■掲示板に戻る■
全部
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
最新50
レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
高句麗語合戦 〜あれは韓国これは日本〜
1 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/06/14(土) 16:41 ID:jWJqQfL6
とざいと〜ざい。これより皆々様にご披露致しまするは、いにしえの高句麗語の
数々で御座りまする。高句麗は今を去ること1300年以上昔に滅びし古代国家で
御座りまするが、かつては満州西部・沿海州から朝鮮半島北部一帯にかけて
広大な領地を持ち、彼の隋・唐帝国の攻撃すら再三にわたって撃退したことも
あるほどの強いつよ〜い国家に御座りますれば、ニダビトの皆様にとりましては
数少ない「誇らしいですね。サ、サ、サ。」と言える存在なわけで御座りまする。
ところが、あに計らんや、資料に残る高句麗の言葉をよくよく調べてみますると、
ウリマルには似ても似つかず(それは言い過ぎ)、それどころか、何とな〜んと、
彼のにっくきチョパーリどもの言葉とよく似ているというからさあ大変! 果たして
ニダビトの皆さんは誇りある歴史を取り戻すことが出来るでありましょうか。
__ /
iii■ < 乞うご期待!
─ー(´∀`)-─ \
|\@|_Y_|@/|
.<\__(ωω)__/>
601 名前:
阿木林
:2003/11/05(水) 19:40 ID:QSY8jk4c
とりあえず今日入力したのはここまで。
面白くって、つい没頭してしまいました。
80.漆曰黄漆
81.菱曰質姑
82.雄曰鶻試
83.雌曰暗
84.鶏曰啄
85.鷺曰漢賽
86.鳩曰于雄
87.雉曰雉賽
88.鴿曰弼陀里
89.鵲曰則寄
90.鶴曰鶴
91.鴉曰打馬鬼
92.隼曰笑利彖畿
93.禽皆曰雀訳
94.雀曰賽
95.虎曰監
96.牛曰焼
97.羊曰羊
98.猪曰突
99.犬曰家稀
100.猫曰鬼[尸<工]
101.鼠曰觜
102.鹿曰鹿
103.馬曰末
104.乗馬曰轄打
105.皮曰渇翅
106.毛曰毛
602 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/05(水) 19:52 ID:cCLF.wM.
>阿木林さん
その勢いで、ぜひ『鶏林類事』のcsvデータを、『三国史記』で私が
作ったような感じで作成して下さい。html化くらいは私がお手伝いし
てもよござんす。そうして私のホームページに統合して載せれば、
みんなに喜ばれること請け合いでっせ。宜しう頼んます。
603 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/05(水) 20:20 ID:pSFo4AJQ
李炳寿が、夫餘の馬加・牛加・猪加・狗加を訓読して方位名と解し
高句麗の潅奴部・消奴部(藻那部)・絶奴部(朱那部)・順奴部(慎那部)と
同じものとしていたように記憶してますが、
>96.牛曰焼
のように牛をソと読んで消奴部(藻那部)に関連づけるのはまだわかるとして、
他はなにか根拠なり妥当性なりあるんすかね?
604 名前:
Jake_USA
:2003/11/06(木) 08:51 ID:3rGSv1D.
阿木林さん: 「日曰妲」じゃなかったですか? 私が誤写したのかも知れませんね。
てっきり中世語と現代語の/nar/(日)と同じ単語だと思っていました。
14.霧曰蒙 = 分かりません。日本語の「もや」の様な擬態語っぽい単語かな
と思っていますけど。。。「ぼんやりとしているもの」の様な意味からか?
15.虹曰陸橋 = 道路に架かっている「りっきょう」じゃないです。でも漢語ですね。
16.鬼曰幾沁 = もともと漢語の「鬼神」と同源の言葉だと思いますけど、なぜ編者が
/m/の終声の「沁」字を使ったのか分かりません。
17.神曰神道 = 現代語の「神道」(/sindo/, 鬼神や化け物を敬って呼ぶ語)
18.仏曰孛 = 現代語では/bur/、でも中世語の/butie/から来た/buce/の方が現在
多く使われる。「仏曰孛」が表している単語は「仏」の朝鮮漢字音
なのでしょう。
19.[人+西/大/山]人曰僊人 = よく分かりません。「仙人」と同源の単語なのでは?
20.一曰河屯 = 中世語の/h@nah/, /h@nna/, /h@nnah/など、そして現代語の/hana/
(「一つ」の意)と関係があるのでしょう。が、「屯」が第二音節を
表しているのはどういう音声だったのでしょうか。*/h@don/か?
それとも*/h@jon/みたいな音だったのでしょうか?
21.二曰途孛 = 中世語の/durh/および現代語の/du:r/,「二つ、二人」などの意。
鶏林類事のこの記事で中世語の/durh/が*/dubyrh/の様な語形に
遡ることを知ることが出来ます。私は日本語の「つま(配偶者)」
或いは「とも(友、共)」と同じ語根を基にして出来た語なの
かなと思っています。
22.三曰[手西] この音写のために使われている字の発音が良く分からないから
確実には言えないけれど、後期中世語の/seih/(三つ)や現代語の
/se:i-s/(三つ)、/se:i-/(三-)、/se:-/, /se:g-/(ある限られたセットの
語幹に付く語形)、/sa-/(化石化した語に残っている語形)などの
語と同源なのでしょう。
23.四曰迺 後期中世語の/neih/(四つ)および現代語の/ne:i-s/, /ne:i-/, /ne:-/,
/ne:g-/, /na-/等。「三」のパラダイムと全く同じです。この音写に
使われている漢字の読み方って、中国語だったらむしろ*[nai]に近い音を
表しているはずですけど。。。「四つ」を意味する朝鮮語が「三つ」の
母音に釣られて後期中世語・現代語の/e/になったのでしょうか。そもそも
「三」という前期中世語を音写している字([手西])の発音を知らないんですが。。。
24.五曰行戌 後期中世語では/das@-s/(五つ)となります。現代語では/dase-s/, /da-s-/、
/da:i-s/(五つぐらい)、/da-/など「三」と「四」と同様に異形態に富みます。
結局これらの語は全て朝鮮語の/dai/(物の茎、体あるいは枝、手の様な部分)や
日本語の「て(手)」と同源かなと思っています。この「行戌」という表記は、
というと、よく説明できません。次の「六曰逸戌」との類似から、「戌」の字が
語尾の/-s@-s, -sy-s/に当たる部分を表していると思います。「行」は誤字なの
でしょうか? それとも[ta]を表す特別な表記法。。。?
25.六曰逸戌 後期中世語では/iesy-s/, 現代語では/iese-s/, /iei-/, /ie-s-/, /ie-/など。
全形にわたって「八」を意味する言葉と似ています。
異形態のモルフォロジーは「五」のパラダイムと同じです。
26.七曰一急 後期中世語の/nirgob/, /nirgub/および現代語の/irgob/(七つ)ですね。
どうして編者が「一」の字を使って音写したのか分かりません。
前期中世語では/ni/がまだ/i/と区別されていたはずですが。。。
気になりますね。「七」という意味をもつ形態素は恐らく*/nir/です。
他に/nirhyn/(七十), /nir'uei/(七日), /irob/(家畜の七歳)など
ありますから。
605 名前:
Jake_USA
:2003/11/06(木) 08:52 ID:3rGSv1D.
27.八曰逸答 後期中世語の/iedyrb/, /ied@rb/および現代語の/iederb/(八つ)と
同源ですね。同じ語根をもつ単語は/iedyn/(八十), /ied@rai/と現代
/iedyrei/(八日), /iedyb/(家畜の八歳)などですから、語幹は*/ied/の
様です。朝鮮語の「六」の語幹と妙に似ています。あと、日本語の「や(八)」とも
似ていますね。この語の母音調和が中世語でもいいかげんな所がアヤシイ。
28.九曰鴉好 アホーですか。。。いいえいいえ「九つ」の意味を表す朝鮮語/ahob/なのでしょう。
/p/で終わる適切な漢字が無くて音写するのに困ったのでしょうね。他に
/ah@n/(現代語では/ahyn/、「九十」)、/ah@rai/
> /ahyrei/(九日)、
/asyb/(家畜の九歳)などありますから、語根は*/ah/ないし*/a/或いは*/as/の
様ですね。
29.十曰噎 = 後期中世語では/ier/或いは/ierh/だったと思います。現代語でも/ier/ですね。
/ie:r/と伸ばす人もいるそうですが。。。/ie-nam-yn/(十余りの)では
/ie/という異形態をもちますね。多分/n/の前で/r/が脱落したのでしょう。
30.二十曰戌没 = 後期中世語では/symyr/、現代語では/symur/或いは/symu-/です。「〜十」を
表す朝鮮語はよっぽど古いのですね。。。現代まで受け継がれてきたなんて
すごいと思います。この語は「二つ」を表す*/dubyrh/とは無関係なのかな。。。
31.三十曰戌漢 = 後期中世語/sierhyn/および現代語/seryn/.「三つ」の意味の/se:-/などと
一見関係がありそうですね。
32.四十曰麻刃 = 後期中世語/maz@n/, /ma'@n/および現代語/mahyn/(=[mayn]).「二十」と同様、
「四つ」の意味の語とは程遠い様な気がしますね。音写ではちゃんと
/z/が「刃」の字を以て表されている点が面白いですね。
33.五十曰舜 = 現代語の/su:in/(実際には[Swi:n]の様な発音)です。
音声的には朝鮮語ばなれですね。こんな変な発音の言葉、
他にあったのかな。。。「五つ」の意味の語とは関係が
無い様に見えます。
34.六十曰逸舜 = 後期中世語/iesiuin/、現代語/ieisun/です。「五十」の単語と
同じ様な変な発音でしたね。
35.七十曰逸短 = 後期中世語/nirhyn/, 現代語/irhyn/と同じ意味の単語ですけど、
「短」の字が音写に使われているのが気になりますね。ここでも
*/nir/だったはずの「七」という語根を/ir/と表記していますね。
36.八十曰逸頓 = ずっと/iedyn/. この語では表記の「頓」が/dyn/を表していると
容易に認められますが、上記の「逸短」の「短」とは一体何なのでしょうね。
37.九十曰鴉訓 = 後期中世語の/ah@n/および現代語の/ahyn/.
38.百曰[酉+日/皿] = 後期中世語の/on/(百)。現代語では漢語の/baik/しか使わないが、語形の
よく似た言葉で/o:n/(全ての、全部の)というのが現代語にあります。中世語の
/on/とは関係がないかも知れませんが。。。
39.千曰千 = 漢字語らしいですね。しかし、後期中世語では/jymyn/という固有語も「千」の意味で
使われました。/jymyn/はアルタイ諸語の「万」という意味の言葉に似てると思いませんか?
40.萬曰萬 = また漢字語ですね。「万」の意味で使われた固有語の形跡は全く無いですね。
606 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 10:07 ID:hF4VrmdU
Jakeさん、おつかれさまです。こちらもただお願いするばっかりで、
申し訳ないですから、いずれ自分なりに少しまとめてみます。
>>603
方位をあらわす言葉は現代語に手がかりが少ないだけに難しいですよね。
奴とか那は「の」にあたる言葉としても、ほかは関連うすそうですねぇ。
藻那・・・思わずモナーとよんでしまいました。
モンゴル語では南を正面として、左と東、右と西が同じ言葉で表される
のですが、ツングース語ではどうだったかな・・調べてみます。
そういえば、琉球語の方位語は非常に面白いですよね。
北北東を「ニシ」、東南東を「アガリ」、南南西を「ハエ」、西北西を「イリ」
という。金沢庄三郎説では琉球の「ニシ」と和語の「にし」は同源で、
「イニシヘ」に自分たちの祖先が住む方角を指すとかなんとか。
>>604
ウェブサイトの写真からは、日曰妲ではなく[女亘]でした。
でも、「妲」の誤写である可能性は非常に高いと思います。
さらに突っ込むと、次の月の項目は「月曰契(黒隘反)」とあります。
つまり契は/*hai/というような発音を表していることになり、
日と月がどこかで入れ替わったとすれば、日曰契/*hai/、月曰妲/*dar/
となって、現代語と非常によく合致することになるのですが・・・
さすがに入れ替わるようなことはないと思います。
607 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 10:35 ID:hF4VrmdU
14.霧曰蒙 /me:ng hada/ぼうっとする などと同源でしょうか。
いずれにせよ、/a:n'gai/とは関連なさそうですね。
15.虹曰陸橋 これも面白い。高麗人のインフォーマントはわざわざ
漢語で言ってるとしか思えない。/mujigai/や/myjigei/とは縁もゆかりも
なさそうです。もちろん、高麗が漢語の影響を李朝時代以上に受けていた
証拠と見るべきなんでしょうけど・・・
16.鬼曰幾沁 孫穆先生が-in/-imを混同していたという可能性も
あるかもしれません。シナ語で-n/-mが合流していく過程の中で、
-in/-imはもっとも早く合流した部分であるからです。
宋の時代の資料の一部ではそれが見られたような気がします。
19.[人+西/大/山]人曰僊人 おっしゃるとおり、僊は仙と同音で、
仙人をあらわすものです。なんでわざわざ異体字が使われている
のかわかりませんが。
20.一曰河屯 これは有名ですよね。/h@don/として、日本語の
/φito/と結びつける説が昔からあったと思います。次の途孛 といい、
数詞も現代語と随分違いますよね。
22.三曰[手西] この字は(斯乃切)とあるので、次の「四曰迺」同様、
/-ai/に近い音だったのかもしれません。
24.五曰行戌 これは謎ですよね。「行」が「多」か何かの誤写である
と考えればすっきりするんですが・・
26.七曰一急 これも面白い。後で出てくる「歯曰[人尓]」で、歯がニ
と発音されていたらしいことがわかるのに、ニルゴプはイルゴプに
なっている。語頭の/ni-/から子音が脱落する現象は、地方ごとに、
単語ごとに段階的に起こったということになるのでしょうか。
27.八曰逸答 ここで「答」という/-p/韻尾の字が使われているのは、
語尾が/-rb/のような二重子音であったことの表れでしょうか。
私は以前から朝鮮語の6, 8は倍数法によるもので、/ye-/や10を意味
する/yer/が倍数を表す要素(語源は「開く」かもしれません)なのでは
ないかと思っていたのですが、「迺」と「答」では音が遠すぎるので、
ちょっと苦しいです。
608 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 10:46 ID:hF4VrmdU
33.五十曰舜 /sui/という綴りは、今でも通常/siui/と発音
されています。/suida(休む、たやすい)/など。
あまり関係ないのですが、中国朝鮮族の友人は耳を/giui/ギュイと
発音しています。黄海道方言につながる特徴だと思うのですが、
初めて聞いたときは感動しました。
35.七十曰逸短 仰るとおり語頭の/n-/は落ちているみたいですね。
数詞はよく使う語彙ですから、音便が進んでいるのでしょうか。
「短」は謎です。/r/の発音が現在と異なっており、/d/のように発音
されていたことを示すのでしょうか・・・
609 名前:
Jake_USA
:2003/11/06(木) 11:37 ID:3rGSv1D.
阿木林さん: 助けてくれてありがとうございます! 私は実は、今ものすごい
風邪(病魔?)と闘っています。ですからこの間あまり参加することができなかったのです。
早く治るようになるべく休んでいます。
ちなみに中世朝鮮語でも南は/arp/(前および南の意: 現代語の/ap/「前、先;将来」の古形)で、
北は/duih/(後ろおよび北の意: 現代語の/dui:/「後ろ;後(あと);支援;糞など」の古形)
でしたね。モンゴル語との類似は面白いですね。
610 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 11:56 ID:hF4VrmdU
そうでしたか・・無理させてしまって、すみません。
このボードで待っておりますので、早くなおしてくださいね。
風邪には少量の梅酒がいいかもしれませんよ。
南を前とする方位法はかなり普遍的なもので、ネイティブ・アメリカン
の言語にも存在すると記憶しております。
寒い地方であるほど、太陽の存在は重要であったのでしょう。
611 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 13:58 ID:hF4VrmdU
105.皮曰渇翅
106.毛曰毛
107.角曰角
108.龍曰珍
109.魚曰水脱
110.[敞/魚]曰[囗<元]
111.蟹曰慨
112.鰒曰必
113.螺曰蓋慨
114.蛇曰蛇
115.蝿曰蝿
116.[虫豈]曰螻蟻
117.蝨曰[示尸<工]
118.蚤曰批動
119.[虫幾]曰側根施
120.墓曰[虫乞]
121.人曰人
122.主曰主
123.客曰孫
124.命官曰員理
125.士曰進
126.吏曰主事
127.商曰行身
128.工匠曰把指
129.農曰宰把指
130.兵曰軍
131.僧曰福田
132.尼曰阿尼
133.遊子曰浮浪人
134.丐曰丐剥
135.倡曰水作
136.盗曰案児
137.倡人之子曰故作
138.楽工亦曰胡作
139.称我曰能
140.問爾汝誰何曰箇
141.祖曰漢子秘
142.父曰了秘
143.母曰了彌
612 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 19:03 ID:hF4VrmdU
144.伯叔皆曰了査秘
145.叔伯母皆曰了子彌
146.兄曰長官
147.嫂曰長官漢吟
148.姉曰[女奈]妹
149.弟曰了児
150.妹曰了慈
151.男子曰沙喃
152.女子曰漢吟
153.自称其夫曰沙会
154.妻亦曰漢吟
155.自称其妻曰細婢
156.男児曰了妲
157.女児曰宝姐
158.父呼其子曰了加
159.孫曰了
160.寸曰了姐
161.舅曰漢子秘
162.姑曰漢子彌
163.婦曰了寸
164.母之兄曰訓鬱
165.母之弟曰次鬱
166.姨[女今]亦曰了子彌
167.頭曰麻帝
168.髪曰麻帝核試
169.面曰捺翅
170.眉曰嫩歩
171.眼曰嫩
172.耳曰瑰
173.口曰邑
174.歯曰[人尓]
175.舌曰竭
176.面美曰捺翅朝勲
177.面醜曰捺翅没朝勲
613 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 19:22 ID:hF4VrmdU
178.心曰沁(音尋)
179.身曰門
180.胸曰軻
181.背曰腿馬末
182.腹曰擺
183.手曰遜
184.足曰撥
185.肥曰骨塩真
186.痩曰安里塩骨真
187.洗手曰遜時蛇
188.凡洗濯皆曰時蛇
189.白米曰漢菩薩
190.粟曰田菩薩
191.麦曰秘
192.豆曰火
193.穀曰田麻帝骨
194.酒曰酥孛
195.醋曰生根
196.醤曰秘祖
197.塩曰酥甘
198.油曰畿(入声)
199.魚肉皆曰姑記
200.飯曰朴挙
201.餅曰模做
202.茶曰茶
203.湯曰湯水
204.飲酒曰酥孛麻蛇
205.凡飲皆曰麻蛇
206.暖酒曰蘇孛打里
207.凡按排皆曰打里
208.勧客飲尽食曰打馬此
209.酔曰蘇孛速
210.不善飲曰本道安里麻蛇
211.熱水曰泥根没
212.冷水曰時根没
213.飽曰擺[口自]
214.飢曰擺[口自]安里
215.金曰[舟+β]論議
216.珠曰区戌
614 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 19:23 ID:1pufV.qc
今日はみなさんいらっしゃらないですね。
本当は小さい字で注が入っている部分もかなり重要なのですが、
読みにくい部分などがあるので、割愛しています。
615 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 20:12 ID:AgbqIlf6
217.銀曰漢歳
218.銅曰銅
219.鉄曰歳
220.糸曰糸
221.麻曰麻
222.羅曰速
223.錦曰錦
224.綾曰菩薩
225.絹曰及
226.布曰背
227.苧曰毛施
228.苧布曰毛施背
229.[巾+僕-人]頭曰[巾+僕-人]頭
230.帽子曰帽
231.頭巾曰上倦
232.袍曰袍
233.帯曰腰帯
234.褐p衫曰珂門
235.被曰尼不
236.袴曰珂背
237.[衣昆]曰安海珂背
238.裙曰裙
239.鞋曰盛
240.襪曰背成
241.女子蓋頭曰子母蓋
242.斜曰板捺
243.夾袋曰男子木蓋
244.女子勒帛曰実帯
245.緜曰実
246.繍曰繍
247.白曰漢
248.黄曰那論
249.青曰青
250.紫曰質背
251.黒曰黒
252.赤曰赤
253.紅曰真紅
254.緋曰緋
255.染曰没涕里
256.秤曰雌孛
257.尺曰作
258.升曰刀
259.斗曰抹
616 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 20:12 ID:AgbqIlf6
260.印曰印
261.車曰車
262.船曰擺
263.席曰[草/登](音席)
264.薦曰質薦
265.倚子曰馳馬
266.卓子曰食床
267.牀曰牀
268.燭曰火炬
269.簾曰箔
270.燈曰活黄
271.下簾曰箔恥具[口+羅]
272.匱曰枯孛
273.傘曰聚笠
274.扇曰孛采
275.笠曰蓋
617 名前:
阿木林
:2003/11/06(木) 20:13 ID:AgbqIlf6
我ながらなかなかの入力スピードですなw
では、そろそろ帰ります。
618 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/06(木) 21:13 ID:FNwxR4qY
>おおる
明日から10日夜まで、旅行中につき私はネットにアクセス出来ません。
今も実は旅の空なのですが、何とかネットにつなげる環境にありますので
こうして書き込みが出来ております。最近は当スレも中々に賑わっていて、
不在の間に話題に取り残されてしまいそうな勢いですが、どうぞお気に
なさらず皆さんで盛り上がって下さいね(^_^)。ではでは♪
>Jake_USA さん
若いからと言って無茶をしてはいけませんぞ。日本では「風邪は万病の元」
という諺があります。養生なされませ。お暇な時には当スレの過去ログや、
私のホームページにリンクしてあるログなどをご覧頂くと、いい暇つぶしに
なるかも知れません。
619 名前:
tenpura ◆UMAIu01k
:2003/11/06(木) 22:09 ID:5CzwA73A
ブログ。作者は紀貫之。
ttp://www.kotonoha.or.tv/history/tosa/
620 名前:
阿木林
:2003/11/07(金) 12:40 ID:t8arwgAY
276.梳曰[竹/必](音必)
277.篦曰頻希
278.歯刷曰養枝
279.合曰合子
280.盤曰盤
281.瓶曰瓶
282.銀瓶曰蘇乳
283.酒注曰瓶碗
284.盞盤曰台盞
285.釜曰吃(枯吃反)
286.盆曰鴉救耶
287.鬲曰[穴/卒]
288.碗曰已題
289.楪曰楪至
290.盂曰大耶
291.匙曰戍
292.茶匙曰茶戍
293.箸曰折(之吉?反)
294.沙羅曰戍羅(亦曰敖?耶)
295.硯曰皮盧
296.筆曰皮盧
297.紙曰捶
298.墨曰墅
299.刀子曰割
300.剪刀曰割子蓋
621 名前:
阿木林
:2003/11/07(金) 12:40 ID:t8arwgAY
301.骰子曰節
302.鞭曰鞭
303.鞍曰未鞍
304.轡曰轡頭
305.鼓曰濮
306.[示其]曰[示其]
307.弓曰活
308.箭曰薩(亦曰矢)
309.剣曰長刀
310.大刀曰訓刀
311.斧曰烏子蓋
312.炭曰蘇戍
313.柴曰孛南木
314.香曰寸
315.索曰鄒(又曰朴)
316.索縛曰[舟+β]木香
317.射曰活孛
318.読書曰赴鋪
319.写字曰核薩
320.画曰乞林
321.榜曰柏子
322.寝曰作之
323.興曰[人尓]之
324.坐曰阿則家
325.立曰[口羅]
326.臥曰吃寝
327.行曰欺臨
328.走曰早行打
329.来曰烏[口羅]
330.去曰匿家入[口羅]
331.笑曰胡臨
332.哭曰胡住
333.客至曰孫烏[口羅]
334.有客曰孫集移室
335.延客入曰屋裏坐少時
336.語話曰替黒受勢
337.繋考曰室打里
338.決罪曰滅知衣底
339.借物皆曰皮離受勢
340.問此何物曰設審
622 名前:
阿木林
:2003/11/07(金) 12:42 ID:t8arwgAY
とりあえず、全部入力しました。方針を変えて、注の部分もなるべく
入れるようにしました。
あと、当たり前ですが旧字体にはこだわっていません。
見ればわかると思うので。
341.乞物曰念受勢
342.問物多少曰密翅易成
343.凡呼取物皆曰[口羅]
344.相別曰羅戯少時
345.凡事之畢皆曰得
346.労問曰雅蓋
347.生曰生
348.死曰死
349.老曰刀斤
350.少曰亞退
351.存曰薩[口羅]
352.亡曰朱幾
353.有曰移実
354.無曰不鳥実
355.大曰黒根
356.小曰胡根
357.多曰釁何支
358.少曰阿捺
359.高曰那奔
360.低曰捺則
361.深曰及欣
362.浅曰泥底
623 名前:
阿木林
:2003/11/07(金) 17:03 ID:t8arwgAY
あれ?かちゅーしゃの調子が悪いかな?次は注のコンプリートを目指します。
624 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 07:28 ID:MhX7BVM.
かちゅーしゃって、私のこと(加註者)をいうんですか? 遅れてしまって
すみません。私は今カムギで立つだけでも精一杯の状態です。。。でもなるべく
早くやってみます。もう少し待っててくださいね。私は今週授業に行けなかった分の
宿題などもありますから、今週末忙しくなりそうですけどね。ん〜 今2時間だけ
暇があるからとりあえずやってみましょうか。それじゃ〜〜!!
41.旦曰阿摻 = 後期中世語/ac@m/乃至/acym/、のち現代語の/acim/となります。
「朝; 朝食」などの意。中世語にはこの語の他に/ajiek/という
言葉がありましたが、どちらも元は同じ語根に遡るのかも知れません。
「鶏林類事」の音写は*/ac@m/あるいは*/acam/の様な音声を表したのでしょう。
前期中世語から現代までずっと語形があまり変わらなかった様ですね。
日本語にも似た様な言葉は幾つかありますが、紛らわしいからそれについては
また今度。。。ちなみにこの語に見える(と思われる?)派生法は、季節や
時期を表す語によく現れると思います。例えば/bom/(春)、
/nierym/, /nier@m/(夏)など。私はこれらの語が元々動詞から派生した名詞
なのではないかと仮定しています。
42.午曰捻宰 = 現代語の/naj/(昼、昼間;正午)と同源の単語を音写したものだと
思ったりしますが、この音写に従えば*/nemj@i/, */niemj@i/の様な
発音だったということになります。。。何だか納得がいきませんね。
しかし、「鶏林類事」の編者が/m/終声の字音を必ずしも/n/終声のもの
と区別してはいなかった様ですから、*/nenj@i/や*/nienj@i/の様な
音声を表すつもりで「捻宰」と書いたのかも知れません。けっこう謎の
多い一例ですね。
43.暮曰占捺 =「ハングル時代」の書物には現れない単語の一例ですね。私はこの語は
きっと、後期中世語の/jiemkyr(-ta)/, /jiemyr(-ta)/と現代語の/jemur(-ta)/
(暮れる)と関係があると思っています。この「語群」には他に現代語の
/jenieg/(夕方)があります。「占捺」の「捺」は「太陽」の意味の/nar/か?
日本語に同源の語を求めるとしたら「よ(夜)」、「よる(夜)」、「やみ(闇)」、
「よひ(宵)」、「ゆふ(夕)」の辺りでしょう。
44.前曰訖載 = 現代語の/ejei/(昨日)か? でも音写が複雑で。。。
この語はあまりにも使用頻度が高いから早くも語形が
崩れたと見るべきでしょうか。
45.昨日曰訖載 =前項44に同じ
46.今日曰烏捺 =後期中世語/on@r/、現代語/onyr/(今日)。語源については私は
/o(-ta)/(来る)の語幹或いはその活用形である(かも知れない)*/or-/と、
日を意味する/nar/との複合語を仮定します。現代語/or-hai/(今年)参照。
*/or-/がもし本当に/o(-ta)/(来る)と同源だとしたら、/o(-ta)/の原義が
違っていたのかも知れない。。。もしかして上代日本語の「う」、その後の日本語の
「ゐる(居る)」と関係があるのか? 或いは日本語の「をり」とも?(しかし
「をり」は恐らく「ゐる」の語根と「あり(有り)」とが合わさって出来た語だと
思っています。)
47.明日曰轄載 =後期中世語にも現代語にもありません。「前;昨日」を意味する「訖載」との
類似が面白いです。しかし、語源説はまだ唱えられません。
48.後日曰毋魯 =現代語の/mo:rei/(あさって)と同源でしょう。でも前期中世語の頃では
語末の母音が違っていた様ですね。語源については、/me:r(-ta)/(遠い)と
関係があるのでしょう。
625 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 07:31 ID:MhX7BVM.
49.約明日至曰轄載鳥受勢 =「明日」を意味する語は相変わらず謎ですが、「鳥受勢」は
「来てくださいませ」という意味の後期中世語/o-siosie/と(今は古臭いけど)
現代語/o-sose/と同源の語句を音写したのでしょう。
50.凡約日至皆曰受勢 = 編者が勘違いをしていたのでしょうか?「受勢」は恐らく
後期中世語の丁寧な命令形を作る語尾、/-siosie/に相当するものでしょう。
51.明年曰明年 = 漢語なので説明は要らないでしょう。
52.春夏秋冬同 = 後期中世語および現代語では普通、固有語である/bom/, /nierym/, /g@z@r(h)/,
/giezyr/を使います。編者はよっぽど漢語に敏感だったのでしょう。
53.上曰頂 = こんな変な漢語を高麗の人々は本当に使っていたのでしょうか?
54.下曰底 = 同上。。。
55.東西南北同 = これは納得がいきます。現在でも朝鮮民族は普通、漢語を以て
方角を表します。
56.土曰轄希 = 後期中世語/h@rg/および現代語/harg/。この単語の語末に「希」の
字音が示唆する様な母音が本当にあったかどうか疑問のところです。
漢字で朝鮮語の/rg/終声をこれ以上上手く音写することが出来なかったのでしょう。
57.田曰田 = 本当か。。。? 現代語では/non/といいます。
58.火曰孛 = 後期中世語の/byr/および現代語の/bur/です。日本語の「ひ・ほ」(火)と
一見関係がありそうですが、日本語ではこの語の*/r/がどこへ行っちゃったの?
59.山曰毎 = 後期中世語の/moih/および現代語の/mei/です。現代語ではこの語は普通、複合語の
要素とする以外使われません。漢語の/san/の方が単語として使われます。
626 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 07:41 ID:MhX7BVM.
あっ、プチ訂正です(汗 後期中世語と現代語との間にある規則的な母音変化の
パターンに釣られて、ついつい中世語の/h@rg/(土)の子孫が現代語の*/harg/であると
言ってしまいました。実は、この語は特別として、現代語では/hyrg/となっています。
即ち、上56項は以下の様に訂正致します:
56.土曰轄希 = 後期中世語/h@rg/および現代語/hyrg/。この単語の語末に「希」の
字音が示唆する様な母音が本当にあったかどうか疑問のところです。
漢字で朝鮮語の/rg/終声をこれ以上上手く音写することが出来なかったのでしょう。
627 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 08:03 ID:MhX7BVM.
よく考えてみたら、後期中世語の/h@/が現代語の/hy/に対応する例は決して少なくありません。。。
/h@rg/
> /hyrg/のほかに、/h@j(-ta)/ > /hyi(-ta)/(白い)というのがありますね。この事実は
中世語の声調(トーン)の違いに因るのでしょうか? 該当する語の中世語に於ける声調がどうであったのか
私はよく覚えていませんが、お助けを願えますか? 或いは/h@/という子音母音連続には元から二種類が
存在したとか。。。そんな仮定はむちゃ過ぎるのかな。中世語のハングル資料では同じ/h@/というハングルで
書き表していたのですから。でも面白いところは、/h@j(-ta)/
> /hyi(-ta)/が日本語の「しろ(い)」
(白い)に相当して、/h@rg/
> /hyrg/がモンゴル祖語の*/siroga/と再構される単語に相当するのですね。
628 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 11:25 ID:znf4ceC.
>>624
はは。かちゅーしゃとは私が使っているブラウザの名前です。
掲示板表示と書き込みに特化した性能を持っているので、
日本では「2ちゃんねる」を中心に、一部でかなり普及しております。
注釈、お疲れ様でした。僕がもっとやりたいのですがなかなか時間が・・
41.旦曰阿[手参] に対応する日本語は「あさ」や「あした」ですね。
一連の時間を表す語彙に/-m/で終わる語彙が多いのですが、
/bam/なども動詞起源かもしれませんね。
42.午曰捻宰 この時代には語末の/-j/が現代よりもはっきり
発音されていたことを表すのかもしれませんし、/-i/のような
接辞がついた形かもしれません。
近い発音の/nac/(顔)は「捺翅」と記されています。
43.暮曰占捺 この注には(或言占没)とあります。
それぞれ、/jemun nar/, /jemur/のような形だったのかも。
44.45では「おととい(オジョッケ)」「きのう(オジェ)」が同じ言葉で
あらわされていますね。古くは同じ言葉であらわしていたのかも。
629 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 11:52 ID:znf4ceC.
47.明日曰轄載 現代語では「来日」「明日」という漢語のほかに
該当する言葉があるのでしょうか。「轄」は56.土曰轄希 の音を
あらわすのにも使われていますから、/*h@rjei/のような発音で
あったことはまちがいないのですが・・・
チェジュ方言でも母音がつづまって/nair/ですし。
50.凡約日至皆曰受勢 そうですね。編者の勘違いであろうと
思います。面白いのは、そのあとで336.語話曰替黒受勢や、
339.借物皆曰皮離受勢、341.乞物曰念受勢などでも出てくる。
50.は恐らく「烏受勢」と書いたものから「烏」が脱落したものです。
52.春夏秋冬同 このあたり、固有語がなかったとは思えないので、
「訓読」の類ではないかとにらんでいます。だとするとかなり高麗語の
再構は困難になってしまうのですが。。。
この資料じたいが、当時高麗で通用していたと思われる吏読の類を
シナ人が読み下すために作られたものであるのかもしれません。
>>627
おっしゃるとおり、中世語の/@/は、現代標準語では語頭では
/a/、第二音節以降では/y/に規則的に変化しますよね。
/hyita/(白い)の古形は/h@ita/ですが、現代語では/ha'ian/(真っ白い)
などという変化形もありますね。両方とも/h/という子音のあとですから、
/h/のあとでは/y/に変化する規則があったのかも。
このケリムユサの資料は、声調までも考慮して漢字音をあてているかも
知れません。(去声)(平声)などという注が入ることがその証拠でしょうし、
「手」と「客」の表記分けなどは、声調を示唆している可能性がある。
630 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 11:54 ID:znf4ceC.
ちょっと補足。
/h@rg/も/h@ida/も両方/h/の後だったから、/y/に変化したのでは
ないか、という意味です。ついでに転写も間違えてた・・・
アイゴー、ムシッカンノマー
631 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 14:37 ID:MhX7BVM.
60.石曰突 = 後期中世語の/dorh/(上昇調)および現代語の/do:r/(石)。
恐らく*/dor/の様な語幹に*/-agi/の様な接尾辞(もと指小辞か?)が
付加されたことに因る語形。
61.水曰没 = 後期中世語の/myr/および現代語の/mur/(水)。古そうな単語です。
62.海曰海 = 漢語ですね。後期中世語では主に/bar@r/という語形が使われて、現代語では
/bada/が使われます。高麗人が漢語の「海」を実際の日常会話で使っていたと
いうなんて疑わざるを得ません。固有語の/bar@r/乃至/bada/については、女真語の
*/meterin/(漢字表記「[月永]忒厄林」)、満州語の/mederi/、上代日本語の
「わた」などと同源の様子です。元々日本語の動詞「わたる(渡る)」と何らかの
関係があるのではないでしょうか? 女真語、満州語の語形は特に動詞からの派生語の
様に私の目には見えますが。。。ツングース語派に詳しい方、解説をお願いします。
63.江曰江 = 現在もなお漢語の「江」(朝鮮漢字音では/ga[ng]/)が使われています。が、後期中世語には
/g@r@m/(大河ないし湖)、/naih/(現代語では死語っぽいですが/na:i/といいます)などといって
河川を大小に細かく分けて呼んでいました。
64.渓曰渓 = 現代語では/si:nai/、/gaiur/などと呼びます。/si:nai/は新羅語の*/sir/(谷)或いは現代語の
/si:r/(糸の意、しかし「細い、小さい」という意味で接頭語的にもしばしば使います)が
/naih/(川)にくっ付いて出来た複合語である様ですね。
65.谷曰丁蓋 =この語については以前、534項の辺りから長い討論が繰り広げられました。もしかすると日本語の
「たに」と同源の要素に朝鮮語の/kai/(浦、川の支流など語義多々)が
くっ付いて出来た語かも知れません。
66.泉曰泉 = 漢語です。後期中世語では泉のことを/s@im/、現代語では/sa:im/といいます。
いずれ「漏れる」などの意味を表す/s@i(-ta)/(現代語/sa:i(-ta)/)からの
派生名詞です。
67.井曰烏没 = 後期中世語/umyr/、現代語/umur/に当たります。もともと複合語だったと
思われます。後期中世語/myr/(水)参照。
68.草曰戌 = 何ですか、これは? 全く謎です。後期中世語では「草」を/pyr/といい、
現代語では/pur/といいます。
69.花曰骨 = 後期中世語の/goj/(単独ないし子音で始まる助詞の前では/gos/)、そして
現代語の/ggoc/に当たります。何故に/n@c/(顔)を「捺翅」と音写したのと
同じ様に、二字を使って*/goj/を音写しようとしなかったのでしょうか?
この「花曰骨」という音写がちょっと引っかかりますね。ともかく、この朝鮮語の
/goj/などは日本語の「くさ(草)」の対応例としてしばしば指摘されてきました。
70.木曰南記 =後期中世語では単独で、あるいは母音で始まる助詞の前で使われる時には/namo/,
子音で始まる助詞の前で使われる時には /namg-/と現れた単語です。「鶏林類事」の
編者は恐らく主格形の/namg-i/を音写したのでしょう。/namgi/の様な語形は実は
現在の方言でも使われている所もありますが、韓国の現代標準語では/namu/となって
います。この語は「木」の意味の中でも、特に「薪」のニュアンスが強く現れます。
日本語の「き」と同様、「木材」の意味もあります。「植物、草木」全般を指すことも
可能です。決して英語の「tree」の意味に限ることは出来ませんね。
632 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 14:38 ID:MhX7BVM.
71.竹曰帯 = 後期中世語から現代語までずっと/dai/です。日本語の「たけ」と関係があるの
でしょうか?
72.果曰果 = 漢語です。現代語では普通、/gwa:sir/(果実)といいます。後期中世語には
/ierym/(果実)という単語も存在しましたが、現代語では死語となっており、
「果実」という漢語の他に/iermai/という固有語がよく使われます。固有語は
いずれも動詞の/ie:r(-ta)/(実る)と同源の様子です。
73.栗曰監 = この語には確か、註が施してありましたね。この音写はともあれ、「栗」のことを
後期中世語および現代語では/ba:m/と呼びます。ちなみにハシバミ(榛)のことを
後期中世語では/gai'om/、現代語では/gaiam/と呼ぶんですが、これも/ba:m/を
第二の要素として含んでいるのではないかと仮定しております。日本語の「はしばみ」も
考慮に入れた方が良いかも知れません。
74.桃曰枝棘 = 全く謎です。現代語では桃のことを/bogsu[ng]a/または/bogsa/と呼びます。
75.松曰鮓子南 = 現代語では/sor/または/so-namu/といいます。前期中世語の頃では
松を意味する単語の語形がかなり異なっていた様ですね。
76.胡桃曰渇未 = 現代語では「胡桃」の訛りである/hodu/を使います。胡桃の近縁種で
「楸」という木が朝鮮に自生するんですが、その木の結ぶ実は人間には食べられません。
「楸」の朝鮮語名は後期中世語では/g@rai/,現代語では/garai/です。この
「胡桃曰渇未」をとって見れば、日本語の「くるみ」を借用していた様にすら
見えますね。
77.柿曰坎 = 現代語の/ga:m/に当たります。日本語の「かき」の第一音節と関係があるのでしょうか。。。
78.梨曰販 = 後期中世語の/b@i/および現代語の/bai/に当たります。この語は「腹」、「船」を
意味する朝鮮語の単語と語形が同一であることで有名です。しかし「梨曰販」では、
この語を音写するために/n/で終わるはずの「販」字が使われており、気になる
ところです。
79.林禽曰悶子計 = 現代語ではリンゴを呼ぶ名前は漢語ばかりです。
すなわち/sagwa/(沙果・砂果)と/pie[ng]gwa/(苹果)です。
しかし前期中世語には「悶子計」を以て音写される様な単語も存在したんですね。
リンゴはもともと中央アジア原産の様ですし、朝鮮にも近縁種の/ny[ng]gym-namu/が
自生するみたいだからリンゴみたいな木を呼ぶ固有語があったとしても
おかしくはないでしょう。
633 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 14:51 ID:MhX7BVM.
629の阿木林さん:
「明日曰轄載」について、現代語には/gyjeggei/または/gyjei/という単語がありますが、
これらの単語は「明日」じゃなくてむしろ「おととい」の意味を表します。しかも語頭音が
/g/なのにその直後の母音は規則的に/a/とはなっておらず、/y/となっています。/h@rg/
>
/hyrg/, /h@i(-ta)/
> /hyi(-ta)/などの問題を思い出しますね。その他に「轄載」が
音写しているかも知れない朝鮮語が全く思い浮かびません。。。
634 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 15:17 ID:znf4ceC.
あ、おとといはオジョッケじゃなくてクジョッケでしたね・・・失礼ハムニダ。
44.前(日)曰訖載 と、45.昨日曰訖載 はむしろ、クジェを音写している
ように見えます。
「載」チェという言葉自体が、「時」をあらわす接辞かなにかだったのだと
思います。それによって明日を意味する言葉がかつては存在したのだと。
そもそも、現代語には漢語に由来する語彙しかないこと自体が、
不自然なのですから。
しかし植物名にも詳しいですね。うらやましい。
あとでもうすこしまとめてレスします。
73.栗曰監 の註は、([咸鹵?]檻切)です。[咸鹵?]の部分は、
よく読めませんでしたが、多分こういう字が書いてあるのだと思います。
74.桃曰枝棘 は、/jadu/(すもも)など、他の植物名かもしれません。
78.梨曰販 は、江南方言を思わせます。上海などでは「販」は/pε/
と発音されていますから。
林檎にあたる言葉は、たしかチェジュド方言に興味深いものがあった
と思いますが、今はわかりません。
635 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 15:33 ID:znf4ceC.
満洲語については、まったくといっていいほど詳しくないのですが、
オロチェーン語での「越える」という言葉は/eder/という言葉ですから、
満洲語の/mederi/と関係あってもおかしくありません。
ちなみにオロチェーン語で「海」はモンゴルからの借用で/dalaj/です。
そのうち満洲語の語彙集を作ってウェブにアップしてみたいです。
草にあたる語彙も謎ですが、/susu/(きび)などと関係があるかも
知れません。戊の誤記であれば、/pur/との関連付けもできるかも
知れませんが。
636 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 16:56 ID:znf4ceC.
79.林禽曰悶子計
/nyng'gym/ヌングムは、漢語の「林檎」に由来するものです。
「リンゴ」も漢語ですし、10世紀頃の日本語では「リウコウ」だったそうですが。
中央アジア系の小粒の品種で、日本でも江戸時代までは林檎といえば
これだったのですが、明治以降は瞬く間に地中海原産の西洋種にとって
変わられ、現在ではヒメリンゴなどの品種が細々と栽培されています。
中国で「海棠」と呼ばれている果物もこの系統です。
余談ですがロシアのリンゴは気候が寒すぎて西洋種が根付かず、
いまでもこのアジア種が一般的だそうです。
発音が近い類似の植物では/mu:nbai/(ヤマナシ)というのもあります。
これの古い形で、ムンジャゲないしムナゲという形があったのかも。
637 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 18:04 ID:znf4ceC.
>>634
補足。僕の書き込みばかりになってしまいすみません。
チェジュド方言では、オンジェ(いつ)はオヌジェと発音されます。
これは古い形を示していると思われるので、チェには時間を表す
意味があることは間違いないといえます。
ところで/namg(i)/と日本語の/ki/は関係があるといえるのでしょうか。
日本語の/ki/は、なんとなくオーストロネシア系の/kahoj/などと
関係があると思っていたのですが、中期朝鮮語に同系の語彙が
あるならばわざわざアタヤル語やタガログ語を持ち出したりしなくても
よくなりますね。
638 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 19:04 ID:znf4ceC.
おぉ!素晴らしい!
釜山マルだけじゃなくてチェジュマルも分かるんですね。
ハングルで書いてある資料を丸写ししただけなので、微妙な発音
がモルンダンケ〜(これは全羅サトゥリかw)
一番困るのはチェジュ独特の「アレア」の発音が表記されていない
ところなんですが・・・あと、△/z/の発音もあるんでしたっけ。
あと、島の南(たしかアプという)と北(トゥイ)でも、かなり言葉
が違うらしいので、おかしなところは方言の差異かもしれないです。
地名なんかも、面白いですよね。ソギポとかの「ポ」は、地元では
「ケ」というらしいです。「浦」を表す古語だとか。
639 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 19:04 ID:znf4ceC.
あ、638は誤爆ですw
外国語スレの慶尚サトゥリスレに書き込もうとしてたのですが・・
640 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 19:23 ID:MhX7BVM.
>>637
そうですね。/enjei/(いつ)は古くは/enyjei/で、その語源は/eny jek-ei/(どの時に)
或いは/eny jek-i/(どの時が)が訛ったのでしょう。他の時間に関する語に現れる"jei"も
恐らく同源(/jek-ei/「時に」或いは/jek-i/「時が」の訛り)だと仮定しています。
朝鮮語の方言に現れる/namgi/の"gi"を析出して日本語の「き」「け」(木)と比較すると
いうのはちょっと引っかかりますね。そもそも朝鮮語の「木」をいう語の祖形は*/namog/
或いは*/namog(V)/( (V)は何らかの母音)の段階までしか再構できません。その祖形の*"namo"と
いう部分が単独で何らかの意味を成していたかどうか分からないから、*/namog/の語末の
部分と日本語の「き」を比べるのはまだ早い様に感じます。私はアタヤル語おやタガログ語などの
単語を持ち出さなくても良いというのには賛成ですが。。。(笑 私がそう思うには言語学的な
理由の他に人類学的な理由などもあります(それはいけませんね。。。えへへ)が、第一日本語の
文法や語彙がタガログ語の辺りの言語とほとんど似ていないのが重要です。フィリピンの言語を
少し勉強した人には分かると思いますが、あの辺の言語はinfix(語幹を二分に分けて活用形を
作る形態素をその間に入れて置く形式)を多用します。日本語の様な北アジアの言語とは全く別物です。
正直言って、オーストロネシア語族はコワイと思います。。。 でもああいう変な言語を話せるように
なったら嬉しいかも知れませんね。(^−^)
641 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 19:35 ID:MhX7BVM.
ちなみに/namgi/の語末の/i/は恐らく中世朝鮮語の「木」をいう語の曲用形の
一つ、主格形の/namg-i/(語幹*/namog/ + 主格助詞/-i/、のち*/namog-i/の
第二音節の/o/母音が脱落)に由来すると思われているから、方言形の/namgi/の
/i/はもしかすると主格助詞のほかならないかも知れません。だとすると、*"gi"を
析出して日本語と比較するのはちょっと無理がありますね。今の研究の段階では。
642 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 19:43 ID:MhX7BVM.
>>640
ああ、ローマ字転写を間違えました。。。 /eny jek-ei/などではなくて、
/eny jeg-ei/の様になるべきところです。すみませんでした。
643 名前:
Jake_USA
:2003/11/10(月) 20:14 ID:MhX7BVM.
北アジアの言語(主として「アルタイ語群」と呼ばれる言語たち)以外の言語に日本語の
語根と関係があるかも知れない言葉を見つけようとするのなら、むしろ西方(ウラル語族、
インド・ヨーロッパ語族)を参考すべきだと思いますよ。私はウラル語族については知識を
欠いておりますが、文法的にはアルタイ語群と非常に似ている点があるそうですね。でも
かつてウラル・アルタイ語族と呼ばれていたほどですから、それは有名な話だと思います。
それほどよく知られていないのは、アルタイ語群の幾つかの言語を比較して再構した語根と、
インド・ヨーロッパ語族の再構された祖語の語根とがかなり似ているという事です。私は
インド・ヨーロッパ語族についてはけっこう知識をもっておりますが、日本語と似ている
語根が多々あると感じますね。ただウラル語族の言語を勉強することが出来たらなあ。。。
ちなみにシナ・チベット語族も更に遠縁ではあろうが、北ユーラシアの言語と何らかの関係が
あると思います。大昔、北ユーラシアの語族を生んだ大祖語がシナ・チベット語族の祖語と
交流できる場所で話されていた、と仮定するのでしょうか。まあ、これはいずれにしてもすごく
遠い昔の話で、不確実な事が多くてその上で仮定をするのは大変ですが。。。今後の研究に
私自身も貢献したいと思っております。
644 名前:
阿木林
:2003/11/10(月) 20:45 ID:ibTOfNyU
おぉ!ノストラティック大語族の再構築ですね。
ウラル語群とモンゴル語あたりを比較すると面白いと思いますよ。
ツングースとチュルクは共通する要素が少なくないのに、
モンゴルはどうも異質な感じがするんです。
数詞を比較しても、ウラル系に近い。
学習するならフィン・ウゴル系の方がずっと学習しやすいんですけどね。
僕は台湾のオーストロネシア語をそれなりに「かじって」いますが、
もともとはシナ・チベット語のほうです。
この分野での「熱門」はタイ諸語とオーストロネシア諸語が同源である
としてアウストリック語族を仮設することですが、ビルマ語と朝鮮語
の比較も、非常に面白い。チベット・ビルマ系とアルタイ語群の関係を
さぐることは、非常に面白いテーマだと思っています。
チベット・ビルマ系の祖先たちは華北に住んでおり、おそらくは北方の
諸民族と言語的に交流があったはずです。
漢民族が南方系の言語と同化してゆく過程で、断絶が生まれた
のではないかと思っております。
645 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 07:57 ID:c.iY4mZ6
80.漆曰黄漆 = どうして「黄色い漆」なのでしょうか? まあ、ともかく漢語の様ですね。
後期中世朝鮮語では漆のことを/os/といい、現代語では/oc/といいます。
日本語の「うるし」と何らかの関係があるのでしょうか?
81.菱曰質姑 = これは他には見つからない単語ですね。現代朝鮮語ではヒシのことを
/marym/といいます。
82.雄曰鶻試 = これも初めて見る単語ですね。後期中世語では雄のことを/suh/といい、
この/suh/は数多くの複合語に今も残っています。しかし単独では
現代語は/su/といいます(これはもはや死語化しつつありますけれども)。
83.雌曰暗 = 後期中世語の/amh/および現代語の/am/に当たります。現代語でも/su/と
同様、複合語の語頭で使われる場合には中世語の語末の/h/の名残を
呈してくれます。
84.鶏曰啄 = 後期中世語の/t@rg/および現代語の/targ/. 現代語では単独で使われる場合には
[tak]という風に発音され、主格助詞の/-i/が付くと本来の発音のままで現れます
(すなわち[talg-i])。日本語の「とり(鳥、鶏)」と関係がありそうですね。
85.鷺曰漢賽 = /han-sai/(大き鳥?)という言葉は後期中世語ではコウノトリの名前となっていましたが、
この「漢賽」はむしろ*/h@i-n-sai/(白き鳥)が語源でしょう。白鷺をいう後期中世語には
/ha'iarobi/, /h@i'orabi/があって、現代語には/hai'ori/, /hai'oragi/というのが
あります。いずれも「白い」という意味の形容詞の語幹(/h@i/ないし/hai/)を含んでいる
様に見えますね。しかし、近代語へ移る過程で「カモ」の意味の/o:ri/と無理やり
結び付けられた形跡もありますね。
86.鳩曰于雄 = 何でしょうか、これは。。。「鳩」と「鴿」の違いは何ですか? ハトの野生種と
家畜化された(した?)ハトを漢語では呼び分けていたのかしら? ともかく「于雄」に
相当する単語は後期中世語にも現代語にも現れませんね。
87.雉曰雉賽 = 漢語の「雉」と朝鮮語の/sa:i/(スズメ、概して鳥)とから成る複合語ですね。キジは
もともと中国から入って来たのかな?
88.鴿曰弼陀里 = 後期中世語の/biduri/, /bidurogi/および現代語の/bidurgi/に当たりますね。
日本語の「ハト」と関係がありそうです。
89.鵲曰則寄 = 後期中世語ではカササギのことを/gaci/といい、現代語では/gga:ci/といいます。
しかし「則寄」はどうも漢語の「鵲」と同源っぽいですね。これは日本にはほとんど
居ないけど居て欲しい鳥の一つですね!! むっちゃ可愛いカササギちゃんです。
でもウルサイと思う人もいるでしょうね。。。ちなみに朝鮮語の/gaci/は多分
日本語のカササギの異名、カチガラスの語源でしょう。そもそもカササギちゃんの
鳴き声を真似た擬声語ともいえますけど。
90.鶴曰鶴 = ホワックか。。。あまりツルに相応しくない名前ですねえ、下品で。現代語ではこんな気持ち悪い
漢語じゃなくて/durumi/という言葉を使っています。この単語は日本語の「ツル」と似すぎていて
怪しいです。
91.鴉曰打馬鬼 = 後期中世語では/gamagoi/のち/gamagui/、現代語では/ggamagui/といいますが、
この音写ではなぜか語頭音が*/d/となっています。誤写なのでしょうか。「カラス」の
名前は「黒い」という意味の形容詞に影響されやすいのだから、もともと*/damagoi/で、
これが後に朝鮮語の/ge:m(-ta)/, /gga:m-a-h(-ta)/(黒い)などという語に影響されて
/gamagoi/になったのかも知れませんが。。。
92.隼曰笑利彖畿 = こんな単語はもう存在しませんね。しかし、「笑利」の部分は恐らく現代語の/suri/
(ワシ)と同源でしょう。「彖畿」はもっと難しいんですが、もしかすると現代語の
/doro[ng]tai/(ハイタカを含む猛禽の一連)の"tai"の部分と同源なのではない
でしょうか? もっと遠くは日本語の「タカ」とも同源かも知れませんね。
646 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 09:31 ID:c.iY4mZ6
93.禽皆曰雀訳 = 「鳥」をいう朝鮮語が朝鮮語の「雀」をいう語と同じである、という意味ですね。
94.雀曰賽 = 現代語の/sa:i/(スズメ、または鳥類全般を指す語)。
95.虎曰監 = 後期中世語および現代語の/be:m/(虎・豹の類)。後期中世語では、この語が
複合語の第二要素として使われる場合には時々/Wem/に変わりました。虎をいう語には
この語のほかに/ho:ra[ng]i/というのがありますが、これは恐らく漢語に基づく単語です。
96.牛曰焼 = 後期中世語の/sio/および現代語の/so/に当たります。この語には確かに声調についての
註が施してありましたよね?
97.羊曰羊 = 漢語なので除外。。。ちなみに今でも/ia[ng]/(羊)といいます。
98.猪曰突 = 後期中世語の/dot/(ブタ)に当たります。現代語ではこの語の
もと指小辞/doa:iji/しか使われません。
99.犬曰家稀 = 後期中世語の/gahi/および現代語の/ga:i/に当たります。この語の
成立については、元指小辞だったのではないかと考えています。そうすると
元の語根は*/ga/の様になるんですが。。。しかし現代語には/gahi/から
派生した指小辞、/ga[ng]aji/が存在します。
100.猫曰鬼[尸<工] = 猫をいう語は後期中世語では/goi/、現代語では/goia[ng]i/ないし
/goa:i[ng]i/です。前期中世語の「鬼[尸<工]」はむしろ*/goini/の
様な語形だったのでしょうか?
101.鼠曰觜 = ずっと/jui/です。何だか擬声語っぽい感じがすると思いますが、他の言語にも
ネズミの似た様な呼称はありますか?
102.鹿曰鹿 = 漢語です。しかし私は後期中世語の*/nor@G/および/noro/、そして現代語の
/noru/(ノロジカ)の第二音節の部分と何らかの関係があるのではないかと
思ったりします。ちなみにシカ全般は後期中世語では/sas@m/、現代語では
/sasym/といいます。
103.馬曰末 = 後期中世語の/m@r/および現代語の/mar/に当たります。北東アジアの共通の
言葉ですね。
104.乗馬曰轄打 = 何なのでしょう。よく分かりませんが、後期中世語では
「(何かを捕まえて)乗る」ことを/t@(-da)/といい、現代語では/ta(-da)/と
いいます。
105.皮曰渇翅 = 後期中世語の/gac/に当たります。現代語では/gajug/といいますが、この語も
きっと源を辿れば同じ要素を含んでいるでしょう。或いは全く同源といっても
いいかも知れません(*/gajug(V)/
> */gajuh/ > */gajh/ = /gac/). /a/母音を
含むと「皮」の意ですが、母音が/e/に変われば「外側、外面、表面」という意味に
なります(後期中世語/gec/および現代語の/gejug/, /get/参照)。
106.毛曰毛 = 高麗人が「毛」ほど基礎的で身近な物を言い表すために漢語の「毛」を使って
いたというのですか? うそつけ! もっと実用的な資料を作ってくださいよ、
編者さん。。。「毛」じゃ何の役にも立ちませんよ。。。
647 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 15:45 ID:c.iY4mZ6
>>629
残念ながら中世語のアレア/@/が/h/の後に来る場合(即ち/h@/)、必ず現代語では
/y/として現れるという規則が成り立ちません。中世語の/h@rg/(土)、/h@i(-da)/(白い)などは
確かに現代語ではそれぞれ/hyrg/, /hyi(-da)/となっていますが、一方中世語の/h@(-da)/(為る、言う)、
/h@i/(太陽、年)、/h@nah/(一つ)などでは現代語がそれぞれ/ha(-da)/, /hai/, /hana/となって
います。声調を以てこれらの/h@/語群の歴史的変遷を規則的に説明できるのでしょうか?
確かに鶏林類事の編者は、漢人であったせいか、声調に敏感で高麗語の声調まで記録しようとしていた
様ですね。
「47.明日曰轄載」について、貴方が/*h@rjei/と再構した様な単語が高麗語にあったとは私も
賛成です。たとえ現代語のどの方言に現れていなくても、「明日」という意味の固有語は必ずあった
はずだと思うのです。しかし、その語源は一体何なのでしょうか。。。「明ける」という意味の現代語
/sa:i(-da)/の古形の活用形の一つと「時」を意味する名詞/jeg/とが合わさったのち、訛って出来た
単語だと仮定しましょうか? 後期中世語には/s@i(-da)/(漏れる)というのがありましたが、この語は
現代語では、「明ける」を意味する/sa:i(-da)/と同一の語形を共有します。その他に/h@i(-da)/(白い)と
いう言葉も中世語にあったもので、「明日」という意味の語を形成する要素としては大いに有り得ると
思います。
たしかに、「春夏秋冬同」や「毛曰毛」などの様に極日常的な単語のところでは高麗語を音写せずに
そのまま漢字で書き写したのかも知れませんね。ただ、こういう例のどれが高麗の吏読書法を反映して
いてどれが実際に漢語をそのまま借用していたということを表しているのか知る由も無いので私たち
研究者は困りますね。編者が「毛曰毛」なんて書くのは高麗の書き言葉じゃなくて実際の口語を知りたい
人に役に立ちません。何て不利な立場の私たち。。。もっと良い資料を残して欲しかったですね!!
高句麗語や百済語についてはなおさらです。
648 名前:
阿木林
:2003/11/11(火) 16:24 ID:HUeScnco
80.漆曰黄漆 /oc(i)/という漢字音をあらわしたもの、という仮説は
さすがに無理がありますよね。古くは/os/だし。
81.菱曰質姑 古語では/mar'oam/または/m@r/には「藻」という
意味があったようです。菱も水中で取れるものですから、これが
語源かもしれません。日本語の「も」とも関係があるのでしょう。
で、肝心の質姑ですが・・・方言形に残っているかも知れませんね。
「姑」は199.魚肉皆曰姑記などのように、/go/に近い音をあらわして
いることは確かですが、「質」の音は確かではありません。
86.鳩曰于雄 漢語ではヤマバトを「鳩」、街中のハトを「鴿」と
いいます。ただ、朝鮮語でヤマバトをなんと言うかわかりません。
89.鵲曰則寄 これもなんだかわかりませんね。日本語の
「さぎ」に近い形にも見えますが・・・「かちがらす」は日本語の
中では新しいもので、豊臣秀吉による朝鮮侵略の後に、
朝鮮から連れ帰ったかささぎが佐賀県などに土着化した
ものを「かちがらす」と読んでいます。もちろん朝鮮語の/gaci/
をそのまま取り入れたものです。
90.鶴曰鶴 朝鮮音では/hag/じゃなかったかしら。。。(笑
日本語の「つる」が外来語であるのはほぼ間違いないでしょう。
気になるのは「つるみ」という地名が日本に幾つかあることです。
95.虎曰監(蒲南切)は、73.栗曰監(舗檻切)と同じ
漢字で違う発音を表していますね。/bem/と/bam/なら同じ
漢字をあてるのは分かるのですが、なぜ/*kam/という発音の
字を使ったのでしょう?そしてわざわざ反切で/p/という唇音で
始まることをアピールしているのはなぜ?
中世漢語では唇音で始まる漢字音については、まっさきに
語末の/-m/が消失した(凡、など)ため、/bem/のような発音を
あらわすことはできません。
そのため、語末に/-m/を持つことを示すためだけにわざわざ
「監」という字をあてたのでしょうか?
649 名前:
阿木林
:2003/11/11(火) 16:54 ID:HUeScnco
96.牛曰焼(去声)とあります。「焼」は陰平声ですから、
恐らくは尻下がりの声調で発音されたのでしょうが・・・
99.犬曰家稀 /hi/を指小辞としても問題はないと思います。
/mar/に対する/mang'aji/という形もありますので、/ng/はただの
つなぎの要素だと思っています。
100.猫曰鬼[尸<工] [尸<工]は恐らく「尼」の異体字でしょう。
チェジュ方言ではコヤンイのことをコネンイと言います。
101.鼠曰觜 /jui/に似た言葉としては、ずばり漢語の「鼠」
でしょうか。北京音ではshu3ですが、古くは/tsh/という子音で
始まっており、福建語では/niautshu/といいます。
ベトナム語でもchuo^tですし、日本語でも/nezumi/です。
周辺言語でも大体近い発音ですから面白いですね。
104.乗馬曰轄打 /oryda/とはさすがに結びつかないですよね。
「轄」は/hyrg/の/hyr/に当たる字ですが・・・
「打」は朝鮮音では/ta/で激音ですが、唐宋音ではさすがに無気音
でしょうね。「轄」が/h-/のような語頭の複子音を表した、という解釈
も難しそうです。
105.皮曰渇翅 これらの例からも分かるように、語末の/-j/と/-c/
は、かなり厳密に区別されているようです。
これらの漢字による記述から、高麗語の声調(アクセント)もかなり
把握することができるようですが、中期朝鮮語のアクセントについて
あまり知識がないので、その情報を役立てることは私には無理です。
650 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/11(火) 17:55 ID:xVi2q..U
>>648
阿木林さん
>日本語の「つる」が外来語であるのはほぼ間違いないでしょう。
私の心づもりと致しましては、一通り『鶏林類事』の話題が終わるまでは
口出しは控える、つーか日本語が絡むものを除けば、朝鮮語のわからない
私には事実上出来ません(苦藁)ので、しばらくROMに徹するつもりだった
のですが、ちょっと一言言わせて下さい。阿木林さんが日本語の「ツル(鶴)」
を朝鮮語と関係がありそうとか日韓の共通語彙の類かもとかせいぜいその
程度で留めず、「外来語」であると言い切られた根拠は何なのでしょうか。
そもそもツルは渡り鳥なのですから、留鳥であるカササギなどとは異なり、
古くから日本にもいた鳥のはずですよね。仮にその根拠が中期朝鮮語に
「turumi」とあり、日本語とよく似ているからというだけでは、日本語のツル
が外来語であるという根拠としてはあまりにも薄弱ではないでしょうか。
それに、古代日本語には「タヅ(田鶴)」という語も存することから、「ツ」こそ
が鶴の古形であると推定されます。残る「ル」も、「カヘル(蛙)」「サル(猿)」
「ホタル(蛍)」「ヒル(蛭)」などの例から、「トリ(鳥)」「カリ(雁)」「アリ(蟻)」の
「リ」同様、動物を表わす語に付く接尾語の類であると解されます。このように、
日本語では少音節語が複合によって多音節語を作り出すのが一般的です。
朝鮮語の方はどうだか知りませんが、むしろ私には多音節語となっている
朝鮮語の方が新しい語形のように思えてならないのですが…。
651 名前:
阿木林
:2003/11/11(火) 19:28 ID:HUeScnco
>>650
ナナシサン
たしかに、「間違いない」という断定的な言い方はふさわしくありません
でした。でも、ナナシサンのカキコの呼び水になったのなら私の失手は
有益なものだったといえますね・・・ご教授ありがとうございます。
朝鮮語の「トゥルミ」は本来「丹頂鶴」を指す言葉であったようです。
日本語の「つる」もそうなのでしょう。
語源ははっきりしません。口を絞った袋(チュモニ)をトゥルジュモニ
というのですが・・・。「たづ」は「つる」の雅称でもあるようですね。
自分としては「つる」と「トゥルミ」が同源である可能性を否定する
要素が見つからないし、日本語から朝鮮語に入ったという可能性
も低いと思ったので「外来語」という言葉を使ってみたのですが、
「−ル、−リ」という接辞が日本語にあるのならば、それは有力な
反証になると思います。
652 名前:
阿木林
:2003/11/11(火) 19:49 ID:QShTALAE
http://mogasen.hp.infoseek.co.jp/lang_study.html
" target=new>
http://mogasen.hp.infoseek.co.jp/lang_study.html
Manju-gisunの語彙集を載せてるページを見つけました。
「鶴」は/bulehen/というそうです。ま、直リンでもいいでしょう。
http://home.kimo.com.tw/manchusoc/
" target=new>
http://home.kimo.com.tw/manchusoc/
ついでに有名なサイト。
653 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 20:06 ID:c.iY4mZ6
107.角曰角 = 役に立ちません。が、後期中世語では角のことを/sbyr/といい、
現代語では/bbur/といいますね。
108.龍曰珍 = 他には現れない単語ですね。日本語の「ち(霊)」と同源なのでしょうか?
よく分かりません。「珍」で謎です。脫
109.魚曰水脱 = この語は後期中世語にも現代語にも現れませんが、「水」はそのまま漢語の
「みず」を表す要素と見ています。現代語でも魚の総称は/mur-s-gogi/で、本来
単独でも「魚」の意味を表すことのできる/gogi/に「水」の意味の/mur/が
付加されているのが確認されます。「脱」は恐らく後期中世語の/-ti/および
現代語の/-ci/(魚の種類の名前を形成する形態素)と同源だと思います。
でも「脱」は正確にはどんな音声を音写したのでしょうか? 中世の中国語に
詳しい方、助けてください!
110.[敞/魚]曰[囗<元] = 「[囗<元]」という音写をどう読むべきかよく分かりませんが、少なくとも
後期中世語に現れる/gebub/や現代語の/gebug/(カメ類の総称)とは関係が
無い様に見えますね。
111.蟹曰慨 = 現代語の/ge:i/に同じ。日本語の「カニ」と関係があってもおかしくないと思います。
112.鰒曰必 = 現代語では漢語に由来する/jenbog/(全鰒)を使いますが、後期中世語には/s@i[ng]po/と
いう名称があって、これもまた漢語臭いですね。/s@i[ng]/は「生」の字音に基づくの
でしょうか。前期中世語のこの「鰒曰必」ですが、後期中世語の/s@i[ng]po/の"po"の部分と
同源の言葉を音写するつもりだったのでしょうか?しかしそれにしては母音の違いが
大きいですね(「必」には/o/に近づく様な発音はどの時代にも無かったと思います)。
しかも「必」の語頭子音は"p"の様な有気音じゃなくて無気音の"b"ですよね。考えられるのは
日本語の「アワビ」(あはび)の「ビ」の部分と何らかの関係があるという事ですが。。。
113.螺曰蓋慨 = う〜ん、難しいですね。後期中世語にも現代語にも無い単語です。
「カワニナ」の意味ですから、「川貝」という意味で*/gai-gai/の様な複合語が生まれても
おかしくなかったはずですが、「慨」の字は先ほど書いた通り、朝鮮語の/ge:i/(カニ)を
音写するために使われました。もしかして中国語では「螺」はカワニナの様なカタツムリ・
貝類じゃなくて、カニ類の様な動物を指すのでしょうか? 誰か助けてください。まあ、
カワニナの様な貝類でも高麗人は「川蟹」という様に生物学的に間違った名前で呼んでいたの
かも知れません。
114.蛇曰蛇 = 漢語です。後期中世語では蛇を/b@'iam/, /b@i'iam/などといい、現代の標準語では/ba:im/と
いいます。ちなみに満州語では/meihe/といっていたそうです。私の直感ですが、小動物の名称は
他の部門の語彙よりも日本語・朝鮮語・満州語で共通しているものが多い様です。
115.蝿曰蝿 = また漢語です。後期中世語では/p@r/または/p@ri/といいました。現代語では/pa:ri/といいます。
私は朝鮮語の「蝿」をいう語が日本語の「はへ」と何らかの関係があるのではないかと
思っております。日本語の単語は*/pari-pari/または*/fari-fari/の様な重複語が
簡単化されたものでしょうか?
116.[虫豈]曰螻蟻 = さらに複雑な漢語を持ち出してきましたね。高麗人は本当に「螻蟻」の様な
古い漢語を使っていたのでしょうか。アリのことは後期中世語では
/ga'iami/または/gai'iami/といい、現代語では/ga:imi/といいます。
117.蝨曰[示尸<工] = シラミのことですが、後期中世語では/ni/といい、現代語では/i/と
いいます。前期中世語でも同じく/ni/といっていたのが分かりますね。
654 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 20:09 ID:c.iY4mZ6
118.蚤曰批動 = ノミのことは後期中世語では/bierog/, 現代語では/bierug/といいますが、
「批動」も恐らくこれらの語と同源の単語を音写したものだと私は思います。
古くは*/bido[ng]/の様な方言形も存在したのではないでしょうか?
119.[虫幾]曰側根施 = シラミの子や卵をいう語だと思いますが、「側根施」に当たる語は
後期中世語にも現代語にもありません。後期中世語では/hie/といい、
現代語では/sekai/といいます。/hie/や/sekai/は日本語の「シラミ」の
「シラ」と関係があるのでしょうか? 「シラミ」=「白虫」というのは
俗説に過ぎないのかも知れませんね。また「側根施」については「根施」の
部分が後期中世語の/gez'ui/, /ges'ui/, /ge'ui/(ミミズ)および
現代語の/geui/(回虫の様な腸内に寄生する虫の総称)と同源なのではないかと
思います。日本語の「げじ」もこの朝鮮語に由来する可能性はありますか?
120.墓曰[虫乞] = 後期中世語の/gurhe[ng]/および現代語の/gure[ng]/(地面に出来た様な穴)と
同源ではないでしょうか? この音写はちょっと解釈しにくいのですが。
121.人曰人 = これは正直に怒れますね。一番基本的な語彙すら見せてくれないんですね。。。
まあ、後期中世語では/sar@m/といい、現代語では/sa:ram/といいます。これらは
朝鮮語の/sa:r(-da)/(生きる、住むなどの意)から派生した名詞と考えられます。
日本語の「あり(在り、有り)」や「あらひとがみ(現人神)」の「あら」などと
同源ではないでしょうか?
122.主曰主 = これも嫌ですね。しかし後期中世語の/nim/および現代語の/i:m-gym/の"i:m"、
敬称の接尾辞として使われる/-nim/やひょっとしたら現代語の/im/(恋しい人)は
明らかに*/nirim/という様な古形に遡ることが知られています。それは日本書紀などの
古書に現れる朝鮮の国々の人名・地名から判明したのですね。ですから「主曰主」は
まだ許せる範囲かな? いや、ただこの語の場合に限ってラッキーだったんですよね。
ちなみに朝鮮古語の*/nirim/については、日本語の「ぬし」やアイヌ語の/nis-pa/
(主たち)などと同源ではないかと考えております。
123.客曰孫 = 後期中世語および現代語の/son/(お客さん、または単にある家などの特定の場所の主を
訪ねに来たもの)。「手」をいう/son/とはかつて声調を以て区別していました。
ちなみに私は「客」の/son/がもしかして現代語のもう一つの/son/(鬼の一種で、
その日その日の運勢によって人を妨害するもの)と同源ではないかと考えております。
日本語の「おに」もひょっとしたら。。。?? 語源的に「客」=「他人」=「外国人」
=「敵」=「鬼神、怪物、化け物」などの公式は数え切れないほどの語族に見られる
傾向ですから、「客」の/son/と「鬼」の/son/が同源だとしてもおかしくないと思います。
124.命官曰員理 = 何ですか、これは? 漢語に由来するのでしょうか?
125.士曰進 = 後期中世語に現れる/nam-jin/(夫、女の旦那さん)と関係があるのではない
でしょうか。他にこの語の名残らしき物を見つけることが出来ません。
126.吏曰主事 = また漢語ですか?
127.商曰行身 = 漢語っぽい。。。
655 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 20:10 ID:c.iY4mZ6
128.工匠曰把指 = 後期中世語の/baji/または複合語では/-baci/、そして現代語の数多くの
複合語に現れる/-baci/と同源ですね。たしか、女真語にも似た様な言葉が
ありましたね。あっ、「匠人」の意味の女真語、*/fashi niyarma/
(*/niyarma/は人の意)(漢字表記では「法失捏兒麻」)でしたね。似ていると
思いませんか?
129.農曰宰把指 = 農民の人をいう語でしょうね。「把指」は前項のものと同源だろうが、「宰」は
一体何なのでしょう。「屠殺する」という意味で漢語の「宰」がそのまま使われているの
でしょうか。そうすると、農耕民ではなくむしろ家畜農民(農牧民)をいう単語だった
はずです。
130.兵曰軍 = 漢語です。
131.僧曰福田 = 私の友達のケイスケ君のことです。(漢語はいいかげんやめてくださいよ!!)
132.尼曰阿尼 = これは後期中世語の頃、既に死語となっていた様ですが、語形は*/ani/の様な
ものだったでしょうね。
133.遊子曰浮浪人 = 漢語です。可愛い言葉ですね。実は現代語にも/bura[ng]ja/(浮浪者)と
いう言葉があります。音の類似から日本語の「ふりゃう(不良)」の意味に
影響を及ぼした可能性はあるのでしょうか?
134.丐曰丐剥 = 後期中世語の/gesvazi/および現代語の/ge:ji/とその指小辞である/ga:ji/.
日本語の「ケチ」の語源となった可能性はありますか?
135.倡曰水作 = 不明です。
136.盗曰案児 = これもまた不明です。
137.倡人之子曰故作 = 「倡」の意味の「水作」と「作」の字を共有していますね。
138.楽工亦曰胡作 = あはは。。。面白い話ですね。
656 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 20:12 ID:c.iY4mZ6
139.称我曰能 = 後期中世語および現代語の/na/(一人称)。「能」は主格形である
/na-n/を音写しようとしたのでしょうか? しかし「能」の語末子音は
/n/じゃなくて/[ng]/ですよね。もしかして前期中世語の頃では一人称の
代名詞は/na/じゃなくてむしろ現代語の二人称の代名詞である/ne/の様に
発音されていたため、その主格形の/ne-n/を音写するのに適切な漢字が
見つからなかったのでしょうか。日本語にて古代から一人称と二人称の
代名詞は何度も何度も混同されてきたという事実を思い出しますね。
140.問爾汝誰何曰箇 = 後期中世語の/nu-go/(誰+か)および現代語の/nugu/.
現代語の語形は、もともと助詞だった/-go/が語幹の/nu/(誰)と
融合してしまって、/nugu/となった結果です。しかし現代語でも
主格形は/nu-ga/ですし、俗語として本来の/nu/も残っています。
「箇」という音写からは前期中世語の頃には問いかけの助詞/-go/が
既に確立していたことが分かりますね。しかし、「」の音価は
どんなのでしょう? 後期中世語および現代語の/nu/とは関係が
ないのかも知れませんね。
141.祖曰漢子秘 = 恐らく「漢了秘」の誤記でしょう。後期中世語の/ha-n-abi/
(「大き父」の意で、お爺さんを呼ぶ語)と同源のはずですね。
142.父曰了秘 = 後期中世語の/abi/, /ebi/および現代語の/abi/という俗語。
現代語では普通、父のことを/abeji/といいます。敬称は
後期中世語においては/aba-nim/で、現代語では/abe-nim/のほか、
数々の漢語を用いています。
143.母曰了彌 = 後期中世語の/emi/. 現代語ではこの語は人間の母についていうのは
かなり下品で、普通、人間以外の動物の母親に限っていいます。現代語では
母のことを/emeni/といいます。/emeni/は「お母様」という様な敬称である
後期中世語/ema-nim/, 現代語/eme-nim/の訛った結果の語形です。
657 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/11(火) 20:23 ID:BBN/iC5.
>>651
阿木林さん
今回のケースで「外来語」と言った場合は、日本語が朝鮮語の語彙を
借用したという意味としか受け取れません。日本語「ツル(鶴)」と朝鮮語
「turumi(鶴)」が同源であるという可能性は私も否定するつもりはあり
ませんが、仮に同源であったとしても、それは借用という関係ではなく、
日韓両語の共通語彙と見なすべきでしょう。
>>651
は、私の方もちょっと過敏に反応し過ぎたかも知れませんね。
何せ日本語と朝鮮語でちょっとでも似た語彙があると、常に日本語が
朝鮮語を借用したという流れでしか受け取ろうとしない輩がやたらと
多いものですから…。しかも、そういう輩に限って、日本語は朝鮮語
から分かれた言語だと主張したがるので、正直何をどうしたいのか
私にはもうわけがわかりませんや(苦笑)。そもそも、言語に本家も
分家もありはしませんし、朝鮮語と共通点のある日本語の語彙が皆
朝鮮語からの借用語扱いになるなら、朝鮮語とその朝鮮語から語彙
を借用する以前の日本語が言語的に同系であることを証明するもの
は何もなくなってしまうでしょうにねぇ。
658 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 20:43 ID:c.iY4mZ6
あのう、プチ訂正ですが。。。朝鮮語の/son/は(鬼の一種で、その日その日の
運勢によって人を妨害するもの)と書きましたが、実は「鬼の一種で、その日その日の
運勢に応じて人を妨害するもの」と書いたら意味がもっと伝わったのでしょうね。
「よって」じゃなくて「応じて」ね。(^^; うぅ。。。例えば、ある日がある人に
とって凶日だったら、ソン様が訪れてきちゃいます、という様な俗信だと思います。
その人にとって吉日だったら、もちろんソン様に遭わなくても良いわけですが。
659 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/11(火) 22:04 ID:BBN/iC5.
ついでだから、Jake_USA さんにもちとお尋ねしておこうっと。Jake_USA さん
がどうやって中期朝鮮語を勉強されたのかは
>>553
の書き込みで大体わかり
ましたが、古代日本語の方は主に何を使って調べておられますか。これまで
のJake_USA さんの書き込みを拝見する限り、かなり高いレベルの参考書・
辞書類を使っておられるご様子。もしそれが私の知っているものでしたら、
日本語史に関する通説的な知識や専門用語などについて、今後ここで
いちいち説明しなくても済みますからねぇ。
さてお尋ねだけでは何なので、お役立ち情報を一つ。
>>628
で阿木林さん
も簡単に説明されていますが、「かちゅ〜しゃ」というソフトについて私も少々
解説をば。「かちゅ〜しゃ」は2ちゃんねる型のスレッド式掲示板専用閲覧
ソフトです。2ちゃんねるは日本最大級の掲示板ですが、通常のブラウザ
(IE等)ではやや閲覧しづらいため、専用の閲覧ソフトが開発されました。
このソフトの最大の利点は、ログをパソコンのHD内に保存してくれるという
点です。Jake_USA さんのネット環境にもよりますが、常時接続でないか
またはモバイルで使用する機会が多いということでしたら、オフラインで
いつでもログを参照出来るというのは大変便利なはずです。ここハングル
総督府は2ちゃんねるの一部ではないのですが、2ちゃんねる型の掲示板
ですので、同じソフトを使用可能です。この機会にぜひ導入されてはいかが
でしょうか。導入の仕方は、
http://kage.monazilla.org/katsetup.exe?v=0.05&n=katsetup.exe
" target=new>
http://kage.monazilla.org/katsetup.exe?v=0.05&n=katsetup.exe
をダウンロードして実行し、しかる後にそのフォルダ内に
http://hima2908.hp.infoseek.co.jp/katjusha2003-11-07.lzh
" target=new>
http://hima2908.hp.infoseek.co.jp/katjusha2003-11-07.lzh
の中の「2channel.brd」を上書きコピーするだけです。かちゅ〜しゃの起動は
「kage.exe」を実行すればOK。ここハングル総督府は起動画面の左端にある
タブのうち、「みにふろ」と名付けられたタブの中にあります。そこをクリックす
ればスレッドの一覧が自動的に画面上部に読み込まれますので、閲覧したい
スレッドをクリックすればログの読み込みが始まります。後はログを保存する
モードにする(フロッピーディスクの形をしたアイコンをクリックして灰色から
青色にすればOK)ことさえ忘れなければ大丈夫でしょう。中々便利ですよ。
660 名前:
Jake_USA
:2003/11/11(火) 22:22 ID:c.iY4mZ6
今調べたところによりますと、女真語ではお寺のことを*/taira/(漢字表記では
「太乙剌」)といっていたそうですが、これこそ古代の日本語の「てら」と直接に
結び付くのではないでしょうか? 後期中世朝鮮語に現れる語形は/dier/でしたけど。
661 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/11(火) 22:53 ID:t6YV9U2Q
>>652
満洲語ならこちらの満英辞典もどうぞ。
ttp://web.archive.org/web/*/msnhomepages.talkcity.com/IvyHall/anzhu/manchu_dictionary.htm
現在はどこかに逝ってしまったサイトですが、
archive.orgに残っています。
662 名前:
tenpura ◆UMAIu01k
:2003/11/12(水) 00:20 ID:ycwCH1Cc
>>658
(余談)
「さん」と読むのかと一瞬思ってしまった……チョブ
663 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 07:50 ID:v0p3zaJs
>>650の娜々志娑无
>朝鮮語の方はどうだか知りませんが、むしろ私には多音節語となっている
>朝鮮語の方が新しい語形のように思えてならないのですが…。
まさにその通りですね。どちらかというと、朝鮮語よりも日本語の方が語彙が古いです。というのは、
日本語の方が大昔の語形をより良く保存していると言えるのです。それは8世紀の頃の日本の
古書に現れる日本語は現代の日本語とさほど語彙の形が異なっていないのに対して、
朝鮮語の語彙の語形が中世語と現代語とでは大きく異なっていることが多い(わずか300年ぐらいの
間で分からなくなってしまうほど激しく変化しています)という事実を照らし合わせれば、
容易に納得できるのでしょうね。
例: 「星」を意味する日本語・朝鮮語・女真語・満州語
日本語 /hosi/ (古代日本語*/posi/ないし*/fosi/)
朝鮮語 /bie:r/
女真語 */oshiha/ (漢字表記では「斡失哈」)
満州語 /usiha/
女真語と満州語の近縁関係は一目瞭然でしょう。それに、女真語と満州語の語形に
現れる"ha"の部分は、もしかして古代史書に見える「加」という敬称語尾と同源なのでは
ないでしょうか? すなわち女真族や満州族は「星」のことを「お星様」の様に呼んでいたのだと
思います。
しかし女真語でも大金文字(女真文字)の「星」を意味する字は
*/oshi/(漢字表記では「斡失」)と呼ばれていました。この様に、祖語がひどく訛った結果
生じたと思われる女真・満州語や朝鮮語でも、たまに古形に近い形の言葉が残っていて、
私たちは辛うじてこれらの古形を幾つか確認することが出来るのです。
朝鮮語は、西欧の言語にたとえれば、フランス語の様なものでしょう。かなり訛っていて
大昔の語形を見出すことが困難の極まりとなっています。一方、日本語はスペイン語とイタリア語の
様なもので、非常に古い語形を今もほとんど保っている様に見えるのです。女真語などの
ツングース諸語は、どちらかというとルーマニア語の様なもので、遠くかけ離れている場所で
話されていて他の近縁の言語(朝鮮語や日本語など)とは別に成長してきたものの、その語形は
大抵、フランス語似の朝鮮語よりも古い語形をより良く残している日本語に似ていると言えそうです。
まさか日本語が満州から日本列島に入ってきたとなんて仮定しなくても良いのです。ただ満州と
日本の間にある朝鮮の人々の言語がグチャグチャになるほど崩れてしまった、と考える方が妥当だと
思います。
664 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/12(水) 08:05 ID:eFzGob6A
満洲側と列島側を取り残した上での半島言語の「崩れ」(よくいえば急激な進化)は
中世におこったことでなく
3世紀にすでにそういう傾向があったと思われ。
やはり真番郡の漢人の中国語の影響が大きかったかと。
665 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 09:57 ID:v0p3zaJs
664>>
勿論、現代朝鮮語と現代日本語とが似つかないのは、古代(貴方のおっしゃる
3世紀の頃、3世紀というのは正確ではないですがとりあえずそのぐらい古い時代ということに
しておきましょう)に起こった朝鮮半島の言語の急激な変化に因りますね。しかし、朝鮮語では
その古代に一時的に起こった変化だけが理由とは言えないと思いますよ。朝鮮語は他の周辺の言語に
比べて、速く・激しく・何が何だか解らなくなってしまうほど語形が変化する傾向にあります。
その傾向は、古代からずっと現代語に至るまで続いている現象だ、と解釈した方が良いと思います。
後期中世語の/gesvazi/(乞食)が現代語の/ge:ji/, /ga:ji/になってしまうほどですよ。正直言って、
言語学者の私でさえ朝鮮語の語形変化の具合を見ると呆れてしまいます。フランス語よりもヒドいのかも
知れません。朝鮮の古語を再構するに当たった者はかなり苦労するはずだと思います。憐れんであげましょう。。。
666 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 10:39 ID:Y.smlHks
なんかJakeさんに甘えっぱなしで本当に申し訳ないです。
108.龍曰珍 ずばり、満洲語の/miduri/につながる語形だと
思うのですが、/jin/とはあまりに結びつかないですねw
日本語には「みづち」がありますが、これは「みづ+ち」という
複合語でしょうか?
109.魚曰水脱(剔曰切) 「脱」の発音は、剔曰切とありますから
/*t'oat/のようなものだったろうと思います。もし(剔日切)なら、
/*t'iet/として、魚の要素である/-ti/と近いのですが・・・
ここで「水」を訓読としてしまうと、他の部分でも訓読を取り入れない
といけなくなりますねぇ。。。
ちなみに現代朝鮮語では「かつお」のことを/murci/といいます。
110.[敞/魚]曰[囗<元] [敞/魚]は「すっぽん」です。
[囗<元]は円の俗字ですね。
現代語では/jara/ですが、気になるのは中国語の方言でも
「円魚」ということ。日本でも「まる」と呼びますし。
113.螺曰蓋慨 螺は現代でいう/sora/で、日本語のサザエ
にもタニシにも使うことばであるはずです。
/jogai/(貝)と関係がある言葉でしょう。/jagai/(青貝)などにも
/gai/が現れますから、古くは/gai/一つで貝を意味したのでしょう。
方言形で/jogabi/というものがありますから、/gabi/という古形が
想定できますし、そうすると日本語の「かひ」と直接結びつくのでは
ないでしょうか。
これまでに何度か考察のあった/gai/「浦、川?」という言葉ですが、
現代標準語でも「潟」という意味があります。浦とは意味も近いです
から、標準語で必ずしも死語になったわけではないようです。
667 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/12(水) 11:03 ID:.5POf6lE
>>666
阿木林さん
獣の数字ゲットおめ。
>ここで「水」を訓読としてしまうと、他の部分でも訓読を取り入れない
>といけなくなりますねぇ。。。
専門外の人間の感想ですが、『鶏林類事』に関しては吏読や訓読字の
ような半島独自の表記は考慮しなくてもよい、いなむしろ考慮すべきでは
ないのではないでしょうか。何せ筆者の孫穆自身が高麗語を「方言」と
記しているわけですから、筆者の捉え方としては、高麗語はあくまでも
中国の一方言でしかなかったと思われます。だからこそ不自然なくらいに
漢語を取り入れて、少しでも高麗語と漢語との共通点を示したかったので
しょう。『鶏林類事』所収の高麗語彙の中で漢語として現われているものに
ついては、実際に完全に漢語に置き換わっていたものもある程度あったで
しょうが、多くは固有語が別個に存していた可能性が高いように思われます。
668 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 11:23 ID:Y.smlHks
114.蛇曰蛇 187.洗手曰遜時蛇や、204.飲酒曰酥孛麻蛇などに
「蛇」が現れるところをみると、/si/に近い発音だったのでしょう。
116.[虫豈]曰螻蟻 字面通りに解釈すると螻蟻はケラとアリです。
漢語ではこれをセットにして「とるにたらない虫けら」という意味があり、
けだし文章語と見るべきでしょう。
119.[虫幾]曰側根施 「則」ではなく、「側」で記されています。
[虫幾]は仰るとおり、しらみの卵ですね。「根」は、355.大曰黒根
356.小曰胡根などに現れるように、形容詞に関係する要素かも
しれません。施/si/が「種」(/ssi/、中世語で/bsi/という意味を
持つかもしれません。356.小曰胡根が「小曰側根」なら、
「小さな種」として再構できるのですが・・・
123.客曰孫 183.手曰遜とは、孫(平声)、遜(上声)のように
声調が区別されているようです。現代語ではこの二つの言葉
はどちらも短母音ですが、声調の区別はあったのでしょうか・・・
124.命官曰員理 漢語の命官は「官を命ずる」という動詞のほかに、
「命じられた官」という名詞もあります。朝廷から派遣された官吏という
程度の意味です。「理」は「吏」が正しいかもしれません。
125.士曰進 「進士」という漢語に由来しているというのは穿ちすぎ
でしょうか・・?
129.農曰宰把指 宰把指で「宰を作る/する者」という意味ですね。
宰が農業を意味しているのは間違いないとして、/sa'ym/(小作人)
などと関係ある言葉でしょうか。
131.僧曰福田 仏教では衆生を田になぞらえて、敬田とか恩田
とか悲田とかいうように表現します。福田は「福のある田」という
程度の意味ですが、こんな言葉が用いられていたんですねぇ。
134.丐曰丐剥 朝鮮語の/geji/が、日本語の「こじき」に転じた
可能性はあるでしょうか?「食を乞う」で一応意味は通っているの
ですが。
135.倡曰水作 倡は「唱」に通じるので、歌い手という程度の意味
ではないかと思います。僕は暗に「娼」という意味が込められている
のではないかと思いますが。
136.盗曰案児 /dodog/という現代語とは関係なさそうですね。
138.楽工亦曰故作(多倡人子為之) 「胡」ではなく「故」です。
もしかすると現代語の/goja/(鼓者。インポテンツの意味)に通じて
いるのではないでしょうか。
669 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 11:40 ID:Y.smlHks
139.称我曰能(奴台切) とあるので、/nyng/ではなく/nai/
という発音であったようです。中国の江南方言では「能」を
/nei/のように発音するところもありますから(確か温州あたり)
そのあたりのご出身かもしれませんね。
これは主格の/-i/がついた形でしょうか?
>>667
「方言」という言葉については、今の「方言」とはニュアンスが
異なります。かの訓民正音でも自国語を「方言」と呼んでおり、
「地方の言葉」という程度の意味です(語源的には「方」は
異民族を意味するらしいですが)。
ただ、筆者の高麗語に対するとらえ方については、禿るほど
同意です。この資料は間違いなく支配階級の言語を記述した
ものであり、実際の支配階級の会話も漢語が飛び交うもの
だったと想像しています。
670 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 11:46 ID:Y.smlHks
補遺。
「宰パジ」の「宰」が、「栽」という漢語だったりして。
「水作」は「酬酌」(さかずきを酌み交わす)や、「豎子」(青二才)
という漢語を、意味ではなく音を書き取ったものだったり
するかもしれません。
「コジャ」についても、「鼓者」でもともと樂工を意味していたのに、
宦官の意味に転じて、現代ではインポテンシャルな人を意味する
ようになったのではないか。
だんだんトンデモ言語学になってきましたがw
671 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/12(水) 14:03 ID:bTg/1/5E
>>665
なんで朝鮮語はそんなに変化が早いのですか?あなたの考えは?
672 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/12(水) 14:11 ID:bTg/1/5E
>>665
3世紀といったのは「3世紀に“すでに”半島語は満洲側と列島側とを
取り残して独自に早い変化をはじめていた」といったのであって、
その変化が3世紀からはじまった、とはいってませんよ。
(レスの中では真番郡のことをだしていますが。真番郡ってなんのことだかご存じない?)
673 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 14:34 ID:Y.smlHks
まぁまぁ。3世紀頃というと、漢が置いていた楽浪郡などが
高句麗に滅ぼされるちょっと前の時期ですね。
正確にいえば、高句麗語や新羅語、百済語などが形成されていった
時期ということになるのでしょうか。
人的移動が盛んな中央部ほど言語の変化がはげしく、周圏部に
古い言葉が残りやすい、というのは柳田國男の有名な「言語周圏論」
で、とても妥当な考え方だと思うのですが、なんにでもこれを適用して
しまうと、遠いところにある言語ほど近い、という変な結論がでてしまうw
いずれにせよ、朝鮮半島の言語が特殊である理由が、かなり古い
時代に漢語の影響を強く受けたため、という謝罪汁さんの考え方は
僕も賛成です。広義の「シナ語」に朝鮮語を含められないか、という
仮説を以前本気で考えていたことがあります。
674 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/12(水) 15:49 ID:goYcW1G6
こっちにも一応宣伝しておく。
ハングル板総督府にとって切実な資料をアップロードした。
約330KB
http://68.209.118.21/upload.php?act=dl&file=U2hpcnlvLnppcA==
" target=new>
http://68.209.118.21/upload.php?act=dl&file=U2hpcnlvLnppcA==
かなり重いがDLしておくことをお勧めしておく。
675 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/12(水) 16:01 ID:bTg/1/5E
ちょいと電波説。
フランス語って、ゲルマン語とラテン語がかさなったあたりで、
やってきたゲルマン人がゲルマン語を捨ててラテン語になったんでしょうか?
半島は先住民語の上に中国語を話す連中が大量に入ってきたと。
まったく別の言語が急速に混淆すると、ベースになる母語の語感によるイメージ連想が壊れて
言語全体の安定感を失ってしまい、その結果、単語の変化や交代が加速するのでは?
英語は、フランス語より変化が遅いんですかね?
676 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 17:21 ID:rwr3JJRw
>>675
フランス語の成立史については詳しい人がいると思いますが、
最も古い基層にはケルト(+バスク?)がいて、さらにゲルマン系の
ゴート人が流入しつつ、ラテン語を吸収していったというところでは
ないでしょうか。なお、「フランス語」は言語学ではオイル語フランシアン
方言という言葉だそうで、南部のオック語とはかなり異なる言語です。
韓半島の場合はというと、もともといた民族の素性がいまいちはっきり
しないという問題がありますが、「三韓」の言語はいまの朝鮮語の先祖に
あたるものであると考えて差し支えないでしょうし、高句麗語はツングース
に近いものと考えるのが一般的です。ワイやハクもしかり。
>まったく別の言語が急速に混淆すると、ベースになる母語の語感によるイメージ連想が壊れて
>言語全体の安定感を失ってしまい、その結果、単語の変化や交代が加速するのでは?
通常、言語が混交する場合には基層言語の韻律や文法に
縛られつつ上層言語を受け入れる、というパターンが多いと思います。
それにより、たとえばピジンイングリッシュのようなものが生まれる。
発音がまったく異なる言葉になることも少なくありません。
/s/を持たないハワイ語ではクリスマスをカリキマカというそうです。
>英語は、フランス語より変化が遅いんですかね?
うーん。どうでしょう。「言語の変化のスピード」を比較するのは、
異なる言語同士ではなかなか難しいことだと思います。
英語において「大母音推移」のような現象が生じた理由がなんであるかは、
私は寡聞にして知りません。
677 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 17:28 ID:v0p3zaJs
あっ、私、大変な間違いをしてしまいましたね。。。「螺」はカワニナじゃなくて、
ニシやサザエのことを指すんですね。ご指摘ありがとうございます。でも、カワニナも
ニシやサザエと同じ様な巻貝ですから、似ているといえば全部似たモノ同士ですね。
肝心なところは、鶏林類事に書いてある「螺曰蓋慨」の「螺」が淡水性の巻貝(カワニナ、
ニシなど)を表したのか、それとも海水性の巻貝(サザエなど)を表したのか、というところ
ですね。後者の場合は、*/gai-gai/(浦貝、潟貝)の様な名称があったとしてもおかしくない
でしょう。しかし、もう一つ気になる問題は、「慨」の字が朝鮮語の/ge:i/「カニ」に当たる
前期中世語を音写するためにも使われているところです。「貝」を意味する要素の*/gai/は
二重母音の単一母音化が起こるまで一貫して*/gai/や*/gabi/の様な語形で、第一母音は*/a/の
様な音だったはずです。しかし「カニ」を意味する朝鮮語は今/ge:i/で、日本語の「カニ」と
同源の可能性が高いものの、いつの時代に第一母音が*/a/の様な音から/e/に変わったのか、どういう
理由でその変化が起こったのか(前舌母音同化?)などはっきりしていないから、難しいんですねえ。
そして貴方の挙げた/so:ra/ですが、この語はまさにややこしいものです。後期中世語では/gora/や
/b@ra/の様な語形もあって、その貝殻を楽器としていう語には漢語らしき/bebra/(「法螺」、発音は[bemna])、
/ba:ra/や/ragag/(「螺角」、ハングルつづり及び発音は[nagak])などもあります。どれが日本語の
「ホラ」と同源で、どれが直接「法螺」から来ていて、そしてどういう経緯で朝鮮語の/gora/や/so:ra/などの
語形が生じたのかはっきりさせるのは至難の技であろう。
110.[敞/魚]曰[囗<元] : ご解説ありがとうございます。[囗<元] は「円」の俗字だったの
ですね。中国の方言でスッポンのことを「円魚」というとおっしゃっていましたが、それはどの
地域で話されている方言なのでしょうか? たしかに気になりますね。
109.魚曰水脱(剔曰切): 鶏林類事の頃の中国語なら「脱」の字音は*/toat/じゃなくて
既に*/toa/の様な音になっていたのではないでしょうか? 後期中世語の/-ti/(魚を表す要素)は
前期中世語では/toai/または/tui/の様な発音だったのかも知れませんね。ちなみに私は「水」の字を
訓読すべしなどとは言っておらず、ただそのまま「みず」の意味を表す要素だったのではないかなあと
思っているのです。音読字としてね。前期中世語には*/su-toai/ないし*/sui-toai/または*/su-tui/ないし
*/sui-tui/の様な単語があったと仮定しております。
108.龍曰珍: 古く日本語には「みつち」または「みづち」という単語があって、それは
一種の邪悪な水竜(もちろん想像上の動物ですが)をいう呼称だったそうです。この日本語の「ち」なら
前期中世朝鮮語の「龍曰珍」の「珍」と結び付く可能性はあると思いますが、満州語の/miduri/(私の
使用している資料では/muduri/となっていますが、方言の差なのでしょう)はいったいどうなのでしょうかね。
女真語では竜のことを*/mudur/(漢字表記「木杜兒」)といっていたそうですが、これは満州語の/miduri/・
/muduri/と直接的な関係があるはずです。日本語の「ち」や高麗語(前期中世朝鮮語)の「珍」(*/jin/?)とは
なかなか結び付かないと思いますねえ。しかし、まず女真語・満州語の/r/の由来をつきとめる必要がありますね。
ツングース語派に詳しい方に助けを願えるのでしょうか? 女真語・満州語の/r/音について歴史的音韻学説を
お願いします!
678 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 17:46 ID:v0p3zaJs
補足: 後期中世朝鮮語には/miry/という語があって、これも竜の呼称でした。
女真語の*/mudur/と満州語の/miduri/, /muduri/と似ていますね。
679 名前:
阿木林
:2003/11/12(水) 18:44 ID:rwr3JJRw
>>677
中国語の螺に淡水と海水の区別は基本的にありませんから、
どちらともとれます。/ei/と/ai/はしばしば混同されていますから、
それほど問題にはならないと思います。
しかしソラとホラが近い言葉とは気づかなかった・・・
/*gai-gai/は「巻き貝」という意味かもしれませんね。
スッポンを円魚というのは北方中国語に広く見られると思いますが、
直接耳にしたのは東北地方の朝鮮族からです。
ただ、彼はカメとスッポンの区別ができないようでしたが。
当時のシナ語では、少なくとも筆者の発音では/-t/のような
音節末子音はまだ残っていたと思われます。
馬曰末、などもその傍証だと思います。
/miduri/は私の勘違いみたいですね。/muduri/が正しいです。
すみませんでした。
女真語の/r/の由来を調べるといっても、女真語より古い言語の
資料がほとんど皆無ですから、難しいですねぇ・・・
発音的には「はじき音」ですから、朝鮮語や日本語のそれと
ほとんど変わらないはずですが。
なお、女真語の木杜兒の「兒」も、当時の発音では/ri/に近い
ものであったと思います。
680 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 20:08 ID:v0p3zaJs
>>81.菱曰質姑
たしかにこの語は面白いですね。どう読むべきかは私もよく分かりませんが、
後期中世語および現代語のヒシをいう単語とは全く関係がありませんね。後期中世語の
/mar'oam/のち/maram/および現代語の/marym/は現代語の/ma:r/(藻)とは似ているけれども、
後者は中世語では/m@r/だったという事実に注意しましょうね。/mar'oam/の"'oam"は恐らく
現代語の/ba:m/(栗)と同源だと思いますが、残る*/mar/は一体どういう意味の要素でしょうか?
もしかするとこの*/mar/こそ、本来の朝鮮語の「ヒシ(菱)」をいう語なのではないかと
思います。
そして今までこのメッセージに返事しなくて悪かったですが、今から返事致します:
>>557 名前:名無しさんは謝罪汁 [2003/11/04(火) 09:54 ID:Ln.bLjsc]
>>貝(かひ)と食(くふ)とか?
日本語の「かひ(貝)」と朝鮮語の*/gai/, */gabi/(貝)という要素ももともと
「かふ(交ふ)」という動詞から派生したのかも知れません。日本語の「くふ(食う)」とは
直接の関係は無い様に見えます。むしろ、「かひ(貝)」は日本語の「かは(川)」や
「かひ(峡谷)」などと同源の言葉でしょう。実際、古い日本語の「かひ(貝)」の用例を見ると、
基本的には動物自体よりもその二枚の板状の物が合わさって成る貝殻のことを意味した様です。
(貝の殻は「交ひてある」と言えるのではないでしょうか?笑) 朝鮮語の*/gai/, */gabi/という
要素も、主に細工の素材として捉える「貝」を指していた様です。一方、日本語では巻貝のことを
もともと「かひ(貝)」と区別して「つび」、「つぶ」、「つみ」などと呼んでいた様です。
すなわち、「かひ(貝)」という言葉は恐らく、古くは牡蠣のように二つの板から成っている、
いわゆる「二枚貝」のことしか指すことができなかったのでしょう。
「かひ(貝)」のかつての用法について:
古い諺、慣用句や複合語を見ても「かひ」の「二枚貝の貝殻」という意味合いが
濃かった事が確認できます:
「あはびの かひの かたおもひ」
「かひを つくる」 = べそをかく、拗ねた様な顔をして口もとをゆがめる
「かひあはせ」(国語辞典をひいてみてください)
他に「かひざいく」(貝細工)の様な単語も現存しますね。
「かひ」がいつから巻貝などをも指すようになったのかは私は知りませんが、
恐らく「かひ」が「二枚貝」だけじゃなくて素材としての「貝殻」を意味するように
なった後、「ほらのかひ」の様な言い方が生じて、これは当時、楽器として使われる
「法螺の貝殻」を指す言葉だったと思います。大体の事の成り行きは解っていただけた
でしょうか。
681 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 20:24 ID:v0p3zaJs
ちなみに「かひ」は英語の「shell」と同様、卵の殻をも指すようになり、
事の果て卵自体までも意味の範囲に含んでしまいました。まるごとの卵を
意味する時は普通、「かひご」(<*「かひのこ」、すなわちshellの中の子か?)と
いっていた様ですが。「かひ」は万葉集が出来る頃には既にこんなに意味が
広かったみたいですよ。もちろん、私が上述した語源説がお気に入らなかったら、
「かひ(貝、殻、卵など)」が「かは(皮)」と同源だという説を作ってみてください。
682 名前:
Jake_USA
:2003/11/12(水) 20:28 ID:v0p3zaJs
ん〜、というより、「かひ(貝など)」が「かは(皮)」と同源だという説を
作ってみたらどうなるのでしょう、と言いたかったのです(苦笑
683 名前:
名無しさんは謝罪汁
:2003/11/12(水) 20:53 ID:7NSqIRdM
>>676
>高句麗語はツングース に近いものと考えるのが一般的です。ワイやハクもしかり。
どうにも承服しがたい感じがしますが、その場合の「一般的」の意味は?
たしかに古くは(戦前は)たいした検討もなく高句麗をツングース族とする見解が
ある意味「一般的」だったことは認めますが、
三国史記を丸のみした古典的(?)見解(=高句麗を朝鮮人国家とする説)よりは、
いくらか学問的な態度にみえるという程度の理由ではなかったのかと邪推しています。
>通常、言語が混交する場合には基層言語の韻律や文法に
>縛られつつ上層言語を受け入れる、というパターンが多いと思います。
>発音がまったく異なる言葉になることも少なくありません。
その場合、かつての母語がもっていた皮膚感覚というか語感が失われてしまうわけですよね?
684 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/12(水) 22:44 ID:.5POf6lE
>>680-682
Jake_USA さん
日本語学は私の領分ですから存分に物を言わせてもらいます。
「カヒ(貝)」が「クフ(食)」と関係ないという点は私も賛成。しかし、
「カフ(交)」と同源であるかどうかとなると、かなり微妙です。成る程、
二枚貝が口を閉じている様はまさにも殻をカ(交)ヒている状態です
から、両者を結び付けたくなる気持ちもよくわかるのですが、何しろ
両者はアクセントが合わないという問題点があります。「カヒ(貝)」
は平安後期に低低型と低く始まる語であるのに対し、「カフ(交)」は
高低型と高く始まる語です。古代日本語は複合語や派生語を作る
時にもとの語の高起・低起の式を保存するという法則があります
(別名:金田一法則)ので、両語は同源とは考えづらいのです。
また、「カヒ(貝)」が本来二枚貝を指す語だったというのも、用例
に照らして見ると必ずしもそうとばかりは言えません。アワビは生物
学的には巻貝ですが、日本では二枚貝の類と見なされていたよう
ですから別にしても、古代日本語に「カヒブエ(貝笛)」という語が
見え、これは明らかに法螺貝を指しています。法螺貝は巻貝です
よね。それに、貴方が巻貝の総称とされた「ツビ(螺)」という語は、
奈良時代の用例こそないものの、平安初期には既に登場している
古い語ですが、巻貝という意味でも使われているけれども、同時に
「ハマグリ(蛤)」の意で使用された用例もあり、必ずしも巻貝限定
とは言えません。確実に巻貝の総称と言えるのは「ミナ(蜷)」の方
でしょう。
そんだこんだで、私はむしろ「カヒ(貝)」と同源なのは「カフ(交)」
の方ではなく、「カヒゴ(卵)」であると考えています。この辺りは私も
Jake_USA さんと同意見です。貝と卵の形態から案ずるに、「カヒ」
は本来は「殻」という意味だったのでしょう。アクセントも、「カヒゴ(卵)」
は平安後期低低低型ですから、「カヒ(貝)」と一致します。 更に
言えば、Jake_USA さんはこれらの語と「カハ(皮)」を語源的に結び
付けておられるわけですが、これにも私は同意します。皮は形態的
にも殻に通じるものですし、アクセントも平安後期低低型ですから、
「カヒ(貝)」「カヒゴ(卵)」と一致しており、金田一法則に抵触しません
からねぇ。
ただ、Jake_USA さんは貝から殻、卵という順に意味が変化したと
捉えておられるようですが、これについては私は同意しかねます。
私はむしろ「カハ(皮)」こそがこれらの一連の語彙の中では最も古い
語であって、それに名詞形成要素iが接続し、母音連続を嫌って先行
母音aが脱落することによって「カヒ」という語形が生じ、意味の方も
皮の特殊な形態である殻の意から、貝殻、更には貝自身を指すよう
に変化していったと捉えるべきだと思っています。意味の変遷という
点からも、音韻変化の点からも、こちらの方がずっと自然だと思うの
ですが、いかが。
685 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 07:38 ID:yozb9Shw
>>684のななしさん
ん〜、なるほど、カヒ(貝)はアクセント的にはカハ(皮)の方と似ているのですか。
まあ、アクセントは意味の類似によってcontaminate(フォークエティモロジーなどによって
汚染=影響?されてしまう)する可能性も高いし、私はアクセントよりも音素(segments)を
はるかに重視すべきだと思いますが、とりあえずカハ(皮)もカヒ(貝、卵)と意味的に
結び付けるすべがあるからアクセントのデータに従ってカハ(皮)とカヒ(貝、卵)の方が
同源だと仮定しておきましょうね。でも日本語はあくまでも声調言語ではないからアクセントは
第二次に考慮すべきものだと思います。実際、現代標準語でさえも、ある一つの単語につき
アクセントの付け方が複数に存在する例は少なくありませんよね。
ちなみに、意味の方から見ても、カヒはもともとの語源がどうであれ「二枚貝」という意味合いが
強かったと思いますよ。「さざえの つぼやき」などという様に、古くから二枚貝じゃない貝類を
指す時には「かひ」以外の何らかの単語が使われていたことも多かったと思います。
「つび」、「つぶ」、「つみ」などは「螺」(阿木林さんはこの字が中国語では「巻貝」を意味するとおっしゃいましたが)
という漢字を以て書き表されていたし、これらの単語は「さざえの つぼやき」に見える「つぼ」とも
類似していますし、巻貝である「カタツムリ」も同じく「つむり」という要素を含んでいますね。明らかに
「つぶ」「つむ」という要素は主に「丸っこい物(たとえば巻貝」について使われたのに対して、「かひ」は
主に二枚貝、或いは生物学的には巻貝なのに殻の口があまりにも広くてわりと扁平な殻を持っているせいで
「一枚の殻しか無い、さみしい二枚貝」の様に考えられていたアワビのことを指していた様に私は思います。
しかし、「カヒ(貝)」のもともとの語源がどちらだったとしても、「交ふ」の連用形との類似や、「カハ(皮)」などとの
類似から意味が混同された可能性は大いに有り得ると思います。言語は派生した時(一旦の「語源」をもつ時点)の後も
定まらずに常に生きていて変化しているモノですからね。まあ、化石化したモノもたまに確認されますが、それらは普通
死語となってしまう危機に立たされている場合が多いと思います。
686 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 08:37 ID:yozb9Shw
>>104.乗馬曰轄打 /oryda/とはさすがに結びつかないですよね。
>>「轄」は/hyrg/の/hyr/に当たる字ですが・・・
>>「打」は朝鮮音では/ta/で激音ですが、唐宋音ではさすがに無気音
>>でしょうね。「轄」が/h-/のような語頭の複子音を表した、という解釈
>>も難しそうです。
非常に面白い所に気付かせてくださいましたね。「土」をいう語は「轄希」と
音写されていますが、この語は現代語でこそ/hyrg/となるものの、後期中世語では
/h@rg/でした。ですから、「乗馬曰轄打」の「轄」も、*[h@r]或いは後に続く「打」の
語頭子音/d/を受けて*[h@t]の様な音声を音写するために使われていたのかも知れません。
*[h@t]の音節末の[t]はともかく前期中世朝鮮語の「乗馬」をいう動詞に音素的には
存在しなかったのでしょう。すると、前期中世語の「乗馬」という意味の動詞は*/h@rda/
または*/h@da/という事になりますね。朝鮮語ではdentalやalveolar(歯や歯の直後の
硬い所で調音される子音)の前の*/r/はしばしば脱落しますから、再構形としては*/h@rda/でも
*/h@da/でもほとんど構わないと言えます。この*/h@rda/または*/h@da/こそ、後期中世語の
/t@(-da)/と現代語の/ta(-da)/(捕まえて乗る)の古形なのでしょう。104番の「乗馬曰轄打」は
結局は非常に大事な一例だったのですね!
687 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 08:43 ID:yozb9Shw
補足: */h@rda/や*/h@da/じゃなくて、*/h@rd@/または*/h@d@/だったと仮定した方が良いかも
知れませんね。第一音節の母音と第二音節の母音が同じく*/@/だったとすれば、第一音節の*/@/が
失われて*/hd@/即ち/t@/(後期中世語に現れる語形)になったという事実がもっと自然に説明できそう
ですね。
688 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 09:05 ID:yozb9Shw
語源的には、後期中世朝鮮語の/h@(-da)/(為る、言う)が満州語の/se(-mbi)/(「言う」の意味のほかに、
助動詞として用法が多様)や日本語の/s(-u)/(為る)と同源だろうという立場から言えば、「捕まえて乗る」の
意味の前期中世朝鮮語*/h@rd@/, */h@d@/は日本語の「さらふ(攫う)」と満州語の/te(-mbi)/(座る、住む、(官位などに)就く)と
同源の要素から成った、もと複合語である可能性があると思います。朝鮮語を分析するのって、よっぽど
やっかいな作業ですね。。。まあ、とりあえず「捕まえて乗る」という意味の現代語/ta(-da)/の再構できる
一番古い語形が*/h@rd@/または*/h@d@/だ、という程度にしておきましょうか。
689 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 10:03 ID:yozb9Shw
>>671 名前:名無しさんは謝罪汁 [2003/11/12(水) 14:03 ID:bTg/1/5E]
>>
>>665
>>なんで朝鮮語はそんなに変化が早いのですか?あなたの考えは?
恐らく朝鮮半島は古くから二重(三重?もっと?)言語社会だったろう事と、
かなり最近まで朝鮮人が主に漢文(朝鮮語ではない言語)を書き言葉として
使用していた事に因る現象だと思います。朝鮮固有語を書いて表す風習は一般的でなかったために、
あまり使われない語彙が数世代のうちにもはや廃れてしまったり、発音が訛ったり語形が変わったりしても
標準語的スペル(日本の歴史的仮名遣いなど)に依って訛りを正して統一する事も困難だったの
でしょう。
672 名前:名無しさんは謝罪汁 [2003/11/12(水) 14:11 ID:bTg/1/5E]
>>665
3世紀といったのは「3世紀に“すでに”半島語は満洲側と列島側とを
取り残して独自に早い変化をはじめていた」といったのであって、
その変化が3世紀からはじまった、とはいってませんよ。
(レスの中では真番郡のことをだしていますが。真番郡ってなんのことだかご存じない?)
私が貴方のおっしゃった言葉を誤解してすみませんでした。3世紀になる頃には
既に朝鮮半島の言語は満州や日本の言語とはかけ離れていたのでしょう、とおっしゃるつもり
だったのですね。それについては私も同意します。
ちなみに真番郡が何のことであるかは私も知っていますよ。漢の武帝(劉徹)が朝鮮半島に
設置した郡県の一番南方の郡の名前です。次の皇帝の代の時に、真番郡は朝鮮半島東部の
臨屯郡と共に一番早く廃れたのです。のち、玄菟郡も遷移したり次第に衰退していき、
最後には漢の勢力が一番強く及んでいた楽浪郡とそれから分轄された帯方郡も高句麗に滅ぼされ
漢の朝鮮半島の直接的支配は終わったとの事です。
690 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 10:34 ID:yozb9Shw
>>139.称我曰能(奴台切) とあるので、/nyng/ではなく/nai/
>>という発音であったようです。中国の江南方言では「能」を
>>/nei/のように発音するところもありますから(確か温州あたり)
>>そのあたりのご出身かもしれませんね。
>>これは主格の/-i/がついた形でしょうか?
あっ、この語も発音についての註が施してあったのですね。まさに
主格形の/na-i/(発音は[nei]の様だったのか)を表したのだと思います。
>>670
「宰」にはもともと「屠殺する」という意味もあったのではないですか?
確かに「栽」と字音が似ていますけど。何にせよ「宰把指」は一種の農民の
呼称に違いないですね。
「鼓者」など、朝鮮で流行っていた漢語を「鶏林類事」の編者が「故作」と
音写した、という貴方の提案は非常に面白いと思います。確かに、「故作」の
音価から見ても、朝鮮の固有語では無さそうですね。やっぱり漢語に由来する
単語だと仮定した方が良いのでしょうね。
691 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 10:52 ID:yozb9Shw
阿木林さん: ちなみに「問爾汝誰何曰箇」のところの「」について、どんな
発音を音写したものだと思いますか? 私は「」の字音を知らないのですが。音符が
「委」となっていますから後世の朝鮮語の/nu/(誰)と同源の言葉を写したわけではないの
かなと思いました。でも、「女」の字音なら/nu/と同源の言葉を音写した可能性がある
でしょうね。「」の字は結局どんな発音なのですか? もしかして「箇」は後期中世語の
/mai/や現代語の/oa:i/(「何故」というのが基本的な意味ですが、「は〜い?」の様に
聞き返す時にも軽く発する言葉です)と同源の要素を表しているのかしら? しかし「箇」は
きっと疑問詞の/go/と同源のはずですね。
692 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 11:10 ID:yozb9Shw
>>659の娜々志娑无のご質問に対して
返事が遅れてしまってすみません。私は古代日本語を勉強するためには主に
Samuel E. Martin著の「The Japanese Language through Time」という書物のほかに、
インフォシークの『オンライン大辞林』の国語辞典を使用しております。しかし私の
日本語の知識は何年にもわたって習得したもので、いちいちそんな資料を参考している
わけではありません。実は一年間、日本の高校に留学した経験もあります。
ちなみに私のネット環境は常時接続のケーブルモーデムです。
693 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/13(木) 11:57 ID:3v8z.UeI
>>685
Jake_USA さん
日本語が中国語のような声調言語でないことはおっしゃる通りですし、
>>684
で私が示したアクセント法則も、少数ながら例外もあり、100%
完全な法則でないことも確かです。でもね、Jake_USA さん。インド=
ヨーロッパ語族と違って言語の系統が明らかになっていない言語で
語源を考える際に、このような既知の規則や知識を軽視するというのは
決して誉められたやり方とは思えませんね。私の目には貴方のやり方
はどうにも危なっかしく見えて仕方がないのです。貴方のやり方は極端
に言えば、発音の類似を優先させ、意味の違いは後付けで辻褄を合わ
せればそれでよしという感じのように見受けられます。しかしながら、
そういうやり方を是とするなら、あらゆる同音異義語はすべて同語源に
してしまうことだって可能になってしまうわけですが、貴方にそれを否定
する術はないのではありませんか。
学問において仮説を立てるということは非常に重要なことですし、自由
な発想で仮説を立てることも大いに結構。それにけちを付けるつもりは
毛頭ありません。でも、それよりも重要なのは仮説をきちんと検証する
ことです。仮説を立てること自体は決して難しいことではありません。
検証してその是非をきちんと判断することが難しいのです。なるほど、
私はこのスレであらゆる可能性を追究するとは申しましたが、これは
すべての可能性を検証せずに放っておくという意味ではありません。
既知の知識で検証して問題があるものはきっちりと選別して捨て去り、
本当の意味で可能性のあるものだけを残して行くようにしなければ、
語源はおろか言語の系統すらまともに論じることは出来なくなります。
既知の知識を軽視して論じるのは、あたかも海図なしで航海するよう
なもので、運が悪ければ即座礁してしまいますし、座礁しないまでも、
正しい目的地には決して辿り着けないでしょう。私はそれを心配して
いるのです。
694 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/13(木) 11:57 ID:3v8z.UeI
きつい言い方をして済みませんでした。見方を変えれば、私は単に
臆病過ぎるだけなのかも知れません。でも、それが私の流儀なもの
でして、今更変えることは出来ないのですよ。ま、年も年ですし、その
辺はご容赦頂ければ幸甚です。
695 名前:
娜々志娑无 ◆NcNEDmUA
:2003/11/13(木) 12:02 ID:3v8z.UeI
>>692
Jake_USA さん
なるほど、日本に留学経験がおありでしたか。
>>645
で「むっちゃ」の
ような俗語、つーか方言を使っておいでだったので、教科書だけで
日本語を勉強したわけではないようだとは感じていましたが、それで
合点が行きました。
696 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 13:02 ID:yozb9Shw
144.伯叔皆曰了査秘 = 後期中世語の/ajabi/。この語のほかに、後期中世語には/aj@ba-nim/という
敬称がありました。現代語には/ajubi/, /ajaibi/, /ajai/という卑語のほかに、
標準的な/aje-ssi/や敬称の/ajubeni/, /ajube-nim/などがあります。
また、朝鮮には漢風に、おじさんが自分の親の弟なのか兄なのかによって
呼び分ける風習があります。後期中世語では「叔父」の方を/az@'ajabi/(/az@/は
年下の弟妹の意)、現代語では/jag-yn-abeji/(「小さな父」の意)と
いいます。「伯父」の方は後期中世語では/m@d'ajabi/(/m@d/は「最年長」という
意味の接尾辞または「最年長の者」という意味の名詞・代名詞みたいな単語)、
現代語では/ky-n-abeji/(「大きな父」の意)といいます。
ちなみに「父」をいう意味の/abi/についての補足ですが、後期中世語では
/abi/に属格の助詞/-yi/が続く場合には、普通/ab-yi/という語形をとった
様です。「父」を意味する語根は古くは*/aba/で、これに主格助詞/-i/が
くっ付いた語形、即ち*/aba-i/から第二音節の*/a/が抜けて、中世語の
/abi/という語幹が生じたのではないでしょうか?
しかし属格形の/ab-yi/にはまだ一つの問題点があります。
それは属格助詞の/-yi/が語幹と調和していないのです。むしろ*/ab-@i/となる
はずでしたね。後期中世語の属格形の/ab-yi/は*/abi-yi/の訛りと見るべき
かも知れませんね。
145.叔伯母皆曰了子彌 = 後期中世語の/aj@mi/。その頃の敬称は/aj@ma-nim/でした。現代語には
卑語の/ajumi/のほかに、標準的な/ajumeni/や敬称の/ajume-nim/が
あります。現代語では叔母のことを/jag-yn-emeni/(「小さな母」の意)と、
伯母のことを/ky-n-emeni/(「大きな母」の意)ともいいます。様々な
漢語も多用されます。
146.兄曰長官 = 面白い漢語です。
147.嫂曰長官漢吟 = そのまま「兄」「妻」という意味の「長官」「漢吟」を続けて言ったのですね。
148.姉曰[女奈]妹 = 後期中世語の/nu'yi/および現代語の/nui/(男性の姉妹を言う語で、主に年下の妹に
ついて言う)。現代語では男が姉のことを/nu:na/、または敬称として
/nu:-nim/といいます。この語の語中から両唇性の子音が早くも消失してしまったと
見るべきでしょう。
149.弟曰了児 = 後期中世語の*/az@G/(のち/a'@/とも)。母音で始まる助詞の前では/az'/(例えば主格の/az'-i/)と
なり、単独または子音で始まる助詞の前では/az@/となりました。この語は
現代語の/au/(男性の弟、女性の妹; または親しい仲の男性二人の年下の方)に当たります。
現代語では弟のことを/nam-do[ng]sai[ng]/(男同生)ともいいます。
150.妹曰了慈 = 後期中世語では妹のことを/az@-nu'yi/、のち/a'@-nu'yi/といいました。
現代語では女性の妹をいう場合には、この語の子孫である/au/はたまに
使われます。普通、現代語では妹のことを/nui-do[ng]sai[ng]/または
/ie-do[ng]sai[ng]/(女同生)といいます。
697 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 13:03 ID:yozb9Shw
151.男子曰沙喃 = 後期中世語では男を/s@nah@i/といいましたが、これは「青年」という意味の
後期中世語/s@n/と「子供」の意味の後期中世語/ah@i/(現代語の/ai/に相当)との
複合語です。「沙喃」の「喃」は鼻音で終わるはずですが、「沙喃」が音写している
言葉の正体がよく分かりません。現代語では漢語の/namja/(男子)のほかに、
/s@nah@i/から発展した/sanai/もなお使われます。
152.女子曰漢吟 = 以前この語の語源説を唱えましたが、もう一度書いておきます。
「漢吟」が音写している単語は後期中世語の頃にはもう死語となっていた様ですが、
恐らく語源は*/ha-n-gym/「大き君」だと仮定しております。前期中世語の
「漢吟」の段階では既に*/han'ym/の様に単語化して、語中の軟口蓋子音が
衰退していたと思っております。
153.自称其夫曰沙会 = 後期中世語の/sahoi/および現代語の/saui/(婿)に当たります。
前期中世語の頃では女性が自分の夫をいう語となっていた様ですね。
154.妻亦曰漢吟 = 上記の「152.女子曰漢吟」参照。
698 名前:
Jake_USA
:2003/11/13(木) 14:59 ID:yozb9Shw
>>693の娜々志娑无
ご諫言ありがとうございます。私はまさかアクセントのデータを無視しようとは考えていませんよ。
ただしあくまでも音素に基づいた語源解釈を尽くした後に次いで考えるべきだと思っております。
「かひ(貝)」の場合は、「かひ(卵)」と「かは(皮)」にも意味的につながると思われる部分が
あるので、それらが同源だと仮定した後にこそアクセントを見て「あっ、これらの単語は全てアクセントも
同じパターンに属しているね」と、その仮定を裏付ける証拠(evidence)の一つとして記しておこうという風に
私は考えております。それこそ「科学的な言語学のやり方」だと思っているのです。最初の仮定を立てる段階では
むしろ全ての事実をば考慮していない(全てを表に出してしまわない)方が良いのでは、という考え方です。
(古語的な表現を使ってすみません! 現代日本語でどういう言い回しをすれば良いのか分かりません。)
ちなみに余談ですが、「かひ(貝)」の場合は語源が「交ふ」と同じでも「皮」と同じでもあまり構わない、
とも言えるのでしょう。少なくとも「かは(皮)」を別の語根として取っておけば、残る「かひ」の様な語形の
単語を全て一つの語根にまとめてしまっても結局同じです。「かひ(貝)」の語源を正確につきとめるのが
重要になってくるのはたった二つの場合です:
1.「かひ(貝)」が一つの原始的語根(a primitive)として他の語根から派生したものでは
ないと考える場合
2.「かひ=貝」という派生語を有するほど日本語と非常に近縁の言語(たとえば朝鮮語)と
比較してわりと最近の過去に存在したと仮定する共通祖語の全語彙を厳密に再構しようとする場合
もちろん、比較言語学の立場ではなくて日本国語学の立場から「かひ(貝)」の語源の問題を
見るとしたらご意見は異なるのでしょうね。
とりあえず私も「かひ(貝)」=「かは(皮)」と同源という風に新しい仮定を立てることに
したと言いましたよ! ですからもうこの事でご心配なさらないでください(^−^)
699 名前:
阿木林
:2003/11/13(木) 15:48 ID:C1k7hfu2
ムドゥリについて。オロチェーン語では/mudur/でした。
「藻」の現代語は「馬」同様に短母音で/mar/ですね。
>>683
うろおぼえなのですが、中国側の史料では「高句麗の言語は
百済新羅とは異なる」としているものと、「大して変わらない」と
しているものの二種類があるようでして、「異なる」説を取った
場合は、地理的位置から、またいくつかの単語(数詞など)の
類似からツングースが選択されることが多いと思います。
ワイやハクなどは、系統不明とせざるを得ないですが、
恐らく高句麗の南下以前に朝鮮半島北部にいた人々でしょう。
皮(カハ)といえば、アイヌ語でも/kah/といいますよね。
貝は/pipa/とか/pisasi/というのですが、卵はなんだったろう。
/tamanko/という外来語はあるようですが、狩猟採集民族が
卵を指す言葉をもっていないわけがない。
700 名前:
阿木林
:2003/11/13(木) 16:18 ID:C1k7hfu2
今手元に漢和辞典がないので詳しくわかりませんが、
「」は日本語ではイまたはダイと読みます。ダイは古い呉音でしょう。
北京語ではwei4と読み、[食畏]wei4(えさを与える、養う)の異体字です。
朝鮮音はわかりませんが恐らくは/'ui/でしょう。
筆者の発音が/*dai/に近い発音であれば、/nu-/の音符として
使うことも可能かもしれませんが・・・
ヌグと結びつけるには、たとえば[食妥](nei3、飢える)の
誤写であったという説はどうでしょう。
こちらのほうが良く使われる文字であるし、妥当な説だと思います。
中期語の/nui/(だれ)の表記としても問題なさそうです。
836KB
新着レスの表示
掲示板へ戻る
全部
前100
次100
最新50