見つけました。
日本語では車渠貝、つまりシャコ貝のことです。
この場合も日本語で「シャ」なんですねぇ・・・

513 名前:Seosomun ◆57aYuBt.:2003/10/24(金) 14:23 ID:GLdPw6VY

人力車=インリョクコ
停車場=チョンゴジャン
ベトナム語の発音にヒントがあるかも
19世紀からある用語には普通に使われるようです


514 名前:娜々志娑无 ◆NcNEDmUA:2003/10/24(金) 14:55 ID:XUiYhPGI

>>512 阿木林さん

 文字通り、「檀」の正体です。「檀君神話」の件から、「檀君」の「檀」とは何か
という話になり、日中韓で「檀」という漢字で表記される植物の正体は何なのか
ということを検討しています。日本では「マユミ」または「インドの香木」で確定
したと見てよさそうですが、古代中国の「檀」及び朝鮮半島の「檀」の正体に
ついては謎が多く、いまだ具体的につかめていない状態です。阿木林さんも、
また他の方も、もしご興味がおありでしたら、

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/5420/san15.html" target=new>http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/5420/san15.html ←前スレ
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1066454986/" target=new>http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1066454986/ ←現行スレ

をご覧の上、参加して頂ければ幸いです。ちなみに、こちらでもお馴染みの
日語商売さんも参加しておられます。つーか、私が引き込みました(w。

515 名前:阿木林:2003/10/24(金) 15:01 ID:jmbqRw0I

なるほど。停車にはチョンチャという発音もあるので、
停車場もチョンチャジャンと読んでいましたが、チョンゴジャンが
正しいのですね。漢越音ではxa、ベトナム語音ではxeですが、
この/x/は喉音ではないので直接の関係を見出すのは難しそうです。
停車をチョンゴと読むのは、どちらかというと年配層ではないでしょうか。

関係ないですが「船着場」の発音を聞いていると、年配の人は
ソンチャクチャン、若い人ほどペチャクチャンと発音する傾向が
あるようでした。湯桶読みのような例ですね。

516 名前:日語商売:2003/10/24(金) 19:02 ID:4FNIWM02

>>510
最近ちょっとよそで立て込んでいたもので・・・

「蹴」は『広韻』では入声音しかなく、日本の「シュウ」の読みの方が、
声符の「就」に引っ張られた慣用音です。
「告」や「洗」も、日本の「コク」「セン」はそれぞれ「告朔(古代の祭りの1つ)」
「姑洗(音階名、また旧暦三月の雅称)」という特殊な語彙だけに用いられる読みを
採用してしまったものとのことです。

朝鮮漢字音で古そうな気がするのは、-eoi となるはずのところで一部 -eo となる
読みの字がある点ですね。麗 ryeo とか西 seo(syeo)とか低 jeo(tyeo)とか。
単に末尾の -i が脱落しただけではなくて、中国側で一時期 -ei ではなくて -e のような
音だったのかな、と。ただこれ初声(頭子音)が舌尖の音のときにしか現れない現象なので、
別な理由(舌尖音とiの間で異化が起こり脱落した)かなともおもいます。

古い漢字音の痕跡だと、筆を bus(<but)というのもそうだと聞いたことがありますね。

517 名前:阿木林:2003/10/24(金) 20:19 ID:jmbqRw0I

ありゃりゃ。自分が出した例はことごとく古音とは無関係だった模様ニダ・・・
丑がチュクと読まれる例はまだいけると思うのですが。。。哀号

蹴という字も中国語、というか各地のシナ系言語で使われることが
すくないのですが広東語でも福建語でも上海語でも入声なんですね。
洗は北京語でも、姓に使われるときはxian2だし。
告は酷の音符に使われているのだから古音で入声でおかしくないと
思っていたのですが・・・少し賢くなりました。
おばか丸出しだなぁ。。wチンシムロ謝罪するニダ。

518 名前:阿木林:2003/10/24(金) 20:34 ID:jmbqRw0I

「檀」については、あとでスレを覗いてみますね。
麗とか西とか低とかは、/∂/の音値が古くはずっと/e/に近かったため、
ということで一応解決できるのではないかと思っておりました。
福建語では/ei/という韻尾がないため、これらは/le/, /se/, /te/
と発音されています。
じゃあなんで/ei/という韻尾をもっていたはずの朝鮮漢字音で
/rei/, /sei/, /cei/という音にならなかったのか、
という疑問は依然として残るのですが・・・
呉音だとこれらはライ、サイ、タイとなるわけでして・・・
やっぱり「層」の問題として解決するしかないのでしょう。
末尾の-iが脱落するという点では、むしろ新しい層の漢字音に
属しているのかもしれないかな、と思ってみたり。

519 名前:日語商売:2003/10/24(金) 21:36 ID:QNkkr0Ls

丑が chuk となるのは古音の可能性がけっこう高そうですね。
ただ十二支の場合はタイとか他の地域にも借用とみられるものがあるのですが、
「丑」はなんか変な形になってるんですよ。語頭にpがあったり。
現地語の影響か古代の複子音の名残かわかりませんが。

よく古音の名残として取り上げられるものとして、-αの音を持つ漢字音の一部に
韻尾にiがくっついてるのがあることを思い出しました。
個(箇)gai とか、倭 uai とか。
ただこのiは、主格を表したり名詞を作ったりなどいろいろ機能を持つ -i が
くっついたまま残ったものという説もありますね。
脳悩 noe(noi)とか取趣就臭 chui のように、本来どこをどう振っても出てくるはずのない
韻尾のiが現れる漢字音もありますし・・・謎です。

520 名前:阿木林:2003/10/24(金) 21:56 ID:jmbqRw0I

十二支名が古代の華南のなんらかの言語による動物名の痕跡
(おそらくミャオ・ヤオに近い言語)だという説があったと思うのですが、
西田龍雄先生か誰かだったかなぁ・・・
ベトナム語と十二支
chuo^t_ 鼠 ○
tra^u 水牛 ○
ho^? 虎 (漢語) ×
meo` 猫(mao~の変?) △
ro^ng` 龍 ○
ra(n/ 蛇 ×
ngu'a_ 馬 ○
de^ 山羊 ×
khi? 猿 ×
ga` 鶏 ×
cho/ 犬 ○
lo'n_ 豚 ×

ミャオ語は、湖南、貴州、雲南の順で紹介する。

子 nen4 / nang4 / zhua6, nang4
丑 yu4 / lyo4 / nyo2
寅 jo3 / xe3 / zho3
卯 la3 / lo7 / lua3
辰 rong2 / vong2 / rang2
巳 nen / nang / nang
午 me4 / ma4 / nen4
未 yong2 / lyi3 / yang2
申 mrai / lei / la
酉 nu6, nu6-nu2 / ne6, nyong2 / nong6, zheu5
戌 ghwou5 / dla5 / dle5
亥 nba5 / ba5 / nbua5


521 名前:阿木林:2003/10/24(金) 22:09 ID:jmbqRw0I

機能辞の/-i/が残されているというのは、古韓語にあった/-i/の
ことでしょうか。それとも古漢語に見られる屈折現象のことでしょうか。

個/gai/というのは、個が古くは介に通じていたこと(一介の浪人、
というような言い方にも残されている)によるのでしょう。
客家語海陸方言だとkai5、潮州語でもkai2という発音になるのですが、
これは漢字音として認めてよいか微妙です。
倭/oai/は「矮/oai/」と関連があるのでしょうけど・・・

脳とか悩は本当に謎ですね。/noi/という綴りが/noi/という発音から
/nφ/に移行してからの漢字音でしょうか・・?
取趣も、シナ語の近世音に由来しているような気がします。
就臭とか吹とかは、それに釣られてしまった形なのではないかと
思うのですが、北京音の/-ou/にまとめて対応しているので、
ここにも何か秘密があるのでしょう。
上海音などでこれらが/-γ/と発音されていることを思い出します。

茂/mu/なんてのも面白いですよね。

522 名前:日語商売:2003/10/24(金) 23:00 ID:QNkkr0Ls

十二支名はいろんな説がありますね。
生まれたから死ぬまでを象徴しているとか、12ヶ月を表しているとか。
どれも決め手がないんですがね。
各地語のを見ると、現地語と漢語の動物名と十二支名がごっちゃになっていて、面白いですね。

漢字音にみられる -i は河野六郎先生によれば、名詞形を作る語尾からの
類推じゃないかということですが、どうなんでしょうねぇ。
脳は中期語の読み方では no だったはずですから、どこかでiがくっついたようですね。
蘇州語だと -au, -ou が前舌の -ae, -γ になるけど、直接の関係がなさそうだし。

茂は北京語では mao になってるし、結構変化が激しい音節のようです。
もとは mou だったのですが、同音の戊貿など mao になっているのに、
同音の牟眸・謀は mou、畝・母は mu になってます。

523 名前:阿木林:2003/10/25(土) 01:47 ID:efrfh1Qs

ああ、そういえば貿もmuだった・・・ムーヨクと無縁の生活をしているわけじゃ
ないというのに。
だいぶ前にあげられていたと思うのですが、江戸時代のプサン方言の記録で
「道」を「てい」と記録している資料があるそうですね。
思うに「脳」のようなよく使われる(多分)語彙には特殊な漢字音が生じ、
悩が引きづられた、というようなところではないでしょうか。

茂戊貿はすべて/mu/と読まれるし
牟眸謀はすべて/mo/と読まれるのだから、
北京音ともわりと関連がありそうですね。
畝は/mu/、母は/mo/ですが、母はかなり古い時期に入った
漢字音だろうし。

524 名前:阿木林:2003/10/25(土) 12:48 ID:efrfh1Qs

連カキすまそ。
ある時代のある時期に、/-o/が/-oi/にシフトしてしまうような
現象があったのかもしれません。
そういえば中国語板でロシア語のチャイのイ、が何か、
というのが話題になったことがありました。
福建音でte2なので、chaiというような音がある時代に存在したとしても
おかしくはないのですが・・・
単に子音にひきづられて/-i/という韻尾が発生したのかもしれないし、
ー児などの接尾辞や、「茶葉」が単音節化したものなど、さまざまな
可能性が考えられます。
あと、十二支についてはベトナム語などの例では十二支それ自体を
あらわす単語はなく、すべて「動物名」として使われているものです。
十二支が動物の名称にシフトしたと考えるよりは、古代の異民族語に
よる動物名こそが十二支であったという説を私は考えています。
ついでに十干も古代語の数詞か何かなのではないかと思います。
ミャオ・ヤオ語とはある程度関係が見出せると考えています。

525 名前:日語商売:2003/10/25(土) 21:55 ID:tvMcCFWI

>>524
そいえば韓国語には後続音節のiに引っ張られて前の母音が前舌化する、
いわゆる「ウムラウト」があるそうですね。
今語例を思い付かないのですが。
あと、「牛」もsoとsoiの2形があって、後者は接頭辞に使われる。

chaiのように -i がついている「茶」の形は南方方言にけっこう見られるそうで、
これも古音の名残という人がいましたが、どうなんでしょう?
中国語板はチェックしてないなぁ。なんか音韻学関係のスレってありますか?
言語学板はデムパゆんゆんスレが多いので恐くて逝ってませんw

十干も謎ですよね。
字や音からみていくと、植物の芽生えから実りまでを象徴しているようだけど、
やっぱり何らかの数詞でしょう。
苗瑶あたりは古代からのつながりが大きそうですから、関係調べるといいかも。

526 名前:名無しさんはポシンタン:2003/10/26(日) 16:53 ID:syDVvwgQ

そういえば昔『迷宮』に「十二干」説の論文のが連載されてて面白かったな。


527 名前:阿木林:2003/10/28(火) 10:42 ID:rAMt5Ixs

カイ(犬)>ケーのような音便はありますが、これはウムラウトとは
呼べないですよね。
so牛、soegogi牛肉という変化ですが、これも
so eui gogi(牛の肉)の音便というふうに説明することができます。
これが「肉」じゃなくて「仔(aji)」がつく変化だと、
ソ(牛)>ソンアジ、馬(マル)>マンアジ、犬(ケ)>カンアジ
のように-ng-が挿入されるのがおもしろい。
古くは*ngaji(ngagi)というような形だったのかもしれません。

茶の南方方言で-iという形が多い、というのはデマかハッタリの
部類ではないかと思います。そのような南方方言はついぞ聞いた
ことがないです。マレー語などを介してティーやテーの語源となった
のは恐らく福建語ですが、福建音で/te2/と発音されるのも、実は泉州音で
/tε2/と発音されることから、これが/ta2/の変音であることが
わかります。「チャイ」という語型は、恐らくモンゴル時代に広がった
語型であると思います。モンゴル語のチャイがインドから西南アジア、
ロシア東欧にまで広がっています。元のころに生じた、特殊な音韻が
元になっているのではないかと思います。もしくはずばり「茶葉」がなまって
チャイになったのではないかと。
音韻学関連の話題は、僕もそれとなく話題を振ってみることがあるのですが、
「現代中文」をやっている人たちにとっては、あまり近づきたくない世界で
あるようです。乗ってくれるのは自転車小僧さんくらい。
建てるとしたら言語学板かなぁ・・・



528 名前:阿木林:2003/10/28(火) 10:44 ID:rAMt5Ixs

植物の伸びるさまなんて発想は全然なかったです。おもしろい。
昔しらべた、ミャオ語の数詞との比較を紹介してみます。
ミャオ語は、湖南、貴州、雲南の順です。
なお、表記は苗語ピンイン方案の声調表記のみ数字にしたものです。
ヤオ語とも比較してみたことがあるはずなのですが、
あんまり収穫がなかった記憶があります。

甲 カフ a3 / i, ghai3 / i
乙 ou / o / au
丙 bu / bi / be
丁 brei / dlu / blou
戊 bra / za / zhi
己 dhao5 / dyu5 / dhou5
庚 jong6 / xong6 / xang5
辛 yi4 / ya8 / yi8
壬 jo2 / je2 / jua2
癸 gu4 / ju8 / gou8

>>526
おもしろそうですね。内容を紹介していただけるとコマプーです。

529 名前:名無しさんはポシンタン:2003/10/28(火) 11:49 ID:UiwdKVhc

>>528
十干はもともと十二干で、二つ削って十干が作られた一方、十二干から十二支が作られた。という説。
ところで「コマプー」とは